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プリンス オブ ペルシャ - (2016/12/23 (金) 11:07:57) の編集履歴(バックアップ)


PRINCE of PERSIA

【ぷりんす おぶ ぺるしゃ】

ジャンル アクション
対応機種 AppleII、Macintosh、IBM-PC、AMIGA、Atari ST、
PC-9801VM/UV以降、X68000、
ファミリーコンピュータ、マスターシステム、
スーパーファミコン、メガCD、PCエンジン、
ゲームボーイ、ゲームギア、Xbox360
発売・開発元 Brφderbund
日本版発売元*1 【PC98/X68k】ブローダーバンドジャパン
【SFC】メサイヤ(日本コンピュータシステム)
【PCE】リバーヒルソフト
【MCD】ビクター音楽産業
発売日 【AppleII】1989年10月3日
【PC98】1990年7月20日
定価 【PC98】8,800円
分類 良作


概要

カラテカ』の作者であるジョーダン・メックナー氏が次に製作したアクションゲーム。
発売当時は同作同様に非常に滑らかな動きをすることが話題となり、ミリオンヒットを達成した人気作となった。

ストーリー

ペルシャ国王サルタンは国を離れて戦地へと赴き、その間、国政は腹心のジャファーに任された。
しかし彼は邪な心を持っており反乱を起こす。
まんまと権力を手に入れたジャファーは正統なペルシャ国王になるために、サルタンの姫との婚姻を画策する。
その頃、旅の途中でペルシャに訪れた若者がいた。彼は姫と知り合い、やがて恋仲となる。
しかしそれはジャファーにとっては障害以外の何物でもなかった。姫を王宮の最上階に幽閉し婚姻を迫るジャファー。
だが姫は頑として受け入れなかった。
業を煮やしたジャファーは、砂時計を設置。最後の一粒が流れ落ちるまでに態度を決めるよう、姫に強要する。

一方、若者は地下牢に閉じ込められるが、見張りの隙を突いて牢から脱出。囚われの姫を救い出すため走り出したのだった。

特徴とシステム

  • サイドビューのアクションゲーム。様々なトラップが施された迷宮(全13面)*2を突破し、囚われの姫を救出に行く。
    • 動きは多彩で、走ったりジャンプしたりはもちろん、よじ登ったりぶら下がったりなどもできる。これらの動きを組み合わせて進んでいくのだ。
    • 迷宮には石の板が敷かれていて、これが動きの単位となっている。走ると一歩で二枚分進む。忍び足で一枚分。助走しないジャンプで二枚分飛べ、助走すると三枚分飛べるなど。
      この動きの単位はトラップを突破するタイミング取りの基準となる。助走をつけて落とし穴の二枚前でジャンプで三枚分飛び、そのまま一歩走って二枚分進み、ジャンプして三枚分飛ぶ、というような感じでタイミングを取っていくのだ。この練りこまれた動作が、一種のアクションパズル要素を生み出している。
    • ただし、動きが必ず板の長さの単位に収まる訳ではなく、微妙なズレが出る事もある。調整をしないでいい加減に動くと死に繋がることもしばしば。
  • よくある残機制ではなく「制限時間制」を取っている。
    • 制限時間内ならいくら死んでも構わないが、タイムリミットが訪れる前に全てのステージをクリアしなくてはならない(バージョンによっては途中セーブが可能)。
    • 死んだ場合は攻略中のステージの最初からに戻され、過ぎ去った時間は巻き戻らないため大幅なタイムロスになる。そのためじっくりと迷宮を探索している余裕はない。マップ構成と攻略法をある程度頭に入れた上で、スムーズに進んでいかないとまず間に合わない。
    • また、本作の主人公は体力制ではあるが、他にも細かい制限がある。決してスーパーマンではない。
      • 例えば、通常の状態では二段下に落ちただけで1ダメージを受けてしまい、三段目以上の高さから落ちると即死してしまう。壁にぶらさがりながら慎重に降りることで、もう一段分安全に降りることができるようになるが、四段以上の高さからはどうあがいても助からない。
      • 剣を抜いていない状態で敵の攻撃を受けてしまうと、どんなに体力があっても一撃で殺されてしまう。
  • トラップを突破する事に主眼が置かれている。このためアクションパズル要素が非常に色濃いゲームである。
    • トラップは深く空いた穴、仕掛けによって開閉する格子、乗ると落ちる板、床から飛び出す槍、ギロチンなどがある。一つ一つのトラップは単純なものだが、それが複数組み合わさる事で、攻略に工夫が必要になるものとなっている。
      そしてほとんどのトラップはいくら体力があろうとも引っかかれば一発死。このため、慣れるまで非常によく死ぬ。
    • 数は少ないが、敵キャラとの戦闘もある。刀による剣劇で相手の体力をゼロにすれば勝ちとなる。だが必ずしも倒す必要はなく、攻略優先でなんとか逃げるという選択もある。もっとも簡単に逃げさせてくれるわけではないが。

評価点

  • ぬるぬる動くアクションゲーム
    • 一歩キャラが動けばその特徴はすぐ分かる。当時の他のアクションゲームと比較すると、動きの滑らかさが段違いであり、とてもリアルな動きを見せてくれる。主人公の勢い良く走る姿や着地した時のしゃがみポーズ、よじ登る時の力の入れ加減など、まさに生きているかのよう。
    • これは、実際のモデルとなる人物の動きを写真で撮影し、それをトレースして作画に活かす「ロトスコープ」という手法により、この動きが実現した。
      • この手法は古くはディズニーが初の長編アニメ作品『白雪姫』を制作する上で、キャラクターの動きに写実的なリアリティを取り入れドラマ性を高めるために初めて用いた手法としても知られている。
    • 最初に発売されたAppleII版は280×192というファミコン並みの解像度だが、にも関わらずこの生きているような動きが見事に表現されているのだ。
  • 数々のトラップを攻略する楽しさ。
    • 前述の通り、動きの単位がある程度決まっているのでパズル的に突破できる。どこで助走して、どのタイミングで飛んで…などなど。トラップに対しカチッとはまるような攻略法を見出していく楽しさがある。
    • コース突破の要領が分かれば、ゲーム本来の目的であるタイムアタックに必然的に挑戦することになる。これがまた緊張感があって変わった楽しみができる。アイテム取得や戦闘すらタイム短縮の対象とし、ひたすらに速さを追い求めていくプレイは難しいが、バッチリ決まった時の快感は大きい。
  • やけにリアルな惨殺描写。
    • 本作の描写のもう一つの特徴。トラップに引っかかった時の様子が妙にリアル。ギロチンに真っ二つにされた体、槍に串刺しになった有様、高所からの墜落死…。どれも皆、「痛そう」では済まない死に様。

問題点

  • 操作性が少々やっかい。
    • 「ボタンを押した瞬間にプレイヤーの命令通りに行動する」というようなものではなく、主人公の歩幅やジャンプに必要な助走距離、踏み切りのタイミングなど様々な要素を前もって把握することを前提とした、良くも悪くもリアル志向な操作性になっている。この手のアクションゲームとしては類例がごく限られており、まともに動かせるようになるまで相応の練習が必要となる。
  • 基本的にそう多くはない種類のトラップの組み合わせが障害となるため、一見すると変わり映えがしない。やや単調さを感じる部分もある。
  • 一部機種では一定の状況になると処理落ちする。複数のトラップが同時に機能するような場所は仕方ないと思えるが、流石に単純に戦闘するだけで処理落ちはあんまりである。

総評

一目で分かるその滑らかでリアルな動き。さらに仕掛けの謎解きから行動の最適化まで、パズル要素の濃いゲーム性。それらを備えた本作はこれまでに無いゲームだった。
実際の人間のモーションをトレスしたその動きはまさに生きているかのよう。そして巧みなトラップはそのリアルな動きを十分際立たせる。
ゲームとしても様々なトラップを潜り抜ける楽しさがあり、タイムアタックに挑戦する楽しみもある。操作性を熟知した上でトライアンドエラーを繰り返して覚えるタイプの高難度のゲームではあるが、そうした作風にやりがいを覚えられるプレイヤーであれば楽しめるだろう。

AppleIIにて発売された本作は、やがて様々な機種へと移植され、続編も作られる事となる。

その後の展開

  • 人気作であったため、必然的に日本移植版も製作されていった。日本版では13ステージにラスボスが追加され、海外版のラスボスは中ボス扱いとなった。
    • PC98版は開発元のアルシスソフトウェアがAppleII版の2倍の解像度を最大限に生かしたグラフィックを表現し、開発者ジョーダン・メックナーが絶賛したことで知られている。
    • コンシューマではSFC、MCD、PCEにも移植。
      • SFC版は練習4ステージ+本編全20ステージという、元の雰囲気を残しながらも大幅にステージ編成を強化したアレンジ版となっている。
      • MCD版はステージ数はSFC版よりも少な目だが、こちらはCD-ROMの容量を生かしたビジュアルシーンやアニメーションデモを追加している。なお、開発元は公式にはビッツラボラトリー(タイトル画面に表示)だが、実質的にはゲームアーツとビッツラボラトリーとの共同開発である。
  • 『プリンス・オブ・ペルシャ』の発売から15年経った2004年にまさかの続編『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』が発売された*3。こちらは3Dアクションゲームに生まれ変わっており*4、サブタイトルにある通り「時間」に関するギミックが盛り込まれている。この作品より、後に『アサシンクリード』シリーズを生み出した、UBIモントリオールスタジオが中心となって作られている。
    • さらなる続編に『~ケンシノココロ』『~二つの魂』も発売。『時間の砂』から連なる三部作構成になっている。
    • 2008年には上記3作品のシステムと『アサシンクリード』で使われていた「アンヴィル・エンジン」を使用した、『プリンス オブ ペルシャ』が発売された。但し、『時間の砂』3部作と直接的なつながりはなく、いわゆる独立した世界の作品であり、
      更にはナンバリングもサブタイトルもないため、初代と区別する便宜上『プリンス オブ ペルシャ 2008』と呼称されることが多い。この作品の特徴として「デュオ・アクションシステム」と呼ばれるものが採用されており、
      プレイヤーであるプリンスがヒロインであるエリカと常に行動・サポートを受ける形式となっている。*5
    • 2010年には『時間の砂』3部作の直接の続編に当たる『~忘却の砂』(原題:Prince of Persia:Forgotton Sands)が発売された。『アサシンクリード』シリーズで培った要素をいろいろ盛りこんだため、更にスピーディな展開を
      見せるような作品に仕上がっている。時間を操る要素ももちろん健在。

余談

  • XBOX360にて『プリンス・オブ・ペルシャ・クラシック』として、2007年配信された。描画自体は3Dだが、ゲーム操作は2Dとなっている。
    • リトライしても時間が巻き戻るようになっており初心者にも優しいシステムになっている。
  • 2010年に『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』を元にした映画が公開されている。ただ、内容は元のゲームのシナリオとはほとんど関係ない。
  • ASSASSIN'S CREED』は元々はこの作品のスピンオフとして製作されていた。
  • ゲームの背景世界や物語は『千夜一夜物語』をモチーフにしている…と思われがちだが、実はどちらかと言うと映画『バグダッドの盗賊』*6の1940年版の方が直接的なネタ元になっている部分が多い。
    • ゲームの物語は映画とは比較にならないほど単純だが、宿敵が魔法使いで名前がジャファーという部分は同じ。
    • 結果的に、シナリオや背景の一部に同じ映画を参照しているディズニーのアニメ映画『アラジン』と一部の設定がかぶっているが、ディズニーの映画の公開は1992年、このゲームの発売は1989年である。
    • ちなみにSFC版17面、特に中ボスの登場シーンは1974年の『シンドバッド 黄金の航海』へのオマージュだと思われる。