平成天才バカボン すすめ!バカボンズ

【へいせいてんさいばかぼん すすめ ばかぼんず】

ジャンル 落ち物パズルゲーム
対応機種 セガサターン
メディア CD-ROM
発売元 ゼネラル・エンタテイメント
開発元 ゼネラル・エンタテイメント、ダイス
発売日 1995年7月7日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 バカゲー
怪作
ゲームバランスが不安定
少年サンデーシリーズリンク
少年マガジンシリーズリンク


概要

赤塚不二夫の人気漫画『天才バカボン』の第3期アニメ『平成天才バカボン』を原作としたゲーム。

ある日なかなか起きてこないバカボンのパパに怒ったママが掃除機でパパを108次元の空間に吸い込んでしまい、パパは戻るために奮闘することになるというストーリー。

後に『TIZ -Tokyo Insect Zoo-』『ゲームウェアシリーズ*1』などの異色作を送り出すゼネラル・エンタテイメントのゲーム業界初参入作品でもあり、今作もまた強烈なムービーシーンに定評がある。


システム

ジャンル的には落ちものパズルで以下のルールで進行する。

  • 同じブロックの2個以上の外側を別の同一のブロックで囲うことで対象のブロックを囲んだブロックごと消すことができる。
    • ブロックは縦・横・斜めのどの方向で囲んでも有効。
  • なお、左右両端下においているブロックはどの色でも対応する。このブロック自体は消滅しない。
  • ある程度まとまった数のブロックを消すと妨害用の下駄ブロックが降ってくる。
    • 下駄ブロックは隣接するブロックを消すと別のブロックに化ける。ただしランダムで消去不可能な石ブロックに化けることもある。
  • 一定個数のブロックを連鎖で消すとゲージが蓄積され、ゲージが規定以上たまるとキャラ固有の必殺技が発動する。
  • オプションで難易度をイージー、ノーマル、ハードから選択可能。難易度で変化するのは落下するブロックの色数。難易度が高いほど多い。
+ プレイアブルキャラクター一覧
  • バカボンのパパ
  • レレレのおじさん
  • 本官さん
  • カメラ小僧
  • 竜之進
  • オカマの兄弟
  • 影男
  • 三木マスオ
  • 人形米田
+ ボスキャラクター
  • ノラ馬
  • ウナギイヌ

問題点

  • 落ちものゲームとしてはかなりわかりにくいルール
    • ルール自体は単純ではあるものの、直感的に連鎖を組みづらいために戦略を組みにくい。
    • さらに妨害用の下駄ブロックを消滅させる際に破壊不可能な石ブロックに化ける条件もランダムなのがこの傾向に拍車をかけている。
      • 石ブロックに化けなかったとしてもそのあとのブロックの色もランダムなために余計に連鎖が組みにくい。
    • その性質上、難易度の高いはずのハードが実は簡単という結果につながってもいる*2
  • 必殺技のバランスが悪い
    • バカボンパパの必殺技は発動した時にランダムで選ばれた色のブロックをすべて消すことができるものの、必殺技は12個以上のブロックを消すことが発動条件なため、結果的にそれなりに安全が確保された状態での発動なのでメリットが薄くなりがち。
    • 反面、カメラ小僧や影男の必殺技は相手のフィールドの隠蔽*3と反則的にきついなど必殺技のキャラ格差も露骨。

評価点・バカ要素

  • ステージ間のデモムービーの完成度は非常に秀逸。
    • どのデモムービーの完成度も非常に高く、ほぼこれだけで本作の元をとれてしまうと断言できるほどにクォリティは秀逸。
    • ただのアニメーションにとどまらず、切り絵やクレイアニメーション、3Dアニメーションなど制作方式も多彩。
    • もちろんそれぞれの対戦相手の雰囲気に驚くほどマッチしているのは言うまでもない。
      • 特にオカマの兄弟のサイケな演出とボイス、影男の子供の落書き風の演出、三木マスオの夢の国チキンレースぶりは必見。
+ デモムービー集

  • ゲーム画面の背景も本作の世界観にあっており、デモ同様それぞれの対戦相手の雰囲気にしっかり合わせて作られておりこちらも評価は高い。
    • 特に本官さんの魚眼レンズで映し出されたかのようなドアップの顔、影男の劇画風漫画の背景は必見。
    • 必殺技のエフェクトについてもそれぞれのキャラクターにふさわしい演出を施しており、かなりわかっている作り。
    • ゲーム中のポーズ画面についてもウナギイヌの語り画面が入る。しかも複数バリエーションがありなかなか手の込んだ作り。
  • 概要にもある通り本作は『平成』をモチーフとしているが全体のノリは原作漫画や『元祖』に近く、それだけネタが強烈なのもうなづける。
    • その頭のネジが外れたような演出の狂気っぷりは『LSD』に匹敵すると評されることも。
    • 元々の原作が実験的作風を多く取り入れている漫画でもあるので、こういった多彩な演出を取り入れた作風は非常にマッチしているともいえる。
  • BGMの完成度も高い。
    • BGMも本作の雰囲気に合ったシュールな音楽が多く、完成度も高い。

総評

落ちものパズルとしてははっきり言って完成度が低く、戦略を組みにくいこともあって対戦にも向かないなどゲームとしての出来はあまりよくない。
しかしそんなことがどうでもよくなるくらいに演出関連の完成度が高く、演出も原作の雰囲気を最大限発揮していることもあってバカゲー・怪作としての評価は非常に高い。
そのため、その演出部分にどれだけの価値を見出すかによってこの作品の評価は変わってくるともいえる。
幸いサターン初期の作品だけあって入手は比較的容易な部類ではあるので、ゲームの出来に目をつむってでも赤塚ワールドに存分に浸りたいのであれば手に取るのも悪くない。


最終更新:2025年04月28日 06:59

*1 セガサターンで展開していたディスクマガジン。実験色の強いミニゲーム寄りのソフトが多数収録されており、雑誌らしくスポンサーを募ったり連載企画を行ったりするなど、ゲームソフトとしては異色の試みが見られた。発売スパンの短さもあってか完成度にはムラがあり、一部は『セガサターンマガジン』読者レースの下位を記録したものもある。全5巻。

*2 ブロックの色数が増えた分意図しない連鎖が発生しやすくなるため。

*3 カメラ小僧の必殺技は一定時間相手フィールド全体をフラッシュで隠蔽、影男の必殺技は一定時間相手フィールドを落下中のブロックの周囲を除き影で隠蔽。持続時間は影男のほうが長い。