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SIMPLE1500シリーズ Vol.90 THE 戦車
【しんぷるせんごひゃくしりーず ぼりゅーむきゅうじゅう ざ せんしゃ】
ジャンル
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シューティング
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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D3パブリッシャー
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開発元
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ハイウェイスター
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発売日
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2002年3月28日
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定価
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1,500円(税別)
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配信
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ゲームアーカイブス 2010年7月28日/300円
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判定
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クソゲー
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ポイント
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中途半端なリアル
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SIMPLE1500シリーズリンク
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概要
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SIMPLE1500シリーズ末期のシューティングゲーム。
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戦車を操縦して相手の戦車を撃破するというシンプルな内容。
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登場する戦車は二次大戦後期のドイツ、ソ連、アメリカ、イギリス戦車。
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ただし舞台はどういう訳か火星。
ゲーム内容
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戦車同士の撃ちあい
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左スティックで車体を、右スティックで砲塔を操作する。
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砲弾の発射はR1とR2を使用する。
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戦車には装甲が前後左右に設定されており、それぞれ耐久力が設定されている。装甲が破壊された面から攻撃を受けると撃破される。
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本作の戦車は光学兵器を主砲にしており、弱~強の撃ち分けが可能。強いほどチャージ時間は長くなるので、強連打では手数が減って不利になってしまう。
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画面は二画面構成
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上三分の一を情報画面として使い、残りの下部は戦車の後方視点になっている。
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情報画面はさらに三分割され、左から「周囲のミニマップ」「主砲の照準画面」「各方向の装甲板」を示している。
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PS2版センシャには存在しない要素。
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3つのモード
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STORY:各ステージをクリアしていくモード、1人用。
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難度はビギナーとエキスパートのみ。ビギナーは簡単ではあるが、敵側の戦車を手に入れることが出来ない。
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FREE:STORYモードでクリアしたステージをプレイするモード、2人プレイ可能。
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VS:2人対戦モード。
問題点
中途半端なリアルさ
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装甲は正面が一番強く戦車らしさがあるのだが、ダメージ制のため正面を向けて戦っているとだんだん耐久力が落ちやがて側面以下となってしまう。そのため次は側面を向けて戦い、その次は後面を向けるという具合の戦いとなる。結局リアルさが中途半端なため、妙な戦いをしないといけなくなっている。
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現代の車両であれば複合装甲のセラミックタイルが破損して使い物にならなくなるということは起こるが…。
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ヤークトパンターは前面装甲がなくなった時点で、次の戦車に遭遇するとほぼ負け確定である(先に強力な攻撃を浴びせても、使えるころの敵は倒せない場合がある為)。装甲を最大限にするより、一個前の戦車であるティガーIの主砲の威力を上げたほうが良いかもしれない。
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挙動は戦車らしいが操縦自体は自動車と同じで、戦車のラジコン等でよくある左右の履帯ごとの制御ではない。しかも操作性が悪い。このため戦車のように自在には動けない。特に信地旋回ができないのが痛い。方向転換は自動車と同じく切り替えすしかない。結果、動作が大きくなるため、障害物に隠れていても姿をさらすことになる。また上記の様に、ダメージ状況によって相手に向ける方向を変えないといけないこのゲーム。これも自動車操作のためやりにくい。
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他のゲームでもよくあることだが、体当たりをすると止まる、川には落ちないように止まる(見えない壁がある)、移動できない森(壁)などでも止まる。ぶつけられた方も、横転などはしない。また、砲身は戦車や壁などを貫通する。当時としては普通だが…。
意味不明な設定
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舞台は火星での物語。地球軍と火星軍の戦いということになっている。
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しかし、パッケージ裏には「かつての名戦車10台を収録。」とあり、IV号戦車やV号戦車などが登場する。
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しかもマップの景色も、地球にしか見えない。というか、ボカージュがあったりと二次大戦中のヨーロッパ。
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このどう見てもモデルが明らかなのに架空と言い張る潔さ(?)は、同じハイウェイスター開発の『THE 飛行機』でも繰り返している。
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おそらくはドイツ軍を操作できることに苦情を寄せる人や、連合軍(そちらをプレイヤー側にしても)に対してよくない印象を持っている左寄りの人に配慮したものと思われる。
その他
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対戦車地雷の仕様
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どんな戦車を使っていても(装甲を最大限にする装備をしても)一発でアウトになってしまう。しかし、
プレイヤーにしか反応しない
。おそらくコンピュータが避けるようなAIを搭載できなかったためと思われる。
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理不尽な威力だけならよくある話だが、どういうわけか丸見えを通り越して埋まってすらいない。戦車1台分くらいの大きな四角いタイルのような外見をしている。地雷ってなんだっけ……?
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そのせいで視界に入っているにもかかわらず、地雷だと判別できないまま、逆に踏み抜くということも起こってしまう。
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一応、初出のステージの説明で「地雷がある」とは教えてくれるがそれっきり。
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増援の出現位置がおかしい
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戦車なのにマップの端からではなく、マップ中央などにいきなりワープして出現する。出現場所に一定のルールなどなく、突然背後に現れたなんて事も珍しくない。
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マップが狭い
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動き回っていると、すぐにマップ端に到達してしまう。敵と接近戦をしている時など、マップ端に当たって停止してしまい連打を浴びるなんて事もある。
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対戦モードのカメラ
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本作は画面分割による2P対戦を搭載しているが、
対戦モードでは砲塔視点がない(カメラの向きが車体前方固定)
。その為、砲塔を回さずに突撃した方が強いということになる。
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しかもゲーム内で唯一の駆逐戦車は主砲も強く、また前面装甲においては最強クラスのため、このモード向きである。
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そのほかシステム面の問題点
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セーブとロードがタイトル画面からしかできない。
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カラーリングを変更しても、その場でプレビューされない。
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全体マップが解像度の低すぎるドット絵な上に、敵の位置は表示されず自分がどこにいるかしかわからない。
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一応ミニマップはあるのだが、本当に目視出来る範囲程度しかわからない。背後や側面からの攻撃に警戒する分には使えなくも無いが…。
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PSのゲームではありがちだが、処理欠けも多い。
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主に砲塔カメラには、
壁や茂みの向こうにいる敵戦車が先に表示されたりする
。そのため、敵を警戒して進むなどの必要性が低く、緊張感がない。常に全速力で移動することになる。
評価点
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カスタマイズ機能
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装甲アップや、攻撃力アップなど、出撃前に様々なカスタマイズが可能。装甲アップなどは、どこの装甲強くするかある程度自由に選べる。
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リアルさを意識した一部の仕様
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装甲の耐久力が各部分で違い、前面が最高で、側面、後面と薄くなっているのは戦車らしい。
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戦車らしい重い動きをする。動かすたびに画面が激しく上下に揺れるのも、二次大戦中の戦車らしいもの。
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カラーリング変更機能が最初から使える
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多くのゲームで隠し要素になりがちな機能が最初から使用できる。
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遠距離戦ではそこそこ遊べる
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敵との距離が近いほど、数々の問題点が露呈しやすいが、逆に距離が遠いとそうでもなく戦車戦をそれなりに楽しめる。
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もっともマップが狭い上、弱い戦車は射程も短いので近距離戦になりやすいのだが。
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履帯が回転する(※厳密にはテクスチャがアニメーションする)がある。当時は珍しい方だったはず。ちゃんと、戦車の速度に合わせて速くなったり、バックでは逆転する。
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PSはもちろん、PS2のころでさえ、履帯が回転するというのは高いゲーム開発技術力が必要と思われる。
一例を挙げると、PS2世代かつ世界で一番売れたゲームであるGrand Theft Auto: San Andreasや、他のGTAでさえ、戦車は装輪車両となっている。GTAシリーズで装軌車両が登場するのは実質的にPS4/XBOXone相当であるGrand Theft Auto Vから。
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一応、PS2のランナバウト3 ネオエイジにはこれと同じようなアニメーションする履帯のついた戦車が存在する。ただし、こちらに比べてかなりカクついている。その他では、バトルフィールドシリーズなどは早期からより正確な履帯が実装されていた。
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2人協力プレイがある
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まるで最近のオンラインFPSのように、砲手と運転を分担できるモードがある。
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厳密には戦車の操縦には戦車長、運転手、装填手、無線手などの分担があるが、最新のゲームでも1人で操作するか、FPSなどでは戦車を運転する人が砲撃する(同乗者は機銃などの副武装を操作)ものが多いため、珍しいと言える。
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尤も、このゲームでは体当たりは無効(双方ノーダメージ、横転なども無し)なので運転手は何も攻撃ができないということになるのだが…。
総評
中途半端にリアルを意識したために、どっちつかずのゲームとなってしまった。ダメージ制の装甲や自動車式操縦は、せっかく組み込んだリアルさを削ぐものだ。しかも、双方が悪い意味でかみ合ってない。一方で、シューティングというには挙動が重すぎる。さらに無秩序にワープしてくる増援や狭いマップなど、他にも問題が見られる。
ただ本作がSIMPLEシリーズある事を考えると、それなりに遊べるゲームではある。
当時の技術としては頑張っていた方だろう。
余談
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今作を開発したハイウェイスターはこの直後にも上記の『THE 飛行機』というクソゲーを送り出している。
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また、開発は違うが、SIMPLE2000にも『THE 戦車』が登場した。
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おそらく知名度でいえばこちらの方が上。やはりリアルな戦車戦とは程遠いクソゲーとなっている。