ひざの上の同居人 -KITTY ON YOUR LAP-
【ひざのうえのぱーとなー きてぃ おん ゆあ らっぷ】
ジャンル
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ネコ耳少女育成シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション
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発売元
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カルチュア・パブリッシャーズ
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開発元
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カネコ
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発売日
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1998年3月12日
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定価
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5,800円(税抜)
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廉価版
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もう一度君に逢いたい…Loved.3 ベストヒロインセレクション 1999年9月9日/1,800円(税抜)
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判定
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なし
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概要
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キャラクターデザインはイラストレーターの都築和彦。
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主人公は大学1年生。通学のために一人暮らしを始めたばかり。
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プレイヤーはゲーム開始直後に捨てられていた3匹の子猫から1匹を選択して連れ帰ることになる。以降のキャラ攻略は選択した猫のみとなり、途中で変更する事は出来ない。
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猫は外見・イベントのみならず、ステータスの成長具合も異なる。
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主人公が選択しなかった子猫は幼馴染など他のキャラに拾われたことになり、攻略不可のサブキャラとしてシナリオに登場する。
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主人公が拾った子猫がネコ耳少女になりました。1年間、愛情を持って育てることで本当の人間にしてあげることが目的となる。
システム
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猫は人間の姿の時と猫の姿の時が安定しない。人間の姿の時に夜を迎えると、コミュニケーションモードとなりプレイヤーが猫に人間としての一般常識を教える事が出来る。
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ステータスは大雑把に猫常識と人間常識とストレスに分ける事ができ、人間常識を上げるとストレスが上昇して猫が病気になりやすくなる。ストレスを下げるためには猫常識を上げる「遊び」をしなければならない。
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プレイヤーは週頭にスケジュールを決定する。「○○重視」と言う風に調整する他、アルバイトや自習をスケジュールの開き時間に入れる事が出来る。
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プレイヤーにも体力があり、自由時間が減るほど体力が減少して行く。一定値以下になると大学以外のスケジュールを勝手にキャンセルして体力回復モードに入る。
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資金の概念があり、アルバイトを入れれば資金が増加し、コンパ(主人公の交友値を上昇)をする事で減少する。他にも猫の教育の為にアイテムを購入する際に消費される。
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コミュニケーションモード以外にも、特定の日にイベントが発生する。特にイベントでの選択が子猫の将来に大きく影響する。
評価点
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ほぼフルボイス。メインヒロインでもある猫達や女友達、友人や神様のみならず、名前のあるモブである大家さんやサークル部長までフルボイス。
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声優は猫に「宮村優子」「岩男潤子」「今井由香」。他にも解る人には豪華な声優陣が。
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子猫が主人公を呼ぶときは「ご主人様」と言ってくれる。若干背徳的だが設定の勝利である。
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難易度は低い。割と簡単にベストエンドを迎えられる。
賛否両論点
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都築氏と言えばろりろりなヒロイン絵が特徴であり、初期の人間姿はパッケージにある様にロリっ子であるが、シナリオ中盤で「突然」成長するイベントが必ず発生し、以降は見た目の年齢が上がってしまう。
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このイベントは不可避であり、ロリっ子を攻略したかった多くのユーザの心を折ることに……
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原画では初期の人間姿が「全裸にワイシャツ」というトンデモない恰好をしているが、ゲーム内のイラストではワイシャツの下に下着を着ている。まぁ、賛否両論点であろう。
問題点
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幼馴染との再会・その幼馴染が主人公に惚れるというベターかつご都合展開。
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幼馴染はどの子猫を選択しても攻略することができるのだが、その場合はあらゆるイベントで子猫を見捨てるような選択をしなければならない。幼馴染には彼女の家族がいるのだが、子猫にとって家族は主人公だけである。幼馴染とのハッピーエンドを迎えると子猫がほぼバッドエンド状態になるため、非常に心が痛い。
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また、子猫のハッピーエンドを狙う場合でも、この幼馴染がストーカーのごとく絡んでくるため、エンディング直前まであらゆる選択肢で振って振って振りまくる必要がある。一応、彼女は人間なので主人公にフラれても野垂れ死にしないだけまだましではあるが、途中で空気を読んで退場してくれればよかったのにという気もする。
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問題なのは、この幼馴染は子猫が人間になる試練中だと言うことを知っているにもかかわらず主人公にアタックをかけてくるため、見方によっては腹黒いキャラだと思われてもしょうが無いことである。(イベントによっては若干「病んだ」台詞もある)
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大抵のプレイヤーは子猫一途プレイをするのにもかかわらず、彼女の見境ないアタックのせいでエンディング直前まで二股をかけている様な気分にさせられるのも、今ひとつシナリオが評価されない原因かと思われる。
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他にも「幼馴染以外の女性脇役イベント数が少ない」「エンディングも猫視点しかない」と言う展開的な難点・疑問点も多数。
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基本的にどの子猫を選んでも「幼馴染の誘いを断りながら季節ごとのイベントをこなしていく」という展開であり、あまり代わり映えがしない。一応、それぞれのルートでサブキャラの過去が明らかになったりと細かい差はあるが……
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最後のイベントは、どの子猫を選んでいても「子猫が熱を出して寝込んでいるときに、幼馴染みが熱を出して主人公に助けて欲しいと連絡してくる」と言うもの。
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一途プレイなら幼馴染みは無視する選択をする必要がある。幼馴染みルートでハッピーエンドになるには子猫を見捨てて幼馴染みの家に行く必要がある。
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正直、どちらの選択肢を選んでもプレイヤーの心が痛い。さらに子猫を見捨てると女医さんからめちゃくちゃ怒られる(当たり前だが)。幼馴染みルートが地雷扱いされる原因。
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具体的なステータスによる影響は明記されていない。
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チュートリアルも無い。プレイヤーは説明書と直感で調べて行かないといけない。
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実はステータスはイベントを発生させるキーになっているのだが、どのステータスがどうなるとイベントが発生するかのヒントはまったくない。
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普通にハッピーエンドを目指していればある程度のイベントを発生することができるが、中にはあえてバッドエンドを狙っていかないと発生しないイベントや、普通の育成ではありえない極端なパラメータにならないと発生しないイベントがある。
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そのため、ベストエンドにたどり着くのは簡単だが、イベントをコンプリートしようとすると結構な難易度になっている。正直、攻略本がないと自力コンプは困難である。
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CG閲覧モード、イベント閲覧モードは存在しないため、後から見返したりコンプリート率を調べたりもできない。
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適当に育てても猫が人間になるエンディングを迎えるのだが、バッドエンドになかなかの鬱展開が待ち受けている。
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最低ランクの一段階上では、人間にはなれたが主人公の元を離れ猫少女を付けねらう半人半猫と一緒に生きて行く、いわゆる寝とられ系エンド。最低ランクでは子猫は人間になれず猫の姿のまま路地裏で薄汚れており、「人間になろうと考えた自分が愚かだった」と恨みごとを言うのだが、「明らかに死が近づいている」子猫の姿の一枚絵が表示される。
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「幼馴染みと付き合いながら子猫が妹分となる」様な二股エンドは残念ながら存在しない。
総評
まるでエロゲのようなストーリーの育成アドベンチャー。
なかなかの鬱エンドを抱えており、声優陣も豪華だがステータスの詳細やチュートリアルも無く、展開の疑問も多い。
そもそもこの手のジャンルは良作・名作と言った評価がなされにくいのだが、システム面の作りこみが甘い本作は名だたるギャルゲーの中に名を連ねる事は出来ず、有象無象の一員と化している。
それでも1999年9月9日にはD3パブリッシャーから廉価版が発売されている事から、もう少し時代が遅かったら当時の「SIMPLE1500シリーズ」の一つにもなりえていたのだろうが……
最終更新:2024年10月19日 09:19