デジモンチャンピオンシップ
【でじもんちゃんぴおんしっぷ】
ジャンル
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育成バトル
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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バンダイナムコゲームス (バンダイレーベル)
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開発元
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エピックス
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発売日
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2008年2月14日
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定価
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5,040円
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判定
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なし
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デジタルモンスターシリーズリンク
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概要
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アニメ『デジモンセイバーズ』が終了し、デジモン10周年も過ぎるという2008年。
この頃は新デジモンが極端に少なく、ファンからは第二次デジモン氷河期と言われる時代である。
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雲行きが怪しくなり始めた年の初めに、「育成」に重点を置いた原点回帰のこのゲームが発売された。
システム
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まず本作では「ケージ」の画面がゲームの中心となっている。
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デジモンはケージの中に入れ、タッチで世話をする事となる。
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世話の内容は携帯機と同じく、餌、掃除、怪我の治療などをタッチペンで行う。デジモンを複数飼っていると、腹が減ったと言ったりだウンチしまくったりと世話は忙しいが、今までのデジモンゲームにはないために新感覚で楽しい。
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ケージには「デジモンのステータスをアップする」「デジモンの属性をアップする」「治療する」などの効果があり、効果のあるケージに置く事でなんらかのステータスが変化し、デジモンの育成に大きく関わる。
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それぞれのケージは許容量と大きさ、形などが異なり、パズルの様に当てはめていく。最初はケージスペースも小さいが、テイマーランクを上げるにつれて大きくなっていく。
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ケージは基本的に購入し、再び同じのを購入する事で効果の大きいケージを買う事もできる。
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「こうげきが上がればぼうぎょが下がる」「リュウ属性が上がればケモノ属性が下がる」となっており、全ステータスカンストなデジモンは作れない。
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最初はボタモン一匹だが、メニュー画面から「ハント」に出かける事で新しいデジモンを捕まえられる。
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大まかに言えば『ポケモンレンジャー』であり、ワイヤーでデジモンを囲んで引っ張り、疲れたところをタッチして捕まえる。
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ハントには様々な道具があり、銃を打ち込んだり、毒餌でおびき寄せて弱らせたり、電撃ワイヤーで痺れさせるなど、アニメ『デジモンアドベンチャー02』や『デジモンセイバーズ』で人間が道具でデジモンを虐げるのを反対していた内容とは真逆な事をやっている。
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これらを使わずとも、高性能なワイヤーと逃げたデジモンをおびき寄せる餌さえあれば大抵のデジモンはハントできるのだが。
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「プラグイン」と言うアイテムで、デジモンの居場所を知るレーダー、ステータスその場確認など、ハントを楽にする機能も多数ある。
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ハントする場所は様々で、草原にはケモノ系、海にはミズ系、工場にはキカイヘンイなど場所にあったデジモンがいる。
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また季節によって生息しているデジモンが異なり、夏は多く、冬は少なくなどの設定もなされている。
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ハントする場所も作りこまれており、アニメ『デジモンアドベンチャー』の様に、自然豊かな場所に自動販売機や電柱など不条理な物が置かれているなど見ていて楽しい。
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デジモンは育成することで、醍醐味の「進化」をする。
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各種属性値・ステータス・バトル回数・勝率などの条件を満たせば、その場でデジモンは進化する。
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だが時間を必要とせずに、条件を満たせばひょいひょいと進化してしまうため、作業感が強め。
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また、デジモンはいつかはデジタマに戻り「デジタマ化」する。これが進化条件の究極体は多い。
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しかしデジモンの保存と言う物が出来ないため、対戦や大会を行う前にデジタマ化するのは悲惨。
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進化はあまりイメージを崩さずに、育成系の作品だけあってかなり自由になっている。
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育成が非常に悪ければ、ヌメモンやスカモンなどハズレデジモンになってしまうのもお約束。
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属性を1上げるだけでなれるのに、究極体かつ最強クラスのステータスを持つスレイヤードラモンとブレイクドラモンや、野生で出ないレナモンをデジタマ化させて進化させるのに成熟期のレオモンなど、簡単な進化と難しい進化の差が激しい。
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デジモンが育ったところで、メニュー画面から「バトル」する事ができる。
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デジモンは自動で動いて攻撃するが、作戦を決める事が出来る。「ノーマル」、必殺技を出しやすい「スペシャルアタック」、耐性・ステータスアップ、回復などのサポート技を使いやすい「サポート」の三種類。
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基本的にスペシャルアタックが強く、必殺技をほいほい出してくれれば消耗も少なく勝ちやすい。また強敵にはサポートを出していくのもいいが、何分デジモンは自由に動くため、思った行動をしてくれない事多々。
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バトル方式は全部で6つある。
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「タイトルマッチ」は特殊な条件でバトルを行い、勝つと賞金を入手、何度か勝つとテイマーランクが上がる。
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「完全体3体VS究極体1体」「マメモン系オンリー」「『デジタルモンスター』に出ているデジモンのみ」など、非常にバラエティに富んでいる。
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タイトルマッチは、1年を構成する4つの季節・1つの季節を構成する8日の日にやるかが決められている。
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いつでも行え、少しの金を得られる「フリーバトル」。
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バトル回数や勝率が進化条件に関わるデジモンはここで戦う事が多い。
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相手が究極体であろうと貰える金はかなり少なく、時間短縮や進化のために多くのプレイヤーが幼年期IIをボコボコにするのは日常茶飯事である。
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ワイヤレス・Wi-Fiを用いた「Wi-Fiバトル」は、発売当初からマッチングしないとの情報が相次いだ。現在はWi-Fiサービスは終了している。
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「パスワードバトル」ではデジモンをパスワードとして記録し、打ち込む事でそのデジモンとのバトルができる。
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ただし、パスワードにはデジモンの名前は記録されない。
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4年に1度の大会、タイトルにもなっている「チャンピオンシップ」では強いデジモンらと5連戦し、勝ち抜ければ優勝。ゲームクリアとなる。
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全デジモンを図鑑に登録する事で、デジモンを一匹だけプレイヤー操作にする事ができる。的確に攻撃・必殺技・サポートを撃てるため、立派なバランスブレイカーだが、その頃には完全クリアと言っても過言でなく、一種のご褒美である。
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ちなみに必殺技は、小さいキウイモンが突撃する「リトルペッカー」、ビッグマメモンがマメモンを投げる「ビッグスマイリーボマー」は再現されており、マイナーなところではガルダモンの「ファイアハリケーン」、メタルガルルモン(黒)の「ブリザードウルフクロー」などもある。
評価点
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ちょこまかと動くデジモンが可愛らしい。
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ドットの出来は良く、喜怒哀楽を体で表現してくれるため、世話をしている感じは強い。
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ビクトリーグレイモンやズィードガルルモン、11周年になったが10周年記念デジモンのドラコモン系譜など、初めてゲームに登場するデジモンも多い。
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タイトルマッチの関係か、初期のデジモンも多く登場している。
問題点
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人間キャラの扱いが雑。
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これは「ニンテンドーDSを通してデジタルワールドにアクセスしている」と言う設定があり、ゲームスタート時にもLOGINボタンをタッチする事となったりとデジタルワールドらしさを十分表現しているが、ゲーム内では一切の説明をされない。
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主人公に挑んだりデジモンの取引を申し込むテイマー達や、主人公のサポートをしてくれるプレジテントやおかあさんはメールを介しての台詞しかなく、設定がよく分からない。とりあえず顔グラの一つでも欲しい所である。
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公式ページで「行く手を阻む四天王」と紹介されている彼らは台詞も何もなく、ただの一テイマーにしか思えない。
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テイマー達に至っては、台詞が印象に残らない程度にうざったい。オタク、ネット初心者、俺様系など妙にリアルなのだが。
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登場デジモンの選出や一部の進化系譜がひどい。
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全216体のうち、19体が色違いデジモン。しかも全体的にチョイスも微妙で、『デジモンワールド』出身の色違いデジモンばかり。
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しかも「グレイモンとジオグレイモン」「ティラノモンとダークティラノモン」は姿も微妙に異なるのに色違いとなっている。
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サンダーボールモンはX抗体バージョンとなっていたり、パッケージでは『セイバーズ』のアグモンだが、実際は普通のアグモンなどと、変なミスが目立つ。
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ロイヤルナイツ、オリンポス十二神、七大魔王と肩書きを持つ究極体がカードαや『セイバーズ』に登場していたが、今回登場したのはデュークモン、アポロモン、ディアナモンと少なすぎる。
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超究極体の概念もなく、大人気のオメガモンは登場しない。育成ゲーにそぐわないからと言う意見もあるが、似たようなデザインのインペリアルドラモンファイターモードやデュークモンはちゃっかり出ている。
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容量的に厳しかったのか、「ギルモン→グラウモン→メガドラモン→デュークモン」「ブイモン→ブイドラモン→サイバードラモン→インペリアルドラモン」など、間に挟まるべきメガログラウモンやパイルドラモンは今回欠席である。
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折角登場したドラコモン系譜もエグザモンのみが欠けてしまっている。
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他にもレナモン系譜はキュウビモン(成熟期)まで、トリケラモン(恐竜型)はセントガルゴモン(サイボーグ獣)にしか進化できない、テイルモンがエンジェウーモンに進化できないなど、後者二つは容量不足と言うか設定ミスに近いものがあるため、悔やまれるところ。
もっとも、このゲームに限らずデジモン育成ゲームには必ず付いて回る問題点ではあるが。
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能力制限が存在する。
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前述の通り、アニメ主役級のメジャーな究極体は強く、ペンデュラム出身のマイナーな究極体は弱い。
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後者のプクモンはステータスの上限値が、前者のビクトリーグレイモンのステータス最低値にも届かないと言う理不尽さ。
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好きなデジモンで最強を目指すという事はできず、バトルで最強に輝けるのは究極体のうちの僅かと言う格差的仕様。
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その他、細かな点の仕様がおざなり。
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デジタマ化したデジモンが時間進化をする時、前世の系譜を引き継いでしまう。
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例・コロモン→トイアグモン→メラモン→時間進化でエテモンに進化。デジタマ化したので育て直し、コロモン→アグモン→グレイモンから時間進化でスカルグレイモンにしようとすると、何故かエテモンに進化してしまう。
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これを解消するには、ハントの時にセッティングで「リリース」を行って、ハントするマップにそのデジモンを逃がすと言う行為が必要なのだが、時間はかかる上、デジタマ化回数などがリセットされてしまう。
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通常のプレイではエンディング後にしか入手できないドラコモン系をエンディング前に入手するには、野生のオタマモンをデジタマ化させてプチモンにし、再びオタマモンにならない様にリリースする過程が必要になる。
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ハントの仕様が適当。
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あるプラグインを装備しなければ、自分がどれほどのデジモンを捕まえたのか、どれほどのアイテムを持っているかすら分からない。
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またショット用アイテムは上位互換を含めずとも6種類、トラップは12種類あるのだが、一度に持っていけるのは1種類。デジモンによってアイテムの効きが異なるため、的確に使うには難しい。
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そもそも多くの究極体への進化条件はデジタマ化回数であり、野生で捕まえたデジモンは勿論0。後半では条件のあるタイトルマッチに参加する程度にしか使われなくなる。
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肝心の「チャンピオンシップ」の出来がひどい。
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相手のチームはプクモン3体や完全体2匹と究極体と言うここまで来れたプレイヤーにとって非常に弱いチームや、「オズの魔法使い」や「桃太郎」など、強いがこういう時にネタに走っているチームもある。
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決勝戦ではサプライズなんて物はなく、普通のチームが対戦相手である。
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ちなみに「行く手を阻む四天王」は出場していない様子。
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また、4年に1度開かれると言う設定なため、再挑戦にはゲーム内時間で四年かかる。
総評
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やっている内は楽しいのだが、登場デジモンや変な進化系譜、作業感の強い進化など、違和感が目立ってしまう。
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育成ゲーム好きや、デジモンの初心者には向いているソフトかもしれない。
余談
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本作が発売してすぐにVジャンプから攻略本が出された。
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しかし、発売直後の攻略本なのに全デジモンや進化条件、おまけに裏ボスまでが記載されている。いつものVジャンプクオリティは何処に行ったのか。
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しかも誤表記が多く、「登場していないのに載っているリーフモンやロップモン」「ヘラクルカブテリモン(画像はハイアンドロモン)」「ピエモン(成長期)×6」など、気づかなかったのだろうか。
最終更新:2018年07月26日 14:36