Wargame: Red Dragon

【うぉーげーむ: れっどどらごん】

ジャンル リアルタイムストラテジー
対応機種 Windows(steam)
発売元 Focus Home Interactive
開発元 Eugen Systems
発売日 2014年4月18日
定価 5,800円
判定 良作
ポイント 冷戦期を舞台にしたリアル系RTS第三作目
東西陣営1450種以上のユニットが登場
自衛隊が登場する数少ない作品

概要

  • 冷戦期の東西対立を題材にしたリアルタイムストラテジー、『Wargame』シリーズの第三作目。
  • 本作は1980年代~1990年代を主な背景としている。
  • 陣地制圧によるポイント獲得量を競う「Conquest」。敵ユニットの撃破ポイントを競う「Destruction」。ユニット召喚用ポイントを先に規定値まで増やしたら勝利の「Economy」。これら3つのルールで1対1から4対4までの人数で対戦する。
    • サーバーによっては10対10のルールも存在する。

特徴

  • 本編のみで東西17カ国、1450種以上のユニットが登場。有料DLCで4か国追加された。各国のユニットは現実との多少の違いがあるとはいえ、考証は高水準で行われている。
    + 登場国家
    西側国家
    • アメリカ
    • イギリス
    • フランス
    • 西ドイツ
    • カナダ
    • デンマーク
    • スウェーデン
    • ノルウェー
    • 日本
    • 韓国
    • ANZAC
    • オランダ(DLC)
    • イスラエル(DLC)
    西側連合
    • 英連邦
      • イギリス、カナダ、ANZACで構成される。
    • 欧州連合
      • フランス、西ドイツで構成される。
    • スカンジナビア
      • デンマーク、スウェーデン、ノルウェーで構成される。
    • ブルードラゴン
      • 日本、韓国で構成される。
    • NORAD
      • アメリカ、カナダで構成される。
    • LANDJUT
      • 西ドイツ、デンマークで構成される。
    東側国家
    • 東ドイツ
    • ソビエト連邦
    • ポーランド
    • チェコスロバキア
    • 中国
    • 北朝鮮
    • フィンランド(DLC)
    • ユーゴスラビア(DLC)
    東側連合
    • イースタンブロック
      • 東ドイツ、ポーランド、チェコスロバキアで構成される。
    • レッドドラゴン
      • 中国、北朝鮮で構成される。
    • ソビエト朝鮮連合
      • ソビエト連邦、北朝鮮で構成される。
  • 後述のデッキシステムにより、自分だけの軍隊を編成することができる。
  • 今作ではアジアの国家が追加された(日本、韓国、ANZAC、中国、北朝鮮)。日本の自衛隊が登場する数少ないゲームとなっている。
    • ユニット名はその国での呼称に倣っている(例:日本「SYOUJYU-BUNTAI」、西ドイツ「JÄGER」どちらも歩兵部隊の名称)。
  • 一作目は陸軍のみ、二作目では空軍が追加されたが、今作では海軍も追加された。
    • 戦闘艦同士の海戦の他、揚陸艇による上陸や対艦攻撃機の運用なども行える。
  • 戦闘画面は衛星視点からユニット視点までをスムーズに拡大できる。これは前身作である『R.U.S.E.』時代からの特徴である。
  • 戦闘のペースは一般的なRTSと比べて遅めであり、操作量は少なめである。そのため軍の采配自体が勝敗に関わることが多い。
  • 弾丸やミサイルの飛翔速度が現実的である。弾体が目標に着弾して初めてダメージ処理となる。
    • 駆逐車両の指示誘導式対戦車ミサイルが発射後、着弾前に相手に発見されて駆逐車両を撃破されてしまうと、ミサイル誘導ができずに命中しないということもある。
    • 曲射砲やミサイルは弾速が遅い部類に入り、発射地点を割り出しやすいため、それらの地点に砲撃を行うカウンター戦術も一般的となっている。
  • 兵站の概念があり、燃料や弾薬を補給するタイミングも戦術に大きく関わってくる。
  • ユニットには精神状態のステータスがあり、激しい攻撃に晒されると動揺状態となり、攻撃速度や移動速度が低下する。最大値に達すると勝手に後退してしまう。

デッキシステム

  • 本作における独自のシステムであり、プレイヤーはデッキ編成モードにて、戦闘で使用するユニットをあらかじめ選択することになる。
    • 東西陣営を跨いでの編成は不可能。西側なら西側国家のみ、東側も同様に編成することになる。
  • ユニットの兵科は9種類あり、基本状態ではそれぞれ最大5ユニット分の枠までの編成となる。
+ ユニットの種類について

特殊なユニットも多く存在するため、説明に当てはまらないユニットも存在することに注意。

兵站
補給やゾーン占領などの、重要な役割を持つ兵科。指揮ユニットが1枠以上ないとデッキを完成できない。また、戦場に出ている指揮ユニットが全滅すると強制的に敗北となってしまう。
  • 指揮車両
    • ユニット出現ゾーンやポイント獲得ゾーンの占領に必要なユニット。停止中のみ占領できる。ジープタイプ、装甲車タイプ、戦車タイプが存在する。
  • 指揮ヘリ
    • 指揮車両のヘリコプター版。高速で占領に迎えるが、着陸していないと占領できない。
  • 指揮歩兵
    • 装甲車やヘリと共に配備される。ステルス性が高く、発見されづらい。車両から降りた状態でないと占領ができない。
  • 補給ユニット
    • 補給トラック、補給ヘリ、物資集積所がある。戦闘ユニットが付近にいない場合的に鹵獲される恐れがある。
歩兵
攻撃に対して脆弱であるが、市街地や森林では戦車にも対抗できる強力なユニットとなる。全て輸送車両や輸送ヘリとセットで配備される。
  • 歩兵分隊
    • 基本的な歩兵部隊であり、主にライフル、短射程の対甲火器、機関銃を装備する。基本は10人編成だが、海兵隊等の高コストユニットには15人編成のものも存在する。
  • 軽歩兵
    • 対甲火器が特殊な部隊で、長射程の対戦車ミサイルや無反動砲を装備する。
  • 支援歩兵
    • 5人編成の部隊で、強力な対甲火器や、長射程の対甲火器を装備する。本来対車両用の火器を歩兵に対しても使用できる。
  • 工兵
    • 10人編成で火炎放射器を持つ部隊、5人編成で焼夷ロケットを持つ部隊が存在する。対歩兵に特化した部隊。
  • 対空歩兵
    • MANPADS(歩兵用対空ミサイル)を携行した歩兵。2人か5人で編成される。射程は短いが、ステルス性の高さが強み。
  • 対戦車歩兵
    • 長射程の対戦車ミサイルを装備する歩兵。2人編成と5人編成が存在する。
  • 特殊部隊
    • 通常歩兵をそのまま強化したものが多いが、東側にのみ対歩兵専門の焼夷ロケットを装備したものがある。SASなどのごく一部の特殊部隊は機関銃の代わりに対空ミサイルを装備したものも存在する。
  • 予備役
    • 予備役部隊や民兵部隊など、装備や錬度の質が低い部隊。1枠のユニット数が多いが、戦闘力は非常に低く、試作兵器扱いなのが欠点。
支援
自走砲などの砲撃ユニットや対空車両が該当する。
  • 自走迫撃砲
  • 自走砲
    • どちらも自由照準により、隠れたユニットを攻撃できる。特に歩兵のような非装甲ユニットに効果が高い。また、煙幕弾を発射することで攻撃に向かう部隊の被害を減らすことができる。
  • 自走連装ロケット
    • 通常弾のほか、装甲車両に有効なクラスター弾頭や非装甲目標に有効なナパーム弾を発射するものがある。装填されたロケットを一斉に発射するため制圧力は高いが、装填速度や補給面で難がある。
  • 対空ミサイル車両
    • 対ヘリ重視のものと対戦闘機重視のものがある。また、レーダー誘導仕様のものは対戦闘機射程が長いが、後述のSEAD機の攻撃目標となってしまう。これは手動でレーダーを切ることで回避できる。
  • 対空機関砲車両
    • 連射速度が高く、ミサイルで打ちもらした敵機の撃墜に向く。対空ミサイルと同様にレーダー使用のものも存在する。多くの対空ミサイルと違い、対地攻撃もできる。
戦車
高火力高防御で戦線を切り開くユニット。しかし航空攻撃や対戦車ミサイルに弱いため、他兵科の支援が必須となる。
  • 主力戦車
    • 車両に対する攻撃力と防御力が高いユニット。コストによって強さが大きく変動する。全ての戦車は背面や上部の装甲が薄く、歩兵の肉薄攻撃や航空攻撃で大きな被害を受ける。
  • 軽戦車
    • 装甲は薄いが、高速な戦車。空挺戦車なども含まれる。
偵察
通常の戦闘ユニットは自分の武器の射程を活かせる視界を持っていないため、偵察ユニットが視界を確保することでユニット本来の性能を引き出せるようになる。偵察ユニットは戦闘力と視界範囲によってコストに差が付く。
  • 偵察車両
    • ジープのような非装甲車両、装甲車、戦車の3タイプが存在する。
  • 偵察ヘリ
    • 高速であることを活かした偵察ができる。また、重武装の強力なヘリも存在する。耐久性が低いものが多く、慎重な扱いが求められる。
  • 偵察歩兵
    • 通常の歩兵と同様に車両かヘリとのセット配備となる。敵に見つかりづらいという特徴がある。5人編成部隊と、10人編成部隊が存在する。
  • 偵察特殊部隊
    • 10人編成で高い戦闘力を持つタイプと、2人編成で非常に高いステルス性を持つタイプが存在する。
車両
その他の戦闘車両。
  • 対戦車車両
    • 対戦車ミサイルや対戦車砲などを搭載した戦闘車両。装甲は薄いものが多く、防衛戦に向く。
  • 攻撃支援車両
    • 装甲車やジープに無反動砲などを搭載した戦闘車両。低コストであるため囮などに使用される。
  • 火炎放射車両
    • 戦車タイプと装甲車タイプが存在する。
ヘリ
戦車や歩兵など、強力な対空装備を持たないユニットに対して絶大な効果を発揮する。しかし対空機関砲や対空ミサイルが相手だと簡単に撃墜されてしまう。
  • 戦闘ヘリ
    • 機関砲や対戦車ミサイルなどで重武装したヘリ。高コストのものが多い。
  • 武装ヘリ
    • 輸送ヘリにグレネードやロケット等の対軟目標用の武装を施したヘリ。対戦車戦闘はできないが、低コストのものが多い。
  • 対空ヘリ
    • 対空ミサイルを装備するヘリ。
航空機
通常のユニットとは異なり、普段はインターフェイスの空港ウィンドウ内に表示され、攻撃指示を出したときのみマップ外から飛んでくる。燃料や弾薬が切れたら自動でマップ外に消え、空港ウィンドウ内で再補給を行う。
  • 制空戦闘機
    • 対空戦闘に特化した航空機。対空ミサイルと機銃で武装する。
  • 対地攻撃機
    • 対地戦闘に特化した航空機。爆弾やロケット、対戦車ミサイルなど、兵装には多くの種類がある。
  • マルチロール機
    • 対空対地両用の航空機。どちらかに偏ったものもあるが、高コストのものにはどちらの役割も十分にこなせるユニットがある。
  • SEAD機
    • 対レーダーミサイルを装備し、レーダー照準型の対空車両を射程外から攻撃できる。しかしそれ以外の目標には攻撃できない。
海軍
本作より追加された兵科。戦闘艦、揚陸艇、補給艦、対艦攻撃機、対艦ヘリがこの枠に入る。
  • ユニット枠はデッキの兵科制限をかけると特定の兵科の枠が増加する。しかし、それと引き換えに使用できなくなるユニットが存在する。
+ 兵科制限の種類

主にデッキ枠が追加されるもの以外の兵科は強力なユニットが使用できないことが多い。

自動車化部隊
  • 歩兵、偵察、車両のデッキ枠が増加する。
機械化部隊
  • 歩兵、車両のデッキ枠が増加する。
空挺部隊
  • 歩兵、ヘリ、航空機のデッキ枠が増加する。
支援部隊
  • 兵站、支援のデッキ枠が増加する。
機甲部隊
  • 戦車のデッキ枠が増加する。
海兵隊
  • 歩兵、航空機、海軍のデッキ枠が増加する。
海軍
  • 海戦オンリーマップはこの制限のデッキしか使用できない。
  • 例えばデッキを空挺部隊として制限すると、歩兵、戦闘機、ヘリの枠は増えるが、代わりに強力な戦車や重装甲車が使用できなくなる。
  • 1枠ごとにそのユニットの総配備数が設定されており、基本的に高コストで強力なユニットほど1枠あたりの配備数が少ない。
    • その上にユニットの錬度を選択でき、高錬度であれば精神状態の安定性や攻撃精度が増す。その代わりに1枠あたりの配備数が少なくなる。
  • デッキは基本値50以下のコストとなるように編成しなければならない(海戦ユニット枠は編成コスト無し)。
    • ここでのコストとは、戦闘中におけるユニット自体のコストではなく、デッキ編成枠に記入されている数字が編成コストとなる。
      • 使用するユニットを特定の国家又は連合に制限することで、編成コストを国家では10、連合では5上昇させることができる。また、その国家の試作兵器も登録できる。
      • ユニットの年代制限をすることで、1985年までなら5、1980年なら10上昇させることができる。

評価点

  • 非常にユニットの種類が多く、珍しい兵器もありデッキを組むこと自体に楽しみを見出せる。また、ユニットは多くがリアルに再現されている。
  • 戦闘のペースが遅いため、初心者でも操作に慌てることなくプレイできる。アンチユニットもはっきりしているため、戦術が立てやすい。
  • 3種類のダウンロードコンテンツ(DLC)が無料で配布されている。
    • 既存国家へのユニット追加やキャンペーン追加など多くのコンテンツが内包されている。
    • 追加国家DLCに関しては新ユニット数が非常に多くなるため、有料となっている。
  • アップデートにより日本語に対応している。
  • 海外のこの手のゲームにしては珍しく自衛隊のユニットが登場する。

問題点

  • ユニットの数が多いために、ある程度の軍事知識がない場合はユニットの用途などがわからずに混乱してしまう恐れがある。
    • 基本は遠距離視点でのプレイとなり、敵ユニット名から相手の行動を判断しなくてはならないため、より混乱してしまう。
  • 一部強力なユニットに偏りがある。
    • 例えば東側国家のみに存在するスペツナズなどの対歩兵専門特殊部隊はほとんどの歩兵相手に負ける要素がなく、相対した西側プレイヤーは砲撃や爆撃に頼ることとなってしまう。

総評

リアル性とゲーム性を両立させてバランスを調整しており、プレイヤー間の戦術の駆け引きも深いものとなっている。 また、操作量が少ないゲームデザインはRTS初心者にもとっつきやすいものとなっている。 細かい欠点は存在するが、完成度の高い作品であると言える。

余談

  • ユニットの台詞は所属国家の言語となり、自衛隊はちゃんと日本語を話す。
    • 歩兵の「ええ!? 朝飯なしでこの強行軍とか勘弁してくれよ」や、APCの「当車禁煙である。ご理解ください」など凝った台詞も多い。
    • ちなみにボイスを担当したのは元陸上自衛官との事である。