「Urban Assault」の編集履歴(バックアップ)一覧に戻る

Urban Assault - (2015/02/13 (金) 16:03:20) のソース

*Urban Assault
【あーばんあさると】
|ジャンル|戦略型3Dシューティングゲーム|~|
|対応機種|Windows|~|
|メディア|CD-ROM|~|
|発売元|Microsoft|~|
|開発元|Terratools|~|
|発売日|海外版:1998年7月31日&br()日本版:1998年10月9日|~|
|定価|7,800円(日本版)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
----
#contents(fromhere)
----
**概要
-マイクロソフトが発売した戦略型3Dシューティングゲーム。
--RTSと3DSTGを足して割ったようなゲーム内容。
--戦略性とアクション性の両方が高い。
-1人プレイを行う「シングルプレイヤー」以外に、ネットワークを利用した最大4人の対戦モードである「マルチプレイヤー」にも対応している。

**ストーリー
「人類最大の過ち」と呼ばれる環境破壊によって、海は干上がり、大気は放射能で汚染された地球が舞台。
生き残った人類は、ビームゲートを使ったドームシティーでの生活を余儀なくされている。

科学者達は、何もない所から実体を持つ構造物を作り出す技術を開発した。
これは兵器に応用され、思想の違いから対立し合う人類の戦争に利用されることとなってしまった。
各勢力は''「ホストステーション(以下「HS」)」''と呼ばれる空中浮遊要塞にこの技術を投入し、人類同士の戦争に明け暮れていた。

さらに追い打ちをかけるように、複数の地球外生命体が地球を自分達のものにするために侵略を開始した。
その内の「マイコニア」は、地球の核からエネルギーを吸収する兵器「パラサイト」を地表に設置。
これにより、磁場に異常が発生し、地球の生命維持が不可能な状態へと陥りつつあった。

人類勢力の一つ「レジスタンス」は、7つのHSを構築するのと同時に、神経系の反応時間と神経組織に基づいて、7人の「SDU(シナプスドナーユニット)」を選出。
彼らにはHSを操縦する司令官として、これと一体化するため手術が施された。
しかし、レジスタンスは敗走を重ね、6人のSDUは戦死してしまう。
プレイヤーは最後のSDUである「SDU7」として、人類存続のために敵勢力を殲滅し、パラサイトを破壊する任務を敢行することとなる。

**特徴
***ゲームモード
****シングルプレイヤー
-レジスタンスの司令官として数々の戦場を戦い抜き、最終ミッション「パラサイトシティー」を目指してクリアすることが目的のモード。
-舞台となるのはヨーロッパ全土、北アフリカ、西アジア。
--マップから未クリアの地域を選択し、ミッションに挑む。
--クリアするとその地域は青色で表示される。
---再訪しても同じミッションを行うことはできない。
---残った敵を全滅させたり、取り忘れたテクノロジーアップグレードを回収することはできる。
--ミッションの進め方はプレイヤーの自由。全てのミッションをクリアすることも、必要最小限で最終ミッションを目指すこともできる。
-地域を選択するとミッションのブリーフィングが始まり、戦況説明が行われる。戦闘地域のマップには、各勢力の初期配置のHS及びマシン、キーセクタ、ビームゲート、テクノロジーアップグレードが表示される。
-ミッションクリアの条件は、マップ上に設置されているビームゲートを作動させ、そこにHSをテレポートさせること。
--ビームゲート作動には、全てのキーセクタを作動させる必要がある。
--敵勢力は必ずしも全滅させる必要はない。
****マルチプレイヤー
-最大4人で対戦を行うモード。自軍以外の勢力を全滅させるのが目的。
-選択できる勢力はレジスタンス、ゴアカフ、ターカスト、マイコニアの4つ。
--どの勢力を使えるかはマップ毎に決まっている。
--勢力を重複して選択することはできない。
-接続は以下の4種類から選択する。
--IPX
--インターネットTCP/IP
--モデム
--シリアル

***基本ルール
****ミッション内容
-ミッションが開始されると自軍HSの視点から始まる。
-プレイヤーは目的を達成するため、主に以下の要素を活用していかなければならない。
--HSのエネルギー管理
--マシン・施設の作成
--部隊の編成
--部隊への指揮
--マシンの直接操作
-敵軍は自分以外の勢力を全滅させるため、常にマシンを作成しつつ、敵対勢力に攻撃を加えてくる。
--ミッション内に登場する勢力間に同盟は存在しない。全てが敵同士となっている。
--プレイヤー軍に対する攻撃は勿論、敵軍同士で戦闘が行われることもある。
****マップ(フィールド上の要素)
-セクタ
--マップを正方形に細かく区切った領域。
--基本的にマップ上では各マシンの周囲1セクタの様子しか見ることができない。
--各勢力はミッション開始時に決められた位置・数のセクタを予め占領している。
--セクタの占領は、マシンによる攻撃でそのセクタの地面や構造物を撃つことで行う。
--セクタを占領すると、マップ上に各勢力に対応した色の枠が表示される。
--占領したセクタはマシンによる索敵なしで監視することが可能。マシンの位置やそのセクタの構造物が常に表示される。
-キーセクタ
--マップ上で、赤い三角が四隅に表示されているセクタ。
--これらを全て占領するとビームゲートが作動する。
-ビームゲート
--次の地域へ進むことができるワープ施設。
--マップ上には下向きの大きな青矢印で表示される。
--ビームゲートと全てのキーセクタを占領することで作動する。
--ここへHSをテレポートさせると自動的にワープ機能が作動し、ミッションクリア。
--HSテレポート前に決められたコスト分のマシンをここへ移動させておけば、次の地域にそれらのマシンを一緒にワープさせられる。
--ビームゲートは決して破壊されることはない。
-テクノロジーアップグレード
--占領すると新しいマシン・施設を作成可能になったり、既存のマシンが強化されたりする施設が存在するセクタ。
--マップ上にはΣマークで表示される。
--一度占領に成功すれば、奪取されても作成機能に影響は出ない。
-パワーステーション(以下「PS」)
--施設の効果・役割については後述する。
--マップ上には稲妻マークで表示される。
-スタッドソン爆弾・スタッドソントリガ
--カウントダウンが0になると爆発し、フィールド上のあらゆるマシン・施設を完全に破壊する兵器。及びそのカウントダウン施設。
--マップ上には黄と黒の縞模様の枠で表示される。
--特定のミッションにのみ予め設置されている。作成、破壊は不可能。
--一つの勢力が全てのスタッドソン施設を占領するとカウントダウンが始まる。
--スタッドソン施設が一つでも他の勢力に占領されるとタイマーが停止する。
--他の勢力に全て占領された場合、タイマーがリセットされてからカウントダウンが始まる。
--起爆時に占領していた勢力のHSとマシンは破壊されずに残る。
****ホストステーション
-各勢力の中枢となる空中浮遊要塞。
-攻撃を受けてライフエネルギーを0にされると破壊となる。この時、その勢力の全てのマシンが消滅し、セクタはそのHSを破壊した勢力のものになる。
--自軍HSが破壊されるとゲームオーバー。ミッションの再スタート、途中セーブからの開始、別ミッションの選択のいずれかを選択する。
--ミッションによっては1つの敵軍が複数のHSを保有していることがある。この場合は、全てのHSを破壊することでセクタを奪える。
-戦闘に使用するマシンや施設を作成する能力を持つ。
--各マシン・施設毎に、作成に必要なコストが決まっている。
--作成するとその分だけマシン・施設作成エネルギーを消費する。
-移動はテレポートで行う。
--移動可能な距離はテレポートエネルギーの残りで決まる。距離に比例してエネルギーが消費される。
--ただし、占領中のPS上であれば、距離がどれ程離れていても一切エネルギーを消費せずにテレポート可能。
--シングルプレイヤーの敵HSはテレポートではなく、飛行によって移動する。
-PSを占領していれば、発電によって各種エネルギーを回復できる。
--発電量はPSのレベル、占領PS数、PSまでの距離、占領セクタ数で決まる。
--3つのエネルギーに差があると、多いものが少ないものを補填し、全て均等になる。
--プレイヤーの判断で、それぞれのエネルギーの分配の停止・再開ができる。
-HSは複数の砲台を持っており、これによって自衛が可能。
--プレイヤーが操作していない砲台は、敵が接近すると自動的に攻撃する。
****マシン
-HSから作り出される兵器。戦闘はこれによって行われる。
-作成されると、プレイヤーが操作していないものは指令に従って自動的に行動する。
-各マシンには、それぞれで決められた武器、HP、装甲、移動力が設定されている。
-HPは攻撃を受ける以外に、攻撃する、敵PSに近付くことで徐々に減少する。
-破壊されると、その場にプラズマを残したまま消滅する。
--プラズマに接触したマシンは、HPを回復できる。
--プラズマは時間経過と共に小さくなり、最終的に消滅する。
-仮想プレゼンスモード
--プレイヤーが直接マシンを操作するモード。
--画面上のマシン、マップ上のマシンアイコン、部隊マネージャのマシンアイコンをダブルクリックすることで切り替わる。
--切り替えを行うとそのマシンの視点になる。画面上には武器照準、マシンステータス、レーダーが表示される。
--操作対象がリーダーマシンかそうでないかで、異なった戦術を取れる。
---リーダーの場合、部隊全体が行動を共にして戦う。
---非リーダーの場合、プレイヤーは部隊とは独立して行動ができる。任意のタイミングで自身がリーダーになることもできる。
--操作中のマシンが破壊されると、任意のタイミングで次のマシンに操作を切り替えられる。
--仮想プレゼンスモードはいつでも解除できる。解除するとHSの視点に戻る。
--プレイヤー操作中はマシンの性能が飛躍的に向上するだけでなく、CPUでは決して取れない戦術を駆使して戦うことができる。
****部隊マネージャ(部隊操作)
-作成したマシンの部隊編成を行うウィンドウ。
-マシン作成時に連続で作成することで、1つの部隊を編成できる。
-既存の部隊を選択して、それに追加する形でマシンを作成することもできる。
-マシン作成後もマウスドラッグを使って細かく編成し直すことも可能。
-マネージャの左端にいるマシンアイコンがリーダーマシン。
--部隊内の他のマシンは、基本的にこのリーダーマシンに追従するように行動する。
--リーダーマシンが破壊されると、部隊内の残ったマシンのいずれかがリーダーを引き継ぐ。
-画面内の地形や敵HS及びマシン、マップ上のセクタや敵アイコンをクリックすると、それを目的地あるいは破壊目標に設定できる。
--選択中の部隊はこの目的地ないし破壊目標へ向かって行動する。
--選択されたセクタは部隊によって自動的に占領される。
--一直線で向かわせることも、複数の通過地点を指定して移動させることもできる。
---通過地点の指定は、敵の防衛ラインを迂回させて目的地へ向かわせるのに有効。
---地上マシンは障害物を越えられないため、目的地までの直線上に崖や施設があると自動的に通過地点が指定される。
-部隊に下せる指令は以下の5種類。
--撤退:HSへ強制的に帰還する。部隊全滅間近になると自動的にこの指令になる。
--直進:目的地へ直行、または破壊目標のみを攻撃対象にする。道中の敵は無視する。
--交戦:基本指令。会敵すると破壊するまでその敵と戦い続ける。
--占領:敵と交戦するのみならず、道中の全てのセクタを占領していく。
--殲滅:敵との交戦に加え、対象のセクタに存在するあらゆる施設を破壊する。決して撤退しない。

***登場勢力
****&color(#3d85c6){レジスタンス}
-シングルプレイヤーでプレイヤーが所属する勢力。イメージカラーは青。
-「人類最大の過ち」後に唯一生き残った民主的自由主義集団。
-7つ存在したHSは現在1つしか残っておらず、プレイヤーであるSDU7が最後の希望となっている。
-マシンの種類は全勢力中最多。数が揃うことで、あらゆる敵・状況に対応できるようになる。
****&color(#cc0000){ゴアカフ}
-敵勢力の一つ。マルチプレイヤーで使用可能。イメージカラーは赤。
-「人類最大の過ち」後にユーラシアに出現した全体主義的軍国主義集団。
-レジスタンスは彼らを排除するためにマイコニアに情報を流したことがあり、これが原因で関係修復は不可能になっている。
-レジスタンスと似たようなマシンを備えており、種類が多い。唯一2種類のHSを持つ。
****&color(#bf9000){ターカスト}
-敵勢力の一つ。マルチプレイヤーで使用可能。イメージカラーは黄。
-古くからの狂信的懐古主義カルト教団。電子工学に否定的で、超自然的な技術を利用した兵器を開発している。
-彼らはレジスタンスなどの勢力が「人類最大の過ち」を引き起こしたと主張している。
-移動速度が低い代わりに、非常に厚い装甲を持ったマシンで構成されている。
****&color(#999999){マイコニア}
-敵勢力の一つ。マルチプレイヤーで使用可能。イメージカラーは白。
-人類の言語をも理解できる程の高度な知能を有する、地球外の知的生命体が率いている。
-エネルギー抽出兵器「パラサイト」を地表に設置して人類を抹殺、地球を手に入れようとしている。
-マシンは威力と移動速度に優れているが、装甲の薄さが弱点。
****&color(#38761d){スルゴガー}
-敵勢力の一つ。プレイヤーは使用不可能。イメージカラーは緑。
-植物に似た性質を持った地球外生命体。遺伝子操作やクローンを用いて戦闘マシンを作成する。
-地球を自分達の繁殖地にするために侵略を行っている。人類は彼らにとっての肥料に過ぎない。
-マシンの種類は少ないが、何らかの能力に極めて特化しているのが特徴。施設を作成できない。
****&color(#000000){ブラックセクト}
-説明書やヘルプに記載されていない隠し敵勢力。プレイヤーは使用不可能。イメージカラーは黒。
-正体不明の勢力とされているが、ミッションを進めることで、歴史の影から地球を支配しようとしていた人類であることが判明する。
-マシンは全て他勢力からの略奪品。特にHSはSDU7へ支給される予定だったレジスタンスの新型HSである。
-全勢力中最強の戦闘力を持つ。全マシンを使えるだけでなく、ステルス性能をも備えており、レーダーに索敵されない。

***マシン・施設の種類
****マシン
-戦車
--威力と装甲に優れた地上マシン。
--施設やHSに対して有効。元々の威力が高いので、低耐久のマシンにとっても脅威となる。
--簡単には破壊されないため、力押しで相手を圧倒できるのが強み。
--移動速度が低いため、遠征には不向き。敵HS攻撃に使うならば、自軍HSのテレポートを有効に活用する必要がある。
-対空戦車
--対空攻撃に特化した能力を持つ地上マシン。
--戦車と異なって装甲が薄く、どのマシンにも破壊されやすいのが弱点。
--その代わり、コストの低さ、移動速度の高さ、攻撃の当てやすさのおかげで、運用がしやすく汎用性が高い。
--対空戦車を作成可能なのはレジスタンスのみ。ゴアカフには限りなくこれに近い戦車が存在する。
-ヘリコプター
--ホバリングで飛行し、機首を前後どちらかに傾けることで移動を行う空中マシン。
--あらゆる方向に機首を向けられるため、他のマシンの死角になりやすい真上・真下にも攻撃ができる。
--共通している特徴は戦車に対して有効であること。地上攻撃が得意。
--コストや性能は各ヘリで大きくばらつきがある。
-戦闘機
--対空攻撃能力と移動速度に優れる空中マシン。
--他の空中マシンを圧倒できる性能を持っており、ヘリ、爆撃機にとっては天敵。
--優れた移動速度のおかげで、素早く敵の施設を破壊したい時にも役立ち、汎用性が高い。
--戦車、HSには微々たるダメージしか与えられない。
-爆撃機
--爆弾を投下することで地上を攻撃する空中マシン。
--戦車に対して有効。高高度を飛行した状態でも攻撃可能なため、地上マシンにとっては手を出し辛い相手。
--真下へ爆弾を投下するという特性上、プレイヤーが爆弾を当てるのが難しい。そのため、CPUに任せた方が有効活用できる珍しいマシン。
--CPUは敵が空中マシンであっても攻撃を行う。強引に上に覆いかぶさって撃墜することもある。
-特殊兵器
--施設やHSへの攻撃に特化したマシン。
--地上マシンか空中マシンかはそれぞれで異なる。
--対HS戦における決戦兵器に成り得る性能を有しており、上手く活用すれば戦況を翻すことも可能。
--高コストだったり一部の性能が極端に低かったりと、運用しやすいマシンではない。
-偵察衛星
--偵察専用の空中マシン。
--非常に広い索敵範囲を持っており、各勢力にとっての目になってくれる。
--移動速度は全マシン中最速。移動していればまず敵の攻撃が当たることはない。遠方での偵察も苦にしない。
--非武装で装甲は非常に脆い。
****施設
-パワーステーション
--HSの各種エネルギーやマシンのHPを回復させられる発電施設。
--既存のPSを占領するか新たに作成することで発電が開始される。
--発電量の上限は設置されているPS、作成したPSのレベルで異なる。
--占領セクタ数が多ければ多いほど発電量が増える。
--HSをPSに近付けるほど発電量が大きくなる。
--PSを多く占領・作成すると、発電に必要なセクタ数が増える。場合によってはPSの数が少ない方が発電効率が良いことも。
--敵が自軍PSの近くにいて、なおかつ自軍セクタ内にいると、徐々にHPを減らすことができる。逆も然り。
-フラクステーション
--強力な迎撃攻撃が可能な防衛施設。
--敵が近付くと自動的に攻撃を開始する。
--他のマシンのようにプレイヤーが直接操作することも可能。
-レーダーステーション
--極めて広い範囲を索敵可能な監視施設。
--レベルが高いとさらに索敵範囲が広くなる。

**評価点
***ゲームシステム
-「軍隊全体を統率する司令官」と「前線で戦う兵士」の両方の役割を担えるゲームコンセプト。
--前者はRTS、後者はSTGやACTで一般的なものだが、この両方を兼ね備えたゲームは珍しく、独自性の強い作品に仕上がっている。
--指令と戦闘を同時にこなさなければならないのは大変だが、これができるようになった時の達成感・爽快感は大きい。
--「仮想プレゼンスモード」は本作最大の醍醐味であり、プレイヤーがマシンに乗って戦うことで戦況を大きく変えられる。
-本作の根幹を成す「ホストステーション」という高性能な要塞の存在。
--HSは電力やエネルギーが許す限り、いくらでも多くのマシン・施設を作成していける。
--たとえ手持ちのマシンが全滅したとしても新しく作り直せるため、戦いの駒を失っても大きな損失には繋がらない。
--HSは移動ができるので、単なる陣地の範疇を超えた運用が可能。
-リアルタイムで進んでいく戦闘。
--ミッションが開始されると敵勢力はすぐに行動を開始し、独自の戦いを展開していく。
--プレイヤーには相手に合わせた、あるいは相手を先読みした戦いが求められる。
--常にどこかで敵や味方のCPUが何らかの行動や局地的な戦闘を行っているので、「生きた戦場」を体感しやすい。
-索敵が必要不可欠なシステム。
--索敵を怠っていると敵の動きが思うように分からず、苦戦の原因となる。
--このため、一定の緊張感を生んでおり、ミッション遂行のやりがいを高めている。
--索敵が適切ならば、部隊への指揮などを円滑に行える。
--ちなみに、索敵手段は容易に確保できる。
-多数の勢力が入り乱れる戦場。
--本作に登場する勢力は全てが敵同士なので、1対1の戦闘にはない混沌とした戦闘を楽しめる。
--単に並み居る敵を倒していく以外に、敵を誘い込んでもう一方の敵と会わせ、戦闘を誘発させることもできる。
--最終ミッション「パラサイトシティー」では全6勢力が一堂に会し、三つ巴ならぬ''六つ巴''の激戦が繰り広げられる。
--デブリーフィングではミッションでの戦闘の様子を確認でき、如何に激しい戦闘が行われていたかが一目瞭然となる。

***ゲームバランス
-難しいが決して理不尽な内容ではない。
--「難しい」と思い込みやすいのは、攻略の上で覚えることが多いから。ルールをしっかり把握し、独自のシステムに慣れるまでが勝負のゲームである。
--明らかに調整ミスの敵配置、目立ったバグ((WindowsのOS(特に新しいもの)によっては、ヘリのAIが正しく機能しないバグが発生する。パッチを当てる、ドライバー設定をプライマリディスプレイドライバーに変更することで解決可能。))、勝敗に直結するような運要素の強さというものがない。頑張れば最後まで辿り着ける内容となっている。
--ゲーム全体を通してペナルティ要素が極力排されている。プレイヤーを不利にして意欲を削ぐことがない。
--きちんとテクノロジーアップグレードを回収していけば、どのミッションでもクリアの余地が生まれてくる。
-プレイヤーが使用できる勢力・マシンの中には、過度にゲームバランスを壊すものがない。
--多少の能力差やいくつかの全く役に立たないマシンはあるものの、分かりやすいバランスブレイカーは存在しない。
--対人戦では猛威を振るうと思われる一部の強力なマシンには使用不可能措置が取られている。
-ミッション中はいつでも途中セーブが可能。
--本作ではミッションクリアまで数十分かかる長期戦になりやすいため、セーブの有用性が非常に高い。
--危険な作戦行動を取る前などにセーブすることで、自分の満足のいく結果を残すまでやり直しが可能。

***自由度
-どのような戦術を駆使してミッションをクリアしていくかは、完全にプレイヤーの自由。
--安全重視か効率重視か、マシンに関して実用重視かロマン重視か、物量戦か少数精鋭の隠密作戦か、敵HSを討ち取るか他の敵に任せて漁夫の利を狙うかなどは、プレイヤーの判断に委ねられる。
--プレイヤーの戦術を強制・制限する要素はない。思い思いの戦術を取れる。
-フィールド上の各種施設及び建造物はほぼ全て破壊可能。
--区切りが付いたら強力なマシンを持ち出して高層ビルを壊しまくるという遊びもできる。
--建造物にはただ壊す以外に、遮蔽物にして敵の攻撃をやり過ごすなどの有効活用法がある。

***登場兵器
-実に多種多様な戦闘兵器を操作可能。
--操作の違いを大きく分けると、車両、ヘリ、航空機となる。
--マシンの種類が違えば戦い方が大きく変わるため、新鮮さを感じやすい。
--あるマシンでは苦戦していたが、別のマシンに切り替えたら楽に攻略出来たということが良くあり、マシンの使い分けが重要となっている。
--レジスタンスは一通り全種類のマシンを揃えており、幅広いプレイスタイルに対応している。
-各勢力毎にマシンの特色がある程度決まっており、それぞれで個性が強い。
--このため、相手にする勢力毎に有利あるいは不利な戦術がある。
--マルチプレイヤーで敵勢力を使えば、レジスタンスにはなかった新たな楽しみ・戦術を見つけられる。

***サウンド
-戦闘中は常にAIがプレイヤーを補助してくれる。
--マップや部隊マネージャを確認しなくても、アナウンスでHSや各部隊の状況がすぐに分かる。
--HSが危険な状態に晒されると素早くそのことを教えてくれるので、マシン操作に夢中になってHSの防衛を忘れることは起きにくい。
--HSのAIとマシンのAIは別のものだったり、各状況毎に様々なアナウンスのパターンが用意されていたりと、芸が細かい。
-効果音の演出が凝っている。
--発射音や着弾音は、各武器で大きく異なっている。
--効果音にはドップラー効果がかかる。高速度なマシンを使っていると分かりやすく、臨場感がある。

***ストーリー
-ブリーフィングでは単に作戦説明が行われるだけでなく、本作の世界観も同時に知ることができる。
--この世界を生きる人類や兵士の発言なども紹介され、作品世界に深く入り込める。
--各勢力の目的や思想、他勢力間との関係なども、ミッションを進めていくことで明らかとなっていく。
--ブリーフィングを読むのも本作の楽しみの一つ。
-どのフィールドも荒廃しきっており、本作の世界観が分かりやすく描写されている。
--ローポリゴンが働いて、退廃的な作風が上手く表現されている。
--フィールドは都市、山脈、郊外の住宅街、荒地、マイコニアの兵器のケーブルが蔓延る領域など多岐に亘っている。

**問題点
***難易度
-プレイヤーに求められるものが多く、敷居が高い。
--操作が複雑。
---キーボードとマウスをフルに活用する。常に忙しなく両手を動かし、操作を適宜切り替えていかなければならない。
---各マシンで操作方法が大きく異なり、それぞれで別々の操作感覚を身に付ける必要がある。
---ジョイスティックを使えば、マシンの操作性を上げることができる。その代わり、今度はキーボード、マウス、ジョイスティックの3つの機器を同時操作しなければならなくなる。
--ルールが複雑。
---マップやマネージャの使い方、部隊の指揮方法、各種マシンの特性や相性、セクタの性質、フィールド上要素の特性など、覚えることは多岐に亘る。
---特に、PS絡みのルールはかなり複雑に入り組んでいる上に攻略に必要不可欠な存在なので厄介。
-自由度が高いことは裏を返せば、何をすればいいのかが分かりにくいことに繋がる。
--ミッションの全容が分からない内は適切な戦術を取れず、敗北を繰り返しやすい。
--フィールドの広さ、地形の複雑さなどは各ミッションで大きく異なるため、様々な戦術を駆使する高い戦略性が求められる。
-頭脳プレイのみならず、高いアドリブ力が必要。
--HSが襲撃されている時や敵にスタッドソン爆弾を起動させられた時などは特にプレイヤーの冷静さを試される。
--現在進行形で危険な状態だと、焦りから適切に操作するのが難しくなる。

***スルゴガーの扱い
-スルゴガーは公式側で紹介されている5勢力の内、唯一使用できない。
--施設を作成できないのが最大の原因と思われる。
--また、マシンの種類が少ないため、多様性と面白みに欠けている。
-シングルプレイヤーでの登場回数は全6勢力中最も少ない。
--隠し勢力のブラックセクトにさえ劣っている。
--進め方によっては、ブラックセクトより後に登場することもある。
--「パラサイトシティー」にも登場するが、大抵レジスタンスが交戦する前にマイコニアかブラックセクトに壊滅させられていることが多い。
-地球外勢力の内の一つでありながら、その脅威が伝わりにくい。
--「パラサイト」というストーリーに直接関わってくる要素が存在するマイコニアに比べて、強敵という印象が残りにくい。
--さらなる強敵のブラックセクトの登場で、影が薄くなりがち。

**改造について
-本作は非常に改造がしやすい。メモ帳などでデータを書き換えるだけで可能。
--マシンの性能の向上であれば、数値を変更するだけで完了する。
--シングルプレイヤーでレジスタンス以外の勢力のマシンを使用可能。スルゴガーも含む。
--既存のマシン・施設を組み合わせて自作もできる。
--フィールドの改造も可能。
--改造によって新たな楽しみも生み出せるため、結果的にゲームの寿命の延長に繋がっている。
-言うまでもないが、''改造は非公式な遊び方であるので、もし行うなら自己責任で行うこと。''
--データ破損を防ぐため、バックアップはほぼ必須。
--''対人戦で改造データは絶対に使わないように。''

**総評
メジャーな作品とは言い難いが、プレイヤーからの評価は全体的に高く、「知る人ぞ知る名作」「隠れた良作」としての地位を確立させているゲーム。~
ハードルが高い代わりにできることが多いため、自由度は非常に高く、クリアした時の達成感は大きい。~
RTSと3DSTGを合わせたようなゲーム内容や、「ホストステーション」を中核とした戦闘システムは、本作独自の個性となっている。~
元々十分なボリュームを持っているが、改造を行えばまた違った面白さを発見できる。興味を持った人ならば、末永く遊び続けられる作品と言える。