すごろクエスト ダイスの戦士たち
【すごろくえすと だいすのせんしたち】
ジャンル
|
RPG
|

|
対応機種
|
ファミリーコンピュータ
|
発売元
|
テクノスジャパン
|
発売日
|
1991年6月28日
|
定価
|
6,500円
|
配信
|
バーチャルコンソール 【Wii】2011年11月/500Wiiポイント 【3DS】2013年3月20日/500円 【WiiU】2015年6月3日/514円
|
判定
|
賛否両論
|
ポイント
|
運が大きく絡むゲームシステム
|
概要
すごろくの要素を取り入れたRPG。性能の違う4人のキャラクターの中から1人を選んで冒険に出発、クリアする事で新たな冒険に進む事ができる。
ボードゲームの要素が強く押し出されているため、運の要素がかなり絡む作風となっている。
基本システム
ファイター
|
攻撃も魔法もバランス良くまとまったタイプ。
|
ドワーフ
|
HPと攻撃力が高く肉弾戦向き。ただし魔法は後半になるまで使えない。気絶しにくい。
|
エルフ
|
あらゆる攻撃魔法を使いこなす。一方で力は弱く肉弾戦には不向き。
|
ハーフエルフ
|
補助魔法を多く覚える。成長すれば肉弾戦もそこそここなせる。
|
-
なおステータスにおけるHP/MPの値はあくまでステージ開始時点でのもの。ここから戦闘やイベントで上下するようになっている。
-
このため回復魔法は「回復」というより「HP増強」といった方が適切である。
-
ちなみに上限はHP/MPとも999。
-
出発地点は冒険者たちの国「サイランドおうこく」。ここから魔物に襲われて助けを求めている各地方へ旅立つことになる。
-
王国には冒険者ギルドが置かれており、様々なアイテムが販売されている。なおゲーム中で買い物が出来るのはサイランドだけ。
-
日用雑貨の店「キートス」: 購買可能な全アイテムを販売。
-
戦道具の店「ランタナ」: 装備を販売。4キャラクター用の装備が最弱から最強まで全て揃っている。
-
基本的には強い装備ほど高額なので、最初から最強装備という上手い話はなく、財布と相談しながら装備を決めることになる。
-
冒険の記録所「エスカルゴ」: セーブを行う。
ステージ
-
最初はステージ1しか行くことが出来ない。ステージをクリアすると再びサイランドに帰還し、次のステージが解放される。
-
ステージは何度でも挑戦できる。そのため気の済むまでキャラを鍛えてから次のステージへ進むことが出来る。
-
一話完結型なためか、折角救っても何度でも危機に陥っている。救った本人すらも覚えていないため、そのステージ限りのリセットに近い。
-
誰か一人でもステージをクリアすれば、他のキャラはそのステージをクリアしなくても次のステージにいきなり挑戦する事ができる。
-
マップはすごろくのようにマスで区切られており、「いどうのダイス」を振って出た目の数だけ進む事ができる。
-
止まったマスによって敵が出たり回復できたりアイテムを入手したりなど、さまざまなイベントが起こる。
-
都合の良いマスに止まれるかどうかはサイコロの運次第。但しアイテムや魔法により結果を操作できるため、多少運が悪くてもなんとかなる。
マスの種類
|
イベント
|
無印
|
敵が出現する(種類はマスごとに固定)。敵が出現せず、強制停止の上イベントが起こる場合もある。
|
矢印
|
効果は無印と同じ。ただし逃げるコマンドでもこのマスより前へは戻れない。つまり一方通行。
|
泉
|
HPとMPが回復する。上昇量は開始時点での半分。
|
剣、鎧、盾
|
それぞれバルキリー、アーミング、スキュトムの3人の女神が現れ、身に付けている武装を+1だけ強化してくれる。強化された装備には+の表示がつく。
|
骸骨
|
呪いを与え、HPを現時点での2割だけ減少させる。(端数切捨てなので4以下では減らない)
|
人
|
そのステージの攻略に関する噂話が聞ける。(アイテムをくれる人もいるが、HPを減少させる人もいる)
|
村
|
重要な情報が聞ける。そのステージのシナリオを構成するマス(※1)。 そのため多くの村は進行上必ず通るようになっている。選択肢により次のマスが変わる分岐点でもある。
|
城
|
王に謁見し重要な情報を得ることが出来る。村と同じくシナリオを構成するマス(※1)。
|
ワープ
|
同ステージ上のどこかのワープマスへジャンプする。
|
洞窟
|
同ステージ上のどこかの洞窟と繋がっている。ワープと違い、何らかのアイテムが隠されている場合もある。
|
山、砦
|
ステージのボスが潜む(※1)。
|
FINISH!
|
いわゆる「あがり」。たどり着けばステージクリア。到達すると必ず止まるため、ちょうどの目でなくてもOK。
|
-
※1: 村、城、ボスのマスは目に関わらず到達すると必ず止まる仕組みになっている。
戦闘
-
敵との戦闘にもサイコロを使う。敵と自分がサイコロを投げあい、大きい目を出した方が攻撃できる。サイコロは通常攻撃を行う「ちからのダイス」と魔法攻撃を行う「まほうのダイス」の2種類。
-
つまり敵より大きい目を出せないと一方的に攻撃される事になる。
-
ダメージは出目の差分に比例する。例えばこちらの目が4、敵が2であれば相手に2回ヒットの攻撃を与えられる。ヒット数が多いほどダメージが増大する。
-
最初のうちこそダイスの上限は4~5程度だが、成長すると最大9まで到達する。そのため本作には目が9つあるサイコロといったものも登場する。
-
魔法を使う際にもサイコロを投げあい、敵の出目を下回った場合は魔法は失敗、ダメージを受ける上に消費したMPは戻ってこない。
-
サイコロを振った後、敵が地面をゆらしてサイコロの出目を変えてしまう事がある。これでせっかく出目が勝ってたのに逆転されてしまうこともある。
-
ただし、その逆もある。自らピンチを招来するその行為は中々にシュール。
-
時折敵が使ってくる「クリティカルヒット」も厄介。
-
敵が主人公に直接サイコロをぶつけて気絶させる、というもの。気絶している間は一方的に攻撃される。いつ気絶から回復できるかは運次第。
-
なお、主人公側がクリティカルヒットを出すには後述するダイスマンを活用する必要がある。
-
こちらと敵の出目が同じ場合、もう1回ダイスを投げて優劣を決する。この場合勝ったほうが連続攻撃可能となる。その上相手側のダイスは崩壊して無防備状態となるため、一方的に大ダメージを決めることが出来る。
-
中には特殊能力を使ってくる敵がおり、その場合は「守備力」ではなく、隠しパラメータである「対魔力」が大切になってくる。
-
もっとも、ある特殊アイテムを手に入れてしまうと完全防御できてしまうのだが。
-
特殊能力ではなくアイテムを使ってくる敵もいるが、ダイス目で負けなければ使ってこない。
ダイスマン
-
このゲームの敵はすべてが「ダイスマン」と呼ばれるサイコロ投げ専用の生物(?)を連れている。
-
自分もダイスマンを呼ぶことが可能。この判定もやはりサイコロで行われる。
-
自キャラのダイスマンは1号から6号まで存在しており、出目が大きいほど強力なダイスマンを呼べるが、逆に出目が小さいと弱いダイスマンが出てしまい完全に足手まとい。強いダイスマンが呼べるかどうかは…やはり運次第。
-
ダイスマンはいつでも「かえす」で引っ込めることが出来る…のだが最弱のダイスマン1号は帰ってくれないことがある。踏んだり蹴ったりである。
-
かと思うと(1号に限らず)勝手に帰ったりサボったり、酷い時には真上にダイスを投げて自分から気絶する。
問題点
-
上記のように、とにかくサイコロの出目が非常に重要で運が大きく絡んでくるゲームシステムとなっている。
-
魔法の一つ「ダイスコール」がゲームを根本から崩壊させてしまう。
-
その効果は移動の際、1から6の目うち好きな目を任意で選べるというもの。出目を選べるサイコロゲームがどれほどやりたい放題になるかは言うまでもないだろう。
-
ダイスコールの消費MPはたったの14。マスの配置にもよるが、泉に止まる→HPとMP回復→ダイスコールを使う→また泉に止まる…で攻略の難易度が激減する。
-
この魔法を使えるのはエルフとハーフエルフ。そのため半永久的にダイスコールを使用できるこの2者がきわめて有利。
-
しかしそんなダイスコール前提としか思えない難易度であるため、初心者はかなり苦戦を強いられる。最初のマップはともかく、2ステージ目からはより顕著で、とてもダイスコールなしでは初心者のクリアはおぼつかない。
-
いちおう同じ効果を持つ「いかさまのダイス」というアイテムも存在するが、かなり高額な消費アイテムのため乱用できない。
-
安価な「アミュレット1」~「アミュレット6」というアイテムも存在するが、これらはその数字の出目になるというもので、ダイスコールやいかさまのダイスに比べると大きく有用性が落ちる。さらにアイテム欄を圧迫するのも厳しい。
-
旅立つ時に毎回「エリクサー」(死んだ際に復活させる)を持って行けと助言されるが…これでアイテム欄を圧迫させるくらいなら「どこでもEXIT」(帰還アイテム)で死ぬ前に退却する方がいい。初めて遊んだ際はこの偽情報に誰もが引っ掛かっただろう。
-
とはいえ、不運の連続で圧倒的有利な戦闘でも死ぬ可能性もあるため、保険としては有用であり偽とは言い切れない。
-
そもそも移動において大きい出目の存在価値が極めて薄く、一人プレイ故に競争相手もいないので、大きい出目の価値がほとんどない。すごろくとしてこれはいかがなものか。
-
各ステージも、小さい出目でこつこつ進むのが前提のバランスで、小さい出目をださないとまずボスに勝てないと言ってもいい。要するにマップが狭く、有利マスが少ない。
-
ほとんどないだけで、3面や5面など不利マスが5連続している箇所もあり、6を出さないと厄介な場面もある。
-
ステージ中にセーブできず、ダイスの振り直しも基本的にできないので、すごろく要素のあるゲームとしては非常に辛い。あげく前述のバランスなので、振り直しができるだけでも大幅に難易度が緩和されるのだが…。
-
実は主人公4人の使い勝手の差が激しい。
-
攻撃魔法がいまいち強くなく、燃費が悪い。そのため、ゲーム攻略にあってはレベルを上げて物理で殴ればいいという事になりがち。
-
攻撃魔法をメインに扱うキャラ「エルフ」は攻撃力が物足りなく、「パラライズ」だけが頼みの綱。
-
唯一通常攻撃に勝るメリットとして、クリティカルや出目の変更などの厄介なダイス能力が発動しないという特性がある。つまり魔法のダイスでは必ず単純な出目の勝負というわけである。やりこんでいる人は魔法のこの点を評価する人もいる。
-
一応第三面「海」では、体力重視キャラは相性が悪いため必然的にエルフを使うことになるが…前述のダイスコールで特定のマスに止まれることが前提のバランスの気がする。あちこち調べて「沈まない船」をさがせ、とだけ助言しておこう。
-
「ドワーフ」は、「ファイター」の早熟版的な要素が強い。
-
最初こそ「力のダイス」の伸びの速さで上回っているものの、ある程度レベルが上がると両者とも同じ「力のダイス」上限を持つようになるため、こうなると魔法・対魔力が劣る彼の存在価値が無くなってしまう。一応初期HPだけは高いが、比較的簡単に増強できてしまうためアドバンテージとは言い難い。
-
装備品、最終ステータス共に「ファイター」のほうが遥かに優遇されてしまっているのも、なんとも切ない。
-
「ハーフエルフ」は成長させると肉弾戦、魔法ともに隙がなく、使い勝手がダントツに良過ぎる。
-
但し他の3キャラと異なり9の目が出せないため、強敵相手にまともにダイスを振り合うと不利な面もある。が、それを補うことのできる魔法「ダイスドレイン」「ダイスグロウ」を両方とも使えるため、MPさえあれば問題はない。
-
ラスボスに最初に挑んだキャラは強制イベントで捕まってしまい、以後一切使用できなくなるという、恐ろしい罠がある。
-
このため、最低でも2人を育てないとクリアできない。そもそも4人しかキャラがいないのに、そのうち1人が永久ロストというのはキツすぎる。
-
ラスボスとは二回目からちゃんと戦える。ただし恐ろしく強く「まともに戦ったら」よほど運が良くないと勝てない。
-
ダイスマンが基本的に使いものにならない。
-
弱いダイスマンが出た場合「かえす」コマンドで戻せるが、行動に1ターン消費する。むろん敵は攻撃してくる。
そのためダイスマンを呼んでの戦闘はかなりランダム性が強い。通常戦闘で呼ぶことはまずないだろう。よりシビアなボス戦ともなるとほぼ出番はない。
-
しかもダイスマンの強さにもかなりのムラがある。6号はさすがにそこそこ使えるのだがそれ以外は…。
-
一応ダイスマンそれぞれに特殊能力があり、6号は敵のダイスマンを気絶させるクリティカルを出しやすい、5号は特殊な出目をだして経験値を増やしたりHPを減らしてしまったりする、4号3号は出したダイスの出目を変えてしまうことがある、といった能力を持っている。
-
しかし同時に6号以外には、上記メリットも見合わないほどのリスクもある。やたらダイスの出目を変えて自滅する4号、勝手に戻ってしまう2号など、リターンとリスクがまるで釣り合わない。
止めにサボってダイスを投げない、戻れと言っても戻らない、自分にクリティカルを当てて気絶する1号はもはや邪魔者以外の何者でもない。
-
結局、プレイキャラがダイスを投げるのが最もリスクが無いということに。
評価点
-
運要素が強いゲームではあるが、マップの特性やアイテムの効果を理解し、きちんと戦略を練ればちゃんとクリアできるようになっている。
-
装備の強化や、確実な効果を発揮するアイテムをいつ使うかの戦略、システムの仕様を踏まえた稼ぎなど、独特のシステムながらちゃんとゲームとして成り立っている。
-
全体的にコミカルな外見のキャラが多く、とっつきやすい。
-
ワーベアーやクラーケンといった、どう見てもコスプレした女の子のモンスターもそこそこ多い。
-
一方可愛いだけでなく真面目なモンスターや不気味なモンスター、へんてこなモンスターとバリエーションも豊か。
-
他にも可愛い村人やうさんくさいオヤジ、武器防具の女神さまなどコミカルな絵柄と上質のグラフィックで見ていて楽しい。
-
グラフィックは中々に凝っている。ダイスの投擲や自キャラの被ダメージ時にはちゃんと専用モーションがある。また、ダイスマンを連れている場合、ダメージ時は主人の方を見上げる。ちょっと可愛い…かもしれない。
-
ただし全員が見上げるかというと、なにか嫌そうな顔をする4号や口をあけてまぬけな顔をする2号など可愛いか微妙なリアクションも。
BGM
-
BGMは中野テルヲが担当。全体的に曲のレベルが高く、シリアスとコミカルの程よい中間を行く通常戦闘曲、ホームタウンに相応しくシックでモダンなサイランドの曲など、耳に馴染みやすいものばかり。ラスボス戦も格好良く、BGMに限れば良作レベルと言っても過言ではない。
-
シリアスになりすぎず、だからといってギャグにもなりすぎない、「すごろクエスト」の世界観を見事に現しきった楽曲群といえる。
総評
ボードゲームとRPGの要素を融合した作風は斬新なものの、それゆえに運要素の強いゲームシステムは人によって好き嫌いが大きく分かれる。
しかし評価点にも書いてある様に、ちゃんとクリアは可能なゲームで、ただ理不尽なだけの運ゲーではない。
機会があればぜひ、攻略に挑んでみて欲しい。
移植
-
本作はWiiのVCにて2011年11月、3DSのVCは2013年3月、WiiUのVCは2015年6月に配信された。
-
3DS版はVCの仕様上どこでもセーブ出来るのでダイスの振り直しが容易なため、難易度は大幅に下がっている。
-
2025年2月7日よりShinyuden及びラタライカゲームスよりNintendo Switch/PlayStation 4/PlayStation 5/Xbox One/Xbox Series X/S版が発売。グラフィック及びBGMを新規の16bitバージョンに切り替え可能なほか、どこでもセーブ機能、無限HPや全キャラクターのレベルが30になるといったチート機能などを搭載している。
その後の展開
-
SFCで続編となる『すごろクエスト++ ダイスニクス』が発売された。
-
魔法は回数制に改められ、誰でも使用できるようになった。その分、ダイスによる無効化も出来なくなり、バランス調整が図られている。
-
攻撃と魔法以外のダイスも増え、特に移動のダイス(最大3個)が非常に重要となったため、ダイスコール無双はなくなった。
-
他にも仕様がかなり変わっており、もはや別のゲームである。
-
ちなみにダイスマンも引き続き登場するが数が大幅に増えている。
余談
-
王様と話す前にセレクトボタンと十字ボタン右を押しながらAボタンを押すと、ギャンブルが出来る。
-
マップ2の人から聞ける情報のひとつである。
-
掛け金30Gを支払いサイコロを3つ振り2つのサイコロの同じ目が出たら2倍、3つ同じなら5倍のお金がもらえ、ダブルアップも有り。(期待値的には210/216なのでやや損)
-
このゲームでは序盤から最強装備が購入できるためうまく利用すれば簡単にキャラを強化出来るが、ゲームバランスが崩壊する恐れあり。
-
また、65000G以上のお金は持ちきれなくなるという点にも注意。
-
裏技ではないが、ステージ4で「アミュレット3+しゅりけん×5+どこでもEXIT」で促成レベリングが可能。
最終更新:2025年02月15日 00:17