プリンセスを倒せ

【ぷりんせすをたおせ】

ジャンル ホラーアドベンチャー
対応機種 Windows/Mac/Linux(Steam)
Nintendo Switch
プレイステーション5
プレイステーション4
Xbox Series X/S
Xbox One
メディア ダウンロード専用
発売元 Serenity Forge
開発元 Black Tabby Games
発売日 【Steam】2023年10月23日
【Switch/PS5/PS4/XSX/One】2024年10月25日
定価 【Steam】2,000円
【Switch】2,684円
【PS5/PS4】2,530円
【XSX/One】2,100円
レーティング Switch/PS5/PS4 CERO:Z(18才以上のみ対象)
XSX/One IARC:18+
プレイ人数 1人
判定 良作
ポイント 選択肢によって多種多様に変化する物語
プレイヤーの鏡映しとなるプリンセスの姿
哲学的な問いの多いストーリーは賛否両論


概要

カナダに住む夫婦であるAbby Howard氏とTony Howard氏が設立したデベロッパー、Black Tabby Gamesが開発したホラーアドベンチャーゲーム。
原題は『Slay the Princess - The Pristine Cut』。
Steam版は発売当初日本語非対応であったが、2024年にリリースされたCS版と共に日本語対応した。


特徴

  • 文章を読み進めて物語を楽しむノベルゲーム
    • ストーリーの途中で選択肢が提示され、プレイヤーの選択によって物語が変化する。
    • オートで読み進める機能や既読スキップ、セーブやロード、バックログといった、一般的なノベルゲームに搭載されている機能は一通り搭載されている。
  • 基本的なストーリーの流れは、主人公となる「勇者」が「ナレーター」の指示に従って、小屋の地下室に囚われた「プリンセス」を倒すこと。
    • 物語序盤から多数の選択肢が提示され、選んだ選択肢によってストーリーが大幅に変化する。
    • ストーリーは章仕立てで構成されているが、プレイヤーが選んだ選択肢によって、章のタイトルや小屋と地下室の内装、プリンセスの姿などが大きく変化する。
    • 最初は勇者とナレーターのみだが、章が進むごとに新たな「声」が増えていく。
    • また、勇者やその他の声はナレーターと平然と会話をするなど、少しではあるがメタ的な要素も存在する。
    • 一定数以上の結末に辿り着くことでエンディングを迎えることができる。エンディングを見るだけなら、全ての結末に辿り着く必要はない。
      • ちなみにこのエンディングに辿り着くには、どの結末をいくつ回収できたか…ではなく、何回周回をしたかによって判定される。そのため、セーブ・ロードを多用していると、エンディング及びスタッフロールまで辿り着けないので要注意。
  • 国内でのレーティングが CERO:Z(18歳以上のみ対象) となっている通り、それ相応のグロシーンも存在する。

評価点

  • 選択肢によって変わるプリンセスの姿と分岐の多さ
    • 最初の章で取ったプレイヤーの行動によって、次の章以降の物語が変化することは特徴に記した通りなのだが、その分岐がかなり多い。
    • プリンセスの姿や章が進むごとに登場する声は、プレイヤーが取った行動の鏡映しとなっている。例えば冷血な選択肢を選べば、次の章の声やプリンセスも冷血なものとなり、疑心暗鬼な選択肢を選べば、声やプリンセスも疑心暗鬼なものとなる。
    • プリンセスの性格や姿も多種多様。殺したあとにゴーストとなって復活したり、戦士のような性格で悪魔のような見た目になるなど、プレイヤーの予想を遥かに超えるものもあり、バリエーション豊富。
  • 作り込まれたイラスト・アートワーク
    • 前述したように第2章以降は、選択肢ごとに小屋と地下室の内装、プリンセスの姿が大きく変わるのだが、これも全て個別のイラストが表示される作り込みの深さは、素直に賞賛に値する。
    • 使いまわしなどの手抜きはほぼ見られず、物語を周回するたびに「次はどんな姿に変化するだろう?」と、プレイヤーの好奇心を刺激する。
    • 公式曰く、1,200以上もの手描きイラストがあるらしく、フルプライスの商業ゲームでも、ここまでの数のイラストを用意しているノベルゲームはそうそう無いだろう。
  • ホラーではあるが、ジャンプスケアはほぼ無い
    • 本作は急に驚かせるような演出に頼ったホラーゲームではなく、グロテスクな描写と謎の多い世界観が、主なホラー要素となっている。
    • ジャンプスケアは強い恐怖感を煽る一方で、苦手とする人も多いので、この点も人によっては評価点になるだろう。

賛否両論点

  • 哲学的かつ難解なストーリー
    • ストーリーの大筋そのものはそこまで難しくはないが、一つの結末に辿り着いた後の会話や、一定数の結末を迎えた後の会話などは、かなり哲学的なものとなっている。
    • エンディングを迎えても明かされない謎もあり、考察のしがいがある一方で、投げっぱなしな部分も多いとも言える。
      • そのため何も考えずに文章を読み進めていると、「クリアしたけど、どういう物語なのかよくわからなかった」「哲学的な問いが多くてうんざりした」という感想が出る可能性もある。
    • Steamでの評価では「圧倒的に好評」(2025年4月時点)となっているが、この点がかなり人を選ぶ要素になっている。哲学的な問答に魅力を感じるか、単なる意味不明な文章と切り捨てるかは、プレイヤーそれぞれと言える。

問題点

  • 定価に対するボリュームは少し控えめ
    • どの機種でも定価2,000円以上する本作であるが、エンディングに辿り着くだけなら1.5~3時間程度で終わってしまうため、人によってはコスパが悪く感じる。
    • Steam/PS/Xbox版なら、実績やトロフィーがあるため、それらを収集するならやり込みがいがあるが、実績機能のないSwitch版だと、やり込む意義がやや弱い。

総評

プレイヤーの選択肢によって、鏡映しとなる多種多様なプリンセスの姿や、様々な性格の声といった、ストーリー分岐の豊富さは高く評価できる。
一方、哲学的な問いのあるストーリーは、日本のプレイヤーからすると、かなり人を選ぶ要素であり、人によっては「良作と呼ぶのは過大評価ではないか?」と、感じても決しておかしくはない。
万人受けするゲームとは言い難いし、ボリュームも若干控えめではあるものの、プレイヤーの取った行動によって多様に分岐する物語とプリンセスの姿を楽しみたいなら、手に取ってみてはいかがだろうか。


余談

  • 一部CS版では、何故かコントローラーのジャイロセンサーに対応しており、コントローラーを傾けると、表示されるイラストのアングルも微妙に傾く。
    • これがゲーム内容に直結する要素は無く、何故対応しているのかは全くもって不明。
最終更新:2025年04月26日 02:23