けいさんゲーム 算数2年
【けいさんげーむ さんすうにねん】
ジャンル
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教育ソフト・アクション・スポーツ(ゴルフ)
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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320KbitROMカートリッジ
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発売元
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東京書籍
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発売日
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1986年4月25日
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定価
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4,900円(税別)
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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クソゲー
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ポイント
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物足りないが対戦要素がある分1年生や3年生よりはマシ 計算問題を解く方式は完全にドリル式 ファミコン反対な親も大歓迎!?でも子供は退屈
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けいさんゲームシリーズ 1年 / 2年 / 3年 / 4年 / 5・6年
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概要
1986年4月に東京書籍から発売されたファミリーコンピュータ用ロムカセットソフト。
タイトルにあるように小学校2年生レベルの算数要素を織り交ぜたゲーム。
だが実際の所はゲームというよりは教育用ツールの趣が濃い。
1年生用と3年生用とは同時発売で、この3本はいずれも元々T&EソフトがMSX用に開発していたが発売はされず、別の会社(非公表)がファミコン用として移植し、東京書籍から発売したもの。
なお、この当時の小学校2年生は昭和53(1978)年~昭和54(1979)年生まれ。
内容
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4つの種別で構成されており、「かけざん1」「かけざん2」は難易度(コース)が2段階ある。
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「たしざん・ひきざん2」以外はエンディングという概念はなく、エンドレスにスコアを稼いでいくのみのスタイル。
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セレクトを押しながらスタートを押すことでソフトリセットが可能。
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タイトルもかなり簡素な構成で、当時学校などで使われていた学習ドリルを彷彿とさせるデザイン。
ゲームモード
たしざん・ひきざん1
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迷路ゲームで、プレイヤーキャラは矢印で表される。
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迷路を十字ボタン操作で移動し、迷路のどこかにある宝を見つけると右上の出口が開き、そこから出ることでゴールとなり次のステージへ。
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移動中、モンスター(名前は「赤おに」)とランダムでエンカウントし、この時に計算問題が出される。
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「たしざん」「ひきざん」どちらでも、ゲームの流れは同じでこの時に出される問題が選んだ方の算術になる。
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得点は宝箱を見つけたときと、モンスターを倒した(計算問題を解いた)ときに50点。
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最初は8×8マスの狭いステージだが2ステージ分クリアすると縦長の8×16マスに、さらに2ステージクリアで16×16マスのフルサイズのステージになる。
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ただ外周は必ず壁なのでプレイフィールドとしては8×8なら6×6、8×16なら6×14、16×16なら14×14となる。
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体力ゲージ制で方向転換を含む移動でジワジワ減り、問題を間違うと大量に減る。
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2人プレイは交代形式でステージをクリアするか、モンスターとのバトルで負ける(計算問題を間違う)と交代。
たしざん・ひきざん2
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ペンギンくんというキャラを操作して行う簡素な9ホールのゴルフゲーム。
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画面左でカーソルが上下動しており、上の方で止めるほど強いショットが打てる。
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たしざんならば2打目以降にティグランドから進んだ距離が問題となる。
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具体的には打つ前の地点に、今のショットで進んだ距離のたしざんとなる。
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ひきざんならば、打球の着地点からカップまでの距離が問題となる。
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このため、ひきざんの方が1ホールあたり1問多く問題を解くことになる。
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どちらの問題も間違えると打つ前の地点に戻って打ち直しとなる(実質的な1ペナルティ)。また飛ばしすぎてグリーンオーバーした場合でも同様に打ち直しとなる。
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グリーンオンして問題を解く(チップイン含)と、そこでホールアウトとなり次のホールへ。チップインしなかった場合はパットで入れる(必ず入る)ため+1打となる。
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2P対戦ではピンから遠い方が打つというゴルフルールにのっとって行われる。
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ただしティショットは必ず1Pから打つ(本来のルールは前のホールでスコアの良い順)。
かけざん1
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かけざんの問題を解くごとにロボットのパーツが左足→右足→腰→胸→左腕→右腕→頭と作られて得点が50点ずつ入り、7問正解で頭が作られてロボット1機が完成し、同時にボーナス点の500点が入り体力が少し回復する。
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コース1は1つの段に限られ、コース2は1~9の中からどの段を使うか複合的に選択が可能。
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コース1はかける数が必ず1~9の順番、コース2はかける数がランダムに変化。
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体力ゲージ制で時間経過でジワジワ減り、ミスすると大量に減る。
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2人プレイの場合、解答を間違えるか、ロボットが1台完成すると交代となる。
かけざん2
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九九の表の特定箇所からモグラが出現し、その場所に該当する解答を出すことでモグラを叩く。
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モグラが出てくる箇所は黄色っぽくなっており(2P側のモグラが出る箇所は赤)、その中からモグラがランダムに出現する。
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問題に正解するとモグラを叩いて50点が入り、叩かれたモグラは輪っかがついて昇天する。その後は対象の穴に白で正解の数値が表示される。
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不正解ならば緑色で正解の数値が表示される。
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パーフェクトを達成するとボーナス点の500点が加算され体力が回復する。パーフェクトでないと体力はそのまま持ち越し。
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コース1は画面上部に問題が表示されるが、コース2はそれがされないので表だけを見て答えなければならない。
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このモードのみ2人プレイした場合、片方の体力ゲージが尽きた時点でゲームオーバーとなる。
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体力ゲージ制で時間経過でジワジワ減り、ミスすると大量に減る。
問題点
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「たしざん・ひきざん1」はゲームクリアーには計算力よりも運に左右されるところが大きいバランス。
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実際、動く(方向転換・前進)ほど体力が削られるため、宝箱が見つけられないとそれだけで相当消耗する。
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そして宝箱の位置はノーヒントなので、とりあえず総当たりで歩くしかない。運悪く遠い場所にあるとだいぶ消耗する。
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「たしざん・ひきざん1」の計算問題は1年生で習う内容になっている。
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1桁と2桁の数字でしか問題が出されず答えは100を超えない範囲に絞られている。
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一応、本作の発売時期の4月は2年生になったばかりであり復習も大事なことではあるが、1年生用と3年生用はこれから習う内容が出ることを考えると「2年生の算数」というタイトルに合っていない。
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「たしざん・ひきざん2」のゴルフゲームは必ず1Pが先に打つ。
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そのため2Pは1Pのショットを参考にできるので1Pが必ず不利な状況となり、公平性に欠ける。
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本来ゴルフは2番ホールからは前のホールでスコアの良かった順に打つものである。
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「かけざん1」は特にゲームらしくなく作業感が強い。
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問題を淡々と解くだけで画面上で行われるロボット組み立ては制限時間の演出でしかない。
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そのため、実質的には紙のドリルで計算を解かせているのと変わりがない。
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本作は全体的に対戦要素が強いのだがこれだけは1年生用と同じで単調すぎる印象が強い。
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「かけざん2」も「かけざん1」同様、問題を見て数字を入力して解くだけでただのドリルのような感覚でしかない。またモグラたたきのように見えて非常にテンポの悪さが目立つ。
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正解すると叩かれたモグラが天使になって飛んでいくのだが、これにかかる時間が長くて待たされるためポコポコとテンポ良く叩くモグラたたきのような感覚には程遠い。
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反対に答えを問題として提示して、その対象となる九九表を叩く方式にした方がモグラたたき感覚になったと思われる。
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実際2年生で習うかけざんは九九に限られ、基本まる暗記なので答えから問題を当てる方式でも問題なかったことだろう。
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「かけざん1」「かけざん2」は計算とゲーム概念の融合が1年生用以上にできていない。
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計算式自体が簡素なので仕方ない所もあるが、どちらかといえば問題を見たら「頭で計算式を解いてから紙に書く代わりに答えを取りにゲームする」という分離したような形で「計算を解きながらゲームを進める」「ゲームで計算の概念的なものを勉強する」ような感覚ではない。
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1年生用と同様に「計算の概念的なものを勉強する」部分は説明書に完全に依存している。
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しかも前述の通り出された問題を淡々と解いていくだけで答えも数字入力で、見た目のゲーム部分はただの演出にしかなっていない。
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一応「早解き」という「時間との戦い」はあるものの、とどのつまりドリルでしかない。
評価点
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対戦要素が色濃く2人プレイの特性はそれなりに活かせた作り。
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相対的にはなるが同時発売の1年生用と3年生用は単調なアクションゲームを繰り返してただ淡々とスコアを稼ぐだけ(更に1年生は完全に均一な得点)と中身の薄さが顕著で2人用も単なる交代プレイでしかないことを思えばゲーム内容はそれなりに充実している。
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4種類のゲームそれぞれに個性がしっかり出ている。
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1年生用と3年生用はアクション一辺倒だが、ゴルフや迷路ゲームなど異なるゲーム性が織り混ぜられている。
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特に「たしざん・ひきざん2」は実際のゴルフルールまで取り込まれており、飛距離が落ちるバンカーやグリーンオーバーを避ける必要があるなど初心者用の簡易ゴルフゲームとしてはそれなりによく出来ている。
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「かけざん」こそ前述の通り作業的だが、一応は「たしざん・ひきざん」とは別ジャンルなので1年生や3年生用のようなアクション一辺倒ではない。
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「たしざん・ひきざん2」は簡易的なゴルフゲームということで、その入門としても丁度良く感じられる。
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基本的にゴルフゲームは繊細なテクニックを必要とするような小学2年生にとっては難易度の高いものが多いため低年齢が楽しむには高い障壁があるが、それを手軽に楽しめる。
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ゴルフゲームは当時ファミコンでは無印の『ゴルフ』(任天堂)のみだったが、比較的シンプルに作られたそれでさえ小学校低学年にとってはかなり難しい。
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パーの定義こそないものの、大体1ホール平均4打程度でホールアウトできるぐらいなので、実際のゴルフに近いバランスになっている。
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学習的にも、2年生初期に習う1000までの数と、実際のゴルフのホールの距離がきれいにマッチしている。
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またこのモードはゲーム要素と計算の概念の融合が上手くできている。
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1年生用と同様に小気味良いサウンド。
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各ゲームに専用のBGM・ミュージックエフェクトが用意され、特に「たしざん・ひきざん1」のBGMは妙にノリが良い。
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ただし、「たしざん・ひきざん2」はプレイ中のBGMはなくティーショット時・ホールアウト時などのジングルのみ。
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実はROM内にこれ用に作られたと思われる未使用曲が眠っており、使われなかったのがもったいないと言われるほど印象的で良い曲となっている。
総評
1年生用や3年生用と比べればゲーム性の上で体力制となり差別化がなされた内容ではあるものの、やはりゲームそのものの内容は貧弱な感は否めず単調さが強いので、やはり同時期のファミコンソフトと比べると大きく見劣りする。
特に計算問題は全て自分で数字を入力するドリル同然な形になっており、さらに2年生で習うかけざんのゲームに関しては「1」はそれを繰り返すだけ、さらに「2」は見た目こそモグラたたきゲームでも実質演出だけ、しかもテンポが最悪と問題点は山積み。
2人用プレイは同じゲームをただ交代でプレイするだけという他学年用を思えば、対戦形式でプレイでき「たしざん・ひきざん2」に関しては入門版ゴルフゲームになっているなどマシな点はあるものの、トータルでは五十歩百歩。
その後の展開
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同年10月30日に『けいさんゲーム 算数4年』『けいさんゲーム 算数5・6年』が同時発売。
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これで小学校全学年分が揃うことになる。
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なおこの2本はHAL研究所によって開発されている。
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また、同シリーズ全作で、HAL研究所製のサウンドドライバーが使用されている。
余談
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1年生用では「算」「数」という漢字を習わないため1年生用では「さんすう」とひらがな表記になっているが、本作から上位学年用はすべて漢字で「算数」となっている。
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ただ「算」「数」という漢字は2年生で習うものだが発売された4月はまだ習っていない時期である。
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「たしざん・ひきざん2」のゴルフゲームで「画面外まで飛ばしてしまう」は言うなればOBである。
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一応1打がムダになるのでペナルティとして成り立って入るが実際のゴルフでOBは「1打付加された上で、元の場所から打ち直し」なので実質的に2打分失う。
最終更新:2025年08月16日 12:57