影の塔
【かげのとう】
ジャンル
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影謎解きアクション
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対応機種
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Wii
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発売・開発元
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ハドソン
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発売日
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2010年7月22日
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定価
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6,090円
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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影を使った異色の謎解きアクションゲーム 世界観や雰囲気等かなり好みが分かれる ラストの展開も謎が残る
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ストーリー
雲を見下ろすほどの高さの塔の最上階。
そこには一人の少年が浮かんでいた。
すると、塔の中から黒いコートを着た男が剣を携え現れ、少年から少し離れた所で立ち止まった。
フードに隠された男の目が赤く光ると、彼は手にした剣で少年に向かって斬りつけた。
剣は宙を切ったが、少年の体にある変化が起こった。
日の光に照らされて出来た少年の影だけが、その場に落ちたのだ。
そして男はその影を掴み、塔の外へと突き放した。
影だけとなり、何もかも無くなった少年を目覚めさせたのは、自分と同じ影だけの存在「クロアゲハ」。
少年はクロアゲハと共に自分のなくした記憶と実体を取り戻すため、塔へと向かう…
概要
影を使った異色の謎解きアクションゲーム。
キャッチコピーは「それでも僕は、登り続ける。」
特徴
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影と実体
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本作のキャラクターには実体がなく、誰もが行動できるのは物体の影の上だけである。
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つまり実体では進めないような場所でも、影が繋がっていれば進み続ける事が出来る。
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そして自分だけでは進めなくなった時には、Wiiリモコンを画面に向けるとクロアゲハを操作できる。
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実体の物をクロアゲハの力で動かせば影も動き、少年が進んで行ける。
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光と実体
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電球やライトがある場所に来るとスライダーが表示され、動かすと電球が動いて影の形を変えられる。
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これを利用すれば影の形自体を変えられたり、大きな影に隠れてしまっていた小さな影を出現させられる。
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敵と仕掛
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本作では敵も影しか存在せず、当然敵も影の上でしか行動できない。
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敵も影の変化を受けるので、影を動かしてトゲの上に落としたり、誘導してスイッチを作動させたり出来る。
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なお敵には目が赤い者と青い者が存在し、赤い者は少年の攻撃で倒せるが青い者は罠を使わないとダメージが通らない。
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記憶と体力
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時折紫色に光る「メモリー」が落ちており、取る事でストーリーやメッセージが語られ、且つ体力の最大値が増える。
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序盤はルート上に落ちている事も多いが、中盤以降は探さないと見つからなくなってくる。
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扉と回廊
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塔には影で出来た扉があり、触れると「影の回廊」へ飛ばされる。
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影の回廊は一種のパズルステージであり、基本回復ポイントがあるためまず力尽きる心配はないが、出口に辿り着かなければ扉は消えない。
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ここにはフィールド全体を回転させるギミックがあり、これによって柱が階段になったり、トゲが影に隠れたりする。
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少年と光
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中盤で少年は光の体を手に入れ、実体の世界と影の世界を行き来出来るようになる。
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ただし光の体は脆く、光が溢れている紋章にこまめに立たないとすぐに影の世界へ戻されてしまう。
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少年と影
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塔の途中、巨大な影の塊に遭遇する事がある。
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少年の力では太刀打ち出来ないため、途中のスイッチを入れて強烈な光を浴びせて足止めしながら逃げなければならない。
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壁と目
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ステージによっては「影の壁」が存在し、解除するにはその階にある「監視する目」を3つ集める必要がある。
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主に影の壁の解除がこのゲームの基本と言える。
評価点
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斬新なゲーム性。
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「影を使って謎を解く」というシステムは他のゲームでも存在するが、それを1つのゲームに昇華したのは今作が初めてであろう。
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独特の世界観。
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薄暗く静かな雰囲気で『ICO』を連想した人も多いだろう。
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ゆったりとしたBGM。
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全体的にアンビエントや環境音を使っており、雰囲気によく合っている。gutevolkの主題歌「hinagiku」も好評。
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小倉宏昌氏によるパッケージ。
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細部まで書き込まれたそれは氏の才能が存分に発揮され、世界観を確立させている。
問題点
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影という事に由来する見づらさ。
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屋外では凹凸で自分の正確な位置が把握しにくく、屋内では暗い場所が多く危険。
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極端なバランス。
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最初に手に入る武器はリーチが異常に短く、まだ体力が少ない内から敵に近づかなくてはならないため初盤は難易度が高い。
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しかし中盤で新しい武器を手に入れるとリーチが一気に伸びる。
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敵が攻撃する構えを取っている時に攻撃すると弾かれて硬直するのだが、硬直してから攻撃をかわす方法が無い。
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よりによって最初に現れる蜘蛛は足も速ければ攻撃モーションも早く、おまけに攻撃の予備動作がほとんど無い。
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意味の無い難易度設定
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難易度を3段階から選べるのだが、敵の硬さが違うだけで他の変更点は一切ない。
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集め甲斐が無いメモリー。
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メモリーを取るとメッセージが語られるが、その多くが「かすれて読めない…」となっている。
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ストーリーを多くは語らない手法とはいえ、苦労して見つけたメモリーが読めないのは結構モチベーションが下がる。
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かなり広めのマップ。
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横スクロールアクションである以上単調にしないために一本道を避けたのは良いのだが、そのせいで偶然最初に選んだ道に「影の壁」があったりすると引き返すのが面倒。
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ネタバレ注意
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無事影の塊を倒した少年。だが力尽きてその場に倒れてしまう。
意識を失う寸前に見たのは、自分の実体を抱えたコートの男と、一緒に付いてくるクロアゲハだった。
そして目が覚めると、自分の体が元通りになっていた。ふと光が差し込んでくる方を見ると、巨大な扉が今まさに開こうとしている。
少年は、光に向かって歩いて行った…
(ここでスタッフロール)
2つの塔が写っており、視点がどんどん引いてゆく。そして、そこにあったのは幾つもの同じ塔だった。
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現在続編の情報などは無いため、このラストが何なのかは想像で補う他ない。
総評
その世界観や雰囲気故にかなり好みが分かれるゲームである。
だが荒削りながらも影を使った謎解きでゲームを作り上げた事実は十分評価に値するだろう。
最終更新:2021年02月05日 19:31