痛快ゲームショー ツイステッド

【つうかいげーむしょー ついすてっど】

ジャンル パーティーゲーム
対応機種 3DO interactive multiplayer
メディア CD-ROM
発売元 エレクトロニック・アーツ・ビクター
開発元 Studio 3DO
発売日 1994年12月23日
定価 8,800円(税抜)
レーティング 3DO用審査 E(一般向)
プレイ人数 1~4人
判定 良作
ポイント アメリカンな雰囲気満載の実写パーティーゲーム
丁寧なローカライズと豪華吹き替え声優陣
基本は複数人プレイ専用ゲームである点に注意


概要

エレクトロニック・アーツ・ビクターから3DOで発売された、実写取り込みを用いたパーティーゲーム。
原題は『Twisted: The Game Show』。


特徴

  • アメリカンな架空のテレビ番組「ツイステッド」を舞台に、ルーレットを回して出た数字の分だけゾーン(マス)を進み、らせん状の階段のてっぺんにあるゴールを目指す、いわばすごろくゲーム。
    • プレイ人数は最大4人。
    • ゲーム開始時、各プレイヤーはアバターとなるキャラクター(全6人)から1人選び、後述するシンクタンクも同時に設定する。
      • キャラクターごとの性能差は特になく、ゲームの節々で個性豊かなリアクションを取ってくれる。
  • ルーレット
    • 一般的なすごろくでいうサイコロに相当。
    • このルーレットは0~2の数字を無造作に並べた列が3段書かれており、それぞれに対してカーソルが自動で高速移動する。
    • 手番のプレイヤーがボタンを押すことでカーソルが停止し、止まった位置の数字の合計が進むマスの数となる。つまり進めるマスの数は0~6。
  • ゾーン
    • 「チャレンジ・ゾーン」「ボーナス・ゾーン」「ボーゾー・ゾーン」「はりつけゾーン」の4種類が存在する。止まった際に発生するイベントは以下の通り。
      • チャレンジ・ゾーン:後述の「マトリックス」が始まる。基本的にはクイズやミニゲームに挑戦することとなる。
      • ボーナス・ゾーン:もう一回ルーレットを回す。
      • ボーゾー・ゾーン:1回休み。
      • はりつけゾーン:「車輪はりつけ台」に囚われる。止まったプレイヤーはルーレットを回すことができなくなり、代わりに3列に分かれて回る円盤をピッタリ止めるミニゲームを強制される。円盤には様々なマークが描かれており、同じマークを縦に3つ揃えれば脱出できる。
    • なお他の誰かが既に止まっているゾーンに止まった場合、そのイベントを無視して無条件にもう一度ルーレットを回すことができる。
  • チャレンジ・ゾーンに止まった場合は、「マトリックス」が行われる。
    • ここでは3×3のマスに様々なアイコンが画面に表示され、横列をABCボタンで他のプレイヤー(ランダムに決定)が選択、縦列をABCボタンでゾーンに止まったプレイヤーが選択する。それぞれが選んだ列の交差地点にあるアイコンに応じ、ミニゲームやイベント等が発生する。
      • 先に選ばれた横列は、縦列の選択が終わるまで公開されない。プレイヤーは互いに、相手の選択を予測する必要がある。
    • ここでミニゲームやクイズに成功することで、もう一度ルーレットを回すことができる。
    • またクイズやミニゲームの他にも、無条件でもう一回ルーレットを回す、他プレイヤーと場所を入れ替える、といった特殊なイベントもある。
  • シンクタンク
    • いわゆるハンデ機能。ゲーム開始時にクイズの難易度を参加者ごとに選ぶことができる。
    • 選択肢は「expert」「adult」「child」「none」の4段階。
      • 「expert」では一回につきクイズを3つ答えなくてはならなくなり、「none」はクイズが出題されなくなる。

評価点

  • とにかくアメリカンなテレビ番組の雰囲気。
    • 前述したように本作はアメリカのテレビ番組をモチーフとしている。当時はおろか2025年現在でもあまり見られない珍しい雰囲気のゲームであり、オリジナリティーに溢れている。
    • 後述する吹き替え声優のおかげもあって、好きな人にとってはたまらないノリとなっている。
  • シンプルながらも駆け引きが熱い。
    • 今作は意外とランダム性が少なく、対戦相手の動向に応じた読み合いが楽しく仕上がっている。
    • サイコロに相当するルーレットは1列だけなら楽に目押しができるので、進みたいマスを狙いやすくなっている。
      • この仕様は、相手がいるマスをぴったり踏むと連続で進めるシステムと上手くかみ合っている。すぐ近くに対戦相手がいる場合などは、あえて近くを狙うか、それとも大きく動くか……といった駆け引きが楽しめる。
    • マトリックスは相手の行動を読んで慎重に列を選ぶ必要があり、裏を掻いたり掻かれたりの攻防が熱い。
+
  • たとえば以下のような配置になっている場合……(×はハズレイベントとする)
 ABC
A×・×
B・×・
C・・・
  • 横列を選ぶプレイヤーはAを押すことで相手に貧乏くじを引かせる確率が上がるが、当然相手もそれを読んでBを選ぶのが有利となる。しかしさらにそれを読んで横列担当のプレイヤーはBを押すべきか……といった風に、非対称なジャンケンが頻繁に発生する。どこを選ぶか敢えて宣言すると、場が盛り上がるかもしれない。
  • もちろん、横列担当のプレイヤーが全然関係ないCを押し、場を波乱に導くのも楽しさの一つ。
  • ミニゲームは内容によって難易度の振れ幅が大きいので、「むずかしいミニゲームをいかに押し付けるか」「簡単なミニゲームをうまく引けるか」といった読み合いも過熱する。
  • クイズ・ミニゲームに難易度自動調整機能が付いている。
    • 前述したシンクタンク以外にも、クイズの正解やミニゲームの成功を続けていくと、次第に難易度が上がる機能が搭載されている。
    • 逆に失敗し続けると、難易度が下がるようになっている。
    • このシステムによって1人のプレイヤーが一方的に勝ち上がることが難しく、逆転がしやすくなっている。
    • 似た仕様がはりつけゾーンにも適用されており、何度も脱出失敗するとマークの種類が減って揃えやすくなる仕様がある。
      • 誰かが泥沼にハマって差が付きすぎる心配はなく、ゲーム初心者が参加している場合にも優しい。
  • コントローラー1個でも多人数プレイ可能。
    • 本作はコントローラー1個での多人数プレイに対応しており、コントローラーを受け渡すことによって、人数分のコントローラーを揃えることなく多人数で遊ぶことができる。
  • ローカライズがしっかりしている。
    • 本作は海外のゲーム、いわゆる洋ゲーと呼ばれるものだが、ローカライズは非常に丁寧。
    • まず台詞の殆どが日本語で吹き替えられており、その声優陣も司会者役の広川太一郎氏を筆頭に、青野武氏、津田延代氏、風間信彦氏、飯塚昭三氏、増田江威子氏、矢島晶子氏、大塚周夫氏と、とんでもなく豪華なラインナップ。
    • そして注目すべきはクイズの出題内容。なんとこちらもちゃんとしたローカライズが施されており、クイズの一部は日本のプレイヤーに向けて問題の差し替えが行われている。
      • その問題の中には日本人にしか通用しないクイズ*3も含まれており、アメリカンな雰囲気でありながら、ゲームプレイに支障が出ることはほぼない。

問題点

  • CPU対戦が実装されていない。
    • これは意図的な仕様で、説明書にもCPUを使った1人プレイはできないと書かれている。
      • 一応、「自分以外のプレイヤーのルーレットやマトリックスの番に時間切れを待つことによって、疑似的に1人プレイすることはできる」と説明書には書かれているが、テンポが悪くなるためオススメはしづらい。
    • パッケージ裏や帯などに、このことは書かれていないため1人で本作を遊ぼうと思っている人は要注意。
  • 複数コントローラーでのゲームプレイに不備がある。
    • コントローラーを2つ以上繋げて遊ぼうとすると、どの順番でも全てのコントローラーが反応するので、他のプレイヤーのターンでもルーレットやマトリックスの操作ができてしまう
      • そのため、本格的に多人数プレイをする場合は、1つのコントローラーで遊ぶのが無難。もしくは「他人の手番ではコントローラーを触らない」といった暗黙のルールの下で遊ぶ必要がある。
    • それとは別に1つのコントローラーで遊ぶ場合は、司会者はプレイヤーを参加者の名前で呼ぶため、プレイヤーがどの参加者を選んだかちゃんと覚えていないと、コントローラーを受け渡す際に支障が出る。
      • 前述したようにコントローラー1つでプレイできること自体は評価点なのだが、せめてコントローラー1つで遊ぶか複数コントローラーで遊ぶかを選ぶことができれば、より良かったところ。

総評

アメリカンな海外テレビ番組の雰囲気をそのままに、豪華声優陣を始めとした丁寧なローカライズが施された良質パーティーゲーム。
3DOでしか発売されていないため、今から手に取るハードルはやや高い本作であるが、アメリカのテレビ番組の雰囲気が好きな人は、是非とも友達や家族と一緒にプレイして欲しい、そんな一作である。


余談

  • 雑誌「3DOマガジン」は95年完全保存版において当時の全ソフトをレビューしたが、その中で今作は唯一の10点満点を獲得した。*4
    • 同誌は日本語版発売前から今作を積極的にプッシュしており*5、編集部内でも好評だった模様。

その後の展開

今作と同様の「実写を用いたテレビ番組風パーティゲーム」というコンセプトの作品はその後も3DOで複数展開されており、同ハードを代表するジャンルの一角となった。
開発を手掛けた3DO社自身は、2つの後継作品を発売している。

  • Club 3DO: Station Invasion』(94年12月6日)
    • 北米・欧州でのみ発売。テレビ局を子供たちが乗っ取り、進行をすべて子供たちが主導するという子供番組風の内容。日本の番組で言うと『天才てれびくん』みたいなノリだろうか。
    • 日本でも『キッズTV』というタイトルでローカライズされる予定が告知されていたが、3DOソフトの発売予定カレンダーに最後まで掲載されたままフェードアウトし、発売されることはなかった。
  • Zhadnost: The People's Party』(95年3月2日)
    • 北米・欧州でのみ発売。モチーフはなんと共産主義国
    • こちらは日本での発売予定すらなかった。
  • この他、異なる発売・開発元からも同ジャンルのゲームが3DO向けに発売されている。
    • 原語版『ツイステッド』の翌月には、人気番組のゲーム化作品『Family Feud』が発売されている。
      • こちらは北米でのみ発売された。
    • 日本でも吉本興業より、『爆笑!! オール吉本 クイズ王決定戦』が発売。時期的にも『ツイステッド』をオマージュした作品とされている。
最終更新:2025年04月28日 19:21

*1 原作ではそこまでジョークを連発するキャラではなく、3DO版の演技は固有のものとなっている。

*2 今作で演じているのは「なぜか唯一プリレンダリングCGで描写されたマスコットキャラクター」というイロモノで、かの5歳児の演技をそのまま持ってこれる造形となっていた。

*3 例:「『オバケのQ太郎』のQ太郎の妹の名前は?」など。

*4 ちなみに掲載時期は『Dの食卓』『ポリスノーツ』が出る前で、これらは採点対象に含まれていない。ハード代表格の『ストIIX』は採点対象に含まれており、こちらは8点だった。

*5 3DOはリージョンフリーなので、英語さえ聞き取れれば海外ソフトも容易に遊べる環境にあった。当時はもっぱら秋葉原などで輸入ソフトが買えたらしい。