涼宮ハルヒの約束
【すずみやはるひのやくそく】
| ジャンル | 非日常体験アドベンチャー |  
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| 対応機種 | プレイステーション・ポータブル | 
| 発売元 | バンダイナムコゲームス | 
| 開発元 | ガイズウェア | 
| 発売日 | 2007年12月27日 | 
| 定価 | 通常版:5,040円 超プレミアムBOX:9,450円(共に税5%込)
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| レーティング | CERO:C(15才以上対象) | 
| 判定 | なし | 
| 涼宮ハルヒシリーズゲームリンク | 
 
概要
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角川スニーカー文庫のライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』のゲーム第1弾。
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バンダイナムコゲームス(現:バンダイナムコエンターテインメント)発売・ガイズウェア開発によるキャラゲーとしては、PS2『銀魂 銀さんと一緒! ボクのかぶき町日記』に次ぐ。
 
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時系列は「溜息」と「ライブアライブ」の間であり、文化祭前日がメインの舞台となる。
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なお、本記事はある程度のネタバレがあるため、未プレイで気になる人は注意。
ストーリー
    
    
        | + | ... | 
もう何度目になるだろうか、このデスクで目覚めるのは…。時は北高祭前日。
 誰もがクラスや部の出し物の準備に追われる中、SOS団もあの迷作「朝比奈ミクルの冒険」の上映に向けて準備中だった。
 超監督ハルヒの指示のもと、完成に向けて連日の徹夜編集作業に勤しんでいるのは我らが主人公、キョン。
 今日も映画を編集中のパソコンの前で目覚めてしまった彼。
 いつの間にか北高祭前日になってしまった。
 かれこれ何日も編集作業を続けてきたのに一向に完成を見ない映画を尻目に、キョンは顔を洗いに部室をでる。
 各々の出し物の追い込みでバタつく校内で出会うのは、占い師姿の長門や鶴屋さん、谷口などなど馴染みの顔ばかり。
 しかし、彼はそれらひとつひとつにふとした既視感を抱くのだった…。
 そして徐々に明らかになる学園の「異変」。
 例によって次々と起きる非日常的アクシデントの数々。
 なあハルヒよ、これもお前が望んだことなのか…?
 はたしてキョンは無事に映画を完成させ、文化祭当日を迎えることが出来るのだろうか……!?
 (公式ホームページより)
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特徴・システム
基本的にはオーソドックスなADVであり、合間にMAP移動などの選択肢が発生する。
ただ、概要の項で「文化祭前日がメイン舞台」とあるように、作中では後のハルヒゲームでもお馴染みとなるループが発生している。
本作は第一章から第七章のシナリオで構成されているが、第四章までは特定の条件を満たさなければ次章に進むことは出来ない。
そして、本作には一種の制限時間が存在しており、一週間以内に第四章から先に進めなければ夢オチのバッドエンドとなる。
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S.O.S.(シームレスオペレーションシステム)
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CGモーフィング技術「モーションポートレート」を応用したシステムで、ゲーム業界で採用されたのは本作が初。
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1枚の絵がリアルタイムで表情を変えるなど、独特の臨場感を味わえる。
 
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SOS会話(仮称)
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上記の「S.O.S.」を用いて会話を行う一種のミニゲーム。プレイヤーは画面下に表示される6つのジャンルから一つを選択し、さらにそこから表示される最大三つの話題を選択。これを最大六回ほど繰り返す。
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相手の好む話題であった場合は「喜」か「楽」、相手の好まない話題であった場合は「怒」か「哀」の反応が返ってくる。
 「喜」か「楽」の時は相手の気分が上昇。逆に「怒」か「哀」の時は相手の気分が下降する。
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同じ話題でも、相手の気分によって反応が変わる事がある。特にハルヒは変わりやすい。
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また、ハルヒ・長門・みくるの三人には喜怒哀楽の他に「ドキドキ」の反応もある。これも相手の気分が上昇するが、三回目のドキドキで会話が終了してしまう。
 
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会話の結果は終了時の画面表示で分かり、以下の四通り。
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相手の気分を最高まで上げるかキー会話(後述)を選択するとSOS団のエンブレム(成功)。要所要所でシナリオの進行条件になっている。
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「ドキドキ」の会話を三回選ぶとピンクの背景にHの文字(ドキドキ終了)。会話終了後の相手の反応は必見だが、基本的には失敗扱い。
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「怒」か「哀」の会話を三回選ぶと青の背景にHの文字(退屈終了)。
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上記のいずれの条件も満たさないと黒の背景にHの文字(通常終了)。
 
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会話の相手はSOS団のメンバーの他、鶴屋さんとシャミセンがいる。この二人は一つ一つの会話成功に意味はなく、全て成功させることで特定のEDに変化が発生するようになっている。
 
ミニゲーム
本作はストーリーの合間にミニゲームが発生。
これのクリアによって各ルートに進めるようになる。
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渚のビーチバレー
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ハルヒとペアを組み、長門・古泉のペアとビーチバレーを行う。
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プレイヤーは実際にキョンを操作するわけではなく、画面に表示されるコマンドを制限時間内に入力する。成功すればこちらの得点、失敗すれば相手の得点となり、五点先取で勝利。
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クリアするとハルヒ・古泉のルートに進める。
 
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THE DAY OF SAGITTARIUS
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マス目で区切られた宇宙空間を舞台に艦隊戦を行う戦術シミュレーション。原作・アニメの「射手座の日」に登場したゲーム「THE DAY OF SAGITTARIUS 3」のプロトタイプ。
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3のようなリアルタイムのゲームではないが、索敵によって敵を見つける辺りは大体同じ。相手の艦隊を全滅させれば勝利。
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シナリオの都合上、こちらはキョンと長門のみ。おまけモードでも同様だが、勝利する毎にメンバーが追加される。
 ただし、人数を増やすとこちらが弱体化するため、難易度はむしろ上昇する。
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本編でクリアすると長門のルートに進める。
 
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ラブラブポーカー
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特に賭けは行わず、役の強さを競い合うポーカー。上述の「S.O.S.」はここでも用いられている。
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プレイヤーはまず対戦相手を選び、さらに相手の衣装を選ぶ。下の衣装になるほど相手が強くなる模様。
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基本ルールは普通のポーカーと変わらないが、各キャラには必殺技が設定されており、使用すると概ね自分が有利になる。
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おまけモードではシナリオと同様にみくる・制服しか選べないが、勝利する毎に対戦相手と衣装が増える。
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みくる以外の四人はいずれも積み込みが目立つ。特に鶴屋さんは鬼レベルで、よほど運がよくないと勝てない。
 
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本編でクリアするとみくるのルートに進める。
 
評価点
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完全フルボイス
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各キャラのセリフはもちろん、シナリオテキストの半分以上を占めると思われるキョンのモノローグにも杉田智和氏の音声が入っている。
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後に発売されたPS2の『戸惑』ではキョンのボイスが一部にしか入っていなかったり、DSの『直列』では全キャラパートボイスだったりと、完全フルボイスと言うのは十分な評価点。
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ちなみに、杉田氏お馴染みのアドリブも本作にはある。
 
 
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多種多様なシナリオ
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本作ではSOS団のメンバーが「閉鎖的閉鎖空間」と呼ばれる特殊な閉鎖空間に閉じ込められている状態であり、この閉鎖的閉鎖空間の解消=ループの解消となっている。
 だが、神人をどうにかする正攻法なやり方以外にもハルヒに何かしらの形で働きかけるなど、その解消方法はルートによって様々。
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ただ、今回の一件の真相はハルヒのグッドエンドでしか知る事は出来ない。
 
 
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おまけモード
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CG観賞では各CG毎にキョン+αのコメントがボイス付きであり、ただ聞くだけでもなかなかに楽しい。
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特にNo26「ピクニック」のコメントではほとんどのプレイヤーが気づかなかったであろう、ちょっとした事実が判明するなど、意外に細かい。
 
 
問題点
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難易度の高さ
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上述のように、本作は一週間以内に第四章から先に進めなければバッドエンドだが、攻略情報なしでプレイした大多数のプレイヤーは第五章まで進めない。
 その理由はSOS会話の項にあるように、SOS会話の成功が先に進むための条件になっているからである。
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長門やみくるは会話成功が比較的楽だが、ハルヒは気分によって反応が変わりやすいため、なかなか成功させにくい。
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そして何より厄介なのはキー会話(仮称)である。これは特定場面のSOS会話でのみ出てくる話題であり、このキー会話がある場合はこれを選択しない限り、いくら相手の気分を上昇させても会話成功にはならない。
 キー会話は最初は存在せず、相手の気分がいくらか上昇すると出現するため、やり方次第では気づきやすいのだが。
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鬼門となるのは第二章。ここでは複数のSOS会話を成功させなければならず、さらにその内の一つにはキー会話が存在するため、初プレイ時は大体ここで詰まる。
 
 
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面倒なミニゲーム群
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「渚のビーチバレー」は第四章に入る毎に毎回やらされるため、ハルヒや古泉のルートを目指さない場合は必要もないのにやらなければならない。
 ただ、本ゲームは簡単な上に難易度選択も可能なため、クリア自体は容易。また、他二つと比べれば時間もかからない。
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「THE DAY OF SAGITTARIUS」は敵の位置がいつでも分かる裏技があり、慣れればそこまで難しくはないものの、如何せん2対5の戦いのため、時間がかかりやすい。
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「ラブラブポーカー」はタイトル通りの運ゲーであり、確実に勝つ方法は皆無。みくるは対戦相手の中では一番弱いが、それでも強さは普通レベルであり、運が悪いと何度も負けるハメになる。
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ミニゲームの存在自体は悪いものではないが、特定のルートのためにクリアを強制させるのは考えものである。
 
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テンポが遅い
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テキストを読み飛ばしてから次のテキストが表示されるまでの時間や、フェードイン・フェードアウトが遅く、テンポが悪い。
 
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全体的に不安定なキョンの作画
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物語がキョンの視点で進むためにキョンの立ち絵は存在せず、キョンの姿は一部のCGでしか見られない。
 そのためか、キョンの作画は全体的によくない。
 
総評
難易度の高さなどの難点はあるが、キャラゲーとしては十分な水準に達している。
ハルヒシリーズのファンならば満足出来る作品と言えよう。
余談
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本作はどちらかと言えばアニメ寄りに作られている。
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CVは全てアニメと同じ。
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ハルヒの髪色など、キャラデザインはアニメ準拠。
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BGMの作曲者はアニメと同じ神前暁氏であり、アニメBGMと似たようなBGMがいくつかある。
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一日の開始時に「涼宮ハルヒの約束+ローマ数字」と表示される。
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制服が冬服。
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時折入るムービーはいずれもアニメの1シーン。OPもアニメのものを流用し、挿入歌「恋のミクル伝説」も本編内で使用されている。
 
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一方で原作を読んでいないと分からない部分もある。
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2006版にはなかった「エンドレスエイト」や「溜息」に関する話題がある。
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後の「消失」の伏線と思わしき場面がいくつか見られる。
 
最終更新:2022年10月03日 15:12