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ドラゴンボールZ 超武闘伝 - (2020/12/08 (火) 20:33:07) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンボールZ 超武闘伝

【どらごんぼーるぜっと すーぱーぶとうでん】

ジャンル 対戦格闘
対応機種 スーパーファミコン
メディア 16MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 トーセ (プログラム、サウンド)
D&D (デザインワーク)
発売日 1993年3月20日
定価 9,800円(税別)
判定 なし
ポイント ドラゴンボール初の格闘ゲーム
良くも悪くも荒削り
ドラゴンボールゲームリンク


概要

人気アニメ『ドラゴンボールZ』の対戦格闘ゲーム。
原作さながらのスピード感溢れるファイト、地上戦と空中戦の応酬、そして光弾の撃ち合いを格闘ゲームで再現した作品。
それまではRPGが多かったドラゴンボールのゲームだったが、本作を境にRPGではなく格闘ゲームが作られる事が多くなり、ドラゴンボールのゲームに大きな影響を与えた作品と言える。
ストーリー及び登場キャラクターは、マジュニア編からセルゲームまでをカバーしている。

特徴

  • ボタン一つで割り当てられたアクションの数々
    • Aボタンでエネルギー弾の発射、当時はコマンド必殺技に当てられる事の多い飛び道具をボタン一つで行える事は珍しかった。
    • Xボタンで舞空術で上空マップへ。既に上にいる場合は地上へ。高度を変えて敵のエネルギー弾を回避する事が出来るが、上空では下段ガードが不可能になるといったデメリットも発生する。
      • 互いに距離が近すぎる場合は舞空術で移動する事は出来ない。なのでエネルギー弾で牽制しつつ、積極的に距離を詰めて接近戦を挑む事が重要である。
    • L・Rで素早く左右にダッシュを行い、相手との距離を素早く離す(詰める)事が可能。
  • デュアルスクリーン
    • キャラ同士がある程度離れると、画面の真ん中に線が入り、画面が2分割される。これによって広大なフィールドを表現し、距離によってはデモ技が使用可能になる、
    • キャラがフィールドのどの辺りにいるかは画面上部のレーダーに表示されるが、ストーリーモードの人造人間の場合は気がないので表示されないといった原作再現ポイントも。
    • キャラクターの位置の他にエネルギー弾の位置もレーダーに表示されるため、画面外から放たれたエネルギー弾なども容易に対処が可能。
  • デモ必殺技
    • ある程度の距離が離れた所でコマンドを入れる事によって「かめはめ波」「魔貫光殺砲」といったデモ必殺技を放つ事が可能。
      防御側は必殺技が届くまでにコマンドを入れる事で「防御」「跳ね返す」「避ける」「かき消す」と言った防御手段を取ることが可能。
    • また、距離が遠いほどデモ技が届くまでの時間が長くなる。そのため、離れてすぎて打つと簡単に防御手段を取られてしまう事になる。
  • 気の表現
    • ライフゲージの他にパワーゲージがあり、光弾系の必殺技はパワーゲージを消費して使用する。
    • 本作ではパワーゲージが足りない場合は技を撃てない。パワーは時間経過で増加する他、敵の攻撃を受ける事で減り、逆にガードする事で溜まる。
    • 最大になると身体が光り、攻撃力が大幅に上がるが、一定時間経過後に大量のパワーを消耗する。説明書ではパワーゲージをキャラクターの「怒り」と表現しており、「怒りが爆発して一時的にパワーアップした」という状態になるだろうか。
    • また、エネルギー弾はパワーゲージを消費せずに放つ事が出来るが、多用しすぎると発射と同時に消えてしまい、息切れを起こして隙が出来てしまうというペナルティが存在する。
  • キャラクターのボイス
    • キャラクターはアニメ同様のボイスが当てられ、とにかくよく喋る。電源をつけた時から真っ暗な画面に「オッス!オラ悟空!いっちょやってみっか!」と非常にクリアなボイスが流れる。
      • 本作は非常にボイスに力が入れられており、悟空の「かめはめ波!」から始まりピッコロの「むぁかんくぉうさっぽぉぉう!!」、ベジータの「ファイナルフラッシュ!!」、セルの「ブルェェェーー!」、20号の「今だァァーーーッ」と声優の力演怪演が余す事なく再現されている。
      • ストーリー上でセルゲームでピッコロを使用して敗北した時に悟飯が「ピッコロさーーん!」と叫んだり、コンティニュー時の、18号「続きやんの?そうこなくっちゃ」といった印象的な使われ方をしている。
      • 当時のロムカセットは容量の関係でボイスデータの扱いが得意ではない為、こういった多数のボイスを用いるゲームは少ない。あっても叫び声や決め台詞程度が多かった。
  • メテオスマッシュ
    • 悟空のみが使用できる隠し技。敵を上空に蹴りあげて叩き落とし、エルボーで吹っ飛ばす、本作の演出をフルに使ったド派手な必殺技。これが好評となって後のシリーズも全員に同じような技が搭載され、「メテオ技」という言葉が生まれた。

モード

  • ストーリー
    • 原作通りの順番で次々とCPUと戦うモード。対戦の合間には文字のみで簡潔にストーリーが語られ、自分が操作するキャラを数人の中から選ぶ事が出来る。
      • 難易度がやさしい場合は「16号」を倒した時点で終了。高難易度にする事で「Pセル(完全体セル)」までストーリーを進めることが出来る。
      • システムは単純な勝ち抜きだが、ステージによってライフや攻撃力の補正が変化したり、フリーザ戦以降に悟空が超サイヤ人になる、といった原作再現も行われる。
      • 敗北するとそのキャラは使用できなくなり全員が敗北するとコンティニュー画面へ(コンティニュー回数はオプションで0にしたり、無限にすることができる)。
        + 難易度「きびしい」以上で原作通りの組み合わせで全ての戦闘に勝利すると…。 ファイナルバトルとして、ゴクウ、ゴハン、サタンの三人でPセルとの再戦を行うことになる。 ただし、サタンは一度目はあっという間に吹っ飛ばされ、二戦目は腹が痛くなって棄権するという原作通りの展開になり、以降は選べなくなる*1
  • 天下一武道会
    • 原作の天下一武道会さながらのトーナメント形式の対戦モード、最大8人まで参加可能。
      プレイヤーが足りない場合はCPUに担当してもらう事も可能。
  • 対戦
    • CPUあるいは2Pと対戦するモード。
      • 単純な対戦ではなく、ライフ、パワー、攻撃力の高さといったハンデを加える事が出来る。

評価点

  • ドラゴンボールらしさを対戦格闘で表現出来た事
    • ボタン一つでエネルギー弾、舞空術、デュアルスクリーンやデモ技といった後のシリーズの基となった独自のシステムや演出は本作で一通り完成されている。当時、流行していた『スト2』等の対戦格闘の模写ではなく、独自のシステムでドラゴンボールらしい格闘を表現する事に成功したといえる。
      • 舞空術を繰り返して追跡エネルギー弾からひたすら逃げ続けるだけでも、「らしさ」がにじみ出ている。
  • バトル中のオプションで各キャラの技表が見れると言った親切な設計
    • スローモーションといったお遊び的なオプションもあり、同キャラ対戦や、隠しキャラ、各キャラの隠し技といった裏技が非常に多く用意されている。
    • 後のシリーズでも何らかのお遊び要素を含むことが多くなり、裏ワザのコマンドも本作の物に近いものが採用されるなど影響を与えた。
  • ドラゴンボールらしい演出
    • ピッコロがデモ技の防御に失敗した際に、腕を再生するアクションが入ったり、20号にかめはめ波等のエネルギー波を撃っても吸収されて回復されるなど、随所にドラゴンボールらしい演出が入っている。
  • ストーリーの範囲が広くキャラクターも多め
    • 続編の2作ではストーリーの範囲が狭く、登場キャラクターも超サイヤ人に偏りがちになっているが
      本作はマジュニア戦からセルゲームまでの間の登場キャラが敵味方共にバランスよくチョイスされている。
      武闘伝の3作品で、超サイヤ人になる前の悟空やベジータを使用できるのは本作のみ。
      • また美形キャラで人気のある人造人間17号ではなく16号をチョイスしたというシブいキャラ選も見事。さらには原作再現でセルゲームでは味方として使用する事が出来るので設定が十二分に生かされている*2

問題点

  • 動きが全体的に固い。
    • パンチ、キック、ジャンプにそれぞれ硬直が多くスムーズな動きとは言いづらい。また、キー入力から反応までもかなりのウェイトがかかる*3
    • 必殺技のコマンドの入力受付がやたらとシビアで、操作に慣れないうちはろくに技を繰り出すことができない。
      • 特にデモ技で顕著。コマンド入力のタイミングに変なクセがあり、正しく入力したつもりでもエネルギー弾しか出なかったりする*4
    • ジャンプの軌道も不自然で斜め上に向かって浮かび上がる
    • とび蹴りを当てた時もそのまま相手が吹っ飛ぶだけでヒットした爽快感などは殆ど無い。
    • FC時代のカードバトルRPGでのアニメ演出に比べても、明らかにモッサリ。
  • 防御側優遇に伴うデモ技の不遇
    • デモ技を放っても防御手段によってあっさりと返されたりするため、撃った方がパワーを無駄に消費するだけの魅せ技になりがち。
      • 防御コマンドも簡単なものばかりなので、相手をフラフラにした状態で撃たなければまず使い物にならない。
      • 「避ける」「防御」と効果が似通ったものがあったり、キャラによっては実装されていない物もあり、まだまだ洗練されていない。
      • コマンド入力が成功すれば高確率かつノーダメージでデモ技を跳ね返すことができる「跳ね返す」は流石に壊れ性能と言わざるを得なく、次回作では削除され、「打ち返す」に置き換えられた*5
    • 18号、20号に至っては「上+A」という至極簡単なコマンドで「吸収」及び「バリア」でノーリスクで完全無効化(回復)されてしまう。
      • 原作再現の演出としては秀逸だが*6、接近戦の出来が良くないため、この2キャラと戦う時は必然的に接近戦のみとなり、退屈な展開になりがち。
      • また、それ以外のキャラも「左右+A」でノーダメージ、ノーコストで「かき消す」事が可能である為、やはり不遇である*7
    • また同じ画面内に相手がいる場合は使用できない上気の消費も大きいため、相手から逃げつつ気を溜めて…というチキンな戦法になりやすい。
    • デモ必殺技をぶっぱで撃つとハイリスク・ローリターンで使いづらく、気絶させるなどで対処法を奪ってから使うのがセオリー*8だというのはシリーズに共通した調整。ただ今作は防御側があまりにも有利すぎ、リスク覚悟でぶっ放す選択肢が事実上存在しない。
  • 一部のアクションが存在しない
    • 一般的な格ゲーにある「投げ」が存在せず、画面端に追い詰められると中々抜け出せない事も多い。
    • 「打撃」「防御」「投げ」の三すくみが存在しないため、がっちり防御を固められると、全然ダメージを与えられないばかりかパワーを溜めさせてしまう為、攻撃側が一方的に不利になってしまう。
    • パワーを自分で溜めるには空に飛んで下を押すといった裏ワザ的な事をしなければならない。その際のがに股で気張っているポーズが格好悪く、ドラゴンボールらしさが感じられない。
  • 狭いステージに面白みがない
    • 「武舞台」「天界」「セルゲーム」などの狭いステージでは互いが画面端に行かなければデモ技を撃つことが出来ず、広大なフィールドを動き回る楽しみがない。
    • 投げがない事による画面端のラッシュハメに遭いやすいのも難点。ストーリーモードの「セルゲーム」ではセルが画面端に追い詰めてから後述のパーフェクトアタックでひたすらハメてくれる。
    • 「天下一武道会」では強制的にステージが武舞台に固定されるため、この問題点が顕著。次回作では裏モードで広いステージで戦える天下一決定戦が用意された。
  • ボイスに力が入りすぎた為に違和感を感じる部分がある
    • 少し殴られただけで「ウギャアァァーーッ!!」と絶叫したり、16号の「デュワァー」「のわぁぁ」等、アニメと比べても違和感のある声もちらほら。
      • 18号に至っては文章にするのも不可能な悲鳴を上げる。
    • 「界王拳」や「元気玉」と言った一部のボイスは同キャラ対戦又はサウンドOFFのいずれか(条件はボイスによって違う)の状態でしか再生されない。
      • シチュエーションもデモ必殺技で勝った瞬間に「…やった!」と喜ぶフリーザ、ガードする度に「ウワウワウワ~」と唸る16号とバリエーションも豊か。
      • お遊び要素なのかもしれないが、裏技を使わないと同キャラ対戦が行えないためもったいない。
  • 対戦には向かないバランス
    • 一部の突進技をガードすると異様にライフが削られる。
      • Pセルのパーフェクトアタックが猛威をふるい、出せばほとんどの攻撃を打ち消し、ガードしようがゴリゴリとライフを削り、まともにヒットすればライフゲージをほぼ一本奪うというぶっ壊れた性能。
      • 故に、対人戦で多用するとリアルファイトになりやすかった。また、CPUのセルもこちらを画面端に追い詰めて平気でパーフェクトアタックでハメてくる為、強いというよりは汚さばかりが目立つ*9
      • ストーリーモードのラスボス相応の壊れ性能で、対戦で使うのはあくまでも裏技なので仕方のない面もあるにはある。ただし、対戦ツールとしてはどうしても同キャラ対戦の解放*10が必須で、開放しなければ天下一武道会で同じキャラばかりになってしまう等の難点もあり、キャラの人選的にも隠しキャラを解放して遊びたくなる*11ため、隠しキャラ利用が前提の対戦ツールとなってしまい、壊れ性能が目立ってしまう結果となってしまった。
    • 主人公の悟空の「メテオスマッシュ」もガード不能である為、起き上がりざまに放てば相手はなすすべもなく詰む。主人公なので意図的に強く設定したのかもしれないが、対戦ではバランスブレイカー。
  • キャラの絵が全体的に太っていて、同時期の格闘ゲームに比べると表示がやや小さい
    • 大きさに関しては上記の広いフィールドを表現するためかもしれないが、造形自体は…。
  • ベジータと超ベジータの技が同じ
    • 悟空は超サイヤ人になる事で元気玉が使えなくなる*12といった変化が見られるが、ベジータは超サイヤ人になっても技が変わらず、能力が上がっただけのわずかな変更にとどまっている。
      • サイヤ人編の時点で、「ファイナルフラッシュ」や「ビッグバンアタック」といった超サイヤ人の技を使って来るので違和感を感じるところ、ギャリック砲等、使用出来る技はあったはずだが…、
      • また、第二十三回天下一武道会(VSピッコロ)の時点で元気玉や界王拳が使えるといった違和感がある点も

総評

今までありそうで無かったドラゴンボールの「格闘ゲーム」として世に生まれた本作。アニメ同様のボイスや原作再現ともとれる小ネタなどの数々で一世を風靡した。 しかしあからさまにブッ壊れな技や戦法が数多く横行し、特に対人戦では禁止技やルールを多く持ち込まないとまともな戦いにならない程の壊滅寸前なバランスとなっており、各種UIについてもまだまだ粗く拙いなど、純然とした「格闘ゲーム」として見ると高品質とは言い難い水準な完成度なのが惜しまれる。
どちらかと言えば、色々なキャラクターがクロスオーバーしてハチャメチャに戦う様を楽しむ「お祭りゲーム」な雰囲気が強いだろうか。

しかし本作の存在は名作とされる次回作の基盤となり、本作独自の魅力があるのもまた事実。
バランスや操作性はあまり良くはないが決して遊べない程ではないので、もし機会があれば「超武闘伝」の原点に触れてみて頂きたい。


余談

  • 後に次回作である『ドラゴンボールZ 超武闘伝2』が発売された。
    • 本作の問題点の多くが改善されたばかりかよりゲームとして洗練され、ドラゴンボールらしさも増した結果、名作として申し分ない出来になった。
  • 隠しコマンドについて
    • 一応公式では正式な隠しコマンドの入力方法が存在するが、実はコントローラを適当にガチャガチャ動かしても入力が成功してしまう。
    • どうやら受付時間内にどのキーとボタンが押されたかのみで条件が判別されているようで、入力する順番は関係なかったりする。
  • 本作からゲームでも悟空、悟飯等の声を担当した野沢雅子氏は、2016年10月25日(『ドラゴンボール ゼノバース2』)までの23年218日をもって、 「ひとつのビデオゲームのキャラクターを最も長い期間演じた声優」 「ビデオゲームの声優として活動した最も長い期間」 の2項目でギネス世界記録に認定されている。