Hungry Ghosts
【はんぐりぃごーすと】
ジャンル
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アドベンチャー
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 高解像度で見る 裏を見る
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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発売日
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2003年7月31日
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定価
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6,800円(税込7,140円)
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判定
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なし
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ポイント
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右スティックを多用する独特な操作 ボスクラスの敵が非常にしぶとい
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概要
死後の世界に迷い込んだ主人公が、その後の運命を決める「最後の審判」を受けるために死者の村を探索する、通称「疑似死後世界体験アドベンチャー」。
魂のかけらを集めつつ、最終地点である“審判の門”を目指して進んでいく。
「最後の審判」の結果はたどり着くまでの行動によって決まり、それまでに取ったほとんどの行動が影響している。
特徴・評価点
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主人公の性別を選ぶことができ、男なら槍、女ならボウガンが得意。得意な武器は攻撃力に違いが出る。
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死後の世界というだけあって、雰囲気は最初から最後まで陰鬱としておりホラーテイスト溢れる。
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ステータスには「破壊欲」「物欲」「依存欲」の3種類の欲望があり、様々な行動で少しずつ上がっていく。
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例えば道中のモノを破壊したり敵を倒せば「破壊欲」が上がり、道具を手に入れると「物欲」が上がる。欲望の度合いによってクリア後の評価が変化する。
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本作は破壊可能なオブジェやその中にあるアイテムが非常に多く、アイテムを取りこぼさなければそうそうゲームオーバーにはならない。
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しかし、何も考えず取っていくとどんどん欲望が上がり、後述する高ランククリアでは大きな足枷となる。
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主観視点となっており、左スティックで基本移動、右スティックは主人公が手を使う動作全般で求められる独特な操作性。
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攻撃などはもちろん、道具の取得や扉を開けるときにも右スティックを使う。
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背景エフェクトには特徴があり、道具の使用で上書きすることが可能。
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血溜まりに足を踏み入れれば敵が出現するが、ここに水袋を投げ入れればただの水溜まりとなって安全に進める。
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油にマッチで火をつければ、近くのオブジェクトを燃やしたり暗くて見えない場所にあるアイテムを取れたりする。
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様々な場面で選択を求められる。
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アドベンチャーだから当然なのだが、本作は道具の取得やそれを見るかどうかすら選択を求められる。
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あらゆる行動で欲望が増え、重要アイテムである魂のかけらの取得に影響するため、選択することが非常に強調されている。
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右スティック操作時の緊張感。
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道具の取得や扉を開けたりする際には、右スティックを押しっぱなしにすることで手を伸ばして取れる。
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しかし時おりトラップがあり、途中で操作をやめることで手を引っ込め回避することができる。
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そのため敵が出てくる以外にも気が抜けず、本作の世界観の恐怖演出に一役買っている。
問題点
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上記の右スティックで手を伸ばす操作だが、慣れてくると煩わしいものになってくる。
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トラップが発動するのは基本ランダムなため連続でくることも。
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運が悪ければ、先に進むために扉を開けたいだけなのに何度もトラップが発動してイライラさせられることになる。
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キー設定がちぐはぐであり、操作性があまりよくない。
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左右に見るだけならば左スティックを左右に倒すだけでいいのだが、上下に見るためにはL1を押したまま上下に倒さないといけない。
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前後移動は左スティック上下に割り振られているためなのだが、横移動はR2とL2。
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雑魚戦はともかく、ボス戦ではこれら視点変更や移動を円滑に行えないとまともに戦えない。
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オプションでキー設定を変えることは可能。
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武器の種類が少ない。槍とボウガン、後はそれらのマイナーチェンジ版があるだけ。
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攻撃手段も少ない。槍なら通常の突く攻撃とタメ攻撃、連続突きがあるが攻撃範囲はどれも同じ。
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後は銃があるが隠し武器的扱いで、手に入るのは後半からなうえ面倒な手順を踏まなければならない。
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選択によりその後のルートが変わるというが、実際には大きく分けて2つのルートしかない。
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ルートは変わるが進むマップ構造はほとんど変わりばえせず、達成条件が多少変わるだけ。
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後はフラグが立っていないせいでイベントやルートがすっ飛ばされているに過ぎない。
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グラフィックの質はあまり高くない。
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人物の動きは少ない上ぎこちない、敵のうごきも緩慢。
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敵や人物のグラフィックに使い回しが多く、バリエーションも少ない。
難易度
ボスの強さ
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ゴーストが凶悪。
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ゴーストとは何度も戦うことになり、狭い場所だろうが出現する。
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こちらの動きはオブジェクトなどが邪魔で制限されるのに、ゴーストはそれらをすり抜けながら縦横無尽に動きまわる。
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そのうえ耐久力が高く、何十回と攻撃しなければならない。
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槍で戦う場合は操作性の悪さもあってかなり戦いづらい。
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そのためボウガンによる遠距離攻撃が楽なのだが矢弾は有限で、イベント攻略で必須な場面も多いため無駄撃ちできない。
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遠距離攻撃を行ってくるが回避は狭い場所では困難。迎撃もできるが、こちらは範囲の狭い攻撃手段しか持ちあせていないのに的が小さく、それを複数放ってくる。
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ランダムで何かを代償に退いてやると交渉を持ちかけてくるがこれは罠。
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交渉に応じれば素直に退いてくれることもあるが、道具を奪われた挙句に戦闘を続行してくることもある。
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しかもどちらにしろクリア後の評価に(悪い意味で)大きく影響する。
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かといって応じなくてもリスクが生じる可能性がある。つまり交渉を持ちかけられた時点でアウト。
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死神は360度縦横無尽にワープし攻撃してくるため、位置を把握するためにぐるぐる回る必要がある。しかもゴースト以上にしぶとく倒すのに時間がかかる。
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特に最後に出てくる死神は武器によっては下手すれば100回以上の攻撃を当てないといけない。
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ワープに加え遠距離攻撃も多用してくるため、槍では戦っていられない。ボウガンがほぼ必須。
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また、近距離の攻撃を一度でも食らえばそれだけでクリア後の評価に大きく影響してしまう。
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何度も戦うことになるが、挙動自体はほとんど変わらず、動きもそこまで読みにくいわけではない。
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むしろボスの高い耐久力と、両スティックや他のボタンを同時に使う必要のある操作性のほうが厄介。
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とはいえ本作には配置されているアイテムが非常に多いため、楽勝とまではいかなくても割とどうにかなる。
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ただし、最高ランクを目指す場合は極力アイテムを取らないことが求められるので、格段に難易度が上昇する。
最高ランクへの道
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最高ランククリアを目指す場合、タブーを避け、欲望を規定値内にとどめ、魂のかけらを最高数集めなければならない。
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つまり必要なアイテム以外はできる限り手に入れず、イベントなどの発生と達成条件を把握しておかなければならない。
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上述したように欲望はほとんどの行動で上昇する。アイテムはオブジェの中にあることが多いのだが、中身を確認したくてオブジェを壊しても欲望が上がる。
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なのでどこに何のアイテムがあるか知っておかなければならないのだが、アイテム配置数が非常に多いため把握するのは大変。
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タブーは複数あり、そのどれか一つでも犯すと最高ランククリアは遠のく。
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上述したゴーストの交渉に応じないようにしたり、死神から特定の攻撃を受けないようにしたりなどシビアなものもある。
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中にはそこまで重要じゃなさそうな行動が実はタブーだったりもする。
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本作では選択が正しいかどうか、重要なアイテムの使い時はいつかなど後になってからじゃないと分からないことも多く、そのときには後戻りできない。
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初見1周目ではまず無理。2周目ではクリアへの手引きが序盤で手に入るようになっているが、断片的なヒントで不十分。結局は複数のセーブデータとロードによる試行回数が必要となる。
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一応、欲望を減らす救済イベントも複数あるが、あらかじめ分かっていないと達成できない条件ばかり。
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というより、その救済イベント前提でないと最高ランククリアはまず無理だったりする。
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そうして苦労した最高ランクのEDも、グラフィックの質もよくないことも相まって味気ない。
総評
右スティックを使った体感的な操作や、終始陰鬱とした世界観など恐怖演出は申し分ない。ゴーストや死神の凶悪さ、最高ランククリアのハードルの高さもコアゲーマーにとっては一概に問題ともいえない。しかし、あまりよくない操作性や、グラフィックの質の悪さや使いまわしなど粗の多さも目立つ。致命的なバグもなくクソゲーというほど悪い点もないが、良作とするには作りこみが甘くバランスが悪い。
最終更新:2017年12月08日 00:29