那由多の軌跡
【なゆたのきせき】
ジャンル
|
ストーリーARPG
|

|
対応機種
|
PlayStation Portable
|
メディア
|
UMD 1枚 / ダウンロード
|
発売・開発元
|
日本ファルコム
|
発売日
|
2012年7月26日
|
定価
|
パッケージ版: 6,090円 ダウンロード版: 5,200円 UMD Passport: 1,000円
|
プレイ人数
|
1人
|
レーティング
|
CERO:B(12才以上対象)
|
判定
|
良作
|
英雄伝説シリーズ関連作品リンク
|
概要
『イース』シリーズや『軌跡』シリーズを代表作に持つ日本ファルコムの新作アクションRPG。
開発メンバーは同社の『ツヴァイ!!』シリーズのスタッフを中心に構成されており、同シリーズとのシステム的共通点も多い。
例外もあるがステージに四季の概念を取り入れており、同じマップでも季節を変えるとステージの見た目と内容が変化する。
あらすじ
近海に星と遺跡が降ってくる不思議な島《残され島》。遺跡とともに降ってくる鉱石《星の欠片》には幻想的な世界が映り込んでいる。
島の少年・ナユタは世界の「果て」の向こうを知ることを夢見ていた。
巨大な遺跡とともに降ってきた妖精のような少女・ノイと出会ったナユタは、彼女を追って光る門に飛び込む。
そこで彼が見たのは《星の欠片》の中と同じ景色だった。
特徴
-
ナユタの剣とノイの魔法で敵を倒しながら進むステージクリア型のアクションRPG。
操作キャラクターとしてはナユタが本体で、ノイはシューティングゲームのオプションのような扱い。
-
ステージをクリアすると評価の星が溜まり、一定以上になるとナユタのアクションが追加・強化される。
-
そのため最初のうちは可能なアクションが乏しく、しばらくはガードも使えない。
-
ノイは中ボスを倒すことで効果や軌道が異なる魔法を習得していく。(基本的に倒すかどうかは任意)
シナリオが進むと攻略のキーになるアクション「ギアクラフト」を使えるようになる。
-
魔法とギアクラフトはノイの力なので、ナユタ一人で戦う状況では使えない。
-
今まで発売されてきたファルコムの多数の作品のシステムを1つにまとめたようなシステムで構成されている。
+
|
那由多と共通している部分・システムと、その作品
|
用語・単位、料理作製:軌跡シリーズ
アクション面:ぐるみん、イース フェルガナの誓い、イース7
装備グラフィックの変化:ぐるみん、イース フェルガナの誓い、イース7
料理を食べてレベルアップ:ツヴァイ
クエスト:軌跡シリーズ、イース7
実績:零の軌跡、碧の軌跡
-
PSPで発売された作品で言えばこのようなイメージになる。
PSP以外では同社のWindowsゲーム『ZWEI II(ツヴァイ2)』と共通する要素が多く、コレクト(拾ったアイテムを博物館に寄贈する)要素もあって、そちらを知る人はツヴァイの新作のようだと感じるかもしれない。
|
評価点
-
キャラクターモデルの動きと変化
-
同社の軌跡シリーズやイースシリーズなどではイベントシーンで主人公が驚く場面では「!」が出るだけだったが今作ではキャラクターの表情やしぐさで表しているため動きが多い。
-
特にノイは喜怒哀楽の表現がはっきりしているのと本人が小さいのが相まって可愛らしいと評判。
ちなみにノイは本当はかなり小さく、ゲーム上では割と大き目にデフォルメされている。もしサイズや頭身をナユタに合わせていたら動きやデザインがよくわからなくなっていただろう。
-
イース7では武器と盾が、イース フェルガナの誓いでは一式揃った時だけキャラクターの見た目に反映されていた。今作ではゲーム中で装備している武具がナユタとノイにリアルタイムに反映されるようになっている。
-
ステージクリア型のアクション
-
マップからステージを選び攻略するというマリオシリーズなどで見られるスタイルになっている。(選ぶと言っても攻略順は一本道)
これによってイースシリーズや軌跡シリーズと違って広いマップを歩かされる事も無く、純粋にアクションを楽しむことができる上に短い時間で1ステージをプレイすることも可能。
-
アクションが爽快
-
序盤は回避や攻撃など基本的な動きしかできないが、物語が進むにつれてダッシュ斬りといったナユタの技やノイの魔法、および特殊能力の「ギアクラフト」などが増えていくことで縦横無尽に動くことができるようになる。
-
ギアクラフトはステージの攻略にも必須のもので水面を歩けるようになるものから高速で移動できる技などそれぞれ特徴のあるアクションを覚える。
-
操作法もシンプルにまとまっており、普段アクションゲームをしないプレイヤーでも簡単に技を出すことが可能。
-
ナユタで近接攻撃をしている最中にもノイの魔法は自由に発動できるため、うまく組み合わせれば攻撃面で敵を圧倒しながらサクサク進めることができる。
-
豊富なギミック
-
ボス戦も含めてギミックに対応して進むのが本作のアクションゲームとしてのポイント。先述の通りギアクラフトは様々な場面で利用される。
-
シナリオが進むと4つの「大陸」で季節の変更ができるようになり、見た目はもちろん敵や障害物・ギミックも変更されて行動可能範囲・ルートもがらりと変わる。
-
スタート・ゴール地点など、ステージの基本的な地形自体は変わっていない。
-
雰囲気に合ったBGM
-
各ステージのBGMなどは四季の雰囲気をよく表しているもの、ボス戦では緊張感を感じられるものなど、各場面で非常にマッチしており高い評価を得られている。
-
とあるマップでは軌跡シリーズで使われたあるBGMに酷似したものが流れるが、これもステージの苛烈さに絶妙にマッチしているなど過去作のBGMの一部をアレンジして上手く使っている部分もある。
-
幅広い難易度
-
アクションゲームが苦手なプレイヤーでも難易度ノーマルで詰むことはないように調整されている。またステージ内でなければいつでも難易度を変更可能。
-
最高難易度はシビアな調整になっており、アクションゲームに自信のあるプレイヤーでも楽にはクリアできない。
-
アクションゲームの詰みポイントであるボス戦もゼルダの伝説シリーズのようにギミックを利用するものが主体となっており、ボスの行動とフィールドをよく観察すれば必ず弱点部分を見つけられるようになっている。
-
ゲームオーバーになったとしてもペナルティ無しでステージの外に戻れる。
-
やり込み
-
2周目以降は難易度「インフィニティ」、レベル上限や4つ目の季節の開放、新クエストなどの要素がある。
メインシナリオとは別だが新しく《残され島》を訪れる人もいるので、むしろ周回前提か。
-
ロード時間の短さによる快適さ
-
今作でもファルコムの謎の技術でロード時間はPSPソフトの中でもかなり短めの部類に入る。そのためローディングなどのストレスはほぼない。
問題点
-
キャラクターの移動速度が遅い。
-
全体的なゲームスピード自体がやや遅めなため、もっさりした印象を受ける。
-
一応移動速度についてはノイのギアクラフトで高速移動ができるものの、クラフトゲージが少ないときには使えない。
-
グラフィックが全体的に粗い
-
PSPだということを差し引いても、キャラクターなど全体的にグラフィックが粗い印象を受ける。
-
両手剣の存在意義が薄い
-
通常攻撃に補正がかかり攻撃力の数値以上に高ダメージが出るのだが、片手剣に比べ振りが遅く時間当たりのダメージにあまり差がないため、使われることが少ない。
-
攻撃力以外にも、リーチが長い・敵の体勢を崩しやすいという長所もあるのだが。
-
両手剣と言いつつ大半は斧やハンマーの類なので、見た目で敬遠する人も。
-
キーコンフィグがない
-
今作は×ボタンがジャンプで△ボタンが回避行動になっている。参考にしたと思われる同社のイース7では×ボタンが回避行動だったためイース7をプレイした後では操作に戸惑いやすい。
-
一部食材が集めづらい。
-
お弁当に使う食材は基本になる肉とそれ以外に分けられる。肉は敵を倒せば手に入るが、それ以外はステージ内にあるものを収穫することになる。数を揃えようとすると、ステージ突入→収穫場所まで進めてステージ脱出を繰り返すことになり面倒。
-
最終的に島の商店で買えるものも多いが、その場合もまとめ買いができず一つずつ購入しなければいけない。
-
タイトルに「軌跡」が付いているが、他の軌跡シリーズとは異なる世界観とゲーム性
-
本作の最大の問題点。零の軌跡、碧の軌跡に続いて本作が発表され、タイトルにも「軌跡」が入っていることから他作品との強い関連性があると思われたのだが、実際は他の軌跡シリーズとはごく一部の名称が共通している点などしか接点がなく、ゲームのジャンルもあって全くの別ゲーである。
単発作品と見れば十分良作であるのだが、軌跡シリーズ最新作だと期待してプレイしたユーザーは落胆することになった。
ただし、本作の後で発売された「軌跡シリーズ」の作品には、ナユタと同じ苗字のキャラや、「盟主」と外見が酷似した人物などが出演していることなどもあり、「実は直接の関連性があるんじゃないか?」と考えるファンもいる。
-
世界観こそ異なるが軌跡シリーズ関連のグッズに本作が混じっていたり、ファルコムとしては軌跡シリーズのゲームの1つという扱い。
インタビューでは『軌跡シリーズファンからの「もっとサクサクと遊びたい」といった意見から、ファンに向けたスピード感や爽快感があるアクションタイプのRPGを』『同じ世界だからこその制約が増えたため、枠を外した世界に』(どちらも要約)という意図が語られている。
「軌跡」を付けずに「軌跡ファン」にアピールすることはできないということか。
-
ちなみに他の軌跡シリーズ作品とは、タイトルに「英雄伝説」がついておらず「の軌跡」の前部分が漢字三文字になっているという違いがある。
賛否両論点
問題点と被ってしまうが、「軌跡シリーズとしては~・なのに~」という形の賛否は多い。
-
適度な? 小さい? シナリオ
-
本作はナユタを主人公にした一本のゲームとして完結している。それ自体は普通のことだがシリーズの常として話や世界が続き広がっていくという点があったため、
「話を広げすぎず一作できちんと世界を完結させている」ことを評価する声もあれば、
「ゲーム内で描かれる世界が小さくシナリオも短い」といった声もある。
総評
タイトルに「軌跡」が付いていたために評判を落としてしまうという作品で、『軌跡』シリーズとしての関連性などを期待するユーザーの好みにはそぐわなかった。
しかしゲーム部分の出来は良く、良質なBGMと快適なアクションなども相まってアクションRPGとしては十分に優れた作品である。
ストーリー部分も、さすがに本家軌跡シリーズには一歩譲るものの、魅力あるキャラクターの活躍やNPCとの会話などは健在。
単独で完結するという点もあり、イースや軌跡以外のファルコム作品に興味を持ったユーザーへの入門用として、うってつけの一作である。
その後の展開
-
2021年6月24日にPS4への移植となる『那由多の軌跡:改』が発売された。グラフィックスの向上や新規イラストの追加がなされている。
-
予約特典としてゲーム内楽曲全60曲を完全収録したCD2枚組“コンプリート・サウンドトラック『那由多の軌跡:改』”が付属する。
-
2021年12月11日にSteam版『那由多の軌跡:改』が配信開始。発売はNISAmerica、移植はPH3社が担当。
-
海外移植によるSteam配信ながら、なぜか日本語版が先行配信されており。繁体字中国語版/ハングル版を、クラウディッドレパードエンタテインメント社が後述のSwitch版と同日に配信予定。英語版はNISAmericaが2023年配予定。
-
2022年5月26日には、改のSwitch移植版となる『那由多の軌跡 アド・アストラ』が発売予定。
-
それまでのイースシリーズや軌跡シリーズのSwitchへ移植や販売は、一貫して海外パブリッシャが手掛けており、日本語版の発売は海外マルチ展開の一環として行われていたが。「国内Switch版は自社販売した方が利益になるのでは?」との考えから、本作で初のファルコム自社販売となり、同時にSwitch参入第1弾タイトルとなった。
-
本作がSwitch参入第1弾となった理由は、「他メーカーへの許諾の都合で、すぐに動かせるのが本作だけだった」との事。
最終更新:2022年05月04日 23:16