クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶシネマランド カチンコガチンコ大活劇!
【くれよんしんちゃん あらしをよぶしねまらんど がちんこがちんこだいかつげき】
ジャンル
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コスプレファミリーアクション
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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1GbitDSカード
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発売元
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バンプレスト
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開発元
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インティ・クリエイツ
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発売日
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2008年3月20日
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定価
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4,800円(税別)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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3個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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作品自体の作りは全体的に丁寧 ボリュームの薄さと簡単すぎる難易度が泣き所
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クレヨンしんちゃんゲームリンク
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概要
2004年4月16日にゲームボーイアドバンス向けに発売された『クレヨンしんちゃん』の劇場版アニメ各作品を題材にした横スクロールアクションゲーム、『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶシネマランドの大冒険!』(以下GBA版)に追加要素を盛り込んでリメイクした作品。
GBA版では収録されている作品が第11作目の『嵐を呼ぶ 栄光のヤキニクロード』までだったが、本作ではそれらに加えて第15作目の『嵐を呼ぶ 歌うケツだけ爆弾!』までを題材としたステージが収録され、更に第16作目の『ちょー嵐を呼ぶ 金矛の勇者』を題材にしたミニゲームの追加、ステージ合間のデモシーンのフルボイス化が成されている。
システム
コスプレ
しんのすけはステージ中に様々なコスプレをすることで特殊な能力を発揮することが出来る。
クリアする上で必須になるコスチュームはゲームを進めることで入手出来るが、それとは別にふたつのコスチュームがあり、こちらはDS版で追加された『カスカベボーイズ』から『ケツだけ爆弾!』の4作品のステージの中に隠されている、4つに分かれたそれぞれのコスチュームのパーツを集めなければ使用出来ない。
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しんのすけのコスチューム一覧
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コスチューム
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特徴
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いつもの服
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いつものしんのすけ。2段ジャンプと低い姿勢で一部の敵の股下をくぐれる「ケツだけ星人」、 一部の敵への攻撃やエレベーターのボタンを押せる「(ドリル)カンチョー」が使える。 その他、木・電柱・柱に掴まっての上下移動が出来る。
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アクション仮面
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2段ジャンプと「アクションビーム」、ジャンプ中に出せる「アクションキック」、 2段ジャンプから繰り出せる「アクションローリングサンダー」が使える、攻撃面に特化したコスチューム。
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サル
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三角飛びの要領で壁を蹴って高い所に登ったり、ツタにぶら下がっての移動が出来る。
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カエル
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ジャンプ力が上がり、ジャンプボタンを押し続けている間は連続でジャンプが出来る。 またステージ中にあるカエルの形をしたフックにベロをひっかけてぶら下がれる。
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ニワトリ
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ホバリングで滑空移動が出来、くちばしで突いたり卵を産み落として攻撃出来る。 雄鳥なのに卵を産んでいるなどのツッコミは禁句らしい…。
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ハチ
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専用のゲージが尽きるまでジャンプボタン連打で空を自由に飛んで移動することが出来る。 ただし、その代償で通常のジャンプが出来なくなる上に、踏み付け攻撃も出来ない。 その他、お尻にある針で敵を刺して攻撃出来る。
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※ニワトリとハチのコスチュームは、前述したパーツを集めないと使用出来ないコスチュームである。
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おたすけファミリースキル
ステージ中ではしんのすけとコスチュームの力だけでは進めない個所があり、そういった場所は家族の力を借りて進むことになる。
重要なアイテム入手やステージクリアをする上で必要不可欠なスキルは初期状態で修得済みかつ何度でも使用出来るが、クリアするだけならば必須ではないほとんどのスキルは各ステージ中にある金色のカードを拾ってスキルを修得する必要があり、更に使うためにはこれまたステージ各所にある、それぞれの好物を入手することでストック出来るハートが一定数必要になる。
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おたすけファミリースキル一覧
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キャラクター
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スキル
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消費
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効果
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ひろし 好物:ビール
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ランチャー
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0
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ジャンプして飛び乗ることでしんのすけを高く打ち上げてくれる。
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くつしたボム
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1
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強烈な匂いの靴下を敵に投げつけて攻撃する。
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ゲッチュー
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2
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不気味な女装で敵の動きを止める。
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ひろしSUN
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5
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ひろしSUNに変身して画面内の敵全員を攻撃する。
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みさえ 好物:指輪
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ヒップドロップ
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0
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ジャンプしてお尻から落下し、特定の箱や床を破壊する。
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げんこつ
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2
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しんのすけの近くの敵1体にげんこつをお見舞いする。
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せきとりスーツ
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3
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関取スーツを着て前方に突進攻撃を繰り出す。
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まほうしょうじょミサリン
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5
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魔法少女ミサリンに変身し、しんのすけの体力を完全回復してくれる。
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ひまわり 好物:哺乳瓶
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ハイハイ
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0
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ハイハイで狭い隙間の先にあるアイテムを取ってきてくれる。
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おんせんせんし
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1
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温泉戦士に変身し、前方に突進攻撃を繰り出す。
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ちょうちょ
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3
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ちょうちょのコスプレで穴に落ちたしんのすけを引っ張り上げてくれる。
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シロ 好物:骨付き肉
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あなほり
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0
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光っている地面の上で使うと、そこにあるアイテムを掘り出してくれる。
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かみつき
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1
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しんのすけの近くにいる敵1体を噛み付いてダメージを与えて動けなくする。
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わたあめ
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4
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丸まって画面内を飛び回り、当たった敵にダメージを与える。
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コレクション
収録された各作品の名シーンのカードを集める要素がある。
ステージ中にある青いカードを拾うことで手に入れることが出来る。
なお、本作ではゲーム難易度が「やさしい」と「むずかしい」のふたつあり、それぞれで入手出来るカードが異なる。
手に入れたカードはタイトル画面の「コレクション」から、またはプレイ中は「シネマランドうけつけ」の中にある「コレクション」から確認することが出来る。
ミニゲーム
一部の作品では通常のアクションステージと異なるミニゲームが挟まれる。
一度プレイしたことのあるゲームとDS版で追加されたミニゲームは「シネマランドうけつけ」の中にある「ミニゲーム」でプレイすることが出来る。
一部のミニゲームはクリアすると上記コレクションのカードを入手出来る。
評価点
デモパートのフルボイス化
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GBA版では主要キャラクターのみ一部場面でボイスが挟まれていたデモパートはフルボイスになっている。
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本作の声優陣はゲームオリジナル部分を除いて映画の音源を利用したライブラリ出演となるので、本作発売の段階で担当声優が既に故人となっているキャラクターも代役などを立てずにオリジナルの声優がそのまま担当している。
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それぞれの作品の一部始終を再現すると容量の問題もあるので所謂ダイジェストの体を取っているのだが、作品を語る上で欠かせない名場面と言える部分は最低限押さえてあるので、ボイスとの相乗効果で各作品の大まかな雰囲気は出せている。しかし、やはり「容量の問題」が重くのしかかっており…(下記問題点参照)
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なお、デモパートのフルボイス化の代償という訳でもないだろうが、ステージ中でのボイスが一部削除されている。
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目立つ所では、GBA版ではおたすけを使うときにキャラクターを選ぶと、しんのすけがそのキャラクターを呼ぶボイスが入っていたものが無くなっていたり等となる。
子供でも楽しめる低難易度
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身も蓋も無く称せばヌルゲーの類であるが、題材となる『クレヨンしんちゃん』自体が子供向け作品であることを考えれば、ターゲットを見失っていない適切な難易度ということも出来る。
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一部場面では何の説明も無しにいきなりボス戦が始まったり等、やや突き放し気味な所はあるが、総じて丁寧に作られたゲームバランスとなっており、全体的な難易度が低めに収まっているので致命的にアクションゲームが苦手という訳でなければ充分クリアは可能。
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更に、「やさしい」でプレイすれば、ステージ中の様々な個所で足場が用意されていたり等、サポートが手厚くなっている。
良好な操作性
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ボタン入力のレスポンスも良好で、操作性に起因するストレスは無いと思われる。
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また、ジャンプとアタックボタンは2タイプの入力が用意されており、プレイヤーそれぞれに合わせて変更が出来るようになっており、ユーザーへの気配りが感じられる。
システム面の改良
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GBA版では一度クリアしたことのある作品のステージでないと途中で抜けることが出来なかったが、本作ではクリアしていない作品のステージでも途中で抜けることが出来るようになった。
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ただし、途中で抜けて再度同じ作品に入った場合は抜けた場面の冒頭から…ではなく、その作品のステージの最初からになってしまうので注意。
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途中セーブが出来るようになった。
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GBA版では作品のステージをクリアするまでセーブが出来なかったが、本作では1場面をクリアするごとに途中セーブが出来るようになった。
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短いステージでは必要ないかも知れないが、一部作品では場面の切替えが複数回あるため、この機能は地味に有り難い機能であると言える。
賛否両論点
ヌル過ぎる難易度
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子供向けという意味では間違っていないのだが、ある程度アクションゲームに慣れているプレイヤーからはヌル過ぎる難易度になってしまっている。「むずかしい」にしてもそこまで詰まる要素が無いため、不満が出ている。
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更にゲームオーバー時のコンティニュー回数に制限が無く、コンティニューの再開地点がゲームオーバーになった場面の頭からなのも後押ししてしまっている。
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ただし穴に落ちれば事前にひまわりのちょうちょを出していなければ即死だし、初見で手こずる所が皆無な訳ではない。
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2種類ある難易度設定に関係なく全体的にヌルい仕様になってしまっていることも大きい。
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体力制で、チョコビを100個取るごとにライフ上限(最大10)が増えて体力も完全回復、残機も作品をクリアするか離脱すれば、無条件で初期値の3まで補充される。
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加えてどんな攻撃を受けても受けるダメージは1度に1で固定、ミスする度にステージ上のチョコビは復活するので、コンティニュー無限なことも相まって繰り返しているうちに体力上限がみるみるうちに増えていってしまう。
問題点
ボリューム不足
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容量などの問題もあるのでそれぞれの映画の全場面を取り扱う訳にはいかないのは前述したが、それを踏まえてもボリューム不足は否めない。
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しかも作品によってボリュームに差が生じており、短いものだとそんなに長くもないステージひとつクリアするだけで、後はデモパートを見て終わりという作品もあり、ゲームそのものの低難易度と相まって、手慣れたプレイヤーなら数時間で全作品クリアという者も少なくなかった。
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ベースがGBA作品であるため仕方ないという意見もあるのだが、アクション面での追加要素が実質4作品分しかなく、あとはフルボイス化などの演出面強化に割きすぎた結果であると言えよう。
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とは言え、キャラゲーであることを考えれば、勿論どちらも両立出来るのがベストだが、そうも行かないのであればアクション面は最低限を押さえてデモパートの演出面強化と言う判断は一概に間違いとは言い難いか。
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また、デモパートにしてもダイジェストにせざるを得ないとは言え、かなりの端折りっぷりになってしまっており、映画を見たことがない人には訳が解らず、見たことがある人は肩透かしとなってしまいかねない。
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最低限その作品を語る上で押さえておくべきであろう場面は押さえているが、そのシーンの前後が端折られていることも少なくなく、がっつりその作品の雰囲気を味わうというのは難しいと言わざるを得ない。
コスプレの性能差
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普段使いという意味ではアクション仮面の汎用性が高すぎる。
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アクションビームでの遠距離攻撃や2段ジャンプも出来、クセらしいクセもないので大抵の場面はこのコスチュームを着ておけば問題は無いほど。
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ハチとニワトリ以外のコスチュームにはそれぞれ出番があり、何のために存在しているのか解らないというようなコスチュームは無いのだが、2段ジャンプが出来なかったり、それ以外にも能力にややクセがあるため、カエルやサルは些か扱いづらく、そのため、先に進むために必要になったり、金色カードやコレクションカードの入手の上で使うなどでもない限り、カエルとサルの出番が少なくなりがち。
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ちなみにいつもの服はクセは無いのだが、カンチョーが攻撃手段としては人間大人系の敵の背後から仕掛けないと攻撃が成立せず、それ以外の状況では全く役に立たないため、中途半端。
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そのため、柱登りやエレベーターのボタンを押す必要がある場面でなければ、やはり敢えていつもの服で行く理由も薄くなってしまう。
コレクションの魅力が乏しい
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コレクションのカードが基本的にデモパートで見られるイラストで固まっている上、コンプリートしてもあくまで自己満足でしかなく、何か特典がある訳では無いため、カード集めの魅力が乏しい。
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コンプリートした際の特典があったり、このカードならではの要素があればカード収集がやり込み要素になり得るのだろうが、そういったものがないため、どうにも集めようという意欲を煽られない所がある。
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加えて、コレクションの収集進捗状況は全てのセーブデータで共有になっている。
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そのため、一人で遊ぶ分には良いのだが、兄弟や友達でひとつのDSカードにそれぞれ用のセーブデータを作って遊ぶ場合などは、誰かがカードを取ったことで残りのプレイヤーのデータには取ってもいないのにカードが登場しないことも起こりうる。
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この辺もやり込み要素として中途半端になってしまっている要因であると言えるだろう。
DS下画面にやや厳しい操作性
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DSであることを活かして下画面のタッチスクリーンを活かしたインターフェースの採用や、ミニゲームでも下画面を活かしたものが用意されている。
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しかしながら、一部のミニゲームではかなりのスクラッチを要求してくる上、ミニゲームの性質上、意識して加減することが難しくなることもある。そのため、液晶保護フィルム無しでのプレイは下画面に傷がつく可能性も否定出来ない。
総評
ひとつひとつのアクションや演出などが丁寧に作られた作品であり、ストーリー上のデモシーンのフルボイス化などは純粋に高く評価出来る所である。
しかしながら、アクションゲームとして見るとそのあまりの難易度の低さとボリューム不足が完全に足を引っ張ってしまっており、どうしても評価としては低くなってしまいがち。
更にキャラゲーとしても端折り具合が酷く、重要な場面も淡白な状況説明で流すものも少なくなく、それぞれの作品のファンがこのゲーム一本でそれらの作品の魅力や雰囲気に浸れるかと言われると苦しい所もある。
多少値上げしても2Gbit以上の大容量のソフトを使い純粋なボリュームの増量にも宛てていれば評価が上がっていた可能性は十分にあり得たことを考えると、全体的な作りは丁寧なだけに惜しい作品であると言える。
余談
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開発の「インティ・クリエイツ」は、発売後に公開された映画『逆襲のロボとーちゃん』のとあるシーンの映像を担当し、ゲームだけではなく実際に映画にかかわることとなった。
最終更新:2024年07月02日 09:37