このページではPS2版『花と太陽と雨と』と、DS移植版『花と太陽と雨と 終わらない楽園』を紹介します。判定は共に賛否両論。



花と太陽と雨と

【はなとたいようとあめと】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 プレイステーション2
発売元 ビクターインタラクティブソフトウェア
開発元 グラスホッパー・マニファクチュア
発売日 2001年5月2日
定価 7,140円(税5%込)
レーティング CERO:全年齢対象*1
判定 賛否両論
ポイント 世界観が全て?
シルバー事件シリーズ
初代 / 花と太陽と雨と / 25区 / 2425

概要

ロスパス島と呼ばれる南国の島で、探し屋(サーチャー)を生業とする主人公モンド・スミオを操りテロリストが隠したという爆弾、そして島の秘密を探していく、若干の謎解き要素のあるアドベンチャー。

シナリオおよびディレクション担当は、『ムーンライトシンドローム』などを手掛けた須田剛一氏。氏が過去に手掛けた『シルバー事件』の続編となる。
氏の手掛けた作品は、その独特の雰囲気から俗に「須田ゲー」と呼ばれる。本作もやはり、まごうことなき須田ゲーに仕上がっている。

ストーリー

主人公であるモンド・スミオはロスパス島と呼ばれる南海の孤島唯一のホテルの支配人エド・マカリスターの依頼で、テロリストが隠したという爆弾を探してほしいという依頼を受ける。
愛車に乗ってホテルに到着したスミオは、観光案内パンフレットを手渡されながらエドから島の名の由来を聞く。
島の名前の由来は「ロスト・パスト」―過去を失った島。その名が示すように、島では奇妙な現象が起こり始める。
幾度となく繰り返される一日、夢に出るピンクのワニを連れた少女、そして徐々に明かされる島の秘密…
そしてそんな中出会う様々な人の願いを聞き届けつつ、モンドは少しずつ爆弾が仕掛けられているという空港に近づいてゆく―

特徴

  • 淡々殺伐としていた前作とうって変わり、南国らしい華やかな空気に、主人公は人助けを中心に活動するというほのぼのとした作品となっている。
    • だが、独特の台詞回しと奇妙な展開で構成される須田節は健在であり、ただのリゾート探索で終わるはずもない。
    • そして本作の特徴はギャグ色が強いバカゲー寄りのストーリーとなっていることである。過去作にもふざけた雰囲気は多少あったものの、本作はキャラのやり取りばかりか現実離れしたぶっ飛んだ表現をも平然と盛り込み、おバカなノリがゲーム全体に渡って擦り込まれたシュールな作風となっている。
      • かと思ったら突然シリアスになったり、そう見せかけてまたギャグのノリに戻ったりとカオス極まりないシナリオである。本作によって、ただ暗く重いだけではない須田ゲーのはっちゃけた面が明確に開拓されたと言える。
    • 一応『シルバー事件』と話は繋がっているが、知ってたら知ってたでさらに混乱する恐れがある。
  • 主人公の目的は、テロリストがロスパス島の空港に仕掛けた爆弾を探し出す事である。しかしストーリーは全然その方向に進まない。
    + 1章毎の流れ
  • まず主人公がホテルの自室にて、モーニングコールで起こされる。その後、朝のコーヒータイムを経て出発する。
    • 目的地は上述の空港なのだが、途中で必ずトラブルに巻き込まれて行く手を阻まれ、先に進む為にトラブル解消に駆けずり回る。
    • そしてトラブルを解消すると空には旅客機が見え、必ず謎の空中爆発を遂げる*2てろか? じこか?
    • そこで唐突に主人公の一日が終わる。次いで謎の少女・トリコの視点に移り、ペットの人喰いワニを追ってその章で主人公の通った道をなぞるように進む。
    • セーブ画面を挟んで翌日に移り、また主人公がモーニングコールで目を覚ます。そして改めて空港を目指すが、前日より進んだところでまたトラブルに…。
    • 以上の繰り返しで少しずつ空港に近付いていく。意味が分からないだろうが、そういうゲームである。
  • 万能電算解除機キャサリン
    • 本作の謎解きは「キャサリン」と呼ばれる機械を使って行う。キャサリンで出来るのはコードを接続(ジャックイン)し数字を入力すること。
    • 正しい数字を入力するとあらゆる問題が解決される。ロック解除などは当たり前で、呪いを解いたりカクテルを作ると言った芸当すらも可能。よって接続対象は機械に限らず、物や食品、人間にまで及ぶ。
    • 電話を掛ける際にもキャサリンを接続してわざわざ番号入力を行う。普通に掛けろ*3
  • キャラクターはこれまた一癖も二癖もある人物が揃っている。
    • 拠点となるホテルの従業員からしてどこかおかしい。特に支配人のエドは全編に渡って登場するだけに本作の奇怪ぶりを象徴するようなキャラとなっている。『killer7』にもゲスト出演しているぐらいである。
    • 当然、宿泊客はもっとおかしく、霊媒師に自称天使、普段は無口だがアフロカツラを被った途端にマシンガントークを始める俳優、所構わずスクワットをするプロレスラーとプロレス哲学を長々と語るその師匠など、奇人しかいないと言っても過言ではない。
    • 主人公もかなりの曲者だが、他が奇人変人揃いなのでまだ常識人に見えてしまう不思議。
    • 中には「フラグを立ててやる」などと明け透けに口にしたり、ゲームの仕様にツッコミを入れてゲームの世界観を壊そうとするメタなキャラも。
    • 上記のストーリーや個性的なキャラクター達をどこまで許せるかによって、このゲームの評価は大きく変わると言える。
  • マップをポリゴン、登場人物をイラストで表示していた前作に対し、今作は登場人物も全てポリゴンで表現した3D画面となる。
    • 決まったルートしか進めなかった前作や、2Dの横スクロールに近かった『ムーンライトシンドローム』に対して今作は純粋な3Dフィールドを自由に移動する形となる。
    • しかしそのポリゴンモデルは全体にのっぺりとしていてポリゴンのカドも目立つ。単に粗雑な作りというのではなく、人物モデルなどはデフォルメを効かせた造形にはっきりとした配色と、一風変わった仕上がりになっている。
      • 技術力の問題もあるだろうが、過去や後年の須田ゲーから察するに、これも意図された造形であると思われる。「これしか作れなかった」のではなく、技術的に可能な範囲で、アーティスティックな表現を試みたものと見るべきだろう。
      • 登場人物がこれらのローポリ表現をボロクソに貶すなど、メタ演出にも一役買っている。
    • キャラクターデザインは前作や『ムーンライトシンドローム』に続いて宮本崇氏で、メッセージウインドウ横には前作と同じタッチの顔グラフィックが表示される。
    • 背景もやはりローポリだが、遠景美術は南国「らしさ」が際立っており、島の外の長い道を走っている間はBGMも相俟ってまさに南国でドライブしているような空気を味わえる。
  • 人物のセリフはテキストと同時に音声も付いているが、話されているのはノイズやスクランブルが掛かったような謎の言語。
    • シュールと不気味の境目を攻めるような、かなり癖のある表現になっている。

評価点

  • OPなどに見られる、ゲーム離れした映像表現。ミュージックビデオ風の実写映像、細かく描き込まれた実写風CG、鮮烈な色使いのポスターカラー絵画風CGなど、様々な映像が組み合わせられている。
    • 前作的位置づけの『シルバー事件』でのシナリオごとの画面効果ほどではないが、一部で前作を彷彿とさせるサイバーチックでスタイリッシュな視覚効果が挿入されている。
  • 強く鮮やかな色を多用しつつも調和の取れた画面。
    • 陽光ふりそそぐ南国の空気感が伝わってくる。
  • クラシックの名曲を大胆にアレンジしつつもクオリティの高いBGM群。
    • これもパクりだなんだと作中で自虐ネタが入るが、各楽曲極めて特徴的でクセになるアレンジ揃いである。
    • 曲目自体も多く、繰り返し聞くことになるシーンは多いもののシナリオ毎に数曲は新規楽曲を聞けるため飽きさせない。
    • オープニング主題歌「F.S.R. ~アナタノタメ~」も高い人気を誇る。
    • 現在では入手が困難だが、サントラの評価も高い。
  • 謎解きに使用されるガイドブックはかなり内容量が多くリアリティがあり、実際のリゾート地のパンフレットのように読み込ませる事でそれが作品世界への強い没入感をもたらすことに一役買っている。

賛否両論点

  • あまり実感のない謎解き。
    • 本作の謎解きは上述のキャサリンを使った数字入力の形式だが、その解決法は「序盤に渡されるガイドブックにほぼすべて書かれている」という斬新すぎるもの。
    • 具体的には、解くべき謎のヒントにまつわるページを探し、その中から要求される桁数の数字を探す形となる。
      • 文章をよく読んで考えて数字を導き出す謎もあるが、中にはまんま答えが載っていたりもする。
    • しかし数字だけなので桁数によっては総当たりでどうにかなったり、そもそも情報源が「ガイドブック」という一点だけに集約されているので謎を解いているという実感が薄い。
      • そもそもガイドブックに謎の答えが載っているという時点で不自然極まり無く、作中でもツッコミが入る。
      • ところが、ストーリー的にその実感の薄さやツッコミ所が意味を持ったりする。
  • とにかく移動が面倒。
    • 作中でも「ワープとかないのか」と言われるほどに島のあっちこっちを走ることになる。謎解きに入るまではひたすらフラグ立てが続くので尚更。
      • 一つフラグ立てを忘れただけで無駄な移動を延々とさせられる羽目になるので、話し掛けられる人にはイベントが一つ進む度に全て話し掛けた方が良いほど。
    • 最初のうちでもホテル中を駆けずり回るが、外に出ると本当に広いフィールドを走り回る羽目になる。例えるなら、乗り物前提のオープンワールドゲームに乗り物が登場せず終始徒歩での探索を強要されるようなもの。
      • かと言ってストーリーのフラグ探し以外にオープンワールドゲーム的な探索要素は無いので、あちこち探し回っても旨みが無い。
    • 一応、その章で行く必要のないフロアや部屋には入れないようになっているが、ゲームが進むと行動範囲自体が広がるので走り回るのは変わらない。
    • あるチャプターでは長距離を苦行の如く何度も往復させられるが、ここでは例外的にファストトラベル的な機能が用意されている。
      • しかしそれも作中で「楽をするとは自分を甘やかすこと」などと明け透けに指摘される。また、それとは別に往復の度におっさんのキモいコスプレダンスを見せられるという、何かの嫌がらせかと思える演出もある。
    • 開発者曰く、「歩くだけで楽しいアドベンチャー」を目指していたとのことで、実際風景などはよく出来ている。
      • 感性の問題だと言いたいところだが、やはり批判も少なくなかった模様で後述のDS版では万歩計や移動速度の上昇などの要素が追加されている。
  • 電波と超展開寸前のストーリー。
    • とにかく唐突な展開や説明のない描写、前作を踏襲しているのかしていないのかよく分からない登場人物等、難解というよりは理解させる気のないような奇怪なストーリーでプレイヤーを混乱させる。
    • 最後まで説明されない部分もあり、またファンブックなどの媒体でも解説もあまりされていない為、最終的にはプレイヤーの脳内補完に任せるより無い様な部分もある。
    • 序盤のうちはギャグ色の濃い会話や演出がメインなので軽いノリのバカゲーとして笑っていけるものの、シリアス色が濃くなってくる後半になると「須田ゲー」全開の電波シナリオと化していき、イカれ気味の登場人物による支離滅裂なやり取りや難解な台詞回しがプレイヤーを迷宮へと叩き込んでいく。
    • 終盤で真相が徐々に明かされてきても、その後の展開は予断を許さない。「前提が間違っていた」などというどんでん返しは序の口で、明かされた真相すらもあっさり覆されたりなど、何が真実で何が嘘なのかとにかくプレイヤーは混乱する。
    • しかしながらこう言ったストーリー展開こそが本作の魅力と見る向きもあるのは事実で、『シルバー事件』と同じく一部プレイヤーには鮮烈な印象を残している。

問題点

  • キャサリンの接続時には正解のプラグを選んで挿す必要がある。
    • プラグは9種類もあり、差し込み口の形状からはどれが正しいのか分かり辛い。別に間違えても問題無いので1本1本試していけばいいだけの話だが、ジャックインの度にやらされるのは少々面倒ではある。
  • キャサリン起動時には毎回カメラワークと共に決め台詞を言うのだが、これがスキップ不可。
    • 最初の接続時のみなら問題無いのだが、入力する暗号を間違えたりキャンセルして画面が戻ると、再接続時にまた同じ演出を見せられる。
  • 初期の謎解きのハードルが高い。
    • よりによってガイドブックを使った最初の謎解きが少々トリッキーであり、本作の勝手がまだ分かっていないプレイヤーはガイドブックの膨大な情報量と奇抜な仕様に戸惑って躓きがち。
    • しかもこのヒントをくれるキャラは攻略本の宣伝をする始末である*4
  • ある謎解きには麻雀の知識が要求される。
    • それほど専門的な内容ではなく、謎解きのヒントもガイドブックに書かれているのだが、それでも麻雀を全く知らないと何の事だかさっぱり分からず詰まってもおかしくない。分からなければ悩まずさっさと調べた方が良い。
  • クリア特典ややり込み要素、分岐の類は無し。
    • 『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』もそうだったが、一周して奇抜なストーリーと世界観を堪能したらそれで終わり。謎解きもエンディングまで行けば全て回り終える。
    • DS版ではやり込み要素が追加された。

総評

完全一本道の『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』に比べればゲーム性は付加されているが、それでも単なる謎解きゲームとして見れば肩透かしを食らってしまうような作品。
しかしその内容は紛れも無い「須田ゲー」で、プレイした者を作品世界に引き込むパワーがあり、それでいて兎に角プレイヤーを困惑させて来る。
つまるところ「世界観にハマれるか」が全てであり、単なるムービーゲーとはまた違う「ゲーム部分の必要性が薄い、しかしゲームでしか味わえない世界」という不思議で狂ったゲームである。

『シルバー事件』、本作と経て磨き上げられた唯一無二の作風は後年の『killer7』で大きく花開き、GHMと「SUDA51」の名を世界に轟かせた。
そして本作で際立ったおバカ、イカれ度、シリアスが入り混じったカオス極まりないノリは『ノーモア★ヒーローズ』シリーズで更に昇華され、以降の須田ゲーに大なり小なり受け継がれていく事となる。

余談

  • 本作は前作『シルバー事件』に続いて発売元となるはずだったアスキーからかなり口出しされ、何度も内容の変更を余儀なくされた経緯を持つ。
    • 当初は銃を撃つアクションアドベンチャーとして開発されていたが、アスキー側からの暴力描写を避ける要請によって変更したと言う。その方向性は後の『killer7』で実現する。また、元々は『ムーンライトシンドローム』に近い世界観だったらしい。
      • 他にも「ビルを破壊するパズルゲーム」と言った案もあったがこれもアスキーから反対された。
      • 「キャサリン」の謎解きも元々は「ツールナイフ」というアイテムを使っていたが、システムが『鈴木爆発』に似ていたという理由で廃案にされている。
    • 前作の時点でアスキーは「常に緊張感が漂い、疲れる」と指摘しており、南国を舞台としたのもそれを受けての事である。アスキーは空港を舞台とするように要請していたが、GHM側はホテルを舞台とする事を希望し、それらを折衷する形で完成版のリゾートアイランドに落ち着いた。
    • シナリオに関しても須田氏は「愛」をテーマに明確な方向性を打ち出していた*5ものの、アスキーは須田氏はディレクションに専念してシナリオを担当しないように提案し、結果として須田氏を含む複数のライターによる執筆体制となった。
      • 出来上がったシナリオは個性が強く繋がりも無かった為、これらに一本の線を引く形で現在のシナリオになったらしい。本作のカオスぶりはその辺りも影響しているようだ。
    • しかしこれだけ横槍を入れておきながら最終的にアスキーは発売を取り止める。一時は発売中止の危機に晒されたが、ビクターインタラクティブソフトウェアが名乗りを上げた事でなんとか発売に至った。
      • 発売元の変更により、更に細部に調整が入った。幕間のトリコパートやキャサリン起動時のSEはこの際に追加されたものとのこと。
  • キャサリンは上記の「ツールナイフ」以外にも、「男の七つ道具」という工具箱のようなものが考案されていたが「操作を複雑にするより謎解きそのものを重視した」結果、現在の形になったらしい。
  • 須田氏は『ムーンライトシンドローム』『シルバー事件』と合わせて三部作としており、本作で完結したと語っている。
    • 後年、『ムーンライトシンドローム』は『シルバー事件』と世界観を共有している事が明かされているので、本作もまたそちらと地続きの物語となる。事実、本作には『ムーンライトシンドローム』の主要キャラで唯一と言って良い生存者と同名で似た人物が登場しており、同一人物であるという見方もされている。
  • シルバー事件25区』にて本作で活躍する暗号入力機「キャサリン」の改良型キャサリン・ナノが登場する。

花と太陽と雨と 終わらない楽園

【はなとたいようとあめと おわらないらくえん】

ジャンル アドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
発売元 マーベラスエンターテイメント
開発元 ハ・ン・ド
発売日 2008年3月6日
定価 5,040円(税5%込)
レーティング CERO:A(全年齢対象)
判定 賛否両論

概要(DS)

上記PS2版に一部変更を加えた移植作品。
PS2版は日本でしか発売されなかったが、このDS版は『killer7』が海外で人気を博した事もあってか、『Flower, Sun, and Rain』のタイトルで海外でも発売された。

変更点(DS)

  • ストーリーとは無関係の謎解きや新コスチューム、万歩計が追加されている。
    • 最後の隠しコスチュームは『ノーモア★ヒーローズ』の主人公トラヴィスの衣装である。
  • グラフィックに関してはDSレベルの3Dに落とし込まれている。
    • 当然PS2版よりは劣るものの、元が元だったのであまり批判はされていない。
  • キャサリン操作パートはバックの主人公の姿やエフェクトが無くなっており、簡素な画面になった。
    • ガイドブック画面も背景にガイドブックのページを表示させてテキストをその上に映すなど、ハードに合わせて細かく変更されている。
    • 一方、プラグの差し込みはタッチ操作でプレイヤーが直接行うようになっている。
  • PS2版と異なり、BGMが生音源ではなくなった。DSの音源に合わせてアレンジされている。

評価点

  • ほぼ忠実な移植
    • 元が元という事もあってかPS2ソフトだったオリジナルをほぼそのまま携帯機へ移植している。見て分かるような劣化点も無く持ち運び可能になったのは評価点である。
  • おまけ要素の追加
    • 本編以外でも収集要素「落し物」*6とそれに伴う謎解きが追加され、探索や思考の楽しみが増えている。
      • 各章毎に落とし物リストが用意されており、そこに書かれた謎を解いて各所にある容器を開けると落とし物が受け取れるようになっている。謎も本編同様にガイドブックを参照するものやフィールドを探索して答えを探すもの、計算が必要なものなど様々。
    • ちなみに落し物が何故このようなシステムなのかと言うと…。
+ 少々長いので折り畳み
  • ホテルは落し物を見つけると回収し、落ちていた場所に引換券を入れた容器を置いておく。
  • その容器は落し主がチェックイン時に決めた暗証番号でロックされており、別人では引換券が取り出せないようになっている。しかし落し主が暗証番号を忘れた場合の為にヒントとなる謎が書かれてある。
  • 落し物は引換券と交換であり、容器を持ってきても落し物は返って来ない。
  • そしてホテルはこのシステムに絶対の自信を持っており、誰であろうとも引換券を持ってきたら機械的に落とし主と見做し、落し物を渡す
  • この時点でもかなりおかしいが、落し物リストの謎はよく考えれば誰でも解ける謎ばかりであり、主人公もリストを見る度に堂々と「今日の獲物確認!」と言い放つなど、ツッコミ所満載の仕様となっている。
  • 万歩計の追加により、やたら歩かされるゲーム性に多少ながら意味が付加されている。
    • 加えて歩数が一定に達すると新スキルが会得可能。中には移動速度上昇という有難いものもある。
    • 特典の一つとしてサウンドテストモードも追加されている。

問題点(DS)

  • 万歩計が追加されたものの、移動が面倒な仕様などは変わっていない。
    • 移動速度上昇スキルも解禁までの歩数が多く、1周クリアだけではまず貯まらない。周回プレイ用を想定しているのだろうが、結局1周目のプレイ感覚はPS2版と変わらない事に。
  • 落し物関連
    • 落し物リストは持ち運びが禁止となっており、その場でしか見られない。メモはいつでも取れるが面倒である。
    • 落し物は種類こそ豊富だが、メニュー画面でモデルが見られるだけで解説などは無しなのが少々寂しい。
    • コスチュームを手に入れても着替えは2周目以降限定。
  • ボーカル曲が差し替えられている。
    • OP曲は「アナタノタメニII」、ステージ間セーブ画面の曲は「Welcome to LospassII」という高田氏書下ろしの新曲に変更されている。理由は色々噂されているが、詳しいことは不明。
    • 曲自体が悪い訳ではないのだが、元の人気が高いためそちらを知っていると不満になりやすい。
      • 前者はPS2版では語りから歌に入るのが印象的な楽曲だが、DS版では終始語りになっており歌は無い。
    • 高田氏自身は説明書にて「オリジナル版をお持ちのお客様の為に、新曲を!!!」という無言の熱いメッセージを感じたから作ったと綴っている。
+ PS2版OP

+ DS版OP

総評(DS)

追加要素や変更点はあるが、基本的にはPS2版と変わらない仕様である。
据置機か携帯機か、追加要素か主題歌か、どのハードを所持しているか、これらを考慮して好きな方を選べば良いだろう。

余談(DS)

  • 移植はハ・ン・ドによる目コピで行われている(参照)。
  • 本作と同時に『シルバー事件』と『シルバー事件25区』のDS移植も発表されたが諸事情で実現しなかった*7
    • この二作の移植は2016年以降に各ハードで実現するが、それまで長い年月を要する結果となった。任天堂ハード版がやっと実現したのは10年以上後の2020年であった。
    • これらの際、須田氏は本作と『killer7』の移植も公言していたが、『killer7』はSteam版が出たのに対し、本作はDS版以降は未だ実現していない。
      • 氏は「10年以内に実現したい」と語っていたが残念ながら本作は2024年現在情報が無く、その間に『ノーモア★ヒーローズ』『ロリポップチェーンソー』『シャドウ・オブ・ザ・ダムド』と言った後年の作品の方がリマスター化されている。氏の発言から10年まではまだ掛かるので気長に待とう。
最終更新:2024年08月19日 18:49

*1 廉価版で付与されたレーティングを記載。

*2 章によっては登場人物の行動が原因になる場合もある。

*3 作中でも主人公が自分でツッコミを入れている。

*4 既に絶版だからなのか、DS版ではこの台詞は無くなっている。

*5 主題歌「F.S.R. ~アナタノタメ~」もこのテーマに基づいて作られた楽曲である。

*6 時には「忘れ物」とされる。

*7 『シルバー事件』はゲームアーカイブスで配信されたので、一応本作と共に携帯機でのプレイは可能になった。