ランナバウト3 ネオエイジ
【らんなばうとすりー ねおえいじ】
ジャンル
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ドライブアクション
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対応機種
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プレイステーション2
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売元
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初版:イースリースタッフ(ハピネット) SIMPLE2000版:D3パブリッシャー
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開発元
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クライマックス、グラフィックリサーチ
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発売日
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2002年5月23日
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定価
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6,800円(税別)
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廉価版
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SIMPLE2000シリーズ アルティメット Vol.9 爆走!マンハッタン RUNABOUT3 neoAGE 2003年8月14日/2,000円(税別)
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判定
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良作
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バカゲー
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ポイント
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『イヤッホォォォゥ!』 マンハッタンをぶち壊せ 物理法則完全無視のカオスドライブアクション 過去作の良さを取り込むもステージ数は減少 廉価版が何故かSIMPLE2000シリーズとして登場
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SIMPLE2000シリーズ
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ランナバウトシリーズ 1 / 2 / スーパー / 3 ネオエイジ/ドライブ:インポッシブル
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概要
一部の層から絶大な支持を受け、PS屈指の隠れた名バカゲーとして評価されたランナバウトシリーズの一作。
今回はプラットフォームをPS2に移し、廉価版のサブタイトルが表すようにニューヨークのマンハッタンを舞台にしている。
企画制作はクライマックス、メイン開発はグラフィックリサーチと『ランナバウト2』と同じ組み合わせとなっている。
ちなみにゲーム自体のノリや全編英語な事からよく洋ゲーと間違われるが、実際には開発元のクライマックスとグラフィックリサーチは日本の会社である。
エンディングでマンハッタンを現地取材する様子が確認できる。
特徴・評価点
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ランナバウトシリーズ共通のシステムとして、「車(?)を操り、制限時間内に目的を達成する」というものがある。
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そしてそれ以外にやるべきことは一切ない。制限時間内ならひたすら目的達成を目指そうが、寄り道しまくろうがオールOK。
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これがこのゲーム最大の特徴なのだが、街に存在するオブジェクトは、どんな物だろうがぶちこわせるというものがある。
さすがに建物は無理だが、小はゴミ箱や信号機から大は大型バスや電車に至るまで、大抵の物は吹っ飛ばせる。
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というか、ほとんどのプレイヤーは目的達成そっちのけでいかにマンハッタンの街並みをぶちこわすかという行為に手を染め始める。
このあたり『グランドセフトオートシリーズ』に似ていると言われることがあるが、本作は人間には絶対当たらない(直前で必ず回避する)という手法で驚異の全年齢対象を実現している。
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破壊できる物品にはそれぞれ価値が決められており、画面右下には被害総額というトンデモない項目がある。
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普通にミッションをクリアすれば20万、30万ドル超えは当たり前、下手すれば100万ドルも簡単に出る。
そしていくら損害が出ようがゲーム進行には一切関わりがない。
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破壊した物品リストはオプションから閲覧できる。その中には見つけるのが難しいレア物品もあるので、コレクションしていく楽しみもある。
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制限時間などがなく耐久力無限のフリーランモードもあるので、思う存分ステージを探索できる。
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この尋常ではない破壊行為を後押しするのが、自車の異常なスペック。
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本作では様々な車(?)を選択してミッションに臨むのだが、どれもこれもすさまじい高性能を誇る。
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単なるバイクですら、大型トラックに激突したらトラックの方がぶっ飛ぶという物理の法則を真っ向から無視する超性能。時速も軽く200キロを超える。
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選択できるのは車だけではない。というかまともな車の方が少ない。以下登場する車種(一部)の紹介
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パトカー、タクシー、消防車…まだ常識の範疇。
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戦車、F1カー…公道を走る物ではないはずだが…。
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モーターボート、からくり人形…もはやなぜここにいるのかさえ不明である。
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ちなみにモーターボートというのは「トレーラーにモーターボートが乗せられている~」などというものではなく、正真正銘単なるモーターボートである。
それがスクリューを回転させて陸の上をひた走るのである。シュールの極み。なお、水場に落下すると他の車同様即ゲームオーバーである。
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からくり人形というのはよくある茶運び人形。それが時速140キロ越えでマンハッタンを爆走するのである。
無駄に中身も作りこまれている
ちなみに
自爆
機能付き。条件を満たすと今度はファンネルを装備する。起動すると
宙に浮いた4つの茶碗が自動で周囲のオブジェクトをロック、全自動でお茶を発射し周囲を破壊しつくす
。
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一応フォローしておくと、まともな車もちゃんとある。上に挙げた連中はいずれも癖が強いので、こういったまともな車も重要である。
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各車は細かいチューンナップが可能であり、自分の好みやミッションの目的に合わせた改造が可能である。
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ステージで失敗するなどして自車を壊すとなんと
代車が支給
される。
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選択できるミッションは様々。目標物を回収してゴール地点まで行くというオーソドックスな物の他、ターゲットを尾行して質問に答える、彼女とのデートで彼女に振られないように走るなどがある。
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ほとんどのミッションで使える車に一切制限はない(一部車種指定のミッションもある)。要人の尾行に戦車を使ってみたり、彼女のデートにモーターボートで行ってみたりミスマッチな選択をしても全く問題はない。
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また、例えばデートのミッションでバイクを使った場合に、後ろに彼女が乗る、などの細かい点までこだわられている。
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各ミッションごとにボーナスチップというボーナスが設定されており、特定の条件を満たすごとに新車が解放されたり、車のカラーリングや新機能が追加される。
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この内容も様々であり、100万ドル以上の破壊を目指す物や、逆にゼロドル、つまり何も壊さずにクリアすることが要求されたりする。もちろんタイムアタックなどもある。
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追加される機能にはタクシーの料金メーターやパトカーのサイレンといった意味不明な物や、戦車の主砲(初期段階ではマシンガンしか使えない)など強力なものもある。
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操作性は旧作のリアリティ重視路線から操作性特化型に。初心者でも非常に簡単に操作できる。
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基本的には「×がアクセル、□がブレーキ、△がバック」だけ覚えておけばほとんどのミッションは問題なくクリアできる。マニュアル操作もあるが、オートマで十分なのでロマン以外の意味であえて選ぶ必要性は薄い。
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演出も爽快感があって非常に気持ちいい。
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随所にジャンプ台が設置されており、トップスピードで突っ込むことで100メートル以上のロングジャンプが出来る。「イャッホォォォー!」という叫び声も相まって異常にスッキリする。
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機密文書を受け取って敵に倒されないように届けるミッションでは、機密文書を受け取った瞬間ハリウッド映画さながらに敵のトラックが荷物をぶち破って出現。緊迫感あふれるカーチェイスになる。
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BGMはザ・サーフコースターズによるアメリカンテイストにあふれた非常にノリのいい良曲ばかり。
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ステージをクリアしても失敗してもリプレイを見ることが出来る。アングルが多彩に変わるので、映画のような迫力がありこれも非常に面白い。
問題点
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ボリュームが不足気味。
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パッケージ裏には「合計ミッション数は30」とあるが実際には「10ミッションが3難易度」で水増しに近い。
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前作まではステージが大幅に増量されていたのだが、本作ではむしろ減ってしまった形となった。
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確かに物によっては難易度の違いによりかなり変わってくるが、「辻車」のように難易度を変えてもほとんど変わらないものと「強奪」のように大きく変わる物の落差が激しい。
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走れるのはマンハッタンだけであり、バリエーションに欠けるのも問題。
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これまでのシリーズはそもそも走る土地が違ったり(1なら中華街、シーサイドなど…)していたが、本作ではマンハッタン島から出ることはなく、バリエーションに乏しい。
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一応ステージごとに走れる範囲とオブジェクトの配置は異なるので見た目の印象は結構異なるが…。
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全体的に長丁場のミッションが多く、気軽にやるにはあまり向いていない。
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シリーズ共通の特徴として「目標物を破壊したり自車の耐久力がゼロにならない限り、ミッション失敗条件を満たしてもそのままミッションが続く」というものがある。
ゼロドル破壊が成功条件のミッションで物を壊してしまってもそのまま続いてしまうので、ややこしい。知っていてもいちいちスタートメニューからやり直す必要があるので若干煩わしい。
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制限時間が結構シビアなため、足の遅い車はミッションクリアに向いていない。
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基本的に小回りの利くバイクか、足の速いスポーツカー連中、操作に自信があるなら400キロ以上出るF1あたりが非常に強い一方で戦車やショベルカーはネタ以外での使い道が少なく、不遇である。
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ちなみにモーターボートだが、なぜか普通に200キロ以上出るため、若干癖があることを除けば意外に使いやすかったりする。
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一応、戦車でも最終ミッションのSPEC-Rはクリア可能。ミッションのクリア条件の一つである「ドリフトしながらオブジェクトを破壊してポイントを稼ぐ」の達成が意外に簡単だったりする。
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実は、上述の「強奪」ミッションでは、敵車を機銃で撃てばものすごい速さでクリア目標が達成できるので、戦車が全く役に立たないというわけではない。ただし、最高速度の関係で制限時間の方が厳しいので、戦車をチューンナップで最高速重視のカスタマイズにしておきたいところ。視界内に収めさえすれば他の車種よりも目標達成が容易なのは強み。
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できれば、前述の「辻車」のように制限時間の関係ないミッションを多めに盛り込んでくれれば、ネタ車の活躍できる局面も多かっただろう。
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PS2にしてはグラフィックの質がやや悪い。
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どう贔屓目に見てもPS後期の「頑張った」グラフィック程度でしかなかった。初代ではスペック以上に奮起していたのだが…。
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テンポがやや悪い。
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ミッションクリア時にリプレイが再生されるのだが、毎回強制的に再生されるため煩わしく、ロードも長め。
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また、使用中の車やミッションによっては、酷い時はFPSが10程度に処理落ちする事もあり非常にもっさりしてしまう場面がある。
総評
PS2のスペックを存分に活かしきった爽快感あふれるバカゲー。残念ながらあまり有名ではないが、プレイすれば一瞬で理解できるそのノリに引きずり込まれることは間違いない。
やりこみ要素も地味に多く、SIMPLE2000シリーズ化していることから入手も容易であり、シリーズ初心者にもオススメできる作品になっている。
最終更新:2024年07月01日 15:00