名探偵コナン 地下遊園地殺人事件
【めいたんていこなん ちかゆうえんちさつじんじけん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ゲームボーイ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売元
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バンダイ
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開発元
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アクトジャパン
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発売日
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1996年12月27日
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定価
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3,900円
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プレイ人数
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1人
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周辺機器
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スーパーゲームボーイ対応
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判定
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なし
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ポイント
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初のコナンゲー 猟奇的な内容と大味なゲーム性
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名探偵コナンゲームリンク
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概要
青山剛昌の人気漫画『名探偵コナン』のゲーム化第一弾作品。
基本はマップ上を歩き回って情報を収集し、フラグを立ててイベントを起こすことで進行するADV。
ストーリー
コナンや小五郎、少年探偵団の元にオープンを控えた地下遊園地の招待状が届いた。
みんなで行ってみると、そこのオーナーが何者かに命を狙われており護衛の依頼をするため招待したのだという。
当初は遊園地を楽しむ一行だったが、間もなくオーナーは殺害されてしまい、さらなる連続殺人へと発展していくのだった…。
特徴
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全部で3つのシナリオで構成されている。
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最初に選択する行き先によってどのシナリオに分岐するかが決まる。
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独自のシステムとして「かんがえる」コマンドで事件に関する謎について推理することが出来る。
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この時に出る選択肢を選ぶことで最終的な推理を組み立てていくこととなる。
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ゲームが進むと犯人を指名する場面になり、選択すると推理ショーが始まる。上記で選択した内容に応じて推理が披露される。
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選択肢の選び方によって結末が変化するマルチエンディング方式。最後にはシナリオのプレイ内容に対する5段階の評価とシナリオクリア情報を含んだパスワードが表示される。パスワードを用いてプレイするとゲーム上で確認することはできないが周回扱いとなる。
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『地下遊園地殺人事件』のランク評価はタイム依存でエンディングや隠し要素には関係しない完全なやりこみ要素となっている。
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3つの事件をクリアすると最終パスワードが表示され、隠しミニゲームを含むおまけシナリオがプレイできる。
評価点
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ゲームボーイながらグラフィックのクオリティは高く、顔グラフィックなどは初期の原作の雰囲気を再現できている。
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特定の場面ではイベントグラフィックもあり、ストーリーを盛り上げるのに一役買っている。
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クリアランクはしっかりと攻略チャートを組み立てて素早く行動する必要があり、やりこみがいはある。
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ミニゲームはシンプルだが意外と面白い。
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「ホラーハウス殺人事件」で鏡映しに幽霊の動きを真似するもの、「巨大迷路殺人事件」の迷路の謎解きタイムアタックなど、地味に中毒性が高い。
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「とるとるキャッチャー」で宝石を取った時のコナン(場合によっては蘭も登場)の反応は必見。
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ネタバレ
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「ジェットコースター殺人事件」で登場する暗号は割とよく出来ている。解読時も自分で入力する必要がある。
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ヒントも多いので難易度は低いが、ミスは許されない(失敗すると証拠不十分で犯人を取り逃しバッドエンドとなる)ので程良い緊張感もある。
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「巨大迷路殺人事件」は他とはさらに異なるマルチエンド仕様。犯人推理後、追いかけてくる犯人から迷路内を逃走するミニゲームとなり、結果で分岐。
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いずれにせよ、ジェットコースターと違ってきちんと犯人を逮捕してエンディングとなるのでバッドエンドにはならないが、どのエンディングもなかなか盛り上がるので狙う価値はある。
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どのエンディングでもスタッフロールで全てのイベントシーンが表示される。分岐条件はそこから推理可能。
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賛否両論点
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グラフィックで緩和されているが、現在のマイルドな作風に比べると猟奇殺人があったりとなかなかエグい。
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対象年齢を考えると微妙なところではある。当時はCEROがなかったためレーティング審査は行われていないが、仮に現在移植が行われたらAでは済むまい。
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ネタバレ
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特にえげつないのは「ホラーハウス殺人事件」。
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殺人の方法は断頭台(ギロチン)で首を落とすという猟奇的なものであり、首だけの死体が何度も登場する他、移動時のキャラグラフィックなので鮮明ではないが首なし死体も何度も登場するという、本作の中でも一際エグいものとなっている。
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あるイベントグラフィックは被害者の生首が真っ暗な背景に並んで浮かぶという不気味なもの。もっとも、このシーンには後述するように推理ものとしての問題があるのだが。
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殺人の動機は、真犯人が想いを寄せていた三人目の被害者に一人目の被害者が見合いを勧めた(これを「自分から引き離そうとした」と解釈した)こと、二人目の被害者がその三人目の被害者の悪口を言っていたことを理由として述べた上で、三人目は自分の想いに気づかないことへの苛立ちからの殺害で、その想い故に血塗れになりながら彼の生首だけ大事に抱きかかえている(イベントグラフィック付)という、真犯人自身も自覚しているが物凄い狂気(ヤンデレ)である。
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推理ミスのバッドエンドではこのまま真犯人が自殺するというさらに後味が悪い内容だが、正エンディングでも「実は第三の被害者も真犯人のことを想っていたと教えられ、そうとも知らずに殺してしまったことを知って悲嘆にくれる真犯人」という、やるせない内容。
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問題点
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メッセージスピードがめちゃくちゃ遅い。
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オプションで速度を「はやい」に設定変更してもなお遅い。
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テキストが少なめであることと連載初期の設定がベースである為、現在と比較すると一部キャラクターの性格などに違和感がある。
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1つ1つのシナリオは短く、急がなくても1シナリオ30分もあれば終わってしまう。全体的にボリュームや描写不足感が漂う。
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GBなので仕方ないところではあるが、トリック解説は文章で表現されている上に用いられている漢字が少なく、単語の区切りが不自然な部分が所々存在するために内容が非常にわかりづらい。
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話かける際の反応が悪く、隣接した状態でもう一歩踏み込む感覚で話しかけないと反応してくれない。
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冒頭でコナンが「じつはオレもたのしみだ。なにかとてつもないじけんがおこりそうなきがする」と相当不謹慎な発言をしている。
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ゲーム途中でのコマンドである「はんにんすいり」では絶対にクリアできない。
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事件を最後まで進め、犯人推理の画面が自動で表示されるまで待たなければならない。
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一部では探索パートに戻るケースがあるが、その場合一本しかない麻酔針を撃った後なので結局待っているのはゲームオーバーである。全く無意味なコマンドだったため豪華列車では削除された。
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ただ、中にはマヌケ過ぎて笑えるような結末もあるのでクリア後に全てのバッドエンドを観賞するのもまた一興。
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推理は犯人当てや暗号解読以外は2択の選択肢を3回選ぶだけなので難易度は低い。
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ただし一度決定した選択は変更できない。誤った選択が一つでもあるとバッドエンド確定になる。その為、誤った選択のままパスワード地点まで進めると詰む。このため「かんがえる」コマンドは最後のパスワード地点の後に行った方が良い。
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トリックや犯人の行動が無茶苦茶。小五郎はともかく、少年探偵団に護衛を依頼するオーナーなどツッコミどころ満載。
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ネタバレ
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「ホラーハウス殺人事件」では犯人が自分も死んだと見せかけるトリックだが、あまりにも内容が無茶。
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簡単に説明すると、ホラーハウス内の生首人形が置かれている箱(ここで最初の被害者の首が発見された)のスペースは、人間が丸ごと一人首だけ出して入れる構造になっており、最初の被害者はそれを使って首だけ死体と勘違いさせることで犯人は短時間で首切り殺人ができると錯覚させ、そこに加えて自分がそのトリックで首だけ死体のフリをして疑いの目を逸らそうとする、というもの。
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調べられればすぐ死体ではないとバレるはずだが、小五郎たちは危険だからという不可解な理由でいっさい手を付けず放置(コナンは無理矢理連れられる格好で移動し、その後「やっぱりもっと調べておくべきだった」と後悔)。いくらなんでも綱渡りすぎ。
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ちなみに原作では、死体発見→コナン達が死体の方に行こうとする→小五郎が「死体に近づくな!」と言って、小五郎が調べる→小五郎「駄目だ…死んでる…」という流れが主である。
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おまけにこの死体のフリをしている真犯人、イベントグラフィックでは思いっきり目を見開いている。死体のフリをする表情チョイスとして無理がある。
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「ジェットコースター殺人事件」ではオーナーの席の壊れたセーフティガードを調べると、刃物のあとがあり他殺と断定。革製だったのだろうか?
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この事件の犯人、「1人には独立に消極的な態度を取られた上に気の進まない見合いを執拗に勧められ、もう1人には日頃から馬鹿にされていると感じていた」という動機から1人を脅迫しもう1人を殺害させるという手段を取り、犯行を暴かれ逃げようとする2人目をトラップに掛けることで観念しての自殺に見せかけたのだが、「思い付いた面白い仕掛けを自慢したい」という理由から異様に凝った仕掛けを設置している。
しかも、2人目の死亡後にはあからさまに仕掛けを称賛するコメントをする始末。案の定、「あんな凝った仕掛けで自殺する人間がいるのか」という違和感から真相を見抜かれている。
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しかしこの真犯人、追い詰めるシーンではかなり悪役顔も披露するが、いざ言い逃れができなくなると上記の動機や仕掛け関連のポカなども軽い口調で洗いざらい白状し、すっきりして警察を待つというしたたかさで、コナンからは「ふてぶてしいのか、肝が据わっているのか」、他の関係者全員からは「らしいといえばらしい」「本当にどうしようもない人」と呆れられるというとんでもないオチ。
真犯人は調子がよく浮気者という描写が(他の事件でも)されているのでそこには違和感がないのだが、描写からして両方相当な悪人らしいとはいえ人が二人も殺された事件なのにやたら登場人物の対応が軽く、人によってはモヤモヤするかもしれない。
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「巨大迷路殺人事件」に至っては衝動的な犯行はいいとして、やたら手間がかかる手段で逃走したうえ決定的な証拠品を落としてしまう間抜けっぷり。
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迷路の奥にある仕掛けを解いて地下の隠し通路への入り口を開き、そこから逃走。死体発見現場から迷路の奥へ行く途中に出口があり、往復の時間を考えると非常に無駄な行動を取っている。
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なおコナンたちが迷路の仕掛けを発見する際には被害者の死体が消えているのだが、どう処分したのかも明らかでない。バッドエンドの内容からするとこの隠し通路の壁に埋めて隠した模様なのだが、先の証拠品を落とすタイミングと合わないし、短時間で壁を掘って死体を埋めるのは仕掛けを解く以上に無理があるだろう。
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どの事件でも発生後に「入口や非常口が開かない」「電話線が切られている」などと地下遊園地内に全員が閉じ込められてしまった上警察に通報できないことが発覚するのだが、事件を解決してもこの原因は明らかにならない。電話線を切るなど明らかに人為的な行為もあるが、真犯人による行為だったとしてもどの事件でも殺人から発覚までの短時間でそれらの細工をするには時系列的に厳しいものがある。
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総評
複数シナリオが収録されてはいるが、演出や描写が不足ぎみで推理モノとしてもADVとしても今ひとつな部分が多い。
遊べない程ではないものの、初期の作品だけあってやや完成度の低い典型的なキャラゲーといったところか。
その後の展開
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本作の続編として『疑惑の豪華列車』が発売された。
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独立したゲームではあるがシステムは継続しており、OPにおいて本作の事にも触れている。
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本作で全てのシナリオをクリアすると隠しパスワードが表示され、そのパスワードを使用すると隠しシナリオがプレイできる。
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詳細は下記。
名探偵コナン 疑惑の豪華列車
【めいたんていこなん ぎわくのごうかれっしゃ】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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ゲームボーイ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売元
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バンダイ
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開発元
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トムクリエイト(ピーソフトハウス?)、ピクセル
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発売日
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1998年8月7日
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定価
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3,900円
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プレイ人数
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1人
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周辺機器
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スーパーゲームボーイ対応
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判定
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なし
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ポイント
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前作より改善されている部分はあるのだが…
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名探偵コナンゲームリンク
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概要
上記の続編にあたる『名探偵コナン』のゲーム化第二弾作品。
システム等基本部分や評価点などは共通している。
ストーリー
遊園地での事件の後、新造の豪華列車ジャパネスク号の試運転に招待された毛利小五郎(+蘭とコナン)。
懸賞に当選したことで偶然合流した服部や少年探偵団の面々と共に旅行を満喫していたが、列車内で殺人事件に遭遇してしまう。
特徴
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基本的なシステム等は同じものを引き継いでいる。
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本作も全部で3つのシナリオで構成されている。
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最初に話かける人物によってどのシナリオに分岐するかが決まる。
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「かんがえる」コマンドは一部システム変更された。
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入手したキーワードから3つを選択するようになり、何度でも試行できるようになっている。
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本作でも最後にはシナリオのプレイ内容に対する5段階の評価とシナリオクリア情報を含んだパスワードが表示される。
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本作のランク評価は「正確な推理」が基準となっている。後述する隠し要素の出現条件に関わっている。
評価点
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グラフィックの出来は相変わらずクオリティが高い。
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クリアランクは推理の試行回数もクリアランクにも影響するようになっていた。
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操作性の改善やパスワードがいつでも確認できるようになるなど、快適性が上がっている。
問題点
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相変わらずメッセージスピードがめちゃくちゃ遅い。
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発売時期的に現在のキャラ設定とは違和感があるのもそのまま。『豪華列車』時点でも単行本18巻程度なので仕方ないが。
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やはり1つ1つのシナリオは短く、全体的にボリュームや描写不足。
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証拠品集めは基本ヒントなしの総当たり。
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推理パートの難易度が下がっているのに対し、一見何もない場所を調べないと証拠や推理材料が入手できない等、探索パートの難易度は高い。
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ネタバレ
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特にシナリオ『ロマンス殺人事件』では事件発生より前の最序盤に出てくる一見事件と何の関係も無さそうな選択肢が、シナリオ最終盤において事件解決に必須な証拠品入手のフラグ立てに関わっていたりする。
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その一方で中盤に出てくる「道を塞ぐ人物をその場から離すため、誰かに協力を頼む」という選択肢は、誰を選ぶかが重要そうに見えて実は全くクリアに関係ないとかなり理不尽。
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前作よりマップが広くなったのに対し、マップ画面が廃止されたため迷いやすい。また列車内と言う環境の為、通路のグラフィックがほとんど同一で単調な画面が飽きを誘う。
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前作に比べバッドエンドの演出が簡素。
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今回は誤った人を選択した場合は全員似たような台詞を言って(誤った)推理も披露されることなくコナンの苦言で締められるという味気ないものに。
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隠しシナリオのプレイ手順が非常に面倒。
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入力画面に至るには
ゲーム内の全シナリオを最高評価
でクリアする必要がある。
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その為、隠しシナリオのやり直しをする場合、最短手順でも最終(3周目の)事件の「はんにんしめい」直前からやり直すことになり非常に時間がかかる。
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隠しシナリオの内容
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爆弾解体と銘打った5×5のマインスイーパ
であり、起爆装置マスを選択しても3回までは猶予があるので基本的には優しい内容ではあるが配置次第では判断に悩むことがある。
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Windowsに付属しているマインスイーパと異なり第1手で起爆装置を押してしまう事もあるので運が悪いと連続して起爆装置を押してしまう事故もあり得る。
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万一ゲームオーバーになった場合は上記の通り、既に攻略した最終事件の真相解明の再走を要求される。
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隠しシナリオに登場する「とある人物」も脈絡がない登場である上に最終的なコナンの総評もかなり強引なものである。
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スタッフロールを見るには隠しシナリオのクリアが必要。
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その為、前作をプレイしてパスワードを手に入れていないとスタッフロールを見る事すらできず、不完全燃焼になりがち。
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そもそも、前作において、
どうすればそのパスワードが出るのかは全く不明
。どこかに隠されているわけでもなく、オールSランクを取っても出ないため、存在自体が怪しく、ひょっとしたら開発スタッフがうっかり「地下遊園地」にそのパスワードを入れ忘れていたのではないか、とすら思わされる…。
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ちなみに、「疑惑の豪華列車」の公式ガイドブックには、そのパスワードが記載されている(ただし、パズルを解かないとわからないようになっている)
総評
前作より改善された点もあるが、証拠品集めが理不尽に難しくなった点や隠しシナリオに関する問題点の多さなどあり、推理モノとしてもADVとしてもまだまだ今ひとつな部分が多い。
こちらも初期の作品という亊もあるとはいえ、全体的な完成度はお世辞にも高いとは言えない出来となっている。
最終更新:2024年03月23日 16:10