PRINCESS WALTZ
【ぷりんせす わるつ】
ジャンル
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AVG+SLG
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対応機種
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Windows98/Me/2000/XP
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発売・開発元
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PULLTOP(ウィル)
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発売日
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2006年4月28日
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定価
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8,800円(税別)
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レーティング
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アダルトゲーム
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廉価版
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2014年7月11日/FFP:3,780円
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配信
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2018年8月31日/3,780円
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判定
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なし
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ポイント
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魅力的なキャラ設定と舞台設定 後半の展開が大問題
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概要
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株式会社ウィルプラスのブランドの一つ「PULLTOP」の5作目。(『夏少女 サマーディスク』は除いてカウント)
あらすじ
時は現代、所は日本。
平凡に暮らしていた主人公『深森 新』の前に、一人の金髪の少年が現れる。
少年の名は『クリス=ノースフィールド』。「七央城の王子だ」と彼は言った。
運命か偶然か。クリスの指輪をはめてしまった新は、彼と行動を共にすることになる。
クリスの周りに集い来るは、いずれ劣らぬ美しさを持つ姫君たち。
きらびやかなドレスに身を包んだ姫君たちは、驚く新のことなどお構いなしに、苛烈に、華麗に、戦闘を開始する。
それは、『プリンセスワルツ』。
立った一人の王子を巡る、世界で一番華やかな戦い───
(パッケージ裏より引用)
特徴
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他のアダルトゲームの例に漏れずノベル形式である。
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しかし物語内での戦闘シーンの多くはカードバトル形式であり、負けると基本的にそのままゲームオーバーとなる。
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カードバトル詳細
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1ターン内2ラウンド制で1ラウンド目に競り勝った側が2ラウンド目に攻撃権を得るという形。
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攻防結果は三竦みとなっている『斬』『突』『薙』のカードの相性と、数値の合計値によるもので決まる。また、色々なスキルもある。
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敵を早く倒すほど、また大きなダメージで止めを刺すほど大きな経験値が貰える。これを使って自分を強化していく。
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取得した経験値を元に、自分でステ―テスやスキルを割り振りして強化する仕組み。
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『第一部』と『第二部』に分かれており、ルート分岐があるのは『二部』の終盤のみ。
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部の中では『○話』と分けられて進んでいくが、戦闘中に減る体力が回復するのはあくまで『日付』が進む毎である。
評価点
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魅力的なキャラ
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あくまでクリスがメインヒロインという扱いだが、それ以外の各ヒロインもそれぞれ特徴やバックボーンがしっかり描かれていて作品に引き込まれやすい。
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姫達は姫らしい独特な衣装を身にまとい見た目も華やかで、内面も非常に誇り高い。
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主人公は取り乱す場面や、力不足のまま頑張ろうとして邪魔になるような場面も多いが、頑張りもので男前な部分もちゃんと描かれている。
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姫達が戦い合う殺伐とした舞台設定
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戦うヒロインものというのは珍しくないが、ヒロイン同士でしかもほぼ全員がここまでストレートに戦い合う作品は珍しい。
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流石に日常場面でも殺伐としているわけではない…が、設定が設定だけにこの時点から策謀が張りめぐらされていたりもする。
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ADVでも戦闘描写は描かれており、これも熱いものになっている。特にアンジェラ対リリアーナ戦はこれはラストバトルか? と思える程に熾烈なものになっている。
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キャラクターの描写以外にもかなり多くの伏線や設定があり、ユーザーを飽きさせない工夫が為されている。
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BGMは絢爛さを象徴するようなものから戦闘シーンまで、独特な世界観に合わせた良い曲が揃っていて場を盛り上げている。
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カードバトルの演出
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互いの出したカードが衝突し競り負けた方のカードが弾け飛ぶ、攻撃時にキャラクターのカットインと共にエフェクトが飛び交う。
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更に自身のHPが危険域に達すると台詞が入り、以降は苦しそうに息をつくボイスが入り続けるなど、盛り上げ方は上手い。
賛否両論点
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カードバトルは雑魚キャラである『ガードナー』(モンスターのようなもの)との戦いが主であり、華やかさにかけるせいで面倒くさい印象が強い。
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ただこの戦闘があるので、成長要素に色々な余地が生まれている必要悪の面もある。
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現実世界側に立ち絵付きのキャラが結構居るのだが、導入部以外にはほとんど存在意義があるのか? という状態。後半はのどか以外出番は無い。
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要するに異世界のエルディラントの話ばかりがメインで、現実世界の扱いはかなり軽い。大体がモブキャラなので問題無いと言えば問題無いが。
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一応日常場面や戦いの舞台はほとんどが現実世界(似た様な世界やら、結界が張られているやらの説明はされているが)である。
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ネタバレ(クリックで開閉)
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モブキャラの存在意義は変身系ヒロインでもある、金田理子の存在を木を隠すなら森のように隠ぺいするためとも言える。恐らくこれが一番大きい。
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モブキャラの内でものどかだけは主人公に近しい存在だが、あまり存在意義はない。
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要所要所で少女向け童話ちっくなナレーションが入っている為、恐らく『普通の少女』(読み手)の象徴的な存在なのだと思われるが…。EDの後日談は彼女の視点で描かれる。
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問題点
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カードバトルが苦手だとゲーム進行が面倒くさい。
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イージーモードもあるが戦闘をスキップ出来る訳ではなく、取得経験値も減るので特に初回では選択し辛い。
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前半で戦う事になる竜の姫アンジェラとの戦いは、知っておかないとかなりの苦戦を強いられる。
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あるガードナーとの戦いから日付を跨がず実質的な連戦であり、アンジェラの得意属性もこちらにとって相性が悪い。正に序盤の壁。
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一応カードバトルが入る毎にセーブするかの選択肢が出るため、ちゃんとデータを取っておけば前の戦いから出直す事もできるのが救いと言えば救いか。
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ストーリーのネタバレ(クリックで開閉)
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後半の大幅な失速。
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ゲームの第一部は姫同士が戦う熱い物語が展開される…のだが、その第一部が唐突な終わり方(正確には少し違うが、メインヒロインが死ぬ。)を見せる。
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第二部では伏線は十分張られていたのだが、それを考えても『黒幕』が唐突な現れ方をして(伏線の消化方法が良くない)、姫達が一丸となってそれに立ち向かうという展開になる。
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第二部にもカードバトルでの戦闘シーンはもちろんあるが、敵はワンパターンな上に第一部と比べると圧倒的に弱い。第二部は全く経験値を使わなくても楽勝で勝ち進めるほど。
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しかも黒幕との最終戦も無いままゲームは終わる。最後に戦う敵はたしかに頭一つ出た強さを持っているが、ターンが進めば自動的に勝つという有り様。
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戦闘シーンのクライマックスは第一部中盤のリーゼル戦であり、それ以降は見栄えもしなければ強くもない敵と戦い続ける作業的な戦闘シーンが続く。
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何だかんだで憎み切れないところのあるラスボスよりも、はるかにいらっとするキャラとは戦わない・決着をつけないまま終わる。
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一応悪役ではないみたいなことを匂わせているが、ユーザーからは「こいつうぜぇー」って思うこと請け合いなキャラなのでイライラする。
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EDが一つだけ。
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第二部終盤に『姫を選ぶ』形式の選択肢が登場する。そこで複数回選んだ姫と後に絆を深めあいHシーンに入るのだが、誰を選んでもエンディングにはほぼ影響しない。
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ED以外の違いも、各ヒロイン毎による能力の違いなどはあるが物語の違いは少なく実質一本道。周回する場合は作業感がとても強い。
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EDもラスボスを倒した後はかなりあっさりと終わりので、「これで終わったの?」とポカーンとしやすい。
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各ヒロインの扱いに関しても、主人公にとってはあくまでメインヒロインが一番であり、他の姫といくら親密になってもそれをはっきり公言している。
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ではメインヒロインが優遇されているかと思えばそれも微妙であり、第一部では最も登場する機会があり、Hもするのだが『これは恋愛か?』と言える雰囲気のまま。第二部に至ってはED直前まで登場はおろか台詞も無く、再会後はすぐEDになる。
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お互い大切な存在にはなっているが、最後まで恋愛的な描写は薄い。
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また、このメインヒロインは男装キャラであり、人気投票でも5位と好みが分かれるヒロインでもある。
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ただクリス票はイーリスへの票の分散が少なからずあると思われ、明らかに浮いているのは6位の清白(一人だけ超極太まゆげ・大人しそうに見えて攻撃方法が格闘・必殺技を出す時にヤ○ザの入れ墨みたいなのが浮かび上がる・本気の時の服装が姫っぽくない・クリスと旧知の仲で当初から慕っている(※女とは知らない)…などかなりのイロモノ)のみと言える。
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総評
類を見ない個性的なヒロインを揃えて、彼女達の描写なども申し分ないのだが、
肝心の恋愛展開は一切無く(Hシーンはクリスと2つ各ヒロイン1つずつ)、一本道なストーリーに加えてEDも非常にあっさり終わる。
戦闘シーンも華やかだった前半に対して後半はとにかく華がない…ボス達は中々ゴツいのだが前半のヒロイン達が頑張り過ぎたせいで相対的にしょぼく見える。
第一部に関しては決して悪くない出来のため、惜しい作品と言える。
余談
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2018年2月16日に発売された『PULLTOP 15th × 15タイトル プレミアムアニバーサリーパック』に本作及びOP曲を収録したCDが収録されている。
最終更新:2020年01月12日 01:23