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ATHENA ~Awakening from the ordinary life~ - (2022/12/03 (土) 10:07:55) の編集履歴(バックアップ)


ATHENA ~Awakening from the ordinary life~

【あてな あうぇいくにんぐ ふろむ ざ おーでぃなりー らいふ】  

ジャンル サイキックアドベンチャーゲーム
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 3枚組
発売元 SNK
開発元 夢工房
ジャパンヴィステック
発売日 1999年3月11日
定価 7,140円(税5%込)
レーティング CERO:C(15歳以上対象)
コンテンツアイコン 暴力
配信 ゲームアーカイブス:2007年8月30日/617円
判定 クソゲー
ポイント やたらと薄い
超展開なストーリー
大味なゲームバランス


概要

アテナ』の続編『サイコソルジャー』から始まり、今や『ザ・キング・オブ・ファイターズ』を始めとするSNK作品に多数出演している人気キャラクター「麻宮アテナ」を主人公としたサイキックアドベンチャーゲーム。

各アテナ出演作とは関連性のないパラレルストーリーのオリジナル作品で、近未来を舞台に、突然超能力が目覚めてしまったアテナの心情・葛藤を中心に描かれている。

基本ルール

  • 3Dのマップを主人公アテナを操作して探索する。操作は『BIOHAZARD?』的なラジコン形式。戦闘はエマージェンシーモードと言うコマンドバトルで行う。
  • 本作では超能力を駆使して調査、戦闘を行う。超能力はタイミング良くボタンを押して発動する。
    • 使用すると成否に関わらず「EPS」と言うゲージが減少する。EPSが無くなると超能力が暴走してアテナは意識を失い、ゲームオーバー。EPSは食べ物などのアイテムで回復できる。
    • 戦闘では敵の攻撃を受けると自動的にEPSを消費してシールドで防ぐので、アテナ自身に体力ゲージは存在しない。EPSが一般的なHPとMPの両方を兼ねていると思えばいい。

問題点

  • ストーリーは説明不足&超展開ばかりで、プレイヤーがあまり理解できないまま勝手に進む。よく判らないまま主人公が覚醒し、よく判らないまま事件に巻き込まれ、そしてよく判らないまま敵が退場していき、最後の戦いへ…という有様である。冷静に読み解いたとしてもツッコミ所が非常に多い。
    • 超能力の覚醒で日常が崩壊していく女子高生の物語なのに、冒頭からバイオテクノロジーで蘇った恐竜と戦闘ロボットの戦いが繰り広げられるなど、些か違和感を禁じ得ない。近未来と考えれば無茶という訳でもないが、他のアテナ出演作とは著しく乖離した世界観となっている。
    • 超能力自体も都合のいいものであり、ピンチに陥れば超能力が覚醒して突破すると言う展開が続く。全体的にご都合主義。アテナの超能力が強大過ぎて、ほぼ全編「もう全部あいつ一人でいいんじゃないかな」状態である。
      • それだけの強大な力を望まず目覚めさせてしまったアテナの葛藤がテーマなのだろうが、その辺りは中盤で親友との関係がギクシャクするという程度にしか描かれない。
    • アテナの超能力はラスボス(ニューロコンピュータ)が恐れ、戦闘部隊を投入しても制圧できないほど強力なものであるのだが、それについては結局何も明かされない。ラストダンジョンで申し訳程度に情報が入るだけで、投げっぱなしのまま終わる。『サイコソルジャー』のように「先祖から受け継いだ」といった説明も無い。
      • 前半から登場するとあるキャラは、その力について思わせぶりな事ばかり語るが、結局その力の正体については何も知らないらしく、最期は「君の力には必ず意味がある」という無責任な言葉を残して投げっ放しで退場する。
      • この言葉やトゥルーエンディングの描写から、続編を意図していたと思われる。しかし続編は出る事は無く、投げっぱなしのまま終わってしまっているのが実情である。
    • 椎拳崇も登場する。しかし「アテナのナイト」を自称してストーカーのように事あるごとに駆け付けるものの、毎度のように役に立たず退場するという不憫な役回りである。
      • 終盤にアテナと同じ超能力の持ち主であることが判明し、覚醒のシーンも一応ある。ある勢力がこの事実を認識して二人を監視するエージェントを派遣していた…などの事実も明らかになるのだが、その割にはアテナばかり注目されており、拳崇の方は完全にスルーされていた事になる。上記の思わせぶりなキャラもアテナと同じ力を持つはずの拳崇については一言も触れない。
    • そもそもラスボスを倒さなければならない明確が理由が無い。
      • 強大な超能力を持つアテナを取り込む事で進化しようとしているが、それ以外は特に悪事らしい悪事もしていない。確かに街を支配しているが、だからと言って圧政を敷いている訳でもどこかに侵略している訳でもない。作中の事件はラスボスの手先が暴走して起こしたもので、ラスボス自体は何もしていない。
      • 放置しておけば将来的に良からぬ事になるという事かもしれないが、そう言った描写も薄い。アテナは狙われているので倒さなければ追われ続ける事になるのだろうが、それぐらいしか理由らしい理由が描かれない為、単にアテナが生き延びる為にラストバトルに向かうという構図に見えてしまう。
      • また、ラスボスを倒せるのはアテナだけだとしきりに言われるが、上述した通り拳崇にも同じ力がある事が既に判明していた訳で、これもツッコミ所に。結局、近未来でもみんな女子高生が好きなんですか…。
      • なお、ラスボスのいる地下研究所に向かうのは「特殊部隊がアテナを捕縛しようと銃撃していた際、友人がその巻き添えで撃たれてしまった為、怒りの感情を爆発させたアテナが無意識のうちに自身を転移させた」と言うものだが、友人が撃たれたのとラスボスは特に関係が無く、友人が撃たれたからと言ってそこに向かう理由など全く無い
  • ムービー以外のイベントシーンでは音声が流れないにも拘らず、メッセージ送りが自動。そしてそのスピードも早い。
    • そしてムービーに字幕はない。専門用語が大量に飛び交うシーンがあるにも拘らず、である。この二点がただでさえ分かり辛い物語を余計分かり辛くしている。
  • 戦闘はコマンド形式でアクション要素はない。かと言って戦略性があるかと言うとゲームバランス自体が大味なのでそれも望めず、結局エマージェンシーモードは攻撃と回復アイテム使用を繰り返すただの作業に。
    • そもそも戦闘自体が数えるほどしか無く、このゲームが何をどう楽しむゲームとして意図されているのか判り辛い。OPで派手に登場した恐竜や戦闘ロボットも、こう言ったゲーム面の面白さに貢献しているとは言い難い*1
    • 上述した通り、都合のいい超能力の発動シーンが多く、指定された通りの超能力を使うだけで終わるイベント的な戦闘も少なくない。ストーリーのご都合主義がゲーム性の薄さにも繋がっている。
    • 第三章の電車内にて操られた人間との戦いになるのだが、この時の操られた人間に攻撃されてもサイコシールドが発動しない。ではダメージを受けるのかというと、超能力を使ったわけではないのでEPSゲージは減らない。つまりノーダメージであり、いくら喰らってもやられない訳である。シールドを張らない方がダメージにならないという変な事に*2
      • また、ここでは操られた人間をショックウェーブで撃退するのだが、第2章では恐竜をバラバラにするほど威力があったショックウェーブが人間を無傷で気絶させる程度になっていたりと、ここもご都合主義的。威力を制御可能になったと強引に解釈できない事もないが、都合の良さは否めない。
      • そもそも戦闘でのゲームオーバーもラスボスを除き、「敵の攻撃を受けて力尽きる」ではなく、あくまで「自身の力の暴走に耐えられず倒れる」なので敵が全然脅威に思えず、逆に上述したような主人公のチートぶりが目立つことに*3
    • アクション系のゲーム出身であり、この当時、既にKOFシリーズで活躍していたアテナを主役とした作品なのにアクション要素を廃した作りとは、一体どの層を狙ったのだろうか?。
  • 基本、謎解きがメインだが、やたらお使い要素が多くあちこちをたらい回しにされやすく、その上マップが無駄に広く入り組んでいるのでこちらも作業化しがち。ストーリーとは対照的に探索パートは都合良く進ませてくれない。
    • それも鍵探しや先に進む為の情報集めなど、退屈なフラグ立て作業ばかりで面白味が無い。プレイ時間の大半がこのフラグ立てであり、プレイ時間の水増しを露骨に感じさせる。
      • テレパシーやサイコメトリーなど超能力を活かした謎解きもあるのだが、大半は歩き回るばかりのお遣いである。
    • 特に酷いのが第二章のディノアクアリウムにある予備電源の管理室に入るパート。
      • 電源が落ちて扉が開かない為、電源パネルを操作しにいく→電源を入れるとパスワードを要求される為、知っている職員を探しに行く→パスワードを打ち込むとカードキーを要求される為、探しに行く→カードキーのある保管庫には鍵が掛かっている為、その鍵を取りに行く→保管庫の鍵が入っている警備ボックスには暗証番号が必要なので職員からテレパシーで聞き出す→警備ボックスから保管庫の鍵を取り出し、保管庫に入ってカードキーを取る→やっと扉が開く。…扉一つ開けるだけでこの手間である。
      • あまりの面倒さにアテナ自身も「いい加減にして!」と憤慨するシーンがある程。分かっているならもっとサクサク進ませて欲しいものだが…。
    • 第五章も相当に酷い。前半は友人を探して学校中を走り回り、後半は爆弾を解除する為のアイテムを探して学校中を走り回る。アテナが走る姿を見るだけのゲームかと思えるほど。
      • しかも友人探しにはタイムリミットがあり、失敗するとバッドエンドフラグが立ってしまう*4
      • このイベントの後にアテナが「もう嫌だよ…」と弱音を吐くシーンがあるが、同じ気持ちになったプレイヤーも多い事だろう。
  • ムービーで容量を食っているためCD-ROM3枚組とは到底思えないボリューム。
    • オープニングのムービーを見て少し主人公を操作したらDISC1は終了である。以降はさすがにそこまでではないにしてもやはり短く、ストーリーの超展開さにも拍車を掛けている。
    • 尤も、この調子でボリュームがあればそれはそれで苦痛と思われるが。

評価点

  • 容量を食っているだけあり、ムービーの出来はなかなか。
    • ゲームオーバームービーもアテナの服装で差分があったり、超能力の暴走で倒れる以外にも列車が事故を起こす、ラスボスに取り込まれる、友人が恐竜に喰われるなどの別バージョンも用意されている。
  • BIOHAZARD 3?』に先駆けてクイックターンが採用されている。残念ながら戦闘にアクション要素が無いので大したメリットにはならないのだが…。

総評

人気キャラである麻宮アテナを主人公に据え、超能力を駆使して謎解きや戦闘を行うアクションアドベンチャー…という着眼点自体は悪くなかったが、ゲームとしてはお遣いばかりで至極単調な上に戦闘も大味で退屈。ストーリーを楽しむにしても超展開なシナリオと理解を阻害する表示形式で、それも難しい。
麻宮アテナのファンであってもこのゲームを楽しむには相当な愛が必要だろう。人気キャラクターのスピンオフ作品だけに、シナリオやシステム周りの作りこみが浅すぎるのが惜しいところである。


余談

  • 後にゲーム版を基にしたノベライズ「アテナ~選ばれし少女~」がファミ通文庫より上下巻でリリースされている。
  • 平成ウルトラマンシリーズの常連出演で有名な女優の石橋けいが主演した実写ドラマ版『ATHENA』の脚本は、本作のシナリオを土台にしているが、拳崇が登場しないなどの変更点がある。