SIMPLE2000シリーズ Vol.33 THE ジェットコースター
【しんぷるにせんしりーず ぼりゅーむさんじゅうさん ざ じぇっとこーすたー】
| ジャンル | シミュレーション |  
 | 
| 対応機種 | プレイステーション2 | 
| 発売元 | D3パブリッシャー | 
| 開発元 | びんぼうソフト | 
| 発売日 | 2003年7月24日 | 
| 定価 | 2,000円(税別) | 
| 判定 | バカゲー | 
| ポイント | ゲーム自体の出来はそこそこ良い プレイヤー次第で恐ろしいコースターが作れる
 プリセットのコースターも恐ろしい
 楽死んじゃおう☆
 | 
| SIMPLE2000シリーズ | 
 
概要
廉価ゲームシリーズ・SIMPLEシリーズのPS2レーベル『SIMPLE2000シリーズ』の1作。
正確にはSIMPLEシリーズオリジナル作ではなく、ドリームキャスト用ソフト『ジェットコースタードリーム』『ジェットコースタードリーム2』の実質的続編。
『~ドリーム2』をベースとし、いくらかのシステム強化を図ったバージョンアップ的位置付けにあたる作品である。
特徴
ゲームの大まかな概要は「ジェットコースターを設計、走らせていかに高い評価を出すか」というもの。
加えて「他のアトラクションを設置してお客さんの反応を見る」「研究費を払って新しいアトラクションやジェットコースターを開発する」等の経営要素もある。SIMPLE化したからといって手は抜いていない。
- 
モードは「チャレンジモード」「経営モード」「クイックライド」の3種。前者2つがメインである。
- 
チャレンジモードは、ノルマを満たすようにジェットコースターを設計するクリア型のモード。
- 
経営モードでは、ジェットコースターだけでなく遊園地そのものを経営するモード。
- 
クイックライドは、ソフト内に入っているプリセットのコースターに乗るモード。
 
- 
自分が客となって園内を歩き回る「フリーウォーク」も搭載されている。
- 
この状態の時は他の客と会話したり、店で売っている物を買ったり、ジェットコースターやその他のアトラクションに乗る事もできる。
- 
ただしあくまで「客」というためか、ちゃんとチケット売り場まで行ってチケットを買う必要がある。
- 
お客に話しかける事ができ、評価によって客の会話内容も変わる。
- 
評価が低いと、遊びに来ていたカップルが別れ話を切り出しているなどどこかブラックな会話が聞ける。
 
 
おバカな点
しかし、プレイヤーはやがて自然に「いかに危険なコースターを作ってお客を殺すか」を競うようになっていく。
- 
一応ジェットコースター設計のルールはあるが、「決められた範囲と高さの中で」「逆走しないように」「脱線しないように」設計するということぐらい。
- 
律義にX・Y・Z軸方向に乗客に作用する加速度計算がおこなわれ、それに伴い乗客の状況も変化する。
- 
乗客の状況は項目ごとに人数で表示される。「気持ち悪くなった人」「ゲロ吐いた人」「失禁した人」「失神した人」「記憶喪失になった人」そしてあまりのGに吹き飛んで「行方不明になった人」。
- 
遊園地用のコースターで何故「行方不明」だの「記憶喪失」だのといったとんでもない項目があるのかは謎だが、このような人々が増えても評判は悪くなるどころかむしろ良くなる。
 一応、評価の中には「安全性」の項目があるため中途半端なコースターでは逆に(?)評価が下がってしまう。
 
- 
乗客が行方不明になるたびコースター上から人が減っていき、全員吹き飛ぶと、無人のコースターだけが戻ってくる。ちょっとしたホラー。
 しかも、吹き飛ばされた乗客がバラバラと落ちてゆく様がきちんと描写されている。ここまでくるともはやパニック映画である。
- 
走行中に乗り物を脱線させバラバラにするというトンデモ現象を編み出す事も可能。
 
- 
近年動画サイトで無茶なコースター動画が公開されて一部でその名を知られるようになった。
- 
ジェットコースターの上で人が次々に飛ばされていく様子はまるで公開処刑のようである。たいてい明るい音楽が乗っていることが恐怖感を倍増させる。
- 
余談だが、このゲームに使われている音楽は全て版権フリーの素材曲(有料)であるため、Flashや同人ゲームのBGMとしても良く使われている。
- 
代表的な作品は、あの『ひぐらしのなく頃に』(PC版)。この事実がこのゲームのホラー要素をより一層盛り上げている。
 
 
- 
制作元は真面目に作ったのかもしれないが、結果的にバカゲーとなってしまった…と思ったら、公式デモがこんな有様であった。
- 
どう見ても危ない設計のコースターが普通に出てきたり、上述のコースターバラバラシーンをしれっと挿入していたり、「お客さんを落っことしちゃうのは、かなりまずいよね!」「20Gのシビれる快感」などと客を殺す気満々の発言を平然とする明るいナレーションなど突っ込みどころ満載。
 「楽しんじゃおう☆」というナレーションが「楽
死
んじゃおう☆」に聞こえてくる…
- 
ちなみに、プリセットのコースターが700種類程度存在するが、ほとんどが乗客全滅レベルの危険コースター。明らかに狙って作っている。
- 
こうなるともはやこうした遊び方ですら「公式の想定内」としか言えないレベルである。
 
 
問題点
- 
主体的に楽しむことができないと飽きやすい。
- 
よく出来てはいるが、とにかく「ジェットコースターを作ること」に特化されたゲームであり、経営要素はかなり簡素なもの。
 実際には経営というよりは園内のレイアウトに腐心する時間が多くなりがちで、遊園地シミュレーションとして『テーマパーク』のような本格的なものを期待していると肩すかしを食うだろう。あくまで雰囲気作りのためのおまけ要素程度に考えておいた方がよい。
- 
積み木やレゴブロックの如く創造性を発揮してコツコツともの作りに勤しんでいくタイプのゲームの常として、プレイヤーの主体性が問われてくるため、そういったものに楽しみを見出せるかどうかで結構向き不向きがある。
 もっとも2,000円の廉価ゲームであるため、よっぽどすぐに飽きてしまわなければ値段分の元ぐらいは取れるはず。
 
 
- 
グラフィックがやや貧弱。
- 
特にフリーウォークモードは、園内を歩く人がハリボテに近かったりアトラクションもただ視点が動くだけのものが多かったりで視覚的にはイマイチ。
 
評価点
- 
ジェットコースターを製作して走らせるまでの流れは、それに特化した作りなだけあってよく出来ている。
- 
コースターの形式は、通常のもの以外に往復型、つり下げ式、懸垂式など実際にある様々なタイプのものから選べる。
- 
乗るコースターについても、最初の脱線しやすいものから徐々に耐久性の高いものを設定できるようになる。
 
- 
コースの設計中はカメラを切り替えたり、4画面で同時に複数のカメラで見たりと見やすい視点で作業ができる。
- 
一定のエリアからはみ出したり走らせた際に脱線したりしなければ、角度や高低は自由。
- 
最も耐久性の高いコースターを使えば脱線は殆どしなくなるので、バカゲー要素で挙げたような無茶苦茶なものだって作れる。
 
- 
走行中も、ジェットコースターで非常に大事な要素であるスピード感がちゃんと出ていてそこそこの迫力。
- 
カメラも実に10種類から自由に選択することが可能。第三者目線、客目線、全体見渡し視点など豊富に揃っている。
 
 
- 
経営要素もそこそこの楽しさがある。
- 
アトラクション以外にも主な設置物は揃っている。ベンチや公衆電話や食べ物屋など色々置ける。
- 
容量の都合で設置数は一定のポイント内に限られるが、必要な自由度は保っている。
- 
フリーウォークでお化け屋敷に入ると、簡単な迷路ゲームが遊べる。
 
- 
上述のバカゲー要素がうまい具合に遊びの幅を広げている。
- 
ロードは最初の起動時は長いがそれ以外はほぼ無し。快適なプレイが出来る。
総評
シンプルながらも手堅くコツコツともの作りして行く楽しみを味わえる、まさにシンプルシリーズにマッチした小粒ながらの面白さが本作の魅力。
しかし、そこに「ジェットコースターでいかにお客を殺れるか」という、とんでもなく狂気的な裏テーマが確信犯的に内包されていたことで、実に明後日の方向への楽しみ方がメインのゲームと化してしまった。
とはいえ、この手のゲームは現実にあり得そうなものを無難に再現しても面白くないため、ある意味、ゲームならではの正しい遊び方と言えるかもしれない。
現実にあり得たとしても絶対に乗りたくはないが。
続編
- 
ローラーコースタードリーム(発売日:2016年 対応機種:PS4/PS VR DL専売)
- 
PS2版から10年余りの歳月を経て満を持して発売された、まさかの最新作。
- 
基本は旧作を踏襲しつつ、「来場客数10万人以上を達成する」という明確な目標が追加されたことに伴って経営シミュレーション要素が強化され、やりこみ度がよりアップした。
- 
「オンライン遊園地」モードで、自分の作った遊園地に多プレイヤーを招待したり、多プレイヤーの遊園地に遊びに行くことも可能。
 
- 
グラフィックがより洗練され、コースター乗車シーンもVRの臨場感を生かした視点で楽しむことができる。
- 
さすがにリアリティを増した作風ゆえか、PS2版のPVであったおバカかつ狂気的な雰囲気は鳴りを潜めており、ローラーコースターをばらばらにすることができず客が吹き飛ばされることもなくなった……と思いきや、PVの1分26秒辺り、そしてラストをよく見ると……?
 
余談
- 
フリーウォーク時に自動販売機を調べ続けると資金無限増殖ができる。
- 
ただし、1回調べるごとに1Gなので実用性はほぼない。
- 
遊園地のギフトショップではなぜか「ジェットパック」が販売されている。
 
- 
開発元のびんぼうソフトは社員がたった1人のゲーム会社。もちろん日本で1番小さいゲーム会社である。
- 
技術は確かなものであり、海外のゲームも製作している。
 
- 
ニンテンドーeShopにて、『ジェットコースターをつくろう!3D』が配信されている。
- 
タッチペンを活かして線路を描きコースターを作るというシステムが本作と類似している。
- 
ただし本作とは全く関係なく、アメリカのBig John Games社が開発したゲームのローカライズ版である。
 
最終更新:2022年12月22日 19:23