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プリンス オブ ペルシャ - (2014/01/04 (土) 10:40:55) の編集履歴(バックアップ)


PRINCE of PERSIA

【ぷりんす おぶ ぺるしゃ】

ジャンル ACT
対応機種 AppleII、Macintosh、IBM-PC、AMIGA、Atari ST、
PC-9801VM/UV以降、X68000、
ファミリーコンピュータ、マスターシステム、スーパーファミコン、メガCD、PCエンジン、
ゲームボーイ、ゲームギア、Xbox360
発売・開発元 Brφderbund
日本版発売元*1 【PC98/X68k】ブローダーバンドジャパン
【SFC】メサイヤ(日本コンピュータシステム)
【PCE】リバーヒルソフト
【MCD】ビクター音楽産業
発売日 【AppleII】1989年10月3日
【PC98】1990年7月20日
定価 【PC98】8,800円
分類 良作

概要

 『カラテカ』の作者であるジョーダン・メックナー氏が次に製作したアクションゲーム。
 発売当時は非常に滑らかな動きをすることが話題となり、ミリオンヒットを達成した人気作となった。

ストーリー

 ペルシャ国王サルタンは国を離れ戦地へと赴いていた。その間、国政は腹心のジャファーに任された。しかし彼は邪な心を持っており反乱を起こす。まんまと権力を手に入れたジャファーは正統なペルシャ国王になるために、サルタンの姫との婚姻を画策する。
 その頃、旅の途中でペルシャに訪れた若者がいた。彼は姫と知り合い、やがて恋仲となる。しかしそれはジャファーにとっては障害以外の何物でもなかった。姫を王宮の最上階に幽閉し婚姻を迫るジャファー。だが姫は頑として受け入れなかった。
 業を煮やしたジャファーは、砂時計を設置。最後の一粒が流れ落ちるまでに態度を決めるよう、姫に強要する。
 一方、若者は地下牢に閉じ込められるが、見張りの隙を突いて牢から脱出。囚われの姫を救い出すため走り出したのだった。

特徴とシステム

  • サイドビューのアクションゲーム。様々なトラップの施された迷宮(全部13面。海外PC版では実質12ステージだが)を突破し、囚われの姫を救出に行く。
    • 動きは多彩で、走ったりジャンプしたりはもちろん、よじ登ったりぶら下がったりなどもできる。これらの動きを組み合わせて進んでいくのだ。
    • 迷宮には石の板が敷かれていて、これが動きの単位となっている。走ると一歩で二枚分進む。忍び足で一枚分。助走しないジャンプで二枚分飛べ、助走すると三枚分飛べるなど。この動きの単位はトラップを突破するタイミング取りの基準となる。助走をつけて落とし穴の二枚前でジャンプで三枚分飛び、そのまま一歩走って二枚分進み、ジャンプして三枚分飛ぶ、というような感じでタイミングを取っていくのだ。この動きがパズル要素を生み出している。
    • だからと言って、動きが必ず板の長さの単位に収まる訳ではなく、微妙なズレが出る事もある。調整しないでいい加減に動くと死に繋がることも。
  • 残機制ではなく制限時間制を取っている。制限時間内ならいくら死んでも構わないが、タイムリミットが訪れる前に全てのステージをクリアしなくてはならない(バージョンによっては途中セーブが可能)。
    • 死んだ場合は攻略中のステージの最初からに戻され、過ぎ去った時間は巻き戻らないため大幅なタイムロスになる。そのためじっくり迷宮を探索する余裕はない。攻略法をある程度頭に入れた上で、スムーズに進んでいかないとまず間に合わない。
    • また、本作の主人公は体力制ではあるが、他にも細かい動作制限がある。決してスーパーマンではない。
      • 例えば、通常の状態では二段下に落ちただけで1ダメージを受けてしまい、三段目以上の高さから落ちると一発死してしまう。壁にぶらさがりながら慎重に降りることで二段目まではノーダメージ、三段目までを1ダメージで降りることができるようになるが、四段以上の高さから落ちると、どうあがいても助からない。
      • 剣を抜いていない状態で敵の攻撃を受けてしまうと、どんなに体力があっても1発で殺されてしまう。
  • トラップを突破する事に主眼が置かれている。このためパズル要素が非常に色濃いゲームである。
    • トラップは深く空いた穴、仕掛けによって開閉する格子、乗ると落ちる板、床からの槍、ギロチンなどがある。一つ一つのトラップは単純なものだが、それが複数組み合わさる事で、攻略に工夫が必要になるものとなっている。ほとんどのトラップはいくら体力があろうとも、引っかかれば一発死。このため、慣れるまで非常によく死ぬ。
    • 数は少ないが、敵キャラとの戦闘もある。刀による剣劇で相手の体力をゼロにすれば勝ちとなる。だが必ずしも倒す必要はなく、攻略優先でなんとか逃げるという選択もある。もっとも簡単に逃げさせてくれるわけではないが。

評価点

  • ぬるぬる動くアクションゲーム。
    • 一歩キャラが動けば、その特徴はすぐ分かる。当時の他のアクションゲームと比較すると、動きの滑らかさが段違いであり、とてもリアルな動きを見せてくれる。主人公の勢い良く走る姿や着地した時のしゃがみポーズ、よじ登る時の力の入れ加減など、まさに生きているかのよう。
    • これは、実際のモデルとなる人物の動きを写真で撮影し、それをトレースして作画に活かす「ロトスコープ」という手法により、この動きが実現した。
      • この手法は古くはディズニーが初の長編アニメ作品「白雪姫」を制作する上で、キャラクターの動きに写実的なリアリティを取り入れドラマ性を高めるために初めて用いた手法としても知られている。
    • 最初に発売されたAppleII版は280×192というファミコン並みの解像度だが、にも関わらずこの生きているような動きが見事に表現されているのだ。
  • 数々のトラップを攻略する楽しさ。
    • 前述の通り、動きの単位がある程度決まっているのでパズル的に突破できる。どこで助走して、どのタイミングで飛んで…などなど。トラップに対しカチッとはまるような攻略法を見出していく楽しさがある。
    • クリアの要領が分かれば、今度はタイムアタックに挑戦。これがまた緊張感があって変わった楽しみができる。アイテム取得や戦闘すらタイム短縮の対象とし、ひたすらに速さを追い求めていくプレイは難しいが、バッチリ決まった時の快感は大きい。
  • やけにリアルな惨殺描写。
    • 本作の描写のもう一つの特徴。トラップに引っかかった時の様子が妙にリアル。ギロチンに真っ二つにされた体、槍に串刺しになった有様、高所からの墜落死…。どれも皆、痛そうでは済まない死に様。

問題点

  • 操作性が少々やっかい。「ボタンを押した瞬間にプレイヤーの命令通りに行動する」というようなものではなく、主人公の歩幅やジャンプに必要な助走距離、踏み切りのタイミングなど様々な要素を前もって把握することを前提とした、良くも悪くもリアル志向な操作性。この手のアクションゲームとしては類例がごく限られており、始めたばかりの人はまともに動かせるようになるまで多少練習が必要となる。
  • 基本的にそう多くはない種類のトラップの組み合わせが障害となるため、一見すると変わり映えがしない。やや単調さを感じる部分もある。
  • 一部機種では一定の状況になると処理落ちする。複数のトラップが同時に機能するような場所は仕方ないと思えるが、流石に単純に戦闘するだけで処理落ちはあんまりである。

総評

 一目で分かるその滑らかでリアルな動き。さらにパズル色の濃いゲーム性。それらを備えた本作はこれまでになかったアクションゲームだった。実際の人間のモーションをトレスしたその動きはまさに生きているかのよう。そして巧みなトラップはそのリアルな動きを十分際立たせる。ゲームとしても様々なトラップを潜り抜ける楽しさがあり、タイムアタックに挑戦する楽しみもある。
 AppleIIにて発売された本作は、やがて様々な機種へと移植され、続編も作られる事となる。

その後の展開

  • 人気作であったため、日本版も製作された。日本版では13ステージにラスボスが追加され、海外版のラスボスは中ボス扱いとなった。
    • PC98版は開発元のアルシスソフトウェアがAppleII版の2倍の解像度を最大限に生かしたグラフィックを表現し、開発者ジョーダン・メックナーが絶賛したことで知られている。
    • SFC、MCD、PCEにも移植。SFC版は練習4ステージ+本編全20ステージという、元の雰囲気を残しながらも大幅にステージ編成を強化したアレンジ版となっている。
      • MCD版はステージ数はSFC版よりも少な目だが、こちらの方はCD-ROMを活用したビジュアルシーンを追加し、元の雰囲気を残しながらもアニメデモを追加したアレンジ版となっている。開発元はゲームアーツ。
  • プリンス・オブ・ペルシャの発売から15年経った2004年にまさかの続編『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』が発売された*2。こちらは3Dアクションゲームに生まれ変わっており、サブタイトルにある通り「時間」に関するギミックが盛り込まれている。
    • さらなる続編に『~ケンシノココロ』『~二つの魂』も発売。『時間の砂』から連なる三部作構成になっている。

余談

  • XBOX360にて『プリンス・オブ・ペルシャ・クラシック』として、2007年配信された。描写自体は3Dながらも、ゲーム性は2Dとなっている。
  • 2010年に『プリンス・オブ・ペルシャ 時間の砂』を元にした映画が公開されている。ただ、内容は元のゲームのシナリオとはほとんど関係ない。