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VA-11 Hall-A - (2023/06/30 (金) 10:07:37) の編集履歴(バックアップ)


VA-11 Hall-A

【ゔぁるはら】

ジャンル サイバーパンクバーテンダーアクション


対応機種 Windows
Macintosh
Linux(全てSteam・PLAYISM)
プレイステーション・ヴィータ
プレイステーション4
Nintendo Switch
発売元 Ysbryd Games
PLAYISM*1
開発元 Sukeban Games
発売日 【Steam】2016年6月21日*2
【PLAYISM/PSV】2017年11月22日*3
【PS4/Switch】2019年5月30日
定価 ダウンロード版
【Win】1,500円(税8%込)
【PSV】2,000円(税8%込)
【PS4/Switch】2,000円(税別)
パッケージ版
【PSV】3,219円(税8%込)
【PS4/Switch】3,480円(税別)
レーティング CERO:D(17才以上対象)
判定 良作
ポイント レトロPC風のアドベンチャー
大人向けのいかがわしい雰囲気満載


概要

ベネズエラのインディーゲームデベロッパー「Sukeban Games」が手掛けたゲーム。
ジャンルに「バーテンダーアクション」とあるが、アクション要素はほぼ無しであり実質アドベンチャーゲームである。
ディストピアと化したサイバーパンク世界を舞台に、プレイヤーは未来都市グリッチシティのバー「VA-11 Hall-A (ヴァルハラ)」のバーテンダーであるジルとなり、バーへ訪れる客に様々なカクテルを振舞っていく。


特徴・評価点

  • ゲームは主に客との会話で進行するが、ストーリーは客に提供するカクテルにより分岐していく。
    • 基本的には客の注文に合わせて材料からレシピ通りにカクテルを作り提供するが、必ずしも注文通りに作る必要はない。
      • ただし、振り込まれる給料には来店した客のカクテルを全て注文通りに提供する事でボーナスが発生する。
      • また、客の注文もそのままカクテル名を言う事もあれば曖昧な形で注文する事も多く、一種の謎解きにもなっている。
    • なお、カクテル作りに失敗しても特にペナルティは無く何度でもやり直しが可能。あくまでカクテル提供の結果で成否が判断される。
    • 隠しカクテルも存在する。
    • 日が変わるごとに所持金から家賃が引かれていく。足りなくなるとゲームオーバーになるため、出来るだけ正確に注文通りのカクテルを提供する必要がある。
  • 良質なグラフィックとBGMがサイバーパンクらしさ溢れる退廃的な世界観を非常に良く表している。
    • グラフィックはPC-98時代のアドベンチャーを彷彿とさせる色数の少ないドット絵となっている。
    • BGMは全体的に電子音によるレトロかつゆったりとした曲調となっており、またメイン進行となる客との会話ではBGMをジュークボックスという形で決まった順番やランダムで流す事が出来る。
    • 客との会話も舞台裏で起きている事件について話題になる事が多い。
  • キャラクターたちは誰も個性豊か。
    • 歌手や編集者といった様々な職に就いた人物だけでなく、サイバーパンクという事も有り身体の一部をサイボーグ化した客やアンドロイド、果ては喋る犬に脳みそなど非常に多彩な客が来店し、見ていて飽きが来ない。
    • 会話の内容も日々の仕事や後悔している過去の出来事などを話していき、人間味を感じられるなど感情移入しやすい。
      + 主なキャラ一覧
      • ジル・スティングレイ
        • 主人公の女性バーテンダー。喫煙者であり酒のボトル集めが趣味。別れた恋人の事を今でも引きずりながら日々を過ごしている。パッケージに描かれている人物は彼女。
        • なお、バイセクシャル(両性愛者)でもあり昔の恋人は女性。バーのオーナーであるデイナにも恋心を抱いている。
      • デイナ・ゼイン
        • 「VA-11 Hall-A」の女性オーナー。片腕がサイボーグ化されており、プロレスラーを始め、非常に多彩な前職を持つ。
      • ギリアン・プリスキン
        • 通称ギル。同僚である男性バーテンダー。過去が謎に包まれている。
      • アルマ
        • ハッキングで生計を立てる巨乳美女ハッカー。家族思いだが姉との関係に悩んでいる。
      • ドノヴァン
        • ニュースサイトの編集長でスキンヘッドが特徴の頑固者。
      • ドロシー・ヘイズ
        • 少女型リリム(アンドロイド)で見た目は可愛らしく幼いが、職業は男でも女でも相手をする事。底抜けに明るく感情表現も豊か。要はセクサロイドである。
      • すとりーみんぐチャン
        • 365日24時間中、自分の生活を生配信しているお調子者の動画投稿者で登場する度にニコニコ動画の如く視聴者のコメントが流れ出る。
      • テイラー
        • ガラス容器に入った脳髄。どうやって歩いたり飲食しているのかは謎
      • セイ
        • 街の治安を守るホワイトナイト(警官)の女性。
      • ステラ・星井
        • セイの親友であるキャットブーマ*4の女性で猫耳と大きな縦ロールが特徴。
  • 出勤前には自宅でWebニュースの閲覧やサウンドテスト、自室のインテリアの購入などが出来る。
    • 閲覧できるニュースは種類が多く、サイトもWeb新聞のニュースや5chの匿名掲示板風など幅広い。人気歌手のブログまである。
    • なお、ニュースの内容は客との会話で話題に上がる事が多いため、閲覧しておけばより会話を楽しむ事が出来る。
    • 条件を満たせば酒のボトルも購入できる。提供される場面は少ないが、特定のエンディングに行くためには不可欠。
    • 日にちが変わるたびにジルが欲しがっているインテリアが表示され、それを買う事で仕事に集中でき客の注文を常に確認できる。
      • なお、集中できてない状態だとカクテル制作時にヒントではなく「ブラが擦れて痒い」などのボヤキが表示される。
  • 章の合間にはジルとオーナーであるデイナなど他のキャラとの会話やミニゲームが挟まれる。
  • 小ネタが随所に盛り込まれており、内容に日本のアニメやゲームのパロディも多い。

賛否両論点

  • 会話にきわどい内容が多く、一部キャラクターのアクも強い。
    • 全体的に性表現が色濃く描かれており、単語も伏字無しで出るなど直接的な下ネタが挟まれる事も珍しくない。
    • 同性愛者も多く、読み進めていく度に本当にCERO:D(17歳以上対象)なのかと思わせてしまう。
    • 流石に一枚絵にそのような描写は見られていない。あくまでテキストでの猥談がメインではある。絵にもあったら17歳以上じゃ済まなくなる。
    • そもそも主人公からしてバイセクシャルの女性である。

問題点

  • 客の出す注文に解りづらい物がある。カクテルの色や別名などはまだいい方で、ただ数字だけを言ってくるパターン*5も。
    • 注文を多少間違えてもすぐにゲームオーバーになるわけでもなく話は続くが、特定の追加エンディングを見るためには客の要求を正確に満たす事も必要になる。客の好みや曖昧な注文に応えるカクテルを作ることもバーテンダーの腕前であるため、バーテンダーを題材としたこのゲームにおけるゲーム性の一つであるとも言える。
  • セーブが特定の場面でしか出来ない。
    • 会話が結構長いので、キリの良い所でやめにくい。
      • 各ゲーム機版ならスリープ機能はあるので、多少はマシか。
  • プロローグ及び前日譚の確認が解りづらい。
    • タイトル画面左上にメニュー欄がしれっとある程度で気付きにくい。話はストーリー上でかなり重要な意味があるので、一度見ておく事を推奨する。
  • トロコンのためには特定のタイミングで隠しカクテルを提供することで隠しキャラクターを登場させる必要があるのだが、そのために必要なカクテルのレシピが完全にノーヒント。材料をいじくり回していたら偶然出来たという僥倖でもないかぎり攻略情報なしに辿り着くのはほぼ不可能となっている。
    • 隠しキャラクターは同じ世界観を共有しているゲーム(後述)からのカメオ出演。同様に向こうへはデイナがカメオ出演しており、そこで隠しカクテルのレシピを聞くことが出来る構図になっている。
  • PSV版に収録されていた『シルバー事件』とのコラボ楽曲が後発のPS4/Switch版には収録されていない。

総評

キャラクターなどアクの強い所も相応にあるが、舞台となる世界の魅力を非常に良く引き出している良質なアドベンチャーゲーム。
プレイする時は飲み物とおつまみを用意してリラックスした状態になって『VA-11 Hall-A』へと入り浸ろう。


余談

  • 開発中は出来るだけ早くカクテルを作る事でスコアが付くシステムだった。ジャンル名の「バーテンダーアクション」はこの名残である。詳細はこちら。
  • midboss開発のアドベンチャーゲーム『2064: Read Only Memories』とは世界観を共有している。
    • これは互いの開発者が制作途中に意気投合した事で同じ世界観となったとの事。詳細はこちら
    • 本作でも条件を満たせば『2064』のキャラが登場する。
  • 米国では日本とは異なり当初パッケージ版が発売されなかったが、後にLimited Runによってパッケージ版が少数限定販売された。
    • 日本版のメインパッケージジャケットのノアール調の絵柄とはうって変わって何故かディフォルメ化された萌え系の絵柄のジャケット絵になっている。
  • 後に発売されたインドネシア製のインディーズゲーム『COFFEE TALK』は本作の影響を受けていると公言されており、実際ゲームデザインに類似性が見られる。
    • Sukeban Gamesの方も実際にアドバイスをしたとの公式に発言している。