ウィザードリィエクス2 ~無限の学徒~

【うぃざーどりぃえくすつー むげんのがくと】

ジャンル 3DダンジョンRPG

対応機種 プレイステーション2
発売元 マイケルソフト
開発元 マイケルソフト(Team Muramasa)
発売日 2006年3月23日
定価 6,800円(税抜)
廉価版 ワンダープライス:2007年6月7日/2,980円(税抜)
判定 良作
Wizardryシリーズリンク


概要

微妙に好評を博した前作『ウィザードリィエクス ~前線の学府~』の続編。
システム的には本作は前作のアッパーバージョンとでも言うべき内容であるため、本稿では前作からの変更点を中心に記述する。
エクスのシステムの詳細は前作の記事を参照。


評価点

良いところもあったが荒削りであった前作の問題点や不満点を洗い出し、徹底的に解消している。

キャラクターメイキング関連

  • 相性値に「個人のプラス修正」が加算されるようになった。
    • この値は後述する「パーティスキル」を使用することで上昇していくため、仮に種族間の仲が悪いメンバーでパーティを組んでも、相性値をプラスに持っていくことが容易となった。
  • 性格(善・中立・悪)は、「性格を変える行動を行った後、診断を受けることで変化する」ようになった。また、善から悪、またはその逆には中立を経て変化する(これは前作でもそうであった)。
  • 学科のバランス調整が行われ、新スキルも追加。個性化がさらに進むこととなった。
    • 修道士…大きな修正こそないものの、ステータス異常に「気絶」が追加され、素手攻撃が気絶を誘発しやすくなったことで前作から大きく株を上げた。
    • 僧侶…歩くことでMPが回復する「魔力回復」と対象メンバーと現在MPをそっくり入れ替える「魔力換送」を習得。MPヒーラーとしての側面を持つようになった。
    • 魔法使い…1ターン集中後強化された呪文を放つ「強魔」を習得。他の呪文強化と併用して放つ最強攻撃魔法「ティルトレイ」は、前衛顔負けの大ダメージを敵全員に与えられる超火力となった。
      また、マハンマハンのリスクが使用者の1Lvダウンから該当Lv魔法回数全消費に変更されておりより乱発し易くなった。
    • 超術士…ダメージを肩代わりするバリア「魔障壁」を張れるようになった。君主の「献身」と並ぶ高性能な防御スキルで、しかも毎ターンノーコストでかつ最速で張れる。
    • 司祭…「聖なる詩」(ディスペル)が司祭専用となり、成功率が大幅に増した。霊、不死系の強敵に対する切り札たりうる性能となった。
  • 高レベルになると「転生」が行えるようになった。転生を行うとレベルが1に下がる代わりに恒久的にステータスが上がる。エクスシリーズの最大レベルは99までだが、転生は24回まで行えるため実質的な最大レベルが大きく上昇した。
  • ステータス画面のマネキンの表示をオンオフ切り替えできるようになった。前作ではマネキン表示のせいでステータス画面の切り替え時に若干のもたつきが発生したのだが、表示オフにすればこれが完全に解消されるためプレイがさらに快適になる。

アイテム錬金・装備品関連

  • パーティー人数分以外にも物を持ち歩ける「道具袋」が追加。所持品の上限が大幅に増加した。
  • レシピを閲覧できるようになるアイテム「錬金書」が購入できるようになり、アイテム錬金の難易度が若干下がった。
  • 前作では属性を付与しないと装備品の色変えを行うことはできなかったが、本作では色だけを変えることが可能になった。
  • 錬金素材に「型紙」と呼ばれる素材が登場し、錬金可能な装備品に限り種族制限を緩和させることが出来るようになった。
    • これにより、装備品の限定が非常に厳しかった「妖精」でも、型紙があればかなり装備限定が緩和されることになる*1
  • 「アイテム転生」と呼ばれる「装備品の見た目だけを変更する錬金」が可能になり、色変えも含めてマネキン観賞の楽しみが増した。
  • 「ユニークアイテム」と呼ばれる通常のアイテムと違う特殊な能力を持つアイテムが増えた。
    • 「村正」を例に挙げて説明すると、錬金で作成できる「村正の刀」と、ユニークアイテムの「村正」の2種類が存在する。ユニークアイテムは通常品よりも性能が上であることが多いが、一部の性能がランダムで変化し、「アイテム錬金を一切行えない」というデメリットも存在する。そのため通常アイテムが単なる下位互換かというとそうではない。
  • 特殊効果が付与されている装備品が大幅増加。特に「浮遊」特性を装備品で得られるようになった恩恵は大きく、前作で不評だった「深水域+呪文禁止域」の理不尽さが改善された。
  • 「交易品」と呼ばれる換金用アイテムが追加。場所によって買取値が大きく変わるため、安く買って高く売ることで儲けを得ることができるようになった。
  • 装備品の呪いを解呪した際、アイテムが破損しないようになった。本作にはいわゆる「呪いの品(低性能でしかも解呪しないと外せなくなる装備品)」というものは存在しておらず、呪い状態になる条件は「性別または性格の不一致」によるもののみ。地味ではあるがうれしい変更点である。

戦闘関連

  • 「パーティスキル」と呼ばれる技が使用可能になった。
    • 戦闘時の行動で溜まる「テンションゲージ」を消費して使える技で、「BUSIN」シリーズの「アレイドアクション」に近い。どの技も強力で、さらに使い続けることで相性補正が上昇するおまけつき。
    • 序盤ではゲージが溜まりにくいため連続使用は無理だが、終盤は乱発可能。便利ではあるが若干強すぎるきらいも…。
  • ステータス異常に「気絶」が追加された。気絶はボス含む全ての敵で発生し、気絶中は「次のターンに回復するまでは行動不可」「回避、防御が大幅に低下」「HP自動回復が停止する」といった多くの制約を負う。
    • 気絶の追加で素手攻撃の重要性、および素手攻撃のエキスパートたる修道士の価値が大きく上がった。ただし素手でなくても気絶は誘発できるので、「修道士がいれば気絶を誘発しやすい」という感じでゲームバランスは崩れてはいない。
    • 主に攻撃回数が少ない武器の気絶発生率が高めに設定されているので、少攻撃回数の武器の有用性が高まっている*2
  • 通常モンスターの数も52種と大幅増加。さらに「無限種」と呼ばれる個有名を持つモンスターや、挑戦状を叩き付けることで戦えるようになるNPCなど、前作に比べると総数はかなり増している。

ロード・コンクエスト関連

  • ワールドマップが拡大。本作の本拠地は「聖戦都市式部京」なのだが、前作の本拠地であるアーレハインを含むいくつかの拠点および中継点、そしてそれらを結ぶロードが追加された。
  • 他の学府やあちこちの駐留点に交易所が設置され、アイテムの取引が出来るようになった。また、アイテムの売買はキャラの軍位やロードの支配状況で変動する。
  • マップは前作から一新*3。また、「座標をずらしただけの水増しマップ」は無くなっている。
  • またオートマッピングを表示させる術やアイテムも上方修正されており、術は短期常駐型(前作は1回数1表示)に、地図は10個分を合成錬金することで高耐久の強化型へ進化させることが出来る(一部除く)など、難解さを増したマップでもより探索し易くなっている。
  • 前作では「いくつかのマップがランダムに組み合わされるダンジョン構成」のみだったが、今作では各ロードに「中枢部」とそこから行ける「セメタリー」と呼ばれる固定マップが追加された。
    • セメタリーは謎解きや特殊な構成に特化しており、マップの構成は「こんなのよく思い付いたな…」と思えるほどの難解さである*4また、各セメタリーでは「リドル(という名のなぞなぞ)」も出題される。
    • 各セメタリーの管理者であるメカ少女「プルト」達の強烈な個性は一見の価値あり。多少ヤンデレ気味ではあるが…。

その他の改善点

  • 本拠地で「学徒便覧」と呼ばれる解説が閲覧できるようになった。
  • モブキャラ(主要NPC以外の生徒)にも専用グラフィックがついた。
  • 一部の魔法の性能が変化し、使いやすくなった。
  • ロード内で「カニ歩き」ができるようになる等、操作性が向上した。
  • 前作のデータが残っていれば、前作で鍛えた学徒を転入させることができるようになった。
  • その他細かい仕様変更多数。

問題点

  • 相変わらずグラフィックはショボイ。
    • 一応敵キャラの種類は26種類から52種類+事典に登録されない特殊な敵(ボス含む)数種類、および「無限種」と呼ばれる通常雑魚の色違いが12種類とかなり増加しており、グラフィックの使い回し感はかなり減った。
    • 絵柄に関しても、主線をはっきりさせないぼやけた絵柄だった前作に対し、今作は主線を明確にしたシャープなものになっている。グラフィック担当によると、主線を書かないグラフィックは手間がかかるとのこと。ぶっちゃけ前作の主線のない絵柄はグラフィックが貧弱であるという印象を助長していたので、全く労力に見合わない作業だったようだ。
    • 本作のグラフィックの明確な欠点としては、何故か雑魚もボスも同じスケールで描かれており、やや迫力に欠ける点が挙げられる。いくらか豪華さを感じられるのはストーリー上のラスボスと最強の隠しボスである「エンパス」くらい。
  • ストーリーはやや尻切れ気味。
    • 本編のエンディングは半ばバッドエンド調であり、後味が非常に悪い。ただし、エンディングは「話が一旦収束するターニングポイント」でしかなく、その後もストーリーは続いていく。むしろゲーム的には「エンディングまでがチュートリアル、それ以降が本番」と言っても過言ではない。
    • 本作のキーパーソンである『村正静流』もストーリーに僅か数回しか登場が無く、また本人に関する背景も全くと言って良いほど語られない(前作をプレイしていれば若干理解する事は出来る)。クライマックスの展開においてもプレイヤー以外のキャラクターで殆ど話が進んでしまい、置いてきぼり感が強いのは否めない。
    • 『Wizardryにストーリーは重要ではない』とは言え、ストーリーを全面に押し出しておきながらこのクォリティーは決して褒められた物ではない。
    • 「ダロスの右手」など、設定だけの存在も多い。
      • どうも開発担当の"チーム村正"によればエクスシリーズは元々三部作を予定していたものらしく、2でエクスシリーズが打ち止めになってしまった現状にも一因はあると思われる。
  • 「イカロス行商」というゲームバランスを崩壊させかねないテクニックが存在する。
    • 中継点「イカロスの足」で行えるテクニックで、条件を満たすと「装備品を売ってすぐさま買い戻すだけで、一回数万Gの利益を得る」ことができてしまう。エクスでは「金を経験値に等価交換できる」仕様があるため、この技を解禁するとあっという間にカンストレベルに達してしまい、あとはアイテムを漁るだけの単純作業になりがち。
      • ただし、キャラ転生を行うならばこの技の使用もやむを得ない。もしこれを封印して転生を限界まで繰り返すつもりなら、MMORPGばりの時間が必要となることは間違いない。
  • 相変わらず誤字がとても多い。
  • バランスが極端に悪い箇所が存在する。
    • 初期装備が戦士系学科であっても最弱の短剣である為、攻撃は当たらないわ当たってもまともなダメージは与えられないわで、序盤の難易度がやや高い。
      • ただ序盤に前衛向け装備品が入手出来る小イベントもあり、そこまで不利にはなりにくい。
    • 使える武器と使えない武器の差が激しい。剣や弓矢は高性能なのが揃っているのに比べ、斧や槍は極端に性能が低い。これではせっかく100人もキャラクターを作っても装備が画一化してしまう。
    • 使える学科と使えない学科の差も激しい。
      • 序盤では罠外しに必須な盗賊だが、装備に恵まれていない上、上位学科の狩人・忍者・くのいちに盗賊技能を底上げするアクセサリーを装備させればあっさりと盗賊を上回ってしまう為(一応レアアイテムではあるのだが)、盗賊は使わなくなってしまう。
      • 超術士のスキル『魔障壁』はほぼ全ての攻撃を防ぐバリアであるが、必ずターンの最初に発動出来てしまう為、高レベルの超術士はこれしかやる事が無くなり、超能力呪文の影が薄くなってしまっている。

総評

ウィザードリィの名を冠する他作品と比べてあまりに異質な外観から「萌えWiz」「学園物Wiz」と揶揄されがちな本作だが、キャラ育成&アイテム集め、歯ごたえのある戦闘バランスといったウィザードリィが持つ楽しさはしっかりと踏襲している。
グラフィックに抵抗がなければぜひプレイしてみてほしい。


その後の展開

  • 2006年6月にワンダープライス版(獅子猿氏のイラストによるパッケージが目印)も出たが、それを含めても流通量は少なく、中古相場も比較的高値安定している。
    • 2006年11月にWizardryの版権がサーテック社から他社に買い取られたことによる影響と思われる。
  • この作品は多くの伏線を残したままストーリー展開が終了しており、スタッフも「3部作構成を予定していた」と語るなど、続編の出る可能性が高かったことが明かされている。現在でもこの作品の続編を待ち望むファンは多く、スタッフも「機会さえあれば採算度外視で作成したい」「Wizardryの権利を持つ企業と交渉も行っている」とエクス3開発に向けた前向きな発言をしている。
  • 後に同一製作スタッフが立ち上げた会社・エクスペリエンスによるPCゲーム『Generation XTH』シリーズが発売された。ゲームシステムやバランスはウィザードリィエクスシリーズを踏襲しているが、世界観は全く別物となっている。ただし、一部武具のグラフィックや、エクスシリーズに登場していたNPCを思わせるキャラが出現するなど、過去作をプレイしていればニヤリと出来る程度の繋がりはある。
    • 後に続編『迷宮クロスブラッド』が発売され、コンシューマに移植された。
  • 同じく後にエクスペリエンスによるPCゲーム『円卓の生徒』も発売された。主人公が円卓の騎士となる生徒を率いる「先生」として戦うという内容で、こちらも主人公の名前「エクス」など、過去作をプレイしていると色々と繋がりある部分も多い。

余談

  • 前作はあからさまな低予算ソフトであったのだが、本作ではさらに製作費が削られ、開発環境は悪化。*5マイケルソフト上層部は未完成のまま発売することを決断したが、チームムラマサは「欠陥商品を世に出したくない」とこれを拒否。後半は無給で開発を続けたと開発スタッフ側が証言している(→当時のホームページのWebアーカイブ)*6
    • このことがきっかけでチームムラマサはエクス2製作後マイケルソフトを離脱。独立して別会社「エクスペリエンス」を立ち上げた。
    • その後マイケルソフトは倒産。そしてそのドサクサに紛れて『剣と魔法と学園モノ。』にゲーム内容およびソースデータを丸々流用されてしまう。丸パクリをしたにもかかわらずエクス2よりも大幅に劣化していたため、チームラのファンは『ととモノ。』シリーズの名を聞くだけで嫌悪感を示す者も少なくない。