The Elder Scrolls IV: Oblivion
【じ えるだーすくろーるず ふぉー おぶりびおん】
| ジャンル | RPG |  
  
  
  
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| 対応機種 | Xbox 360 プレイステーション3
 Windows(英語版他)
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| 発売元 | スパイク(国内 / 通常版) ゼニマックス・アジア(国内 / GOTY版 / 廉価版 / GOTY廉価版)
 2K Games Bethesda Softworks(北米 / Win パッケージ / 360 / PS3)
 Bethesda Softworks(Win Steam)
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| 開発元 | ベセスダ ゲーム スタジオ | 
| 発売日 | 【360】2007年7月26日(国内) 【PS3】2007年9月27日(国内)
 【Win】2006年3月20日(北米)
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| 定価 | 8,190円 5,040円(GOTY版)
 3,990円(通常版プラチナコレクション / PSベスト)
 2,990円(GOTY版プラチナコレクション / PSベスト)
 2,480円(Win GOTY Deluxe版 Steam)
 1,980円(Win GOTY版 Steam)
 時価(Winパッケージ全バージョン/The Elder Scrolls Anthology)
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| プレイ人数 | 1人 | 
| レーティング | レーディング審査団体により、年齢制限に大幅な揺れ(12~17)がある | 
| 判定 | 良作 | 
| 必須スペック 【Win】
 | Oblivion Wiki JP (避難所)より引用 OS: Windows XP, 2000, XP 64-bit
 メモリ: 512MB (推奨1GB)
 CPU: Pentium 4 の 2GHz 以上(推奨 3GHz)または似たスペックのCPU
 VGA: VRAM 128MB, DirectX 9.0対応のVGA(推奨 GF6800, X800以上)
 DVD: 8倍速 DVD-ROM drive
 HDD: 4.6 GB 以上の空き容量
 S/B: DirectX 8.1 対応のサウンドボード
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| 特記事項 | Windows 7/8/10/11は公式にはサポート外だが動作可能 SteamでGOTY版を購入するとGOTY Deluxe版が買えなくなると情報あり
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| The Elder Scrollsシリーズ | 
 
ストーリー
第3紀433年・収穫の月(Last Seed)27日。暗殺者が急襲し3人の帝位継承者が暗殺されたという報せを受けた皇帝は親衛隊「ブレイズ」を伴い、牢獄の奥の秘密通路を通って帝都を脱出しようとしていた。
その通路の牢獄には囚人であるあなたがいた。幸運にも皇帝はあなたを「夢で見た」といい、あなたもまた牢獄を脱することができた。
逃亡の最中にも暗殺者が襲いかかり最期を悟った皇帝は、その象徴である「王者のアミュレット」をあなたに託し、最後の帝位継承者になる隠し子を探すよう告げ、暗殺者の凶刃に倒れるのだった。
オブリビオンの侵攻を食い止めることができるという皇帝の隠し子を探し、アミュレットを届けるため、自由の身となったあなたは広大な大陸の中央部・シロディールの地へ足を踏み出す。
概要
『The Elder Scrolls』シリーズのナンバリング第4作。CS機へ本格的に参入を始めた作品でもある。
当初は日本語版の予定が無かったが、前作からの評判がクチコミで広がり「たのみこむ」で署名運動が行われた結果、スパイク(現:スパイク・チュンソフト)が名乗りを挙げCS日本語版の発売が実現した。
舞台はタムリエル大陸の中心、帝国が都を構えるシロディール地方。
メインストーリーは「オブリビオンの門」を介して攻め寄せる異界の住人を阻止するため、神々と契約できる資格を持つ皇帝の末裔を探し出し、「オブリビオンの門」を閉ざすのが目的となる。
クエストはメインの他にギルドやサブなど、かなり豊富に用意されている。街中で呼び止められ助力を請われることもあれば、NPC同士の会話(うわさ話)を聞くことでクエストが始まる場合もある。
41k㎡を実寸大でおこしたというマップは「旅している」という気分を満喫でき、その中で実に1000人以上のNPCがそれぞれの生活を送っている。
ちなみに、副題にもなっている「Oblivion」は英語で「忘却」という意味である。
評価点
高い自由度
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自由度が非常に高く、メインクエストを放置しても問題はない。また、エンディングを迎えてもクリア後世界でゲームを続行可能。
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あてもなく彷徨うもよし、ギルドに所属するもよし、道端で困っている人を助けてもよし、逆に殺して金品を奪ってもよし、そのせいでお尋ね者として生き抜くもよし。主人公が何者になるかはプレイヤー次第。
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大味な部分もあり、何かプレイする目的などが無いと楽しめない人にはあまり合わない。世界をただ放浪するのが好きだったり、自分の中で物語を作ってプレイできる人にはぴったりなゲーム。
 
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舞台となるシロディールの景色はとても美しい。
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北部では雪が降り積もり、湿地帯は雨が降りやすくジメジメしていたりと様々な表情を見せるフィールドは評価が高い。
 
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メイン以外のサブクエストも豊富。
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依頼主も、道ばたの通行人や商人から、自分が所属する事になったギルド、地方の城にいすわる女騎士、歴史探索が好きな貴族、はては暇をもてあましているデイドラ王子達など、多岐に渡る。クエストに関与しないNPCも個性豊か。
 
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ストーリーを一区切りする転換期とも言える作品であり、前作までを知らなくても楽しめる。むしろ知らない方が楽しめる場合も。
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世界観設定の説明はその殆どが各街にある書店・各所の書籍や一部の偉い人との会話という形になっている。細かいことを抜きにしてプレイしたい人は無視することも可能。
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深く知りたい人はゲーム内書籍をつなげ合わせる事で理解を深めることができるが、劇中書なので根幹の部分はぼかされていることが多い。
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悪く言えば投げっぱなし、良く言えばプレイヤーの考えに委ねている、と取ることも出来る。
 
 
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ファストトラベル機能
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『Morrowind』で削除されたファストトラベル機能が復活。『Arena』『Daggerfall』では使う度に死ぬ危険性があったりしたが、今作では使用条件を満たせばデメリット無し。
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基本的に一度訪れた場所のみだが、主要都市の入り口へは最初から移動できるようになっている。
 
豊富なキャラメイキング
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人間やエルフの他にも猫やトカゲの様な外見の亜人、オークを選ぶことができ、そこからさらに髪型・目の色はもちろん鼻の高さや顎のライン等々、実に細かい部分を調整することが可能。
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また、職業によって成長させやすい能力を選べるほか、オリジナル職を作ることも可能。
 
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さらにスキルの分類も多岐に渡るため、「自分だけのオリジナルキャラクター」が誇張抜きで作成可能である。
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MODが使えるWin版では「有名作者の顔データ + 定番MOD装備」といった組み合わせでもない限り、他人と外見が被ることはほぼない。
 
豊富なクエスト
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クエストの発生条件は主人公の種族や職業で制限がかからないため、サブクエストも含め、開始時点で詰み状態になっている事はまず無い。
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中には、あるアイテムをその道のマニアに直接売る事で始まるものや、正規の開始条件が重要アイテムの横流しと言う変則的な例も存在する。
 
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クエストの分岐は多く、選択肢や人物の生死によって結末が変動することがある。
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関係者の死亡や時間制限オーバーでクエストが中断されてしまう場合も。その際は「ある冒険者がヘマをやらかした」とNPC同士が会話でネタにすることも。
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ギルドクエストは、ギルド関係者に対して犯罪を繰り返すと追放されてしまうため、続行できなくなる。
 
Radiant AIによる「生きている世界」の表現
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本作ではNPCがそれぞれスケジュールで設計されたAIを持ち、それにしたがって行動する。
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朝起きると食事を始め、日中は畑や町で仕事をし、夜は酒場に寄って息抜き、といった人間臭い生活をする。
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善良でないNPCは町中でスリを働き、衛兵に追い掛け回され挙句殺されるといった光景もまれに見られる。
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NPCの周囲で戦闘が起こると、勇敢な者は武器を持って参戦し、臆病な者は衛兵を呼びながら逃げ惑う。
物理エンジン「Havok」搭載
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今作から物理エンジンを搭載。物を掴んで投げる、坂道では転がっていくといったリアルな描写がされるようになった。
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とはいえバグの宝庫であり、プレイヤーから「Havok神のいたずら」と呼ばれる現象が多く起こる。
 
奥が深いクラフト要素
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魔術師ギルドのクエストを進めると「構呪」と「付呪」ができるようになる。威力や範囲、持続時間を自分で設定可能で、低コストで強力な実用魔法や、強力なエンチャントが施された武器や防具、使いどころに悩むネタ武器・魔法なども製作可能。
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フィールドで採取できる植物や食品、さらにはゾンビの四肢やよく判らない物質などを調合することで薬品を製作可能。効能は素材で変わり、威力などは錬金スキルと調合器具の質で大きく変化する。
 
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各街に自宅を所有することが可能で、物の配置レベルだが今まで手に入れたお宝を自由に飾ったりできる。
充実したMOD開発環境
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開発のベセスダソフトワークスはMOD製作ツール「TES Construction Set」を無料で公開しており、ゲーム性そのものを変化させるようなシステムを作ることもできる。これらの自由度は『RPGツクール』シリーズや『Half-Life』派生のSource Engine MODに比肩する。
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これらの結果として最終版でも残った多数のバグを修正する「UOP」・ゲームバランスの適正化を目指した「FRAN」・ゲームの高難易度化を目的にした「OOO」「MMM」・都市やフィールドを大幅に変更する「BC」「UL」・世界を根本から作り変えた超大型MODゲーム「Nehrim」までが作り出された。
 
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野暮ったいデザインの装備品が気に入らなければ、実在する歴史的な武具や他のゲームやアニメの二次創作装備、和ゲーやアジア産MMOのようなデザインの装備品などもまたMODという形で導入することができる。
賛否両論点
違和感の残る公式日本語化
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本も含めて全て日本語に翻訳済みだがテキスト量の多さから、一部のNPC名などは原文とかけ離れた訳がされていたり、通常版とGOTY版で固有名詞の訳が統一されていなかったりと賛否両論でもある。
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また、汎用セリフの原文は言葉づかいに男女で区別がないため、翻訳時に扱いが混乱したのか、しばしば性別と逆の口調のテキストが表示されるNPCがいる。
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誤訳で有名なのが「トビウオ師匠」というアルゴニアン。英語での名前は「City-Swimmer」という名前。世界観に詳しくないとわかりづらい名前のため仕方ないが別に泳ぎが得意なわけではない。
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「デイドラの王子」や「黒檀」など、次回作まで引きずる誤訳も登場している。
DLC
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北米等で配信されたDLCについて、当初は全て出すと発表していたが、日本でのリリースはCS版に最初から付属している「Knights of the Nine」と、GOTY版で搭載された「Shivering Isles」の2つのみとなった。
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CS日本語版では「Shivering Isles」のリリースが、代理店の変更と重なった事で何度も発売延期になった挙句、技術的に無印版とのセーブデータと互換を持たせることが出来なくなったという理由から、DLCとしての配信が結局中止になった。
 
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海外でもPS3版はDLC8「Knights of the Nine」と公式拡張「Shivering Isles」しか存在しない。DLC6「Fighter's Stronghold」の様にダウンロード販売専用、Win版は現在は単品での入手が不可能となっている。
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日本で未配信のDLCの中には「手紙で呼び出されて、呼び出した人物の所に行ったら、馬に装備させる鎧のモニターにされた。しかもバグ付き」と言う悪い意味で奇妙な内容の物もあり、海外ではユーザー製MOD以下の内容で$2.50も取る問題DLCの代表作と言う不名誉な称号を得てしまった。
    
    
        | + | DLC紹介 | 
DLC1「Horse Armor Pack」
前述の馬鎧DLC。鎧は2種類しかない。そしてバグ付き。
ベセスダソフトワークスが人員規模の小さなスタジオである事が幸いしてか、このDLCへの批判をもとに、後期のDLCは方向性を転換することができた。
現在では公式すら定期的に自虐ネタを仕込むほどに至った、ある意味墓標的なDLCである。
 
DLC2「Orrery」
前作や続編では見飽きるほど存在したが、本編では武器/防具でしか登場しないドワーフ分を補充する有料MOD。
いつの間にか荷物に紛れ込んでいた手紙は、帝都の大学にある天球儀の修理に必要な部品を盗賊から取り返して欲しいと言う物であった。
 
DLC3「Wizard's Tower」
存在を忘れかけていた親族から相続した塔の手入れがメインとなるもの。
ただ、既存住宅の利便性向上や立地の良いユーザー製家追加MODの存在を考えると無駄に広かったり立地条件やらでかなり微妙な内容。家を追加するDLCは総じて評価が悪い。
 
DLC4「Spell Tomes」
各地のダンジョンや敵対NPCの所持品に、魔法を覚えることができる巻物を追加する有料MOD。
プレイヤーをライバル視し、決着をつける為追い掛け回すAIを持ったNPCも登場するが、クエストダイアログや専用会話が無い上、全てのNPCと敵対する設定のせいでいつの間にか死んでいることも多い。
 
DLC5「The Vile Lair」
暗殺者向けの家をシロディールに追加する。非常に困難な、吸血鬼から人間に戻るクエストを簡易化するものという側面が強い。
 
DLC6「Battlehorn Castle」
西部山岳地帯の城の噂を聞きつけ、その地を訪れたプレイヤー。数百年前の戦争で敗北し逃れて来た騎士達が作った城を引き継いで欲しいと言う申し出を受けるが…。
このDLC最大の被害者は、ある人物と名前と種族が被ってしまった、他のクエストで共闘する本作の裏三大美人。
 
DLC7「Thieves Den」
シーフ向けの拠点をシロディールに追加。海賊船が入手できるがプレイヤーは乗り回せない。
 
DLC8「Knights of the Nine」
ある町の教会が何者かによって襲撃されたのとほぼ同時に、終末をもたらす古代エルフ帝国の王と、救世主となる古の聖騎士が蘇ると言う噂から始まる物語。
「世界のRPGよ、これが王道展開だ!」といった内容。伝説の騎士の装備入手やプレイヤーを頂点とする組織の誕生、ラストバトルの演出や低レベルでクリアーした場合のアフターフォローまで準備されていることから、本編はサブクエストでこちらがメインクエストとまで言い切るプレイヤーも。
その人気故か、この大規模なDLCの続編として大型MOD「Knights of the Nine Revelation」も作られていたりする。
 
DLC9「Mehrunes' Razor」
『Oblivion』最大規模のダンジョンが追加。敵の落とすアイテムはエンチャント矢を中心にかなり豊富。名前からしてメインクエストクリア後の攻略を念頭に置いていると思しき内容。
近年まで所在不明だった遺跡を舞台に、皇帝暗殺による政変のどさくさに紛れてモロウィンド(前作の舞台)全土の支配を目論む豪族と、デイドラアーティファクト争奪戦を繰り広げる。
 
公式拡張「Shivering Isles」
前作の拡張パック「Tribunal」「Bloodmoon」と同様、ディスクパッケージでも販売されたマップ追加アドオン。
「ある町の沖合いにいつの間にか謎の島が出現。多数の冒険者が足を踏み入れたが、島から戻ってきた人物は全員が狂っていた」と言う噂から始まる。
年齢制限の引き上げもあってか、前作に負けず劣らずえげつない空気が濃縮された内容。ファンから「ガクブル島」と通称されるオブリビオンの領域「シヴァリング・アイルズ」を統べるデイドラロード・シェオゴラスのクレイジーっぷりは凄絶の一言。
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前作との比較
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前作と今作を比べたある海外ゲーマー曰く「『Oblivion』は遊び場、『Morrowind』は故郷」とのこと。それほど前作の与えた衝撃が大きかったのだろう。とは言え前作はかなり古い作品であるため、PCのスペックに余裕があってもフィールドで頻繁にロードが発生する等、今からプレイするのは厳しい。
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前作では通常の服の上に鎧や小手、グリーブやブーツを装備していたが、本作では服も鎧も着衣として、同じスロットに装備する形に簡略化。
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前作はダークファンタジーが売りの1つで、人によっては拒否反応しか出ない展開が多々あった。それに比べて本作は舞台が帝国の「文化的な」首都とその周辺が舞台なこともあってかあまりそういう暗さがない。ストーリー展開も、ダークファンタジーらしさが大きく薄れてしまった。
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しかしそれはあくまでも本筋だけ。帝都の人間が書く帝都周辺の街のガイド本や帝都で暗躍する汚職衛兵、小さな子どもの骨と魂を入れるマジックアイテム、クエストで絶対に助けられない登場人物など、容赦のないポイントは多々ある。過去作に比べればおとなしめだが。
 
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特にシナリオについては以前の雰囲気が好きなファンから微妙判定を受けている。海外ユーザーの中には『FF』のような一本道になったと大きく批判する者もいた。
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これについては開発スタッフも本意ではなく、CS版を本格的に販売しようとした結果、プレイヤーの低年齢化に合わせて分かりやすくしたらああなった、とのこと。
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他にもハードの限界に合わせたため、入れる予定だったシナリオが削られ、規模が縮小されてしまった。意味ありげなのに何も起こらない場所や、設定上は存在しデータもある程度作られているが使われなかった町などがある。
 
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フィールドもギネス級の広さを持っていた過去作『Daggerfall』どころか、先発してサービス開始したMMO『World of Warcraft』と比べても狭い事が不評の1つになっている。フィールドを現実換算した面積は『Daggerfall』がイギリス本土の2/3にあたる161600km²、『World of Warcraft』が207km²で四国の2割増、『Oblivion』が山手線の内側の2/3に当たる41km²である。
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ただし『Daggerfall』までのマップはほとんど自動生成された平坦な土地が続くばかりで、本作のような作り込みとは程遠い点に注意。前作『Morrowind』は25km²ほどなので順当にパワーアップしてるとも言える。
 
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担当デザイナーが1人だけということもあり、どのダンジョンも似たような構造で変化に乏しい。このため探索できる場所の数は多いが、クエストに関係ないダンジョンを探索する楽しさが薄い。
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前作では店毎に所持金額が設定されており、その金額までの物しか売れないようになっていたが、本作では所持金額ではなく売却上限額となっている。
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何度でも売れるおかげで利便性が増した反面、特定の商人以外との取引が非効率になっている問題も抱える。
 
問題点
バグと読み込み遅延
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大抵はゲーム進行に影響がないものだが、中には深刻な影響をもたらすものも存在する。特に盗賊ギルド関連のバグは公式パッチで修正し切れていないものも多く、CTD(ゲームの強制終了)を起こしたり、実害が起きるまでの潜伏期間が長いために気付いた時はすでに手遅れと言うことも多い。
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一例をあげると、フィールドを旅しているNPCが死亡することでクエストが進行不能になるというものがある。該当NPCには不死属性が無いうえに死体が残らず、さらに死亡した場合の展開が用意されていないためクエスト失敗扱いにすらならない、さらに、そのキャラと場所は2つの重要クエストに関わっており、2つともNPCのルーチンに永続的な影響を及ぼすため、同時に発生させると進行不能になる。
 
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DVDやHDDの読み込みの遅さから、フィールド移動中にfps低下が頻発する。Win版なら描画品質を下げる、メモリー開放系MODを使う、ハードを強化するなどの対策を取れるが、CS版ではどうしようもない。
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メインクエストを進め、各地に異界とつながる「オブリビオンの門」が開きだすと、ゲートのエフェクトの処理や敵NPCが増えて更に重くなる。
 
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PS3のGOTY版は、吸血鬼病治療クエストで薬を用意する人物が必要なアイテムを受け取らないという固有のバグが存在するが、このクエストのバイパスルート色の強いDLCが配信されていない為、吸血鬼の治療は不可能。
自由度が高いがゆえに難易度が高いキャラクターメイキング(主に顔)
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種族ごとに身長と肩幅は設定されているものの、CS版では体型の調整が不可能。Win版でも身長を弄りたい場合はMOD製作ツールを使用する必要がある。
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Win版は、体系変更MODやリプレイサーMODを別に導入するのが定番。しかしプレイヤーやMODコンパニオン(仲間)だけ体型を変えようとするとさまざまな弊害が発生するため、事実上ほぼ顔しかいじれない。
 
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顔の製作は項目が多数あり、しかもそれらが連動して動く困った仕様のせいで、よほど美的センスと慣れが無い限り、いわゆるクリーチャー顔しかつくれない。
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このため、発売直後にゲーム専門誌でネタにされたり、ユーザーからは顔の製作がメインクエストと言われるほど難易度は高い。
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その扱いづらさはカジートやアルゴニアンと言った獣人種や、元々ブサイクなオークで作った方が愛着がわいてしまうと言われるレベル。
 
三人称視点時にぬるぬる動きすぎるカメラワーク
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バニラの状態では視点移動を止めた後でもカメラが微妙に動いたり、デコボコした場所を移動するときに独特の動きをしたりと、かなりカメラワークが悪い。
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Win版では何はともあれ「Chase Camera Mod」と呼ばれるカメラワーク改善MODの導入だけは必須とまで言われている。
 
浮遊感の強い重力設定
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本作の重力はまるで月面のような弱さで、後発作の『Fallout 3』『Skyrim』と比べてかなり浮きやすい。
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マップ上にも急勾配が多く、坂道を走っただけで空中に飛び出して落下ダメージを受けてしまう。不用意にジャンプしようものなら致命傷はほぼ確定。
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低レベル時の運動系スキルやHPが低い状態だと死因にもなるため油断ならない。「坂道で転落死」は本作のあるある。
 
 
癖のあるキャラクターの成長方法
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スキルを上げることで経験値を獲得しレベルアップするという一見シンプルだが実際には恐ろしく煩雑なシステムになっている。
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まずキャラ作成時に全スキルから7つの「メジャースキル=得意分野」を決定、残りは「マイナースキル」となる。メジャースキルを上げることで経験値を取得し、計10ポイント上げるごとにレベルアップ可能状態になる。マイナースキルの上昇分は成長ボーナスに関わる。
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ここで罠になるのが、種族や星座が得意とするスキルをメジャースキルに設定すると、スキルの初期値が高くなること(詳細は後述)。
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メジャースキルに選んだスキルは成長速度にもボーナスが付くが、これも罠になる。
 
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レベルアップ時は3つのステータスを選択し成長させられる。上昇値はそれまでに上げた各ステータスの関連スキルによって決まる。
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例えば「刀剣スキル」「殴打スキル」「格闘スキル」を育てると腕力スキルの成長値がアップする
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上昇値は1レベルごとに最大5の制限があり、適用される成長ボーナスはメジャーマイナー合わせて10スキルポイント。超過した成長ボーナスは次回に繰り越される。
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成長させなかったステータスに発生した成長ボーナスはそのまま無駄になる。
 
 
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その他の問題点
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システムの仕様上、全メジャースキルのカンスト=レベルの上限となる。メジャースキルの初期値が高い程、レベル上限が低くなるわけである。
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そのため種族や星座のボーナスが仇になっており、下手に得意なもの同士を組み合わせると最終的にレベル上限が低く成長ボーナスが不十分な不器用キャラが出来上がってしまう。
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まんべんなくスキルを育てると成長ボーナスが分散してしまい、1度の成長値が低くなってボーナスが無駄になりやすい。
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一方で特定のスキルだけ上げていると、成長ボーナスも激しく偏ってしまう。
 
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スキルの幾つかはかなり使い込まないと成長しない。特に「運動スキル」は走ったり泳いだりしなければいけない上に成長が極めて遅い。
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逆に隠密スキルは上がり易すぎて序盤でカンストしやすい。メジャースキルに設定しようものなら、多量の成長ボーナスを無駄にすることに。
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敵も主人公のレベルに応じて強くなるため、偏った成長をしているとその辺の山賊にすら苦戦しかねない事態が起きうる。
 
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運動系スキルは上げすぎると移動速度やジャンプ力が異常になるため速度抑制のMODまで出ている。
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逆に言えば、計画的にプレイすれば全能力をカンストし驚異的な身体能力のキャラを作ることが可能だが、そのためには恐ろしく作業的なプレイを強いられる。
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単に上げればいいというものでなく、あらゆる行動で何かしらスキルが上がってしまうため縛りプレイも求められる。
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雑魚を相手にダメージを食らい続けつつ回復スキルや武器系スキルにも気を付ける、鍛冶スキル上げで延々修理or上げすぎないように修理封印、被ダメで防御スキルが上がらないように弓で攻撃しつつ隠密と弓スキルも上げすぎないようにする、鍵開をわざと失敗し続けるor上がりすぎないように開錠を要するクエストを避ける、といった具合。
 
戦闘の大味さ
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敵の攻撃をガードし数回斬りつつ隙を見て回復魔法を使う等の繰り返しであることや、最終的にナイフに強力なエンチャントを施して手数で押し切ることが最適解であることなど、プレイヤーの技術的な介入余地が少ない。
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前作『Morrowind』の、敵に攻撃を命中させてからスキルによる判定を経て攻撃の成否とダメージ量が決まるという悪い意味でTRPG的なシステムから見れば大幅に改善されたが…。
 
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弓と魔法も存在するが、弓は入手できる矢の数が少なく、魔法は初期習得している魔法の威力が低い上にマジカ(MP)が少ないため、どちらも序盤は使いこなす事が難しい。
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また、中盤以降は特定の有効な戦術に偏りマンネリ化しやすく、戦闘の作業化に拍車がかかってしまう。
 
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難易度調整機能も付いているが、これは与ダメージ・被ダメージの倍率が変動するのみで、AIの行動や敵の配置に一切変更はない。
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通常値と比較すると、最低難度は被ダメ1/6と与ダメ6倍、最高難度はその逆、とバランスも極端。その落差は実に36倍にも達する。
 
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TPS視点もあるにはあるが、照準が表示されない上にキャラクターの真後ろから前方を映すため、遠距離戦では使い物にならない。
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Win版ではTPS視点でのカメラ位置を変更するMODも存在するが、ユーザースクリプトの存在で実用化できたシールドバッシュ機能追加MODでモーションが再生されない、カメラ位置変更MOD対応モーションの少なさがネックになっている。
 
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もっとも、この大味さのおかげでMODの介入余地が広かったり、隠密プレイや魔術師プレイが面白くなっている一面もあるが。
レベルによって性能が変わるクエスト報酬アイテム
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一部クエストのクリア報酬のアイテムが、入手時のレベルで性能が決まってしまう。そのため、低レベルのうちに入手すると低性能になってしまう。
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クエストによってはレベルが上がると報酬獲得が厳しくなるものもあり、「低レベルでクリアし、報酬受け取りはレベルを上げてから」という妙な進め方をした方が得する場合もある。
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ほかにもアイテムの上限レベルが低いせいで、レベルを上げてから入手すると結局使い物にならない場合も。
 
 
MOD製作者に頼りすぎなメーカー
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星の数ほど存在するMODの中には、公式パッチで修正しきれないバグやエラーを修正する物もある。CTD回避スクリプトやユーザー製修正版コードが存在すると言うのは、MODを容認しているゲームではよくある話ではある。
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とはいえ、コンシューマ版ユーザーがCTD回避方法をメーカーに問い合わせたら、Win版への移行とバグ回避MODの導入を薦められたり、初期の「Shivering Isles」で発生した時限バグを解消するために、ユーザーが製作した修正スクリプトを製品に組み込んだと言う、笑えない逸話もある。
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しかしながら非公式パッチも新たなバグを引き起こしたり、MODによっては相性が悪いということもあったりするので導入の際には検討が必要。
 
総評
美しい景色と本物の建築様式に範をとった町並みを擁し、とても素晴らしい出来映えで表現されたシロディールを自由に探索するゲーム。
メインストーリーは、勧善懲悪を基礎としながらも寂寥感を感じさせ心に残るほろ苦いエンディングのシナリオである一方、サブクエストでは人道的にまずい選択肢も許容する自由度がある。
しかし、バグの多さに加え、旧作ファンからはシリーズが持つダークファンタジーな展開がマイルドになった事への不満も語られている。
自由度ばかりが注目されがちだが、シリーズを通しての細かい世界観も評価が高く、世界に散らばる石像や組織ひとつとっても深く細かい設定がある。
神様ひとつとっても曲者ぞろいであり、それを知っているとサブクエストでニヤリとすることも。気になる人はまとめサイトもあるので検索してみよう。
余談
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開発側も豊富なMODを評価しており、次回作『The Elder Scrolls V: Skyrim』では、MOD作者の一部が開発に携わっている。また今作のMODで人気の高い、採取した植物の一部が消える「Harvest FLORA」や、戦闘のダイナミズムを追及した「Deadly Reflex」等のシステムがいくつか取り入れられている。
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余談ではあるが、日本人製作のMODの中には、対応装備MODの多さから女性用体系変更MODのデファクスタンダードになったばかりか、『Fallout 3』や『Skyrim』では派生移植版同士でシェア争いをする事になった「HGEC」や、「MBP/MBP++」と言った種族/キャラメイク用パーツ統合MOD、女性キャラクター向け装備品が多数追加される「Tona's Mods Store」や「Apachii Goddess Store」等、Win日本語版が存在しないわりに絶大な人気と実績を残したMOD製作者が多い。
 
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360版は実績に対応しているが、PS3版はオリジナル版、GOTY版ともにトロフィーに未対応である。
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後に本編 +「Knights of the Nine」+「Shivering Isles」を同梱したGOTY版が発売されたが、CS版では別のゲーム扱いであるため、無印版からのセーブデータの引き継ぎはできない。
 
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ゲームエンジンが古いため、Win版を購入する場合はゲーマー向けのクアッドコアCPUとハイエンドGPUにメモリーを多めに載せれば良いというものでもない。
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このため、PCの導入から始める場合、家電量販店ではなく複数の洋ゲーに強いPC専門店に相談した方が良い。
 
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本作から公式に日本語がサポートされたが、テキストのみの翻訳で音声は英語となっている。
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Win版を日本語化する場合、販売形態(パッケージ版とSteam版)により、日本語化MODの導入手順や必須ファイルが異なる。
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『ドラゴンクエスト』シリーズの生みの親である堀井雄二氏は、このゲームのファンであることを公言している(参照)。
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本作の製作終了後、リードデザイナーのKen Rolstonが38 Studiosに移籍し、『Kingdoms of Amalur: Reckoning』の開発に参加している。
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アメリカ本国では、ソフトの発売後、あるクエストで死亡するキャラクター専用の死体が、ベセスダからESRBに提出された資料より部位欠損等がひどかったこと、Win版のMOD製作者向けに用意されていた上半身裸の女性用3Dモデルのユーザーによる発見が欧米圏で問題視された。
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ボイスアクター(声優)は人数こそ少ないが、英語版ではストーリー上の重要人物にパトリック・スチュワート、テレンス・スタンプ、ショーン・ビーンを起用し、ある種族の音声をリンダ・カーターが演じるなど、少数精鋭ともいえる人選だった。
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ちなみにショーン・ビーンは洋画版「歩く死亡フラグ」として知られていたため、彼が担当した人物についてはゲーム発売前からストーリー上で死ぬのではないかと噂されていた。
 
その後の展開
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2025年4月23日に本作のリマスター版『The Elder Scrolls IV: Oblivion Remastered』がPS5/XSX/Winで発表と同時にダウンロード専売でリリースされた。
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開発はVirtuosが担当、Unreal Engine 5が採用されている。また、「Knights of the Nine」「Shivering Isles」を含むDLCが最初から収録されている。
 
最終更新:2025年04月23日 17:58