Marvel's Spider-Man 2
【まーべる すぱいだーまん つー】
ジャンル
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アクション
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対応機種
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プレイステーション5
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発売元
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ソニー・インタラクティブエンタテインメント
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開発元
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Insomniac Games
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発売日
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2023年10月20日
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定価
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通常版:8,980円(税込) デジタルデラックスエディション:9,980円(税込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:C(15才以上対象)
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判定
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良作
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ポイント
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ピーターとマイルズのW主人公 人気ヴィラン「ヴェノム」が登場 PS5の性能・特徴をフル活用した演出の数々
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Marvel Comics関連作品シリーズ
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PlayStation Studios作品
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概要
『Marvel's Spider-Man』『Marvel's Spider-Man: Miles Morales』に続いて発売されたSIE発売、Insomniac Games開発のマーベルコミックのキャラクター「スパイダーマン」を原作としたPS5用ゲームソフト。
時系列は前作・前々作の続きとなっており、公式サイトによると本作は『Miles Morales』から約9ヶ月後とのこと。
特徴
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主人公はピーター・パーカーとマイルズ・モラレスのW主人公となっている。
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ミッション中などの一部の状況を除き、いつでもピーターとマイルズを切り替えることが可能となっている。
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また、一部のサイドミッションはそれぞれピーターもしくはマイルズのどちらかでしか受けられないものもある。
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新システム・新要素
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空中で△ボタンを押すことにより、ウェブ・ウィングによるグライドが可能となった。
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グライド中は街中にある空洞を通ることで、高度を下げずに加速することができる。
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L1+〇×△□ボタンで、ピーターならスパイダー・アーム、マイルズならヴェノム・スキルによる、強力な攻撃技を放てる。
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一部の敵は回避することのできないヘビーアタックを繰り出してくるようになった。
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ヘビーアタックはL1ボタンのパリィで対処することになる。
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L2+△でウェブ・ラインを張ることができるようになった。
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ウェブ・ラインは空中に足場を作り出せるため、特にステルスで創造性を発揮させて大いに役立ってくれる。
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物語を進めると、L3+R3でピーターならシンビオート・サージ、マイルズならメガ・ヴェノム・ブラストが発動できるようになる。
評価点
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ウェブ・ウィングの追加により、更に爽快感と自由度の増した移動
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前作・前々作の時点でウェブ・スイングによる移動は爽快だったが、本作ではウェブ・ウィングが追加されたことにより、より一層自由に移動することが可能になった。
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ウェブ・ウィングはウェブ・スイングと違い高度を高めづらい一方、ビルなどの高い建物が無い場所や海上を直線的に突っ切って移動するのに役立ってくれる。
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広くなったオープンワールドのマップ
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前作のニューヨークに加えて、新たにクイーンズとブルックリンがマップに追加。これによりマップは前作から約2倍の広さとなった。
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戦闘システムも良好
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マイルズのヴェノムスキルに相当するアビリティとして、ピーターにはスパイダーアームを使った技が追加。大勢の敵と相手をする際に有効。
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中でも特筆したいのが、メインストーリーを進めることで解禁されるシンビオートスキル。
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物語の途中、ピーターはとあることからシンビオートのスーツを着た(通称ブラックスパイダーマン)状態になるのだが、そこで解放されるシンビオートスキルがかなり強力。作中でもシンビオートのスーツは強力とされており、ゲームにより没入できる。
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テコ入れの入ったMJのステルスパート
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今作でもMJを操作してステルスを行うパートがあるのだが、今回はMJ側がかなり強化されており、ストレスが溜まりづらくなっている。
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具体的には初回からスタンガンによる敵の排除が可能になっていたり、敵に見つかったとしても即失敗にならず、一回だけなら撃たれても平気になっている。
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ダッシュも可能なため、近距離であればたとえ敵に気づかれたとしても、攻撃される前にこちらからスタンガンで気絶させるといった芸当も可能に。
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後述する通り、PS5のSSDに最適化しているおかげで、ステルスを失敗したとしても長いロードを挟まずに、すぐやり直しが効くようになっている。
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ただこの一般人とは思えぬ異様な強さから、一部ではジョン・ウィックになぞらえて「MJ・ウィック」だの「ジェーン・ウィック」だの呼ばれるはめになっているが。
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豊富なスーツデザイン
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ピーターとマイルズそれぞれにスーツが用意されており、そのチョイスも過去の実写映画が元ネタのスーツや、直近のアニメ映画『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』に登場したスーツもあるなど、スパイディファンには嬉しい内容。
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シナリオ上、ピーターがシンビオートのスーツを着るようになったことに合わせてか、過去作に無かったシンビオート関連のスーツデザインが採用されている。
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また、ヴィランや他のマーベルヒーローの見た目・衣装を意識したようなデザインのスーツも多く採用されている。元ネタを知っているマーベルファンなら、より楽しむことができる。
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後述する通り、リストラされているスーツがあるものの、映画作品に登場したスーツはもれなく収録しているなど、有名どころはキチンと押さえている。
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DualSenseの機能をフル活用している。
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DualSenseの機能であるハプティックフィードバック・アダプティブトリガーも存分に使われている。
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コントローラーのスピーカーも活用されており、電話などの着信音がコントローラーから鳴る、シンビオート・サージを発動している最中にはコントローラーから怪物のような唸り声が聞こえるなど、ゲームへの没入感を上手に高めてくれている。
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ゲームの途中に挟まるミニゲームでは、ジャイロセンサーを使用したギミックもあるなど、PS5の目玉タイトルだけあって、非常に力が入っている。
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PS5の高速SSDに最適化しているためか、オープンワールドでありながらロード画面は無く、ロード時間も非常に短い。
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中でもファストトラベル機能が大幅にパワーアップしており、ファストトラベルを解禁した地区内であれば、PS5ではどの場所でも暗転を挟まずに移動できるという、他のオープンワールドゲームでも類を見ない快適さとなっている。
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メインストーリー中にブラックキャットをマイルズがチェイスするミッションがあるのだが、その際にポータルを通って一瞬で全く違うマップに切り替わる演出が入る。
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このカットは恐らく本作と発売・開発元が同じ『ラチェット&クランク パラレル・トラブル』のノウハウが活かされているものと思われる。
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ストーリーの評価点
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本作のストーリーは「ヴィランの改心」にスポットが当てられており、実際に改心したヴィランが複数登場する。
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中でも注目すべきはマイルズとミスター・ネガティブの因縁に関する描写。
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前々作でマイルズは父親をミスター・ネガティブに殺害されており、マイルズにとっては因縁のヴィランとなっている。
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前述したヴィランの改心というテーマは、ミスター・ネガティブにとっても例外ではなく、マイルズがミスター・ネガティブに対して抱く感情や執着心の描写は一見の価値あり。
ネタバレになるため詳細は割愛するが、ミスター・ネガティブのパワーがピーターとマイルズの両方に影響を与える描写もあり、本作のキーパーソンを担っている部分もある。
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改善されたQTE
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本作にも前作までと同様、ムービーシーンにおいてQTEが存在するが、QTEに失敗してもムービーが別パターンに派生するのみになった。
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その失敗演出も「ミスをしたところを味方に助けてもらう」「咄嗟に別の方法を試す」といった感じで違和感なく派生するため、まるでムービーシーンでも操作をしているかのような没入感を得られる。
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加えてQTEのコマンドは通常の戦闘で使用するアクションと同じボタン操作に合わせているなど、激しいムービーを見せつつ、ゲームをプレイしているという感覚を保つことに成功している。
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前々作では一部のQTEに失敗すると即死=ゲームオーバーとなったが、前作では一部QTE失敗で小ダメージの場合がある程度、本作では上述の通りすべて別パターンのムービーで進行するだけで、ゲームオーバーになるQTEは一切存在しない。アクセシビリティオプションを弄ることなく、QTEに失敗しても物語を阻害されずに楽しむことができる。
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本作では犯罪阻止において車を止める場面のQTEも無くなっており、ストレスが軽減されている。
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これらQTEの改善点は実は前作『Miles Morales』の時点で一部採用されていたが、そちらではQTEの場面数が非常に少なかったため目立たなかった。本作でQTEが増えたからこそ、実感できるようになった点だろう。
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発売前のティザートレーラーの時点でヴィランのヴェノムが登場することは示唆されていたが、その正体については様々な憶測が飛び交っていた。そして実際には……。
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ネタバレ注意
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その正体はピーターの親友、ハリー・オズボーン。
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本ゲームシリーズではハリーが患っている病気の治療のためにシンビオートのスーツを着ているという設定となっている。
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また、メインストーリーの途中でハリーもシンビオートを使ってピーターの手助けをするのだが、その際のハリーのスーツのデザインがエージェント・ヴェノムを思わせるデザインとなっており、コアなスパイディファンへのサービスになっている。
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さらに、ヴェノムの初登場シーンにおいては、原作コミックの立ち位置を踏まえてか、ほんの少しではあるもののヴェノムを操作して戦う場面も存在する。
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なお、この場面でもフォトモードが使用できるため、ヴェノムファンであればこのタイミングでヴェノムの写真を撮っておくとよいだろう。
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賛否両論点
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バトルの難易度について
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前作・前々作もバトルの難易度は高かったが、本作では
通常の回避で避けることができない攻撃
が「ヘビーアタック」と名付けられ、パリィという明確な対策の追加とともに増加しており、難易度が若干上がっている。
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ヘビーアタックの存在を「戦闘に深みが増した」と捉えるか、「難易度が無駄に上がった」と捉えるかは、プレイヤー次第。
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その一方で、スパイダーアームやシンビオートサージといったスキルが追加されたため、雑魚戦では過去作よりも難易度が下がっている部分もある。
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特にシンビオートスキルは、複数の雑魚敵相手に対して有効な攻撃ができるなど、スパイダーアームよりも格段に優秀な性能のため、シンビオートスキルが解禁されると、雑魚相手の難易度が一気に下がる。
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シンビオートスキルの使用を前提としてバランス調整されているメインストーリーの中盤はともかく、ストーリーが終盤に差し掛かる頃に、シンビオートスキルが一時的に使えなくなる時期があるため、そのタイミングでサブクエストを攻略すると戦闘面で苦戦しやすい。
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今作でも難易度選択は可能なので、難しいと感じたら無理せず難易度を下げるとよいだろう。
問題点
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メインストーリーのボリュームが少なめ
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過去作でもボリュームは控えめだったが、本作では定価が9,000円近くするフルプライスソフトでありながら、メインストーリーのボリュームが少ない。
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SSDへの最適化によるロード時間の短縮やMJパートの改善などの影響もあるが、過去作をPS4でプレイしていた人からは、過去作と同じくらいの時間でクリアしてしまうこともあるかもしれない。
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もっとも、深刻なレベルのボリューム不足というわけでもなく、オープンワールドのマップ内にある収集要素を集めたり、サイドストーリーを攻略するならある程度のボリュームは確保できる。
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一部のストーリーに過去作をやり込んでいることを前提とした部分がある
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これは単に過去作をプレイ済なら問題ないということではなく、サブミッションやDLCもちゃんとやっておかないと、少々唐突に感じる箇所がチラホラ。
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これらは特にサブミッションを攻略する際に顕著になってくる。一例を挙げるとフレイムのサブミッションでは、ユリ・ワタナベが「レイス」を名乗って活動しており、過去作のDLCを未攻略のプレイヤーからは何があったのかがわかりづらい。
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細かい点だが、メニューから登場人物紹介が削除されたのも地味に痛い。
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あくまでも本作は続編であるため、主要人物については過去作をプレイ済ならそこまで問題ないが、逆に本作から始めたプレイヤーにとっては人物像や登場人物同士の関係性が掴みづらくなっている。
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また、本作ではコナーズ博士(リザード)やミステリオなどの何人かのヴィランが改心して登場しているが、これらは改心した過程が過去作をプレイしていてもわからないため、メニューで軽い説明くらいは欲しかったところ。
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過去作からリストラされたスーツデザインがある
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例を挙げると、アニメ映画『スパイダーバース』版のスパイダーマンノワールと入れ替わる形でコミック版のノワールスーツが無くなっていたり、下着姿やアメコミ風の絵柄になるスーツなどが削除されている。
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とはいえ、前述した通り有名なデザインのスーツは概ね押さえているため、そこまで大きな不満というわけでもないが。
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過去作では無料アップデートでスーツが追加されていたので、今作でも無料アップデートでのデザイン追加に期待したいところ。
総評
前作・前々作から順当にパワーアップを遂げたMarvel's Spider-Manシリーズの第3作目。
PS5へと移行したことにより、DualSenseの機能をフル活用した演出や、ロード時間の短さなど、PS5の性能を存分に活用しているのも魅力。
キャラゲー要素を抜きにしても、オープンワールドのアクションゲームとして非常に完成度の高い、PS5屈指の名作と呼べるだろう。
余談
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本作に登場するシンビオートは原作と異なり、炎に強いという設定になっている。
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奇遇にも本作の発売日はNintendo Switchソフト『スーパーマリオブラザーズ ワンダー』と同日。任天堂とSIE、それぞれの目玉タイトルがぶつかり合うという事態になった。
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The Game Awards 2023では本作が7部門でノミネートされたが、残念ながら1つも受賞することはなかった。
最終更新:2025年02月12日 18:20