*Kanon 【カノン】 |ジャンル|恋愛アドベンチャー|&amazon(B003D3MVRG)&br()&amazon(B000FJ515A)| |対応機種|Windows 95/98/XP/Vista/7&br()ドリームキャスト&br()プレイステーション2&br()プレイステーション・ポータブル&br()Android&br()iOS|~| |発売・開発元|【Win/Android/iOS】Key&br()【DC/PS2】NECインターチャネル&br()【PS2/PSP】プロトタイプ|~| |発売日&br()※種類や再販が多いので代表的なバージョンのみ|【Win】1999年6月4日&br()【DC】2000年9月14日&br()【PS2】2002年2月28日&br()【PSP】2007年2月15日|~| |定価|【Win】8,800円&br()【DC】6,800円&br()【PS2】6,800円&br()【PSP】5,040円|~| |レーティング|【Win(PC18禁版)】ソフ倫:18歳未満禁止&br()【PS2】CERO:B(12才以上対象)&br()※それ以外は全年齢対象|~| |コンテンツアイコン|【PS2】恋愛&br()【PSP】恋愛・言葉・その他|~| |分類|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| #contents(fromhere) ---- #center{&size(35){''WARNING!!!!!!!''}} #center{&size(20){''本作は18歳以上のみ対象のアダルトゲームですが、全年齢版も販売されています。''}} ---- *概要 ADVのジャンルでは業界でも大手メーカーである株式会社ビジュアルアーツのブランド「Key」の第1作となる恋愛アドベンチャーゲーム。~ 「Key」は「MOON.」や「[[ONE ~輝く季節へ~]]」を作った株式会社ネクストンのブランドTacticsからプロデューサーのYET11氏を除く主要スタッフが参加している。~ 「ONE」と同様に当時としては珍しくアダルトゲームで有りながら18禁要素よりも感動させるストーリーやBGM(演出)等を重視していることが特徴。~ 本作の大ヒットと高評価によって感動を重視した「泣きゲー」と呼ばれるジャンルを確立させ、「Key」というブランドと「MOON.」や「ONE」が有名になるきっかけとなった。~ ---- *あらすじ 家庭の事情で主人公の相沢 祐一((PSP版以外では名前の変更が可能))は7年ぶりに北国の雪の街にある叔母である水瀬家に居候することになった。~ しかし、7年前まではよく訪れていたにも関わらず、彼はこの雪の街を訪れていた頃をあまり思い出せずにいる。~ そしてこの街で水瀬名雪と再開する所から物語は始まる。~ *キャラクター **主人公とヒロイン(ネタバレ要素は避けています) #region(close,クリックで開閉) -相沢 祐一 --本作の主人公で面倒見が良いところや変なボケをよくかましたり独特な感性を除けば比較的普通の青年。学年は二年生。 --「ONE」の折原 浩平と比べるとエキセントリックではなく、一般人に近いのだが照れ隠しでいじわるする癖がある。~ その一方で初対面の人物にも物怖じせずに接したり超常現象を自然に受け入れたりするなど肝の据わった所もある。 --物語開始時に名雪の声が録音されている目覚まし時計を貸して貰ったのでそれを使っている。 -月宮 あゆ --いきなり祐一にぶつかってきて、そのままたいやきの食い逃げ共犯者にするという衝撃的な登場をしでかしたヒロイン。 --「うぐぅ」と言う口癖があり、困ったとき等かなりの頻度で言う。 --性格は明るく素直だが年齢以上に子供っぽい。 --羽根のついたリュックサックを愛用している。また、私服登校可能で色々と自由な学校に通っている。 --ずっと何かを探しているのだが本人もそれが何かは覚えていない。 -水瀬 名雪 --祐一の従姉妹で居候先の同居人。クラスメートになる。 --ずっと母親と二人で生活しており、父親のことは何も知らない((母子家庭ということが強調されており、父親の存在はそれほど重要ではない))。 --性格は非常にマイペースでのんびり屋。祐一との同居にも特に抵抗がなく、早くに眠るが朝に非常に弱いので祐一に起こしてもらうことが多い。 --猫アレルギーだが無類の猫好きで強引に止めないと長時間触りたがる。陸上部部長で足が速く体力もあるなどの意外な一面もある。 -沢渡 真琴 --祐一を憎んでいることと自分の名前以外の一切を覚えていない少女。身元も不明だが成り行きで水瀬家に居候することになる。 ---ちなみに祐一は真琴のことは知らないので目の敵にされる覚えが無い。また、祐一も感情的に対応してしまうことが多い。 --「あうーっ」と言う口癖があり、祐一の悪戯などでよく聞くことになる。 --漫画や肉まんが好物。祐一の安眠妨害の為に周囲を巻き込んだり我慢することを知らなかったりなど、非常に子供っぽい。 -美坂 栞 --病気で長期休学している一年生。休学しているので普段着で学校に忍び込んでくる。 --普段元気で明るく見えるものの祐一からすると寂しげ・儚げに見える。 --アイスクリームがかなり好きで寒い中でも平気で食べる。反面、辛い物が苦手でカレーは甘口でもまともに食べられない。 --趣味でスケッチをしているがお世辞にも上手いとは言い難い。反応速度も悪く、もぐら叩きで0点を取ってしまうほど。 --洞察力は優れており、祐一の考えていることをよく先読みする。 -川澄 舞 --夜の学校で「魔物」と対峙している三年生。自身のことを「魔物を討つもの」と称している。 --成績優秀で心優しいが、不器用で寡黙な上に「魔物」との戦いによって校舎の破壊や窓ガラスを割っている犯人と見なされている。~ その為、周囲からは不良や問題児と思われている。 ---倉田 佐祐理はひょんなことから彼女が優しいことを知り、そのことがきっかけでお互いに親友になっている。~ その為、自分自身については関心が薄い彼女も佐祐理に危害を加える者には怒る。 --あまり素直ではなく、好き嫌いは基本的に「好きじゃない」「嫌いじゃない」と口にする。 --運動神経は登場人物の中では随一で常人離れしている。また、若干食い意地が張っている所や不器用に有言実行したりと男前な一面がある。 #endregion **サブキャラクター #region(close,クリックで開閉) -美坂 香里 --祐一と名雪のクラスメートで名雪とは数年来の親友。 --名雪とは性格が正反対でサバサバしてる印象だがお茶目な面もある。 --意外にも一年の頃からずっと学年一位の秀才。 --何らかのクラブに所属しているが、何のクラブかは明かされない。 --栞の姉だと思われるが妹は居ないと否定している。 -倉田 佐祐理 --「あははーっ」という口癖と笑顔が印象的な三年生。 --天然気味だが社交的で人当たりも良いので舞とは違って人気者。祐一ともすぐに仲良くなる。 --穏やかな物腰だが芯が強い。頭が良く料理も得意だったりとハイスペックだが運動神経は人並みか少し悪い。 --舞以外に対しては後輩であろうが丁寧語で話す。 --舞ルートのクリア後に彼女のルート((規模は短編))へ分岐可能になる。そこで彼女の生い立ちが語られる。 -天野 美汐 --いつも一人でいて他者を寄せ付けない一年生。 --言動が少しおばさんくさい((実際に祐一も言及している。))。 --立ち絵のある登場人物の中では珍しく、祐一とは中々打ち解けず辛辣なことを度々言う。~ ただ、悪意はないので必要に応じて助けてくれたりする。 -水瀬 秋子 --祐一の母側の叔母で名雪の母親。名雪を女手一つで育てていてどこかへ働きに出ているが職業は不明。 --名雪と同じく非常にマイペースでのんびりしている他、人並み外れて寛大で大抵のことは「了承」と1秒で承諾してくれる。~ これは名雪や祐一等、家族以外に対しても同様。 --寛大だがだだ甘や気が弱いと言う訳ではなく、叱るべき場面では叱る。理想的な母親と言える。 --料理の腕は抜群だが甘くないおかしなジャム((ファンの通称は謎ジャム))を作りたがる上に強引に勧める癖がある。~ その味を知っている者は勧められる度に恐怖しているが秋子自身は普通に食べている。 -北川 潤 --祐一のクラスメートで作中数少ないツッコミ役。 --出番が少ないので親友や悪友ポジションとはあまり言えないが、祐一とすぐに仲良くなる。 --作中唯一の常人と言えるキャラだが付き合いは良く、祐一達と中々おかしなやりとりをすることもある。 #endregion *評価点 -シナリオ --ライター二名体制で主にあゆ・名雪・栞を久弥 直樹氏、真琴・舞を麻枝 准氏が担当している。 ---製作中に意思疎通が取れていなかった部分があるらしく、若干齟齬がある部分も見受けられるが基本的に矛盾なく仕上がっている。 --本作のシナリオを一文にまとめると楽しい日常から一転深刻な問題が起き、奇跡が起きて解決というもの。~ 展開・設定・日常シーン等が上手く練られているので没入感が凄く、それが高評価に繋がっている((本作以降似たようなゲームがたくさん出ているが、低評価のものはこれらの作り込みが甘いものが多い))。 ---現実的な世界観だが癖が強いキャラクター達なので愉快な日常シーンを繰り広げられる。~ 主人公の祐一もその一人でおかしな掛け合いが本作の魅力の一つと言える。 ---各ヒロインには特殊な事情が有り、更にそこに問題が発生したり解決したりと飽きさせない作りになっている。~ また、キャラがよく掘り下げられているので感情移入しやすい。 ---奇跡や「魔物」等のファンタジー的な要素もあるがポッと出の軽いものではなく、作中で言及されている。~ これは「ONE」の永遠の世界同様に色々と考察できる奥深いものになっているが、難しい表現はあまり無いので深く考えなくても問題はない。 ---久弥氏担当と麻枝氏担当では奇跡が起きる(あるいは起きていた)要因が違う。矛盾はしていないがたまに議論が起きる。 --どのヒロインも人気が有り、不評なキャラは居ないのも評価点。 ---サブキャラも魅力的で特に佐祐理や秋子((作風を考えると攻略出来ない方が自然だが))が非攻略対象なのを嘆くファンは数多かった。 -グラフィック --原画担当の樋上 いたる氏は昔から賛否両論の激しい絵師であることが知られており、下手・合わないと言う意見が多い一方で当時から熱烈なファンも多い。 --塗りは当時の水準としては悪くないものの特筆するほどでもない。 --印象的な背景がいくつかあるので背景のファンやいわゆる聖地巡礼する人も居るが、塗りも含めて次回作「AIR」程の高評価は得られていない。 -演出 --BGMも自作しているだけあってこだわって作っており、昨今のゲームに比べて流石に音が古臭い印象だが今なお高評価。 ---「ONE」と同様にこの頃では珍しく各ヒロインにテーマ曲がある。 *賛否両論点 -コンシューマー版は声がついているがPC版は後に発売されたバージョン含めて声がついていないので声が欲しい人は注意。~ ちなみに現在では声も基本的に受け入れられているが発売当時は声がつくことに拒否感がある人もそれなりに居た。 --PSP版は祐一にも声がついているものの、批判的な意見の多いアニメ二作目と同様の杉田 智和氏を起用している((声優が悪いのではなく人選が悪い。他キャラ等の印象が拭えないのだが、そのキャラと祐一が似ても似つかないのと重要な場面が合わないと言う人も多い。))ので賛否両論。~ しかもパートボイス仕様(DCやPS2では声のついてるキャラはフルボイス)なので携帯機でも出来る点を除くと評判が悪い。 *問題点 -EDは基本的に奇跡が起きている上に((一部ルートは最後に奇跡が起きてるかは不明))その要因はあゆと舞ルート以外では明言されていないので、人によっては安っぽく感じる場合がある。 -舞ルートは他のルートと比べて設定や物語の顛末がかなり分かり辛くなっている。~ 特にED付近はよく読むと色々と説明してあるのだが超展開と言って良い展開が続くのでついていけない人が多い。 --その代わりと言うべきか、舞ルートは人によって解釈にかなり幅がある。 *総評 -概要にも書いているが本作によって「泣きゲー」というジャンルが確立された他、泣きゲーに限らずシナリオを重視した作品も多く販売されることになった((ToHeart等の影響も多々あるので本作のみの影響ではないが))。 --本作のヒットによってKeyスタッフの関わった「MOON.」や「ONE」が広く注目され、これらもロングセラーとなった。~ 特に本作と同じ方向性の「ONE」はKey作品の要素を一通り揃えていて評価も良いので「泣きゲー」の元祖とも言われている。 ---「MOON.」より前の「同棲」という作品にもKeyスタッフの一部が関わっているが、~ こちらはシナリオはあってないようなものでそれ以外の評価も良くないので話題になることは少ない。 -後の作品と違って演出が若干あっさり((挿入歌の類も無い))していたり、世界観に壮大な謎が無いせいか人によっては普通の作品(特に昨今の作品と比べて)と評することもある。 --その一方で変わらず良作と評されることも多い。~ 初版から時間が経ち、ユーザーの世代は変わっているが今でもプレイをお勧めできる作品である。 *余談 -原作が18禁要素に拘っていないのでコンシューマー移植に先駆けてCG等を若干追加した全年齢版が発売されている。~ 当時はこの手の移植はまだ一般的では無かったのでVAの馬場社長によると若干冒険だったらしいが無事に成功した。 --古いゲームだが色々な媒体に移植されているのでプレイ環境はそこまで困らない。 -久弥氏は「ONE」と本作で人気を博したのだが、次回作「AIR」の企画進行中にビジュアルアーツを退社した。~ その後は長らくの間作品を発表することがなかった。 -二度TVアニメ化されている。 --一作目は東映版で顎が特徴的な絵柄で通称「顎アニメ」と呼ばれており、原作未プレイ・アニメ未視聴の人でも知っていたりする程有名な話。~ これは樋上氏の絵柄を意識しすぎてキャラデザした為であり作画崩壊ではない。 ---顎ばかり取り上げられて悪評が目立っているが、キャラデザ以外は別に悪くない。~ シナリオは1クールで5ヒロインの話をまとめたもので、不満を持つファンも居るが期間の短さと内容を考えるとむしろ上手くまとめてあると言える。~ 少なくとも外れアニメと評される出来ではない。 --二作目は京アニ版で樋上氏の絵柄を意識しつつも違和感のないキャラデザになっている。 ---祐一の声優が他媒体と違うのは良いとしても声に違和感を覚える人が多い。~ また、2クールなので話はまとまっているが、最後の方まで各ヒロインに忙しなく会いに行って原作再現するというのが繰り返されるので違和感((忙しすぎる印象))が有り、~ フラグ立てに奔走してるという感想を持たれやすい。 ---シナリオが原作再現重視((舞のみKeyスタッフも同意の上で大きな変更が入っている))なので無難なことと、作画や他媒体と比べて時間が経っているものの馴染みのある声優をなるべく使っているなど、~ 力の入れ具合が好評を博している。 -次回作「AIR」共々ファンの二次創作が活発だったのとネット環境が爆発的に整い始めた頃が影響し、かなりの数のSS・イラスト・音楽等が作成された。~ もちろん玉石混淆で出来の良いものも多い。 --SSに関してはファンの多さと「AIR」等に比べてかなり作りやすいのが相まってか、出来はともかく他作品のSSとは一線を画する勢いで作られていた。