「ZOIDS 帝国VS共和国 メカ生体の遺伝子」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

ZOIDS 帝国VS共和国 メカ生体の遺伝子 - (2021/05/05 (水) 13:38:56) のソース

「[[判定不一致修正依頼]]」および「[[修正依頼]]」が出ています。対応できる方はご協力をお願いします。依頼内容は以下の通りです。
--システムの追記。
--評価点の補強。
--余談の項目での[[続編>ZOIDS2 ヘリック共和国VSガイロス帝国]]の判定との不一致。

*ZOIDS 帝国VS共和国 メカ生体の遺伝子 
【ぞいど ていこくぶいえすきょうわこく めかせいたいのいでんし】

|ジャンル|シミュレーションRPG|&amazon(B00005OVJX)|
|対応機種|プレイステーション|~|
|発売元|トミー|~|
|開発元|ウィル|~|
|発売日|2000年11月22日|~|
|定価|5,800円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|>|>|CENTER:''[[ゾイドシリーズリンク>ゾイドシリーズ]]''|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
トミーが当時の主力玩具ゾイドをテーマに発売したシミュレーションRPG。ゾイドが1999年に復刻されてからは、2作目のゲームである。(過去を含めると6作目にあたる)

ゾイドのアニメを放送中に発売されたが、現行のアニメストーリーではなく、1980年代に雑誌展開されていた「ゾイドバトルストーリー」((このバトルストーリーもコロコロコミック、小学館学習雑誌、更には単行本にあたるムックで微妙に異なる。と言うか「原作:トミー(タカラトミー)」とされるゾイドシリーズはキットの箱裏に書かれていたものや販促用小冊子(双方ともバトルストーリー表記)の方が原作とされている(比較例として「勇者シリーズ」の原作はタカラではなく矢立肇(サンライズ)である)。))と呼ばれる、中央大陸を二分したヘリック共和国とゼネバス帝国の戦い「(第一次)中央大陸戦争」を描いた作品である。なお、アニメはバトルストーリーより40年後の「西方大陸戦争」の話だが、直接の続編であり同じ時代である「公式ファンブック」とはパラレルワールドである((例えばヘリック共和国・ガイロス帝国共に西方大陸に首都を構えていたり(本来は中央大陸と北方大陸)、アニメで重要だったオーガノイドシステムが別物だったりする等。アニメが英雄譚、漫画が冒険物、公式ファンブックが戦記物とも言われている。))。~
そのためブレードライガーやジェノザウラーといった当時の最新鋭機は登場せず、サラマンダーやディメトロドンといったアニメに登場しないゾイドが登場する。また、ウルトラザウルスやモルガ等、色を変えて再販売済みだったゾイドも、ほぼ当時のカラーリングに近い仕様で登場する。

先行予約特典として、旧カラーを再現したレドラーが付属していた。

**システム
-ゲーム開始時に帝国と共和国のいずれかを選択し、プレイヤーは所属勢力の中隊長として戦争に参加する。
--帝国を選択した場合は皇帝直属部隊を率いる帝国軍の将軍となり、共和国を選択した場合は自ら前線で華々しく戦う共和国大統領……の、影武者という立場となる。
-部隊は複数の小隊からなり、1小隊の編成数上限はゾイドのサイズに応じたコストによって管理される。
--Sサイズは2コスト、Mサイズは3コスト、Lサイズは4コストかかる。1小隊につき最大12コストまで編成できるので、3~6機のゾイドで小隊を組む事になる。
---コストを余らせる利点はないので端数が出ないように組み合わせる事が望ましいが、そこに固執して中~小型ゾイドばかりの小隊になると却って総合力は落ちる場合もある。
-シナリオが開始するとまず「ベースキャンプ」で次に臨む作戦の要綱が説明され、それを念頭に置いてキャンプで出撃準備を行う。
--キャンプ内では部隊編成と作戦確認の他、「工場」でゾイドの売買とパーツの売買・セットアップが可能。購入できるゾイドやパーツはシナリオ進行に伴って変化する。
---ある程度シナリオが進むと初期のゾイドやパーツはラインナップから消えることには注意が必要。小隊に配置コストがある事と、同名パーツを複数装備できない関係上小型ゾイドや型落ちパーツにも最後まで需要が存在する。
--「研究所」では特殊なパーツを使ったゾイドの強化改造が可能。
---「冷凍砲」などの大型追加武装の装備が可能で、取り外しは自由に行える。他にも「リミテッドセット」に代表される強化パーツ群によって一部ゾイドをMk-II仕様や限定型仕様に強化する事も可能。こちらは一度取り付けると元に戻すことは出来ない。
--「訓練」は実戦同様の模擬線マップに挑める。経験値だけでなくアイテムや資金も入手可能で何度でも挑戦可能だが、その代わりこちらのゾイドが撃破されるときっちり修理費を請求される。
-マップは2Dのヘクス(六角形)で構築されており、平地・山岳・都市など複数の地形が存在する。
--ゾイドごとに移動適正が設定されており、適正の無い地形では移動力が下がる。逆に、特定の地形に侵入すると隠蔽(ステルス)状態になり、敵に奇襲をかけられるゾイドも存在する。また、飛行ゾイドはほとんどの地形の影響を受けない。
-行動はプレイヤー先行のターン制で、まずこちらの第一小隊が全員行動すると次に敵の第一小隊が行動し、その次にこちらの第二小隊が行動し、それが終わると敵の第二小隊が……といった具合に小隊単位で交互にゾイドを動かしていく。
--小隊には基本的に小隊長ゾイドが存在し、このユニットが撃破されると小隊員は全員撤退してしまう。敵の小隊長が突出してくれば一網打尽のチャンスとなり、逆に味方の小隊長が包囲されると絶体絶命のピンチとなる。
---第一小隊の小隊長は中隊全体の隊長機となり、撃破された場合は全小隊が撤退する。味方の中隊長が撃破されれば即ゲームオーバーである。
-ゾイド同士の戦闘は3DCGの1対1ターン制バトルで行われ、どちらかが撃破されるか逃走するまで続く。
--ゾイドごとに1~4種類装備されている様々な性能の武装から選択し攻撃を行うが、特に「速度」と「クリティカル率」が重要となる。
---速度は相手より先に攻撃できるかどうかに影響する。基本的に射撃武装は速く、格闘武装は遅い。行動速度が遅いと余計な被弾が増え、相手の逃走を許す場合もある。
---クリティカルが発生すると、相手のパーツ(武装含む)をランダムでひとつ破壊し使用不能にする。破損したパーツは戦闘終了時に修復されるが、戦闘中の立ち回りに大きな影響が出る場合が多い。主力武装がいきなり破壊されて大苦戦、という事も起こりうる。クリティカル率は射撃武装が低めで、格闘武装は高め。
---その他、「ショート」「サビ」「炎上」などの状態異常を引き起こす武装も存在する。
-特殊な攻撃方法として、「範囲攻撃」と「包囲攻撃」が存在する。
--「範囲攻撃」はいわゆるマップ兵器で、射程内の決められたヘクスに存在する敵全員に攻撃する。
---着弾地点を指定しそこを中心にして周囲を巻き込むタイプと、向きを指定しその方向の直線に対して攻撃を行うものなどがある。
--「包囲攻撃」は、目標の敵ゾイドに2体以上の味方ゾイドが隣接している場合にのみ行える変わった攻撃。
---包囲している味方の数に比例してダメージが上昇するが、威力は低めで攻撃回数も単発かつ、敵を囲む手間もある。しかし、ENなどのコストが一切かからずどんな地形でも攻撃出来るという利点もある。
-ゾイドにはレベルの概念があり、戦闘によって経験値を一定数得るとレベルアップしスキルポイントを得る。スキルポイントをパラメータに割り振る事で自身の能力を上昇させられる他、一定値を消費する事で特殊なスキルを取得することも可能。
--相手の命中率が常に3割減少する「疾風」や、ターン終了時にHPとENが少し回復する「再生」など有用なスキルは数多いが、スキル取得にばかりポイントを浪費すると基礎攻撃力が非常に低くなってしまうので、バランスと取捨選択が重要である。
-敵ゾイドを撃破すると、必ず「残骸」がヘクス上に残る。味方ゾイドをそこに移動させることで回収が可能で、資金やアイテムが手に入る。味方ゾイドが撃破された場合も残骸になるが、これを敵ゾイドに回収されると&bold(){キャラロスト}なので注意。味方に回収させておけば、マップクリア後に復活する。
--敵の残骸からは稀にゾイドそのものが回収できる。その場合、自中隊のゾイドとして次マップから使用できる。
-特徴的な要素として、敵ゾイドの鹵獲が可能という点が挙げられる。
--「捕獲装置」を装備した専用ゾイドを使用し、敵ゾイドに命中させられれば自軍ユニットとして運用可能になる。捕獲成功率は相手のHPが低いほど高くなるので、撃破しない程度に上手く調整する必要がある。
---おかしな話だが、訓練で登場する敵ゾイドも鹵獲可能。その為、訓練に出てくるゾイドは事実上無限に獲得できるという事になる。

**評価点
//評価点でなくシステム説明でしかなかった部分を削除
&bold(){ゾイドの再現}
-ゾイドはすべて3DCG。初代PSにしてはなかなかの高画質。ちゃんと足の逆関節・順関節も再現している。
-またモーションもバリエーション豊富。撃破されると小・中型機は豪快に吹っ飛び、大型機はアニメーションで崩れ落ちるという演出付き。
--大型ゾイドと一部の中型ゾイドは敵機を撃破すると勝利の雄叫びを挙げる。なんとマンモスやサラマンダーも咆哮する。
-オープニングムービーとエンディングムービーを担当したのはガイナックス。ガイナックスならではのケレン味も健在でアレンジも許容範囲。単に一枚絵が続くのではなく、飛んで跳ねて動き回るゾイドの姿は迫力満点かつ美しい。

&bold(){美麗なカットインムービー}
-範囲攻撃を行う際に流れるムービーは、簡にして明にしてド迫力。古参のゾイド好きならば何度鑑賞しても見飽きないだけの爽快感がある。
-同様に共和国側でのプレイ時にデスザウラー、帝国側でのプレイ時にはマッドサンダーが敵として初登場した時に流れるムービーも、『敵軍の新兵器の脅威』を感じさせるものとして十分な出来。

&bold(){登場ゾイドの数と種類}
-ガリウスやスパイカーといった、80年代初期に発売された初期のゾイド(「メカボニカ」のこと。俗に云う「骨ゾイド」)も登場するが、育成次第で帝国の小型ゾイドや中型ゾイドとも互角に戦える。((メカボニカを受け継ぎ、ガリウスの走行速度が時速270km/hなど設定が固まってなかった頃のゾイドなので、それが如実に反映されているとも言える。))
-基本のゾイドだけでなく、ミッション内で入手できる改造セットを使えば、旧ゾイド時代の改造機体を(ある程度)再現できる。
-取得したゾイドは改造バリエーションも含めて図鑑に登録されるため、コレクターゲームとしての側面もある。
-捕獲用ゾイドを使う事で、共和国と帝国のゾイドが混在する夢の部隊を作る事が可能。マッドサンダーとデスザウラーが揃い踏みする悪夢のような光景も実現できる。
--鹵獲機体は所属勢力に応じた特殊なカラーリングになるのも非常に嬉しい要素。深紅の帝国シールドライガーは必見。
-それほど厳密ではないが三すくみになっており、大型ゾイドは素早く回避の高い小型ゾイドが苦手、小型ゾイドは中型ゾイドが苦手、中型は大型が苦手である。やみくもに大型ゾイドだけを突進させれば勝てるというわけではない。終盤になっても、小型、中型ゾイドは大切な戦力となる。

-数こそ少ないもののノイジークロークの手掛けたBGMは概して高評価。昭和当時の旧ゾイドの雰囲気を残しながらも、ミリタリーテイスト漂う緊張感あるサウンド。

**問題点
//主に続編の仕様に関する内容を整理
&bold(){戦力の偏り}

登場するゾイドの基本性能は共和国に有利となっている。
-特にステルス特性を持つゾイドに大きな格差がある。ステルスゾイドは隠蔽状態で相手ユニットが隣接した場合強制的に戦闘を行い、1ターン目に攻撃力2倍で一方的に攻撃ができるという非常に強力なメリットを持つ。
--共和国は小型ゾイドの時点でステルス機が2種運用可能、さらに中型に格闘機のコマンドウルフと射撃機のスネークスがいるが、帝国側は中型ゾイドのヘルキャットただ一種のみ。しかも、ヘルキャットは本作のステルス機の中でぶっちぎりの最弱ユニットである。
--特定地形でのみステルス能力が発動するユニットは両軍に存在するが、これらのユニットの能力も概ね共和国の方が優勢である。ただし、敵AIが地形隠蔽を活かして進軍してくることは稀なのでここについては実質的な格差はごく小さい。
-飛行ゾイドでも共和国が有利。
//圧倒的ってほどじゃない
--共和国側は再序盤から飛行ユニットの運用が可能で、本作唯一の大型飛行ゾイドであるサラマンダーも使用できる。対する帝国側は中型ゾイドしか飛行可能なユニットが存在しない。そのゾイドも、継戦能力が乏しすぎるシュトルヒ、一切の射撃武装を持たないレドラー、水空両用の代わりに基本スペックが小型ゾイド並のシンカーなど癖が強いゾイドばかり。
---サイカーチスがダブルソーダに使い勝手で劣るなどの部分は、原作設定を考慮すると致し方ない部分もある。
-水中ユニットに関しても、水中隠蔽かつ奇襲と相性の良い高火力の格闘武装を持つバリゲーター、隠蔽こそ無いが陸でも水でも強いウルトラザウルスを有する共和国に分があると言える。
-しかしながら、ゲーム進行上のバランス格差という点においては&bold(){敵軍ゾイドの捕獲}という手段がとれるゲームなので(そこに抵抗が無ければ)実際はそれほど大きい格差があるわけではない。
--どんなユニットでも好き放題捕獲できるという訳ではないが、飛行ユニットやステルスユニットの格差についてはかなり是正できる。相手が強いなら利用してやればよいのだ。

&bold(){全体的に武装や強化パーツに関する仕様に粗がある。}

設定上使用できてしかるべき武装やパーツが無いゾイドがいくつかいる。
-シールドライガーを例に挙げると設定上((本ゲーム内の図鑑でも装備されていると記載されている。))装備されているはずのEシールドが無い上、爪での攻撃もできない。
--反荷電粒子シールドが再現されていないせいでデスザウラーの荷電粒子砲で蒸発するマッドサンダーなど、なかなかシュールな光景も。
--レーダーの様な特殊装備は特定ゾイド固有の能力ではなく全ゾイドが装備できる共通の強化パーツとして実装されているため、本来なら電子戦ゾイドとして活躍していたゾイドは特徴のないゾイドとなり、アイテムや隠蔽ゾイド探索は、レーダーを装備した飛行ゾイドが担当するようになってしまっている。

逆に、武装がしっかりと再現されている事で著しく不利な条件を背負ってしまっているゾイドが多数存在する。
-ゾイドに装備できる武装と強化パーツは、サイズに関わらず一律で合計8つまでという制約がある。
--この為、サーベルタイガー等の極端に武装の多いユニットはほとんど強化パーツを装備できない((元からシールドライガーより武装が多いのみならず、本作のシールドライガーではオミットされている爪攻撃まである。))((帝国はゾイドを専業化させず複数機能を持たせて様々な用途に使うという特徴があるため。))。
--本作はHPを強化するパーツの効力がかなり大きく設定されており、最大でHPが&bold(){2.5倍}になる。ゾイドのHPと攻撃力のバランスは強化パーツありきで設定されているため、パーツ枠が足りずHPを底上げ出来ないゾイドは非常に打たれ弱くなる。そうでなくとも、HPの強化が必須である以上それ以外の強化パーツを装備する余裕のあるユニットとの格差は大きい。
--このため、設定上は旧式であったり輸送用であったりと戦闘向きではないはずのゾイドが、武装数の少なさから強化パーツで大幅にパワーアップできるという逆転現象を招いている。一方、設定上は多彩な武装で活躍したはずのゾイドが、特に耐久面で大きなハンデを負うという理不尽な扱いを受けている。
---武装数が多ければ状況に応じた使い分けが出来るのだからそれと引き換えともとれるが、実際は毒にも薬にもならない武装で枠を潰されていると言っていい状態のゾイドも多い。特に帝国のゾイドはその傾向が強い。
--強化セットを使うことで特定機体を強化型にすることも出来るのだが、このシステム上、装備可能パーツが減ってしまって逆に弱くなることも多い。
-また、スキルポイントが原則として一極振り安定なバランスである事も、武装の少ないユニットの評価を押し上げている。
--本作ではレベルアップで得たポイントを「格闘」「近射」「遠射」「範囲」といった各種ステータスに振り分けて基本性能を上昇させていくのだが、当然ながら使う武装数が少ない方がポイントの振り先を絞れるため、効率が良くなる。
--また、武器の属性に「補助」が付く((主にビームなどのエネルギー兵器に設定される属性))ものは補助にさえポイントを振れば強化できる。主要な武装全てに補助属性が付いているユニットはこの恩恵を非常に大きく受けることができる。さらに補助の数値は回避力、状態異常の回復率、逃走確率にも影響するため、「補助一極振り」ができるか否かで評価が大きく変わるほどである。
---武装が少なく、一つの武装に役割が集中しているゾイドほど結果的に極振りがしやすい。高威力・長射程・対空可能で補助属性もしっかりついている「マクサー30㎜ビーム砲」たった一門で戦い抜くビガザウロなどその最たる例であろう。一方、格闘は「ハンマーパンチ」、対空は「ミサイルポッド」、遠距離攻撃は「長距離対地ミサイル」と律儀に実弾で用途別武装を揃えているアイアンコングはポイント振りにとても苦心する。範囲攻撃まで持っているのだがそこを補強する余裕などあろうはずもない。
-ただし、武装が少ないゾイドに欠点がないわけでもない。クリティカルによって数少ない武装が破壊された場合、次善の策すら打てず逃げるしかない状態になってしまう事もありうる。
--もっとも、強化パーツを大量に装備していればそちらが「デコイ」として機能する場合も多く、結局は大した問題にならない。


//以下システムの問題
&bold(){システムなどの問題}
-命中率、逃走確率などの表示が実際と異なっている。命中率71%, 80%, 93%といった数字がゾイドの組み合わせを問わずよく見るがこれがあまり当てにならない。&br()これは判定の際、内部で判定が2回行われており味方側は悪いほう、敵側は良いほうの結果を取るためである。&br()つまり、味方側の命中率70%と敵側の命中率30%はほぼ同値の約50%となる。
-一部の特殊能力が強力すぎ、バランス崩壊の一因となっている。
--「精神集中」は1ターンのタメが必要とは言え格闘武装の威力&bold(){2.5倍}かつ命中率&bold(){100%}になるという本作屈指のぶっ壊れスキルである。常時相手の命中率30%カットの「疾風」、高確率で相手を行動不能にするうえで連続使用可能な「咆哮」なども相当のパワースキルである。
---もっとも、「精神集中」と「疾風」に関しては上記の命中不全の問題からこれくらいないとやってられないという事情もある。
--強力なスキルがあるという事はスキルポイントに余裕のあるゾイドの方が優位という事であり、そこも「武装数の多いゾイドは不遇」という傾向を後押ししてしまっている。
-敵AIの行動順が小隊長機から行動の上、小隊長から撃破されないよう控えさせるという思考が無い。そのため、先陣を切って突撃してきた小隊長機を返り討ちにすることでいきなり敵小隊壊滅という事がよく起きる。
--敵部隊のユニット数は味方部隊よりかなり多めに設定されており、ユニット性能も彼我であまり差がないゲームなので難易度調整の一環と考える事もできる。
-一部に誤字脱字が見られる。最強兵器である荷電粒子砲がムービーなどで誤った漢字で表記されてしまっている。
-説明書も記載情報が間違いが多い。ゾイドの熱心なファンでもなければ気にしないような些細なものも多いが。
--例:ウ「ォ」ディックじゃねぇ! ウ「オ」ディックだ!

-機動性(命中回避修正値)が何故か隠しパラメータ。続編では表示されるように(「機動性」は続編での名前)。
--武器に対しては%単位の命中率が書かれているので、半端な設定である。

-昔のゲームの所為でもあるが、セーブロードに少し時間が掛かる。

**賛否両論点
&bold(){一部装備のバランス崩壊}
-共和国編中盤では自軍の主力が中型が大半にもかかわらず、敵側はディメトロドンやレッドホーンといった大型機体を使用する為、苦戦を強いられる。 
-敵に大型ゾイドがやたら出るのは帝国でも同様だが、苦戦する要因の一つが帝国大型ゾイド((厳密には中型モーターで駆動する四足ゾイド))の標準装備である高圧濃硫酸噴射砲の存在。攻撃力は弱く行動速度も遅いが、高確率で敵を行動不能にするショート状態に追いやる。
--中でもレッドホーンは、ショート中に当てると威力が1.5倍に増加する電磁砲を持つ為、硫酸砲→電磁砲のコンボがほぼ確定してしまう。
--とはいえ、CPUの武器選びが適当なことや、事前にスモークディスチャージャーを使って暗闇状態((回避率上昇、逃走確率95%、状態異常無効))になることで状態異常を防げるため、多少運が絡むとはいえそこまで脅威となることは少ない。逆に自軍が帝国の場合は、まさしく「当てれば勝ち」といった切り札武装になる。
-一方で共和国ゾイドは射撃武装と範囲武装が充実しており、ウルトラザウルスやゴジュラスMK-Ⅱなどの大型ゾイドを大量に投入し怒涛の範囲攻撃攻勢をかける事も可能。
--帝国側の範囲武装は、総じて威力が低く使いにくい。唯一の例外はデスザウラーの荷電粒子砲だが、加入は最終盤である。

&bold(){パイロットの存在}
-主人公は存在しているが、これといったセリフは無く存在感は皆無。設定上は中隊長機に登場しているようだが、特にシステム的な優遇があるわけでもなくむしろ撃破=ゲームオーバーなので後方でアイテム回収などに努める場合が多い。
-そもそも、ストーリー上で「ゾイドのパイロット」という存在にスポットが当たる事自体が非常に稀。ごく一部のミッションではNPCパイロットの台詞もあるが、それもあくまでモブ的なものである。
-この点を味気無く退屈と感じるか、余計なオリジナル要素を付加せず好ましいと感じるかはプレイヤー次第だろう。
--続編ではパイロットにも大きくスポットの当たるシナリオ展開となったが、本作の雰囲気に好感をもっていたプレイヤーからは賛否を呼んだ。

&bold(){序盤が地味}
-前述の通り共和国側だと最初は骨ゾイドしかいない%%それが良いんじゃないか%%。アニメから入った低年齢層にとっては馴染みが無い上、ビジュアルの面でも盛り上がりに欠ける((アニメではやられ役だったゴドスがかろうじている程度。ただし、隠しコマンド入力を除く))。
--帝国は帝国でアニメのやられ役兼敵であるモルガやアニメ未登場のゲーター、マーダなどの地味目な陸戦ゾイドしか居ない。
-コマンドウルフなどアニメでもそれなりに活躍した機体が登場するまでしばらくかかるため、ここに到達するまでに人によっては投げてしまう可能性がある。

&bold(){アイテムの存在}
-本ゲームでは破損したゾイドの修理や武器弾薬・エネルギーの補給は該当するゾイドが行動を消費してアイテムを使うことで行われる。
-都市の上に乗るか、グスタフやウルトラザウルスに格納することで、状態異常から回復し、HPとエネルギーも徐々に回復していくという要素もあるのだが、それも非常に微々たる物であり、結局アイテムに頼ることになるだろう。
-中には残骸になったゾイドを復活させるアイテムや、退却したゾイドを呼び戻すアイテムなんて魔法じみた物までありバランス崩壊の一因となっている。ここまでミリタリーテイスト出しておきながらなぜ…と思うが、やはり低年齢の子供もターゲットにしているからだろうか。

&bold(){格闘偏重のバランス}
-問題点でも指摘されていたが、「精神集中」が強すぎる。
--射撃武装は攻撃速度に優れ強化パーツで命中精度を補強可能、格闘武装は命中も行動速度も劣るが威力とクリティカル率に優れる……というバランスなのだが、精神集中でそのバランスが崩れてしまっている。
---精神集中の影に隠れているが、1ターンだけ格闘武装の威力を2倍にする代わりに被ダメージも倍加する「捨て身の一撃」も、精神集中と違ってタメが必要ないので奇襲との相性が抜群。当たれば4倍ダメージである。
--射撃武装向きのスキルに優秀なものが少ないのも問題。
---「連続射撃」は精神集中と同じスキルポイントで射撃攻撃を2連射、次ターン行動不能と見劣る。「一斉射撃」は全ての射撃武装で連続攻撃と一見強力だが、EN消費系武器しか対象にならず、なぜか行動速度も遅くなり、しかも修得できるゾイドがやたら少なく、おまけに必要スキルポイントも非常に多いという四十苦である。
--クリティカルによるパーツ破壊で大きなアドバンテージを得られる可能性がある点も、クリティカル率に優れる格闘偏重に拍車をかけている。
-とはいえ、「機械生命体」であるゾイドの本懐が格闘戦にあるというのはある程度頷けるところではあるし、格闘攻撃の戦闘アニメーションも非常に力の入った出来になっている。
--ゴドスのキックやシールドライガーのレーザーサーベル、レドラーの切断翼などの躍動感は必見である。

-勘の良い人は共和国、帝国の各シナリオMAPの順番を見ていけば気づくかもしれないが、共和国、帝国共にラストのEDが味気ない。

***ゾイダー限定の問題点
-人気機種であるグレートサーベルやライジャーが登場しなかった。シールドライガーMk2やレイノスは出るのに。解せぬ。
--続編でグレートサーベルはグレートセイバーとして、ライジャーは帝国編の隠しゾイドとして登場した。

-帝国の最終兵器デスザウラーは2機までしか手に入らない。しかしデスザウラーを駆逐するために開発された共和国の切り札マッドサンダーは終盤においてショップで無限に買う事ができる。共和国側でプレイした際には、このことがバランスブレイカーともなりうる。
--アニメではマッドサンダーは存在せず、デスザウラーは1機しか無い貴重な機体だが、バトルストーリーでは双方とも量産されている(アニメと同時代(パラレルワールド)の第二次大戦でもデスザウラー30(+2)機、マッドサンダー20機が存在する)。ただし、旧大戦での共和国と帝国の国力を比べると共和国が圧倒的に優位に立っており、背景ストーリーまで踏まえた時には、この共和国側への優遇が間違いであるとは言い切れない((ただし、これはデスザウラー登場前の話。デスザウラーの登場で共和国首都は陥落、マッドサンダーを開発して首都を奪還するまでは帝国の方が国力が上だった。))。

-所持できるゾイドは99機まで。
--少なく無い様に思えるが、実戦投入機以外に武装違い(武装を変更すると戻せない)や鹵獲機を含めた全機種を揃えるとなると全然足りない。図鑑で戦闘アニメおよび鹵獲機カラーを見ることが出来れば気にする必要も無かったのだが。
---もっとも当時は『スーパーロボット大戦シリーズ』でも戦闘アニメ鑑賞モードは無かった。あっても別売りだったりする。

-一部ゾイド、スネークスの設定が再販版のステルスバイパーの設定になっており、実際と異なっている。(元々の設定ではステルス能力などなく、水上戦闘能力に優れるという機体だった)

-%%旧カラーを再現したレドラーって、おい、冗談はよせ。旧カラーのレドラーの色はもっとシックで落ち着いた赤だろ。%%

-%%パッケージ絵のアイアンコング。連装ミサイルポットが何で左肩に乗ってるんだ。右肩だろ。%%

**総評
アニメ版を含めた新シリーズ開始後なのに旧大戦をモチーフとした本作は旧来ファンから喜ばれた。新しいファンでもゾイド世界の歴史に思いをはせた人が居ただろう。~
高品質なムービー、音楽、ゾイドとしての個性が反映されてキャラ立ちしているユニット達、そこそこ要求される戦略性など、「キャラゲーだからクソゲー」「トミー(タカラトミー)製だからクソゲー」という認識は当てはまらない。

**余談
-攻略本は発売されなかった。
--ゾイド再販前から活動していたゾイドファンサイトが実質的な攻略サイトとなっていた。現在は多くが閉鎖しているのは残念。
--最近長らく形だけだった攻略wikiが機能し始めたので、攻略情報はそちらで。

-2002年に続編である『[[ZOIDS2 ヘリック共和国VSガイロス帝国]]』が発売された。こちらもゾイドのゲームとしてはかなり好評。
--今作にあった問題点がかなり改善されているものの、当時のアニメ層を意識したキャラクター色強めのシナリオは賛否両論。また、演出面においてもいくつか劣化した部分がある。ライガー系ユニットの優遇や終盤の急激な難易度上昇などゲーム全体のバランス面でも一概に良化したとは言いづらく、作品としての評価は凡作から佳作に留まった。