OZ-オズ-
【おず】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション2
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発売・開発元
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コナミ
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発売日
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2005年6月30日
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定価
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7,329円(税込)
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レーティング
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CERO:12歳以上対象
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廉価版
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コナミ・ザ・ベスト 2006年1月26日/2,940円
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判定
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良作
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概要
コナミの2大主力タイトルのである『幻想水滸伝』シリーズと『悪魔城ドラキュラ』シリーズのスタッフが製作した3Dアクションゲーム。
キャラクターデザインは『幻想水滸伝II』及び『III』の石川史氏、シナリオは後に『幻想水滸伝V』も手がける津川一吉氏、音楽は『悪魔城ドラキュラ』『キャッスルヴァニア』の山根ミチル氏が手がけている。
特例と序盤を除いてAIで動く仲間が常に2人付いた、3人のチームで戦うという一見ありきたりなアクションゲームであるが、特徴的なのはその3人で「敵をバレーボールのようにパスし合うことでゲージを溜め、必殺技を撃つ」ことである。
キャラクターごとのカラーリングや合体必殺技など、戦隊ヒーローを意識したような要素が見られる。
斬新なアクションゲームである本作だが、ろくに宣伝がされなかったので知名度が著しく低く、売り上げも芳しくなかった不遇の作品である。
ストーリー
この世界ではかつて「人間」と「カテナ」という2つの種族が共存していた。
だがある日「神々」と呼ばれる存在が降臨し、カテナに呪いをかける。その呪いによってカテナは神々の手下である「御使い」へと変貌してしまう。
当初は人間も超自然的な力を振るう神々を崇拝していたが、その神々が災いをもたらすことに気付き抵抗を始める。
しかしかつて共存していたカテナの成れの果て・御使いに阻止されてしまう。
そのまま長い年月が過ぎ、人間とカテナという種族の存在があることも忘れた頃、神々は万物のエネルギーともいえる「エテリア」を搾取し続け世界は静かに滅びへの一途を辿っていた。
とある村に妹のドロシー、猫のトトと共に平穏に過ごしていた主人公・フィール。だがそこに神々の命を受けたひとりの御使いが降り立つ……。
ゲームシステム
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バレーボールと称される連携アクション
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3人で戦う
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このゲームでは基本的に、プレイヤーが操作するキャラの他に、2人の仲間と一緒に戦う。
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仲間2人はAIで行動している。
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パス回し
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仲間の方へ敵を吹き飛ばしたり、仲間の近くで敵を打ち上げる(パスをする)と、仲間が反応してその敵を追撃してくれる。
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そして仲間が続けてもう1人の仲間やプレイヤーへと敵をパスしてくる。そうして味方の間でパスを次々繋げていく。
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チェインとテンションゲージ
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パスを繋げていくとチェイン数という数値が加算され、画面右端にあるテンションゲージも溜まっていく。
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チェイン数が多いと、仲間の追撃アクションが変化し、追撃によるテンションゲージ増加量も大きくなる。
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必殺技
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テンションゲージを一定量消費することで、強力な必殺技を放つことが可能。
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ゲージを沢山溜めれば、仲間のどちらか1人との合体必殺技も使用できる。条件を満たすと3人での必殺技も使えるようになる。
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必殺技は、その他の攻撃手段よりも遥かに高威力。このゲームでは、必殺技以外の攻撃では敵になかなかダメージを与えられないバランスになっており、必殺技を決めることが非常に重要である。
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必殺技で敵を撃破することでもテンションゲージが増加する。複数の敵をまとめて撃破すれば、テンションゲージが一気に増加して必殺技を連発することもできる。
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エテリア稼ぎ
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敵を倒すと黄エテリア(アイテムに交換できるお金のような物)が出現する。
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ステージごとに、この黄エテリアをどれだけ稼げるかというスコアアタック的な要素がある。
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必殺技で敵を倒すと、黄エテリアの出現量に倍率が掛かり、黄エテリアが沢山出現する。
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さらにテンションゲージを切らさず必殺技を連続的に放つことによって、黄エテリア出現量の倍率が大きくなっていく。倍率は最大で16倍にまで増えるが、隠しアイテムを装備すれば32倍まで増やすことも可能。
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キャラクターの組み合わせ
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本編では3人のキャラクターの中から、1人をプレイヤーが操作する。
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キャラによって各種性能・操作感が異なる。仲間との合体必殺技の性能も、キャラによって全く異なる。
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マルチエンディングのストーリー
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話数(ステージ数)は全19+1。エンディングによって話数は変化する。
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全部で4つのエンディング(バッド・ノーマル・トゥルー・ハッピー)があるが、難易度関係なく全てのエンディングを見ることが可能。
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2周目以降でないとプレイできないシナリオがある。これをプレイすることによりこのゲームのストーリーを完全に理解出来るため、周回プレイは必須である。
評価点
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斬新な連携アクション
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1人用アクションゲームのチームバトルではいまいち感じづらい「共闘感」をパスとAI、声優陣の熱演で見事に表現してみせた。
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操作には慣れが必要だが、上手くパスを回し、必殺技の連発で敵をなぎ倒していき、黄エテリアを大量に稼ぐ爽快感や達成感はひとしおである。
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上手く必殺技で敵を一掃すると、仲間が「スゲェな!」「見事だ!」などと褒めてくれる。
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キャラ選択の自由度。
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各キャラはそれぞれ性能に個性があり、キャラの組み合わせによって色々な戦い方ができる。
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体力や攻撃力といったパラメータだけでなく、「パスに反応する範囲」や「パスの受け取りやすさ」「敵の拘束時間」なども各キャラで違うため、使えないキャラクターは存在しない。
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パラメータは低いが無茶なパスにも反応してくれ、返しのパスにも癖がないアルミラはある意味このゲームを象徴するキャラクターといえる。
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ゲームクリア後は、7人の中から3人までのキャラを自由に組み合わせられるようになる。
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キャラクター
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石川史氏のシンプルでスタイリッシュなイラスト・デザインは好評。
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各キャラはそれぞれの個性が引き立っており、魅力的。
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ノーマルエンドでは泣いた人も多いであろう。
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豊富なオマケ要素
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隠しシナリオが1+1+1+6話分存在する。本編が常にシリアスなため、隠しシナリオのかなりぶっ飛んだ内容に驚いたプレイヤーも多かったであろう。
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中でもとある隠しシナリオは、本編そっちのけで「フルボイス・専用BGM2曲、多数の書き下ろしCG」とスタッフは力の入れる場所を間違えている。
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本編を一度クリアすると、各種コスチュームを買える(生成できる)ようになる。コスチュームを装備するとゲーム中のキャラグラフィックが変化する。
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『幻想水滸伝III』の炎の英雄やコロク、『キャッスルヴァニア』のレオン・ベルモンド、果ては『ときめきメモリアル』の制服や『SILENT HILL 3』のロビーの着ぐるみまである。同社作品とはいえやりたい放題である。
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コナミコマンドも存在する。
問題点
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細かなバグやフリーズなどが存在する。
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仲間のアルミラは無茶なパスでも取りにいってくれる為、極稀にポリゴンの隙間にハマってしまい集合指示を出しても戻って来なくなることがある。その場合はリセットするか、読み込みが入るタイプのマップ移動を起こすしかない。
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アクションゲームとしてはプレイヤーキャラの動作がもっさり気味であり、攻撃後の隙が大きい。
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ただし、プレイヤーキャラの性能が高くないために仲間の存在を無視した個人プレイが通用しにくくなっており、「仲間と一緒に戦う」というゲームシステムに合致している仕様ではある。
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パス回しという独特な操作性、前述の動作のもっさり感のため、1話の時点で何回も死ぬこともあり、アクションゲーム初心者や苦手な人には慣れるまでに時間がかかり、途中で投げてしまう可能性が高い。
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だが2話にはチュートリアル、それ以降にはトレーニングモードが追加され、そこで何度でも練習が可能。
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敵の攻撃によるパス回しの妨害が煩わしく、時にストレスが溜まる要因となる。
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妨害を回避して必殺技で返り討ちにした時の爽快感があるため一概に問題点とは言えないが、うまく立ち回れるようになるまでそれなりに練習が必要。
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一部キャラの性能に難がある。
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仲間キャラの性能はレオンが突出して高性能(特にLv2の合体必殺技が強力)。仲間2人のうちの1人はレオンで固定されがち。
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公式サイトのQ&Aでレオン自身が「気持ちよく敵をぶっとばしたいなら、断然俺がオススメだぜ!」と回答しているが、むしろ彼をNPCにした方が気持ちよくぶっとばせる。
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ヴィティスがパスを受け取った時の追撃のテンションゲージ増加量がおかしい。
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チェイン数が並程度の時は闇の球?による攻撃で、テンションゲージは結構溜まるのだが、チェイン数が多い時の連打技では逆にテンションゲージが全然溜まらないという謎の仕様。
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装備の効果に説明不足な点がある。
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特定の装備品の効果を標準で備えているキャラもいるのだが、装備画面などではそのことが確認できず、プレイヤーが自分で気付くしかない。
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コスチュームの中には何らかの特殊効果が備わっているものも多いが、コスチュームの説明文にはそのことが一切書かれていない。
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2周目の追加シナリオプレイ前にサウンドテストを見ると壮大なネタバレに遭遇する可能性がある。
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バッドエンドを見るのが一番難しいと言われている。
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コントローラーの放置やわざと瀕死に陥るなどといったネガティブプレイの末見られるエンディングであるが、その内容は非常に鬱である。
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イージーでは評価の低下条件が緩和され、ハードだと難易度による評価の底上げがされるため、ノーマルが一番バッドエンドを見やすいという珍現象が発生している。
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このバッドエンドを見ないと入手できないアイテムも存在する。また、おまけ要素であるタイトル時のイラストコンプのためには全エンディングを同一のデータで見る必要があり、どうしてもバッドエンドだけは億劫になりがち。
総評
細かいバグはあるが、システム面はほぼ完成されたアクションゲームと言えよう。
アクションゲームが得意・好きな方には是非お勧めしたい1本である。
だが、如何せん知名度が低いのが難点である。
余談
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キャラクターはタイトルからも分かる通り『オズの魔法使い』をモチーフにしている。
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キャラクターの割り当て
ドロシー(フィールの妹)…オズの魔法使いの主人公
トト(フィールの飼っている猫)…ドロシーの連れている犬
フィール(エテリア感応能力が高い)…心の無いブリキの木こり
アルミラ(知能を強化されている)…脳の無いカカシ
レオン(闘争心を強化されている)…臆病なライオン
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知名度も売り上げも低かった本作だが、2009年4月24日発売の週刊ファミ通「読者が続編を熱望するゲームタイトルBEST50」で29位にランクインした。
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OZ-オズ- 公式サイトでは制作秘話やプロトタイプのムービー、ストーリーのネタバレを含むQ&Aコーナーなどもあり、スタッフの作品への愛が強く感じられる。
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『Dance Dance Revolution STRIKE』に、本作のメインテーマが収録されている。
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10周年となる2015年、ファンによる同人アンソロジーが発行された。非公式だが本作のプロデューサー兼ディレクターでもある村上純一氏へのインタビュー記事なども掲載された。
最終更新:2024年05月31日 15:00