ロックマン エグゼ6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー

【ろっくまんえぐぜしっくす でんのじゅうぐれいが/でんのうじゅうふぁるざー】

ジャンル データアクションRPG
対応機種 ゲームボーイアドバンス
メディア 64MbitROMカートリッジ
発売・開発元 カプコン
発売日 2005年11月23日
定価 4,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
セーブデータ 1個(バックアップ用フラッシュROM)
配信 バーチャルコンソール
【Wii U】2015年11月18日/702円(税8%込)
判定 良作
ポイント エグゼシリーズ最終作
ビーストアウトで爽快感溢れるバトル
ロックマンシリーズ


ストーリー

ネビュラとの戦いから1か月。熱斗たちは以前と変わらない平和な生活を取り戻していた。

しかし熱斗は父・祐一朗の仕事の関係で、秋原町から遠く離れた才葉(さいば)シティに引っ越すことになった。
慣れ親しんだ町と仲間たちとの別れを惜しむ熱斗であったが、熱斗は必ず秋原町に帰ってくると誓い、秋原町を後にする。

だが、この時熱斗は気付いていなかった。
新たな地、才葉シティで新たなる戦いに巻き込まれることに……。

  • 今作では熱斗とロックマンは新たな舞台、才葉シティを中心に「電脳獣」と呼ばれる存在、謎の少女「アイリス」、そして前作味方であったはずの「カーネル」が敵となった理由を巡り、再建したWWW(ワールドスリー)との最後の戦いを繰り広げる。
    • 「電脳獣」は2体存在するが、バージョンによって物語内の伝承・ストーリーでの立ち位置が全く正反対となる。自分のバージョンの「電脳獣」はロックマンが自身のメモリに封印したことで獣化するきっかけとなる。

概要

  • ロックマン エグゼシリーズ最終作。本作の発売前に『5』がDSに移植されたが、本作はGBAのみの発売となった。
    • これについてスタッフは、「GBAとして売り出してきたシリーズなので、GBAで有終の美を飾りたい」と言った旨の発言をしている。
  • 「電脳獣グレイガ」と「電脳獣ファルザー」の両バージョンが同時発売された。
  • 前作同様に、周辺機器として「バトルチップゲート(今作での名称はビーストリンクゲート)」「改造カード」が発売された。前作の物との互換性は無い。*1
  • 2006年の1~2月と8月に公式大会「サバイバルネットバトル2006」が開催された。

特徴

  • 獣化(ビーストアウト)システム
    • 今作で登場した新たな変身システム。ストーリーでロックマンが自身に「電脳獣グレイガ/ファルザー」を封印したことで、戦闘中にカスタム画面右下にある獣化ボタンを押すことで変身できる。
      • 変身中はロックマンが電脳獣を模した姿になり、チャージショットが使えなくなるかわりに長押しによってバスターが自動連射になり、性能が変化する。
      • チップ使用時にはカーソルのついた敵を自動的に狙い、暗転しない無属性攻撃チップの攻撃力を30上昇する。また、暗転非暗転を問わず無属性チップを溜め撃ちすることで横2マス、縦3マスの順に攻撃する技に変化する。
      • 変身中はココロカウント(最大3)が1ターンごとに1減少する。0になると獣化が解除され、ロックマンは疲労状態となる。この状態ではココロウィンドウが変化しない(クロスチェンジは可能)。ココロカウントは獣化せずにバトルに勝利することで1回復、プラグアウトで全快するため、いざというときを見計らう必要がある。
    • 今作変身できる「獣化」はバージョン毎に異なっている。
      • 「グレイガビースト」:グレイガ版で変身可能。スーパーアーマーによって状態異常以外の攻撃でのけぞらず、バスターの連射速度が大幅に上がる。
      • 「ファルザービースト」:ファルザー版で変身可能。パネルによる効果を受けず(火口パネルの火柱ダメージや氷パネルの凍結効果等は受ける)、バスターの攻撃範囲に上下の前方2マスずつが追加される。
    • 超獣化(ビーストオーバー)
      • ロックマンが電脳獣の力を抑えられず、暴走してしまう状態。
      • 「獣化」が解除された後の疲労状態で再度、獣化(ビーストアウト)ボタンを押すことで変身できる。戦闘開始から疲労状態のときはできない。
      • 変身中はロックマンが「獣化」よりも更に電脳獣に近づいた姿に変化し、1ターンの間無敵状態になるが、移動及び選択したチップの使用を自動で行うようになる。また、攻撃力のあるチップを使用した際に暗転非暗転を問わず威力を2倍にするという特性もある。
      • 1ターン経過すると自動でカスタム画面が開きロックマンの変身が解除、極限状態となる。この状態では「獣化」や「クロスチェンジ」(後述)が一切行えなくなり、バスターの性能が最低となり、HPも1になるまで急激に減少する。戦闘終了すると疲労状態に戻る。
      • 4と5のダークソウルユニゾンやダークインビジ状態に似たシステムだが、チップ使用はカスタム画面で選択したもののみで、前作のように記憶したチップを使うわけではないためいわゆるABD戦法は完全に不可能になっている。
  • 前作までのソウルユニゾンに代わる新たな変身システム「クロスチェンジシステム」
    • 戦闘中にそのナビの力を宿した「クロス」を装備することで変身できるようになり、変身中はロックマンが装備した相手に模した姿をし、チャージショットが変化して様々な特殊効果が付与される。
      • ソウルユニゾンとの最大の違いはチップの消費無しで自由に変身可能なこと。ターンの経過で解除されることもないが、弱点となる属性・系統の攻撃を受けると解除される。これにより、3ターン毎の変身やフォルダ・戦術の縛りの厳しさが大きく緩和された。
      • 変身できる「クロス」もとい、装備相手となる「リンクナビ」はバージョン毎に全く異なっている。1つのバージョンにつき5種のクロスが登場する。
        グレイガ版では「ヒートマン」「スラッシュマン」「エレキマン」「キラーマン」「チャージマン」などパワー系のナビとリンクが組める。
        ファルザー版では「アクアマン」「テングマン」「トマホークマン」「グランドマン」「ダストマン」などテクニカル系のナビとリンクが組める。
      • クロス相手を増やすにはリンクナビのオペレーターから授業を受ける必要がある。初回のヒートマン/アクアマン以外は任意。授業はリンクナビを操作して電脳世界を探索したりミニゲームを攻略した後、リンクナビとのバトルを行う。
  • クロスビースト
    • 「獣化」と「クロスチェンジ」と同時に行う変身。
      • 戦闘中に「獣化」した状態で「クロス」を装備するか、「クロス」を装備した状態で「獣化」することで変身できる。ただし、1ターンで行う事は出来ず、2ターンを使う必要がある。
    • 変身中は「獣化」と「クロス」を足したような姿になり、その両方の性質を併せ持つようになる。また、無属性チップを溜め撃ちすることで各「クロスビースト」に応じた固有の攻撃技に変化する。
    • 「クロス」の弱点となる属性・系統の攻撃を受けると「クロス」のみが解除され通常の「獣化」に戻るが、ココロカウント0になって「獣化」が解けた場合には「クロス」も解除され、疲労状態となる。
  • 「ナビリンクシステム」
    • カプコンとタカラの共同展開で本作と周辺機器とアーケードの「ロックマン エグゼバトルチップスタジアム」を連動させるシステム。
    • 「ビーストリンクゲート」と「ナビデータチップ」を使用することでナビを現実世界でも持ち運べるようになり、「リンクペットEX」も併せて使用することでナビの育成もできるようになる。育てたナビを本作で活躍させたり「バトルチップスタジアム」で戦わせたりすることも可能。
      • 自宅でも外出先でもゲームセンターでもロックマン エグゼの世界観を楽しめるようになりネットナビとの距離がグッと増した。

変更点

  • フォルダ構築ルールの追加
    • フォルダに入れられる同種のスタンダードクラスチップとメガクラスチップの投入枚数がチップ固有の容量によって1~5枚に変化するようになった。
      • 例えば、キャノンは容量が6MBしかないためフォルダに5枚入るが、メガキャノンは容量が38MBあるため3枚しか入らない、といった感じ。強いスタンダードチップだけを入れるということはできず、容量の小さいチップを生かすためのコンボの重要度が上がっている。
    • この仕様により前作では同種のものは1枚までしか入れられなかったメガクラスチップは、容量によっては同じものを複数枚入れられる場合がある。
    • レギュラーチップとは別に「タッグチップ」を設定できるようになった。
      • フォルダ編集の際に2枚のチップをセットで設定しておくことで、戦闘中設定したチップがどちらか片方来ると必ずもう片方も来る、というもの。これにより特定の組み合わせによるコンボが出しやすくなる。設定できるチップは2枚合わせて容量60MBまで。
  • ナビカスでは、バグが発生する代わりにパーツをはみ出しておけるようになり、組み込めるパーツの数が増えた。
    • バグはバグストッパーを組み込めば防止可能なため、今作ではバグストッパーを組み込みつつはみ出し部分をフル活用するカスタマイズがセオリーとなっている。
    • 前作で登場したソウルユニゾンの能力を再現するチップ、ナビカスパーツも追加。メディソウルの「ホワイトカプセル」、サーチソウルの「サーチシャッフル」、ナンバーソウルの「ナンバーオープン」が存在し、どれも戦略の幅を広げる重要な要素となっている。
    • また、前作と同様にコマンドによるナビカスパーツの圧縮も健在となっている。
  • ナビチップのランク付けの変化。
    • 後述の通りDSが廃止された代わりに、通常とSPの中間の性能を持つEXが追加され、通常、EX、SPの3種類となった。また、ロールとジャンゴは通常、V2、V3となっている。
      • 基本的にはどれも固定の威力だが、SPは前作らと同様にインターネット上に徘徊するSPナビのデリートタイムによって威力が変化する仕様となっている
    • ナビ自体のランクについてもV2、V3、一部に存在したDSが廃止、EXが追加され通常、EX、SPとなっている。WWWに属する敵ナビにはさらに上のRV、ブルースには改造カードでの追加分を含む全ての依頼を達成することで出現するFZが存在、フォルテはV2、V3が削除、最上位のXXがBXに変更され、通常、SP、BXとなっている。
      • なお、本作のナビ及びナビチップのランクはシリーズ次作の『流星のロックマン』シリーズの『2』まで引き継がれる事になった。
    • また、前作までのナビチップ以外のメガクラスチップはスタンダードクラスに移動した。こうなったのは「ナビチップをもっと使って欲しかったから」とのこと。
  • 善悪度とそれによる仕様の制限、ダークチップの廃止。
    • これらが廃止されて前作で不可能だった善チップと悪チップの両立が可能となり、悪でしか使用できなかった「DS」ナビチップやダークソウルユニゾン等も廃止された。
  • 弱点属性の追加
    • 従来のシリーズではヒート(火)→ウッド(木)→エレキ(雷)→アクア(水)→ヒート…とRPGでよくある得意属性と弱点属性があったが新たに「カーソル」「ソード」「ブレイク」「ウィンド(風)」の属性が追加された。
    • カーソル→ブレイク→ソード→風→カーソル…と従来とは別に一風変わった新しい属性関係が作成され従来同様弱点属性はダメージが2倍になり、より新しい戦略が生まれた。
      • 今まで上記の属性は存在はしていたのだが「ガード状態を無視して攻撃する(ブレイク)」「ソード系統以外の攻撃は当たらない」等といった「特性」扱いで「弱点」ではなかった。
  • エリアパネルの追加と削除、一部仕様変更
    • 前作にあった「マグマパネル」や「アクアパネル」が削除。新たに「火口パネル」が追加され「アイスパネル」の仕様が変更された。
      • 火口パネルは一定時間ごとに溶岩が噴き出し、その際上にいると火属性の50ダメージを受ける。マグマパネルとは違いロックマンが火属性でもダメージを受ける。パネルを壊す、一定時間経つ、水属性攻撃がパネル上を通過すると消滅し、ノーマルパネルに戻る。
      • アイスパネルはこれまで通り、上に乗ると一番端まで行くかノーマルパネルまで滑ってしまう(ロックマンが水属性だと滑らない)特性があったが、「この上で水属性の攻撃を受けるとロックマンが凍結してしばらく動けなくなり、パネルはノーマルに戻る」「さらに凍結状態でブレイク状態の攻撃を受けると弱点となる」という新たな特性が追加された。
    • 他にもパネルに乗ると矢印の方向に強制移動される矢印パネルも追加されている。
    • パネルを使ったコンボも研究されており、戦略の幅を広げるのに一役買っている。
  • ウイルスバトル
    • 今作の新要素で、手に入れたウイルスデータを戦わせることができる。
      • 特定のエリアに出現する、同種より強い「レアウイルス」を倒すことでウイルスデータを入手できる。
    • 自分のウイルスは2体まで配置できる。ウイルスの行動パターンは敵として登場した時と同じである。
    • 制限時間内(1ターン)に相手ウイルスの合計HPを0にできれば勝利となる。
    • 余談だが、最高Lvの最終戦の敵ウイルスにブラストマン(ストーリーで最初に戦うネットナビ)がいたりする。
    • 自分と相手のウイルスの特性を理解して、いかに勝利するかを考える一種のパズルゲームとなっており高評価。
  • 新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』と通信対戦ができる「クロスオーバーバトル2」モードの追加。
    • 前作とゾクタイでもエグゼ5に登場するナビ「シェードマン」を敵とした「クロスオーバーバトル」が行えたが、今作では対戦相手のシンボクに登場するイモータル「伯爵」をどちらが早く倒せるか競うという物である。
      • なお、「伯爵」は隠しエリアのイベントでも登場し、他のボスナビ同様にランクやメガクラスチップが存在する。
    • このモードで得られる「クロスオーバーポイント」を「シンボクトレーダー」で消費する事で『ボクタイ』シリーズに関わるチップが得られる。シンボクトレーダー限定のチップも存在する。

評価点

  • 最終章と呼ぶに相応しい内容のストーリー
    • 本作は「1~3」のような流れのシナリオ形式のストーリーに回帰しており、多少強引な面もあれど前作までの伏線を回収しつつ、シリーズ通しての敵だったある人物との因縁が完全に決する。
      • 無論話の主軸はあくまで本作初登場となる電脳獣に据えられているため、シリーズ初見のプレイヤーでも置いてけぼりになることはない。
    • 卒業式のシーンや最後の「ロックマン エグゼ おわり」のシーンで言いようのない喪失感を受けたプレイヤーも多い。
  • ロックマン以外のナビ(リンクナビ)を使って電脳世界を自由に冒険できるようになった。
    • 単なるお楽しみ要素ではなく、電脳世界にある障害を排除したり、ストーリー中でロックマンが暴走した際にはリンクナビを使って助けに向かうことになる。
    • ただし、プラグイン場所は固定で、クロスオーバー要素に関係しているとあるエリアにはロックマン以外では入れない。
  • 攻撃寄りのバランス調整。
    • 前作までは、自陣全パネルをダメージ半減のホーリーパネルにする「サンクチュアリ」+攻撃力200以下の攻撃をすべて無効にするバリア「ドリームオーラ」+敵陣に毒を巻き続ける「ポイズンファラオ」でひたすら守るなどの守りを主体とした戦術が多く、結果として地味なバトルが多かった。
    • 基本システムのクロスと獣化・チップの容量による枚数制限の変化・はみ出し上等のナビカスなどで全体的に攻撃主体の構成が強くなり、多様性や派手さが増した。
      • 例えば上の耐久戦法に対して、風属性のチップに耐久力に関係なくバリアやオーラを消す効果が追加されたため「ドリームオーラ」をすぐ消せるようになった。また、パネル変化のチップの数が増加、チップの威力が全体的に上がったため*2「サンクチュアリ」や「ポイズンファラオ」の維持も難しくなっている。
      • ただし使い勝手の良い迎撃・牽制用のチップも存在するため、『2』や『3』のような(良くも悪くも)先手必勝の環境にならず、ちゃんとバランスを取れている。
      • ダークソウルユニゾンの代わりとなる超獣化は記憶機能が廃止されたことで、前作で猛威を奮ったABD戦法が消滅され、よりプレイヤーの実力を反映するようになった。
  • 前作ではクリア後に特定条件を満たす必要があった上位種のウイルスがストーリーを進めれば普通に出現するようになり、クリア前から上位種のチップを入手しやすくなった。
    • 前作・前々作は初見のラスボスを最下位種のウイルスからのチップや拾ったチップだけで倒す必要があったため、P.Aやソウルユニゾン・カオスユニゾンに頼らないと火力不足によるチップ切れになりやすかった。
    • 前作までのウイルスEXが削除され同位のウイルスが1種に統一。これにより入手できるチップのコードが「通常・EXで別」から「3」の「バージョン別」に戻っている。また、これとは別にレアウイルスも同じウイルスとは違うコード・ランクのチップを落とす。
  • 関連作をリスペクトしたプログラムアドバンスの存在。
    • 過去5作に登場したチップやプログラムアドバンスを再現したものや、ロックマンと「ボクらの太陽」シリーズの主人公「ジャンゴ」との連携攻撃といった最終作を飾るに相応しいものが揃っている。
  • 通信機能を使って通信相手のフォルダを予備フォルダにコピーできるようになった。
    • これにより序盤から強いフォルダを使うことができ、ストーリーをサクサク進めることができる。
    • ただしトレードに使うフォルダの編成ルールが通常より厳しくなり、違うバージョンのギガクラスチップは入ることができない。
  • 前作で実装予定だったワイヤレスアダプタを用いての対戦・交換といった通信プレイができるようになった。
    • 一応前作でもワイヤレスアダプタに対応していたがクロスオーバーバトル限定であり、通常の対戦と交換では通信ケーブルへの付け替えが必要だった。
  • 非常に良質なBGM
    • GBA終盤に開発、発売されたこともありGBAの性能を引き出しきったかの様な精錬されたBGMが収録されている。
      • ストーリー内でサメの徘徊するマップをNPCである「プログラムくん」を引き連れて特定の場所に誘導するというミニゲームがあるのだが、サメに追われている間BGMがアップテンポになるというちょっとしたギミックまである。

賛否両論点

  • 全体的に難易度が低い。
    • 今作では、チップの火力が高めな上にそれを後押しする上記のシステムがあるのが理由である。特に新システムが全て使えるころになる序盤の終わり頃だとこの傾向がより強くなる。ここまでになると、一部の SPボスですらSランクで倒すのが難しくなくなる ほどになる。プレイヤー次第だが、序盤以降のストーリー攻略も消化試合になりがちとなっていきつまらなくなっていく可能性もある。( 特にボス戦が躊躇 。)
    • とはいっても、逆に言えば お手軽にガンガン敵を蹴散らしていく爽快感を味わえる ということでもある。また、戦力を整える時間が短くて済むということは新たな強敵と遭遇しても安心して戦えるようになり、マップの捜索が捗るのでストレス軽減にも繋がるし、気軽にストーリーを楽しめるということでもある。なので、今作の低難易度が一概に悪いとは言えないのも事実である。
    • また、低難易度はあくまでストーリー攻略であり、クリア後のやりこみ自体はそこそこ歯ごたえがある難易度になっているのでそこは安心されたし。(と言っても、前作に比べたらクリア後の難易度もある程度抑えられている。というか、前作までが難しすぎたというべきか。)
    • ナンバリングシリーズだけで今まで5度も世界の危機を救ってきた熱斗とロックマンのコンビは、もはや向かうところ敵なしだという解釈もできるだろう。

問題点

  • シナリオをクリアしても、現実世界のBGMが平常時のものに戻らず、緊迫時のものに固定されたたままとなる。
    • (4を除いて)過去作はクリアすれば現実世界のBGMが平常時のものに戻り、その場所によって変化するBGMを楽しめただけに残念極まりない。
    • 今作では依頼やチップ集めに現実世界も奔走する事が多く、尚更耳障りである。
      • 一応、「BGMが変化後からは一度もセーブ無しでシナリオを終わらせる」とクリア後の世界と平常のBGMを両立可能。しかし当然初回プレイでは知る由もないし、知っていてもBGM変化前からラスボスまでは攻略にかなり時間がかかり無中断を強いられるため負担も大きい。
    • なぜこうなったかは単純に開発スタッフに曲を戻す指定を出し忘れたからという凡ミスだったようだ。(参考URL)
      • たかがBGMと思うかもしれないが、その指定を出し忘れたスタッフは 20年背負い続けてきた十字架 と自虐気味に称しているので当時から相当な問い合わせがあった事が察せられる。
  • ウラインターネットにアクセスするプラグインポイントがない。
    • ストーリー終盤から通うことが多くなるウラインターネットだが、そこに直接プラグインするポイントがなく、スカイエリア経由でしか進入できない。
      • 厳密的にないわけではないが、その二つはどれもリンクナビのプラグインポイント。ロックマンでは利用できない。
    • それだけならまだ大したことではないが、問題はその最深部の先にある隠しエリア。クリア後の稼ぎなどもあって何度も出入りすることになるため、毎回5エリアも通らないといけないのは流石に遠すぎる。隠しエリアから直接プラグアウトできるのが不幸中の幸いか。
  • 改善されることのなかった「バグのかけら」の収集方法
    • 前々作から問題視されていた「バグのかけら」の主な収集方法が、「ミステリーデータからの確率入手」から根本的な改善をされることなくシリーズ最終作を迎えてしまった。
      • 一応ミステリーデータからの入手以外の収集方法でウイルスバトラーでの勝利報酬もあるが「自分で操作できない」「3連戦する必要がある」「報酬が1500zかバグのかけら6個」と決して効率がいいというわけではない。
    • しかも今作では「その戦闘中のみ、バスターのためうち1発につきバグのかけらを1個消費して『ダークソード(グレイガ版)』か『ダークサンダー(ファルザー版)』に変更する」というギガクラスチップが登場したのでなおのことバグのかけらの需要が高まっている。
      • ためうちダークソードは前作のダークチップとは違い、威力が200と抑えられているがためうちダークサンダーは据え置きの200のままのため対戦では採用されやすいのでなおのこと消費が激しい。
      • 前作まではアイテムの交換の為だけの存在だった為、全てのアイテムと交換を終えたら完全に必要なくなっていた。そのため「腐らせることなく需要を持たせ続けることができた」という捉え方も出来るが…。
  • ほとんどの依頼が出現してもすぐに受けられず終盤近くまでお預けになる。
    • 依頼にはランクが設定されており、クリアすることで溜まるポイントが一定以上ないと上の依頼を受けられない。しかし、基本的に自分が受けられるランクの依頼をすべてこなさないと一定以上に溜まらない。
    • 改造カードで依頼を追加できればその限りではないのだが、かなりもどかしいシステム。
  • 依頼など一部の報酬がしょぼい。
    • 一部の依頼報酬やエリア上の障害物の先はロッドナンバーや圧縮コードの情報しかなく、有用ではあるが攻略本や攻略サイトに全部載ってるので苦労に見合ってない。
  • シリーズ屈指の関連商品・周辺機器商法。
    • 前述の「ナビリンクシステム」を筆頭に全ての要素を遊ぶには非常に多くの関連商品や周辺機器が必要。
      • 「ビーストリンクゲート」や「リンクペットEX」、「改造カード」や「リンクナビチップ」等の玩具、通信ケーブルやカードeリーダー+、ワイヤレスアダプタ言った周辺機器、更には本作両バージョンと『新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』が必要と異常なまでにハードルが高い。これらの商品を全て集めると当時でも数万円かかる。現在では中古品でもほぼ出回っていないので全部集めるのは不可能に等しい。
    • 改造カードは前作まではパワーアップだったり隠しボスだったりおまけ要素の面が強かったのだが今作はそれからでしか入手ができないチップやナビカスパーツが登場した。その中には「バグシュウセイ*」や「フォルダパック」などと言った強力な物も含まれている。レアアイテムや強い能力が入っている改造カードは大型イベントでの配布だったり懸賞でもらえるものだったりと限定品が多い。
      • これだけ商品展開しておきながらこれらに対応しているのは本作のみである。次回作「流星のロックマン」にも引き継がれなかった。
    • 今作は条件を満たすことでつけられるタイトルのマークが9つあるがその内2つは上記の周辺機器との連動が必要。
    • 幸い、真のエンディングを見るだけならゲーム本体だけで達成できる6つのマークだけでよい。
  • 前作と同じく、『新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』との通信には通信ケーブルでなくワイヤレスアダプタが必要。
  • クリア後に出てくる隠しボスが少なすぎる。しかも、隠しボスは全員、会うだけならクリア前でもできてしまえる。(そのうちの二体は戦うことも可能である。)さらに言ってしまうと隠しボスのほとんどがシリーズ恒例のレギュラーキャラなので今作からエグゼをプレイし始めたプレイヤーはともかく、過去作の経験者にとってはほとんど新鮮味もない。以上のこともあって、プレイヤーによっては、隠しボスは実質存在しないに等しいと捉えてしまえる可能性もある。

バグ・不具合

  • ゲーム進行に関わったり、大会で使用禁止になるほどのバグがある。
    • ウイルスバトラーLv5の3戦目で敗北するとフリーズすることがある。
    • 改造カードでチャージショットを一定時間ほぼ無敵になる「インビジブル」にした状態にし、ある行動を取るとインビジブルの効果時間が長くなる。
    • 他にも、改造カードを特定の順番で組み合わせる事により、本来確率で発生するチャージショットの追加効果を確定で発動させる物がある。
      • 非公式大会ではこれらに該当する改造カードの組み合わせは使用禁止処置が取られたりしている。
  • 改造カードにより、ほぼ詰みが発生するケースがある
    • 一部の限定依頼は基本的にストーリークリア後でないとクリアできないものが多い。それらをゲーム序盤から受けてしまうとキャンセル出来ない仕様もありほぼ詰み*3の状況になってしまう。バーチャルコンソール版ではハマってしまう人が多かった。またどれが限定依頼でどれが通常の依頼なのかわからないという問題点もある。
    • 詳細はロックマンエグゼまとめ@ ウィキを参照。

総評

シリーズの集大成だけあり、「獣化(ビーストアウト)」と「クロスチェンジ」、それらを重ねた「クロスビースト」という多様な変身やチップ・フォルダ関連の仕様によって、取れる戦法の幅に大きく広がりが出ている。
こうして深みの増したバトルの完成度は発売からしばらく経っても対戦オフ会やネット対戦が盛んだった事からも窺えるだろう。
「トーナメント」や「リベレートミッション」のような何度も繰り返される要素がないため、それらが苦手な人でもスムーズに遊べるようになっている。
2段変身やすくみ要素の細分化など挑戦的な要素を取り入れた一方でストーリーも過去作から追ってきたエグゼファンからも納得の出来に仕上がっており、紆余曲折あったがまさにシリーズの有終の美を飾った作品。
完結を惜しむ声は当時大きく、今なお続編を望む声もあるが「ロックマン エグゼシリーズ」という作品が語り継がれるのは本作で終われたことも影響しているだろう。



余談

  • インタビューによると、エグゼ3に登場した「セレナード」を再登場させる予定だったらしいが、容量の都合でボツになったようだ。
  • 発売後しばらくして公式が行ったシリーズ人気投票では『エグゼ3』に次ぐ第2位であった。
  • 本作での月刊コロコロコミックの『ボスキャラグランプリ』の受賞作の3体のナビは、いずれも敵幹部として設定された。
    • なお、ナビを使用する敵幹部はいわゆる『三悪』ポジションで、アニメ版初代のWWWトリオをリスペクトしたようなキャラ付けになっているのが特徴と言える。
  • 海外版ではクロスオーバーバトル2*4とクロスオーバーイベントが削除された。ガンデルソルを除くボクタイシリーズ関連のチップやゲーム内で入手できないチップも削除された。

移植

  • 2015年11月18日にWii Uでバーチャルコンソール版が配信された。前作までのVCと同様つうしんの項目を押すと通信限定のチップが手に入るのだが今作は改造カード限定の依頼も解放されるようになる。その代わりか、配信限定のチップが収録されていない。また、ビーストリンクゲート関連のシステムは全て削除されている為タイトル画面のマークをコンプリートすることは不可能。
    • 「不具合」の項目で述べた詰み防止のため、クリア後までつうしんボタンを押さない事が最善手。ただし通信限定チップと限定依頼は別々に解放できないのでこの場合チップはクリア後まで諦めるしかない。
  • 『4 トーナメントレッドサン/ブルームーン』『5 チーム オブ ブルース/チーム オブ カーネル』『6 電脳獣グレイガ/電脳獣ファルザー』をセットにした『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクションVol.2』がSwitch/PS4/Steamで2023年4月14日にダウンロード販売。
    • 『ロックマン エグゼ アドバンスドコレクション』として『Vol.1』とセットになったパッケージ版も同日発売。
    • 『新・ボクらの太陽』シリーズとの通信対戦「クロスオーバーバトル」は行えないが、新規実装されたネット通信対戦でのランクマッチ結果によって「クロスオーバーポイント」がもらえるようになっており、「シンボクトレーダー」に関してもシナリオ進行によって出現するようになっているため、限定チップも手に入るようになっている。
    • 問題点で言及されていた「クリア後のBGMが平穏に戻らない仕様」が改善されている。 また、配信チップや改造カードがいつでも呼び出すことが可能になる追加機能が入ったため、Wii Uバーチャルコンソール版でも使えなかった「ダブルビースト」等も存分に使えるようになった。
      • ただし、当時のゲームプログラムは重要な修正点以外はほぼそのまま移植しているため、「改造カードで追加される依頼による進行不能バグ」もそのままになっている。こちらに関しては改造カード使用時の説明文に注意書きで警告している。
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最終更新:2024年03月28日 22:44

*1 ただし、「フォルテクロスロックマン」のスペシャルカードに関しては今作でも使用可能である。能力は前作と同じとなっているが姿は変化しなくなっている。

*2 例えばシリーズ皆勤賞のバトルチップ「キャノン」シリーズの最上位メガキャノンが威力120から180になった等

*3 一応チップトレーダーと金のミステリーデータで解決できる場合もあるが、途方もない確率の上非常に効率が悪いのでデータを消して最初からやり直した方が早い。

*4 海外では『新・ボクらの太陽 逆襲のサバタ』が未発売