無人島物語
【むじんとうものがたり】
| ジャンル | サバイバルライフ・シミュレーション |  | 
| 対応機種 | PC-98x1 FM TOWNS
 
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| メディア | 【PC98】フロッピーディスク 5枚 【TOWNS】CD-ROM
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| 発売元 | ケイエスエス | 
| 開発元 | メディアミューズ | 
| 発売日 | 【PC98】1994年8月5日 【TOWNS】1995年8月25日
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | 本格シミュレーション 無有人島脱出ゲーム | 
| 無人島物語シリーズ | 
 
概要
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アドベンチャーシミュレーションゲームにアドベンチャー要素をプラスしたゲーム。
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本作の目標は飛行機事故に巻き込まれ無人島に漂流した主人公たち6人の男女が、食料などを確保しつつ無人島を脱出する事。
 
あらすじ
海外旅行中の主人公。その旅の途中で飛行機が謎のエンジントラブルに見舞われ緊急着水を試みる。
突然の出来事で気を失った主人公が目を覚ましたとき、周り一面は砂浜と飛行機の残骸だけであった。
無人島に遭難した事を知った主人公は共に漂流した仲間たちと共に島からの脱出を試みるのであった。
特徴
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基本は島を探索→アイテムを調査→道具の作成をして、脱出する流れである。
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最初は主人公1人であるが、捜索していくと6人まで増える。
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コマンドは探索・調査・作成・休暇パートに分かれており、2人ずつのパーティに分かれて行う。パーティの交代は6人全員いる時にしか変えられない。ただし、イベントで一人欠けている時は変えられる。
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島の全体は不明な所は黒く覆われているが探索をすると詳細が明らかになり、食料や水といったアイテムやイベントなどが現れる。範囲を広げると多く探索できるがその分時間がかかる。
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調査は探索で見つけた食料やイベントなど調べてアイテムなどを入手する。
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作成は島で見つけたアイテムも使って日用道具や脱出に必要な物、はたまた水車といった道具まで開発できる。
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仲間は体力に上限があるため、疲れている仲間は適宜休ませなくてはいけない。
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また、早く調査を進める為に長時間家を空けていると、島の住人に食料を奪われてしまう。
 
 
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装備
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道具の中にはキャラクターに装備できるものがあり、探索の範囲が大きくなったり、ステータスが上がったりできる。
 
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文明度
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道具を修理したり、見つけたりすると文明度が上がる。
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このレベルを上げると、道具やアイテムが作成できるようになる。またエンディングに大きく関わる。
 
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脱出
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道具を見つけたりや文明度を上げると、船や無線、気球などで脱出することができる。
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日数によってBADエンド、GOODエンドが違う。
 
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パラメーター
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注意力・体力・運・魅力・器用さ・精神力・知恵など様々な要素があり、調査の時間や作成の成功率などが変化する。
 
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数値
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メニュー画面に右上に食料、水、燃料の数値があり、一日経過する度に減る。これが0になるとゲームオーバーなので定期的にアイテムを入手しなくてはならない。
 
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一応、時間制限もある。
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しかし、あえて長期化しない限りはまず到達しない日数である為、通常プレイではあまり意味はない。
 
評価点
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サバイバルをシミュレーションするというオリジナリティ
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文明人である現代人が計画、探索を経て文明社会を再構築という独創的なシナリオである。また技術の上がり方がやや異常なスピードではあるが割とリアル。
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例えば木材を加工する道具はのこぎり⇒かんな⇒ワイヤーソー⇒チェーンソー⇒木工せん盤といったように。
 
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またどんどんと探索範囲を広げ、島の全貌が開けるアドベンチャー的要素も優れている。
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かといって探索ばかりすると、水や食料が減りゲームオーバーになるので要注意。
 
 
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シミュレーションの自由度が高い
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のんびりスローライフを送るように食糧や水を確保しながら島を探索する。急いで脱出する。アイテムを色々作ってみる……など自由度が高い。
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色々な攻略方法があるのも長所の一つである。
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道具を作ることでプラントや水車ができるなどグラフィックにも影響ある点も良い。
 
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どんどん探索したくなる島
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島には食糧や水、戦争の跡、軍事施設、原住民など様々な物があり、探索するのが楽しくなりまるで冒険しているかのようなプレイができる。
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島には多くのアイテムや施設があり無駄骨に終わることは少なく、ここらへんのゲームバランスは素晴らしい。
 
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豊富なエンディング
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脱出手段はカヌー、帆船、気球、飛行船、無線機、SESなど様々な種類がある。
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脱出にどれを選ぶか、その経過時間や文明度によってエンディングが変化する。その為何度でもやり込める。
 
 
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個性的な登場人物達
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登場人物はどれも個性的で一癖も二癖もある人物。どれもしっかりと性格が作られていて仲間として感情移入しやすい。
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パーティーを組む際にも特定の人間を組ませると機嫌が悪くなるパーティーがあるので、そういった事も考えて組まなくてはならない。一種の中間管理職のようなシミュレーションも味わえる。
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また、体力の無い人間同士でお留守番要因にするなど、実際の人事のようなこともできる。
 
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イベントも豊富
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仲間全員で見つけた温泉に入ったり、謎の遺跡を調査したりなど特定のイベントが豊富にありルーチン化してくる作業も飽きが来にくい。
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必要なアイテムもあるので積極的に調査した方が良い。
 
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BGM
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軽快な南国風のBGMで厳しい遭難生活を忘れさせてくれる。
 
賛否両論点
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遭難からサバイバルという題もあってか、一部のグッドエンドやバッドエンドはつらい終わり方の物も存在する。
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らしいといえばらしいが、人によっては辛い終わり方である。
 
    
    
        | + | EDのネタバレ | 
一つはバッドエンドだが、脱出したつもりが戻ってきてしまったというED。
しかもEDの文章ではご丁寧に「永遠に」出られないとまで書かれてしまう。
 
もう一つは救難要請を聞いたのが海賊だったというED。
無人島からの脱出自体は成功しているためこれもグッドエンド扱いだが、男は奴隷生活、女は売り飛ばされるという、いっそ無人島生活の方がマシな終わり方。
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真EDの内容
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突拍子もない要素の数々に説明は付けられてはいるものの、かなり超展開なオチ。
 
    
    
        | + | 真EDの内容 | 
全ては国の枠組みを超えた政府の裏組織による実験だったというオチ。
5年後(発売された94年の5年後は1999年でいわゆるノストラダムスの予言の年)の未来に大規模な自然災害が予想されており、「どの程度の期間で文明を復旧できるか」という実験が本作の内容。最終的にはこれを知った主人公たちは記憶を消されて元の生活に戻る事になる。
「明らかに異常なアイテムや島民等の環境」については、「実験上あえてそうした」という事で説明は付いたものの、超展開なオチである事や、未来に悲劇が待っている終わり方には賛否分かれている。
なお、この「1999年の大災害」は続編『無人島物語3』で実際に起きることになる。
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問題点
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タイトルに反して実は無人島では無い
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漂流した島には旧日本兵や原住民等が暮らしており、タイトルと矛盾して有人島である。
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余談にもある通り、発売2か月前に「無人島物語」にタイトルを決定した弊害だろう。
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この点は散々突っ込まれたらしく、続編である「無人島物語2」では純粋な無人島が舞台になった他、本作のリメイクである『4』の移植版ではタイトルが「漂流記」に変更された。
 
 
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道具の制作が少々不親切
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道具制作にどの道具が必要か、文明度を上げられる必要があるか、ステータスをどれほど強化する必要あるかなどはノーヒントであり手探りのまま始めることになる。
 
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明らかに異常な主人公たちの技術レベル
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ゲームだからとはいえ、技術の発展速度がおかしすぎる。真EDの内容を考慮しても流石にやりすぎなレベル。
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燃料加工の最高レベルに至っては石油精製技術を獲得する異常さ。そもそも原油が取れる時点で異常ではあるが。
 
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ゲーム開始時点のキャンプ地の作成も主人公一人、わずか一日で作ったとは思えない立派なログハウスである。
 
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ED条件に日数制限がかかっている。
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より良いEDを迎える為には、出来るだけ短期間でED条件を満たす必要があり、あまりのんびりとは出来ない。またそういったタイムリミットがある事もゲーム中には示唆してくれない。
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イベントも豊富にあるので、全部回収しながらグッドエンドに持っていくというのは不可能である。
 
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いくつかの致命的なバグ
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初期出荷版は起動自体出来なかったため、交換対応となった。
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SESが作成できなくなるバグ等、一部のEDを見れなくなるバグが存在する。原因も対応も不明なまま。
 
総評
無人島脱出というオリジナリティ溢れるシミレーションゲーム。
真EDの内容は賛否の分かれるものとなっているが、練りこまれたシステム・魅力的なキャラクター・意外性のあるシナリオなど十分に良作と言える出来である。
移植・リメイク
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TOWNS版にのみ、キャラクターボイスが存在する。
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SFC版はシステム部分に手が入り遊びやすくなっている。詳細は下記参照。
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ナンバリング4作目の『無人島物語4』は本作のリメイクである。
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その『4』をPSに移植したのが『漂流記』。詳しくは該当記事を参照。
 
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1997年12月19日には1から3をセットにした「無人島物語 メモリアルバージョン」が発売された。
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『3』には割と致命的なバグも存在するのだが、それもそのままで移植された。
 
その後の展開
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人気からシリーズ化され、多数発売された。
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『1』『2』『3』は独立した話ではあるが過去作キャラも登場しており、特に中嶋理香はシリーズの名物キャラになった。
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女性メンバーとの交流要素も人気があった為、続編の『漂流記』では恋愛要素が強化され、シリーズ自体もさらにギャルゲー方面へとシフトしていく。
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恋愛描写を強化した『無人島物語Rシリーズ』やアダルトゲームとなった『無人島物語Xシリーズ』が発売されたが、恋愛方面を強化した分、探索・作成要素等の他の部分が弱くなっている。
 
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上記以外には、「調査の為に無人島へ行く」という他とは趣が異なる『DESERTED ISLAND』も発売され、『無人島物語アナザーワールド』としてPC移植もされた。
 
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小説オリジナルの『無人島物語Limited 漂流…時空を越えて』も発売された。
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ただし、上下巻のうち上巻しか発売されておらず、未完のままとなっている。
 
無人島物語(SFC版)
【むじんとうものがたり】
| ジャンル | サバイバルライフ・シミュレーション |  | 
| 対応機種 | スーパーファミコン | 
| 発売元 | ケイエスエス | 
| 開発元 | メディアミューズ | 
| 発売日 | 1996年1月26日 | 
| 定価 | 12,800円(税別) | 
| 判定 | 良作 | 
 
概要(SFC版)
上記ソフトのSFC移植版。
変更点(SFC版)
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探索しやすいように変更
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探索範囲が三角形ではなく四角形になった。
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3パーティが同時に外出(探索・調査)できるようになった。
 
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一部描写の変更
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CS移植に当たり、女性の全裸シーンにはタオルやTシャツ等が追加された他、下半身が映らないよう上半身に寄ったグラフィックに変更された。
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飲酒イベントでは未成年のキャラが外された。
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潮干狩りでは最後のキスシーンをカット。
 
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裏技ネームの追加
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主人公の名前を「いけサラ」にすると最初から高いステータスで始められる。
 
評価点(SFC版)
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遊びやすさの向上
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システムの改修で探索の自由度が上がり、かなり遊びやすくなった。特に探索範囲が三角形から四角形になった事で、綺麗に探索がしやすくなった。
 
問題点(SFC版)
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一部描写のカット
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ある程度は仕方ないとはいえ、元々アダルト要素がほとんどあったわけでもなく、飲酒シーン等も環境を考えれば問題にする程か?という声もあり、各種カットには残念な声がある。
 
総評(SFC版)
CS移植に当たってカットされた描写を除けば、追加要素も良好な良移植。
余談
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開発者の一人は格闘ゲームプレイヤーとして有名な「池袋サラ」こと吉嶺豊彦であり、SFC版の裏技にもその名前が使用されている。
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タイトルは会社の上層部の人物がインパクトやゴロで「無人島物語」に決めたとのこと。
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タイトルが決まったのは発売の二ヶ月前でそれまでは「サバイバルシミュレーション」という仮題で制作していた。
 
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現在ソフトが高騰しており、完品なら一万円を超え、プレイするには難しい環境である。
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多くの続編が作られたが、その後は迷走を続けシリーズの新作はつくられていない。
最終更新:2024年08月11日 16:39