俺の料理
【おれのりょうり】
ジャンル
|
料理アクション
|

|
対応機種
|
プレイステーション
|
メディア
|
CD-ROM 1枚
|
発売元
|
ソニー・コンピュータエンタテインメント
|
開発元
|
アージェント
|
発売日
|
1999年10月7日
|
定価
|
5,800円(税別)
|
プレイ人数
|
1~2人
|
周辺機器
|
アナログコントローラ専用
|
廉価版
|
PlayStation the Best:2000年8月3日/2,800円 PS one Books:2002年3月28日/1,800円(共に税別)
|
配信
|
ゲームアーカイブス:2007年8月30日/600円(PSP未対応)
|
判定
|
良作
|
概要
「世界初本格料理アクション」と銘打たれて発売されたゲーム。
同じ料理を題材にしたACTでも、それ以前に発売された『炎の料理人 クッキングファイター好』とは方向性・ゲーム性共に完全に違う。
具体的には、アナログコントローラーのアナログスティックを、包丁を始めとする調理器具に見立てて料理をするという、アクション要素を含んだ料理シミュレーション的システムになっている点である。このため、遊ぶにはアナログコントローラが必須となっている。
特徴・主なゲームの流れ
プレイヤーは大衆食堂・ファストフード店・多国籍料理店・和食亭などといった様々な店の料理人となり、訪れる客に数々の料理を作っていく。
「料理アクションゲーム」というジャンルは伊達ではなく、次々に入ってくる客に料理を出していかなければならないため忙しい。
-
店舗の開店と同時に客が集まり、客はその店のメニューからランダムで一つ注文する。注文は画面左端の「オーダーパネル」に表示され、このパネルを選んで○ボタンで決定することで調理に入る。
-
オーダーパネルは時間経過とともに左へと進んでいく。これは客が帰るまでのタイムリミットを表しており、左まで進みすぎてパネルが完全に消えてしまうと、客は怒って帰ってしまう。その際の評価は必ず最低評価となるため、迅速な作業が求められる。
-
調理はほぼ左右のスティックのみで行う。○ボタンは項目の決定や待つ調理の終了に使う程度。
-
左右の手をスティックで操作して直感的な調理を行う。「料理の動きをデュアルショックで完全再現」と宣伝しているとおり、実際の調理を再現した動きを行わせる。
-
特に右スティックはかなり酷使することになる。そんなゲームは珍しいだろう。
-
材料を切る作業であれば「左スティックで食材を動かしながら、右スティックを下に入れて包丁で材料を切る」、かき混ぜる作業であれば「右スティックを回してかき混ぜる」、フライ返しなら「右スティックを下に入れた後、上に入れることでフライパンを振る」…と、料理らしいアクションを楽しめる。
-
麺を茹でる、肉を焼くなど調理を始めてから完成まで待つ必要がある調理もある。こちらはスティックは使わず、ボタンを押してしばらくしたら調理を止めることになる。タイミングは料理や横のオーダーパネルで判別可能。
-
完成までの間は他の料理の調理を行うことができる。客の回転が速い本作では休む暇はない。
-
客は料理が完成すると3秒も経たずに完食してさっさと帰ってしまい、席が空くと同時に新しい客がやってくるので客の回転が非常に早い。そのためゆっくりと丁寧によい料理を作る暇などないので、どちらかと言うと「そこそこの出来の料理を手早く作る」というのが重要になる。
-
待つ作業を行っている間に他の料理の調理を行うのはもちろんのこと、一回の調理で済ませられる料理を優先して片付ける、特定の調理器具を別々の料理で使うタイミングが被らないようにする、複数まとめて調理できるものは効率よくまとめて料理する等の戦略的な要素が重要になってくる。
-
しかし、まとめると調理が難しくなり高評価を取れなくなったり、待つ工程の間に他の調理に手を出したら手間取ってしまい評価が下がるということもあるので、素早く、そして正確な調理も必要となる。
-
それぞれの工程のかかる時間は大幅に異なる上に、一度調理を始めたらキャンセル不可なため「どの料理をどのタイミングで調理するか」という点も重要となる。選択を間違えると一気に作業が遅れてしまうことも…。
-
それぞれの調理には結果によって点数がつく。調理ごとに評価基準は異なり、例としては「切る工程だと10回以上切ることで10点」「皮を剥く工程では5回以上剥くことで10点」と言った具合。もちろん高評価の料理を作れば店の評判は上がり、逆に低評価だと下がる。
-
最終的な料理の評価は各工程の平均得点で決まる(「良い」「普通」「悪い」の3つ)ため、高評価を取るためには時間効率の悪い工程は適当に済ませて、楽な工程で点数を稼ぐといった事も必要になる。料理人としてはどうかとは思うが。
-
また、調理以外にも用事や様々なトラブルへの対応も必要になる。
-
調理中、ランダムで皿洗い、食い逃げ、酔っ払い、両替、ゴキブリというトラブルが発生し、それを自発的に処理しなければならない。料理人が対処する域を超えてる気がするが気にするな。
-
トラブルへの対応も全てスティック操作。酔っぱらいなら「左スティックでダイヤル式電話の番号を選び、右スティックを下に倒して110番をダイヤル」、ゴキブリなら「左スティックでスリッパを動かし、右スティックでゴキブリを叩く」といった具合。
-
これらのトラブルはオーダー枠を潰す上、長時間放置するとすべての客が退店して評価が大幅に下がってしまうので無視できない存在。
-
また、両替は客が帰れず評価が下がっていく、酔っ払いは他の客が帰るまでの時間が早くなる、ゴキブリは処理に失敗すると客が退店してしまうなど特に悪影響が大きい。
-
時々「テレビに出てた偉い人」である「グルメ」が来店することもある。
-
名前通りグルメは通常の客よりも評価が厳しく、「良い」か「悪い」かの判定しか出さない。また、評価の変動幅も通常の客の二倍あるため、グルメに対してだけはまともな料理を提供する必要がある。
-
また、グルメの評価には「グルメと一緒に出された(まとめて出された)一般客の評価は料理の出来に関係なく全てグルメの評価となる」という特性がある。グルメが「悪い」と言えば仮に一般客の料理が「良い」であっても釣られて「悪い」となってしまう。
-
もちろん逆も然りで、
グルメが「良い」と言えばたとえ一般客が「悪い」の評価であっても釣られて「良い」の判定にすることができる
。そのため、「グルメだけは丁寧に作り、まとめた他の客は適当に済ませる」というのも有効な手段となる。ある意味リアルだが、料理人としては本当にどうかと思うが。
-
それぞれのステージで店の評価を最高にすると、そのステージのボスと料理対決を行う。
-
基本は店のモードと同じだが、こちらは相手の評価を最低、または自分の評価を最高にすることで勝ちとなる。
-
また、料理をまとめて完成させると相手に前述のトラブルを使ったお邪魔攻撃を行うことができる。
-
自分の店の評価を上げるかというより、お邪魔攻撃を効率よく仕掛けていかに相手の店の評判を落とすかという足の引っ張り合いのような展開になる。対戦ゲームとしてはそれらしいが。
評価点
-
リアリティあふれる調理シーン
-
アナログスティックの柔軟な動きを活かしたリアルなアクションは慣れるまではやや難しいが、アナログゆえの操作感が心地よく、慣れてうまく料理を作れるようになれれば現実で料理をうまく作れた時同様、嬉しくなれるだろう。
-
どのステージでも開始前に料理と調理手順の説明がきちんとある。
-
説明も丁寧で、最初に作り方と先生のお手本が表示、その後でプレイヤーに練習させる方式となっているため、理解しやすい。作る手順を個別に練習することも可能。
-
それぞれの店の店員や店長が解説を行う方式のため、ステージごとに説明文も異なる。店によっては料理と全く関係ないお遊び選択肢も用意されている。
-
BGMがステージ毎に違っている。大衆食堂ならエレジー、バーガーショップならポップス調、屋台なら祭囃子という風にそれぞれのステージにマッチしたBGMになっており、相性はばっちり。ボス戦はステージBGMをアレンジされ、ハイテンポな物になる。
-
なお、BGMはオプションで全て聞くことが可能となっている。
-
通常のストーリーモードに加え、「3分クッキング」「VS」「おまけ」といった複数のモードを搭載。
-
「3分クッキング」はタイムアタックモード。ストーリーモードで登場した店でどれだけ評判を稼げるかを競う。
-
「VS」はその名の通り対戦専用モード…かと思いきや、実は一人用のスコアアタックモードも兼ねている。
-
ボスとの料理対決のほか、本作で登場する調理工程・お邪魔攻撃を個別に選び遊ぶことができる。
-
性質上「ひたすら大根を切る」「ひたすらビールを注ぐ」「ひたすらゴキブリを潰す」などのように行う工程が一つしかないため単調な作業となるが、どのゲームも制限時間は1分と短く退屈にならないのも良い。スコアも記録されるため、練習だけでなくひたすら記録に挑むもよし。
-
「おまけ」は5つのミニゲーム。スティックで火加減を調整してオーダー通りにステーキを焼き上げていく「にせコンロ」、スティックを倒してトゲに触れないようギリギリまで風船を膨らませる「ふうせん」、ひたすらスティックを回転させてボートを漕ぐ「ボートこぎ」、スティックの動きに応じて画面のカニが動く「カニリモコン」、16ビートでリズムを作り出せる「リズムマシン」の5つ。
-
なお、「にせコンロ」は『電車でGO!』の専用コントローラー、「ふうせん」はネジコンに対応している。
-
料理中はフルボイスとなっており、料理人、レジのおばちゃん、お客さんがしゃべりまくる。ボス戦の対戦相手も当然セリフがついている。
-
特にレジのおばちゃんがやたらと喋る。特徴的な声も相まって印象に残ること請け合い。
問題点
-
対戦が実力勝負
-
料理対決は対人戦も可能なのだが、目立った逆転要素がなく、実力の差がありすぎると対戦が全く成立しなくなってしまう。
-
仮に実力が互角でも、基本的に対戦では「料理は適当に作ってひたすら酔っ払い、たまに両替を送りつける」という展開になりがち。
総評
初代プレイステーションには純粋なアイデア勝負の作品が多かったが、本作ではその中でもアナログスティックの特性を活かしたわかりやすい直感的な操作で、「料理」を忠実に再現しつつ、ゲームとして成立させるための遊びの要素をうまくまぶすことで意外にも楽しめる作風に仕上がっている。
「本格料理アクション」という宣伝文句に恥じない出来の一作と言えるだろう。
余談
-
「要アナログコントローラ」というインターフェースの都合上、ゲームアーカイブス配信版はPSPでは遊べない。
-
当初はPS3専用だったが、現在はPS Vitaでもアナログモードで遊ぶことができる。
-
PSPの『ピポサルアカデミ~ア』にて、本作を模したミニゲーム「サルの料理」が収録されている。
最終更新:2023年10月13日 21:44