サノバウィッチ
【さのばうぃっち】
ジャンル
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お悩み解決! 魔女っ子ADV
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対応機種
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Windows Vista/7/8
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メディア
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DVD-ROM 1枚
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発売・開発元
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ゆずソフト
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発売日
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2015年2月27日
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定価
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8,800円(税別)
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配信
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DMM:2015年5月22日/7,800円(税8%込) Steam:2018年10月26日/3,995円
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レーティング
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アダルトゲーム
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判定
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良作
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ポイント
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とっつきやすいシナリオ 魅力あふれるキャラクター達 便利で使いやすいUI
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概要
「ゆずソフト」(株式会社ユノス)の8作目。
本作でのヒロインの名前の共通テーマは「和犬の種類」となっている。
あらすじ
"保科柊史"は、とある秘密を抱えていた。
それは「他人の気持ちを感じ取れる」という不思議な力を持っているということ
彼のクラスメイト、"綾地寧々"
彼女もまた、誰にも言えない秘密を抱えていた。
それは「自分の意思に関係なく発情してしまう」ということ。
2人はただのクラスメイトでしかないはずだった。
だがある日、柊史は不慮の事故から、衝撃的なシーンを見てしまう。
彼が見てしまったものはなんと、発情した寧々のオナニーシーン!
そんなショッキングな事件を経て、2人の距離は急接近。
互いの秘密を共有する仲になり、彼は知る。
寧々が発情してしまう理由と、「魔女」と呼ばれる存在を――
時と場合を無視して発情する寧々に、密かに行われる「魔女」の活動。
それらに引き寄せられるように集まる、後輩、先輩、転入生。
静かだった日常は慌ただしい物へと変化して、柊史に淡い期待を抱かせる。
「ここから何かが始まるのかもしれない」
(公式サイトからの引用)
登場人物
メインキャラクター
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保科 柊史(ほしな しゅうじ)
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本作の主人公。人の感情を5感で感じ取れる能力を持つ。しかし過去にその能力が原因でトラウマを抱えてしまったため他人とは距離を置く姿勢を取っている。
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人との接し方に不慣れで不器用なため、しばしばヒロイン達からデリカシーがないと苦言を呈されている。
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綾地 寧々(あやち ねね)
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可愛くて人当たりもよく、学院でも人気者。ただ、魔女という秘密を抱えているために、人付き合いはあまりよくない。
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何故なら魔女の契約を交わした代償として、ところ構わず"発情"をしてしまうから。
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発情してしまうとオナニーなどをしないと収まらないという、困った事情を抱えている少女。
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そんな自分の事情に、自己嫌悪してしまうこともしばしば。
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因幡 めぐる(いなば めぐる)
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見た目は派手で、軽い印象を受けるものの、それらのイメージは全て姫松学院でデビューをした結果。
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実は1人でゲームなどをしているのが好きな少女。明るく素直な性格ではあるものの、とある事情から友達作りに失敗してしまう。
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そのことで夏休みを超えても悩み続け、意を決して主人公たちに助けを求めることに。
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好きなゲームは1人でも楽しく遊べるゲーム(モンスター猟人や乙女ゲーなど)。
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椎葉 紬(しいば つむぎ)
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その見た目とは裏腹に、男子の格好をしている少女。男装は趣味ではなく、寧々の発情と同じ、契約の代償。
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女子の服装を着ると体調を崩してしまう。本人はそのことは大変不本意であり、本当は可愛くて女の子らしい格好の方が好み。
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同じ秘密を抱える魔女として、寧々たちと一緒に行動することとなる。
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戸隠 憧子(とがくし とうこ)
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学生会長で、人望もあり、その見た目と豊満なバディーで学院の人気者。
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綾地寧々が2年のアイドルであるならば、彼女は3年のアイドル的存在。
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笑顔を絶やさず、誰にでも優しく、理想的な先輩で大勢の学生から慕われているが、実は人をいじることが好きだったりもする。
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学生会長としての手腕も大したもので、教師陣からの信頼も厚い。主人公たちに助けを求めたことから、仲を深めていく。
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サブキャラクター
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仮屋 和奏(かりや わかな)
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主人公のクラスメイトであり、数少ない主人公の異性の友人。性別を気にせず、同じ態度で接する快活な性格の少女。
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しかし、恥ずかしがり屋な部分もあり、人前に出たりするのは苦手。
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2周目以降攻略可能。隠しキャラクター扱いだが、彼女のルートのみバンドシーンのムービーが流れたり、他のヒロインルートと同等かそれ以上の力が入っている。
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相馬 七緒(そうま ななお)
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和奏がアルバイトする喫茶店のマスター。その見た目に反して、落ち着いた雰囲気の女性。
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その正体は猫のアルプ。人間の姿に化けることが出来る他、簡単な魔法を使うこともできる。
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寧々と魔女の契約を交わしている。アルプとしての経験が豊富であり、有事の際には何かと頼りになる存在。
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久島 佳苗(ひさしま かなえ)
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主人公達のクラス担任。年が近い先生ということもあり、学生達の間では人気者。
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しかし本人は、そろそろ結婚が気になり始めている。
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海道 秀明(かいどう ひであき)
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主人公のクラスメイトであり、クラスの中では一番親しい友人。
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自称ドMだが陽気な性格のムードメーカーであり、実は面倒見がいい。
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ある理由から佳苗のことを「佳苗ちゃん」と呼ぶ。
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保科 太一(ほしな たいち)
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主人公の父親。会社員であり、仕事人間。よくいる冷たい仕事人間ではなく、やや暑苦しく熱血漢に近い性格である。
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残業、休日出勤が当たり前だが、本人は仕事が好きで苦にならないらしい。
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(公式サイトより引用。一部改変、追記あり。)
特徴
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選択肢で分岐するADV型のエロゲー
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サブヒロインのみ初期はルートロックがかかっている。
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個別EDを迎えると対応したアフターストーリーが解禁される。
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ジャンルは「魔女っ子+学園モノ」とありふれたもの。しかし全体的な完成度は高い。
評価点
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分かりやすいシナリオかつ、魔女の設定がシナリオ内でふんだんに活かされている。
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キャラ萌え系のゲームにありがちな「設定が空気になる」という場面はほぼない。特に紬ルートでは設定を大きく活かしている。
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各キャラのキャラ付けがしっかりとされており、ヒロインは勿論、男性キャラも魅力的である。
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唯一、憧子はやたらと寛容的であり、他のキャラと比べると違和感を覚える、いわゆる「エロゲーにありがちなキャラ」であるが、それには理由があり個別ルートで明かされる。
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CGが綺麗。
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メイン原画はこぶいち・むりりん、SD原画はこもわた遙華が担当。
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可愛らしい原画はキャラクターの魅力に大きく貢献しており、本作を購入するきっかけとなった人も多い。
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立ち絵は人によっては主線・塗りがやや薄く感じる人もいるかもしれないが、イベントCGは非常に良い出来となっている。
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BGMの出来も良い。小粒ながら出来の良いBGMが揃っている。
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米倉千尋氏が歌うOP「恋せよ乙女!」は特に評価が高い、
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各キャラのED毎に専用のボーカル曲が作成されている。こちらも良質な曲が揃っている。
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出来の良いUI
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基本的な機能は完備されている
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細かく個別設定可能な上に、クイックセーブ・オートモード・スキップモード・前の選択肢に戻る、といったものが画面右下からワンクリックで行うことができる。
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エロゲーに慣れた人向けの機能もある
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便利なマウスジェスチャー機能の設定や、各メーカーが当事対応し始めていたタッチパネル用のUIの使用も設定可能。
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お気に入りの台詞を登録することでその台詞を何時でも聞くことができる「お気に入りボイス」という機能もある。
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充実したオマケ
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昨今では珍しくないが、各キャラクターにそれぞれアフターシナリオが少ないボリュームながらも用意されており、ED後の物語も楽しめる。
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立ち絵鑑賞モードでは、鑑賞だけでなく立ち絵を好きに配置することが可能。
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テキストや背景も自前で設定できるため、任意のシーンを作成して楽しむことが出来る。
賛否両論点
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シナリオはいわゆる魔女っ子モノであるが、全体的に読みやすくてキャラクターへの感情移入がしやすい。難解な設定も無い。ただし、気になる粗が結構多いので物語はあまり深く考えない方が楽しめる。
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補足するとシナリオの内容・方向性自体は、いわゆるループ物であるが内容は王道な純愛モノである寧々ルート、過去を乗り越え自分の能力と向き合うめぐるルート、魔女の契約や様々な制約に巻き込まれながらも仲を深める紬ルート、主人公の母親の秘密が明かされる憧子ルート、バンドを通してお互いを意識することとなる和奏ルートとしっかりしたものとなっている。
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特に寧々ルートの中盤、めぐるルートの中盤は賛否両論な内容となっている。詳細は後述。
問題点
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ネタバレ注意
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魔法によって寧々が過去へとタイムリープしてしまうのだが、主人公は現代に取り残されてしまい、現代に残った人物たちは寧々と過ごした記憶も無くなってしまう。
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その後主人公は別の場所で初対面という形で寧々と出会う…という場面で前半のシナリオが終了する。
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この寧々は魔法によりタイムパラドックスを防ぐために出現したものであり、タイムリープした寧々とは別人という説が濃厚。しかし希望を残した終わり方ではあるがすぐに過去へタイムリープした寧々のシナリオが始まってしまい、新しく現れた寧々がどのような存在なのか、現代へ取り残された主人公と新しく現れた寧々のその後は語られず、完全に放り投げた形。
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どちらの視点にしても一度くっついた相手とは別人ということになるので、キャラ萌えという意味でもやや影を落とすシナリオとなってしまっている。
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人によって捉え方に差はあるが、この点を「ハッピーエンドの様な雰囲気だが、元の世界線やその人物のことを考えるとバッドエンドでしかない」と致命的と見る人もいる。中途半端に分岐した世界線が描写されたのがまずかった。
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また他ルートのエンドに泥を塗っている展開だと感じる人もいる。
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めぐるシナリオにおいて、ある重大な問題が解決されないまま放置される
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厳密にはめぐる本人ではなくめぐるの友人の問題なのだが、放置したままなので違和感が残る。
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紬、めぐるルートのみ登場するワタリガラスのアルプ「アカギ」の行動がシナリオによって全く違う。
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紬ルートではわがままで傍若無人、動物のような振る舞いが目立つのだが、めぐるルートでは、めぐるのためにある情報をあっさり話したりめぐるに優しい言葉をかけるなど性格が一変している。
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一応潜在的・本質的な性格は変わっていない。これはルートによって紬が集めた心の欠片の量が違うからと推測できるが、態度が極端に違う理由は不明。
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主人公・保科柊史について
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前述の通り、デリカシーに欠けた言動がやや多く、人によっては不快に感じやすい。
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本人も「気付かぬうちに人を怒らせている」という自覚はあり、悪意などがあるというわけでは無いのだが。
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出演者の世代交代
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これまでのゆずソフトの作品において、全ての作品でOPまたはEDの主題歌を歌ったほかヒロインの声を演じた事もある「榊原ゆい」氏、『E×E』以外全てでヒロインを演じてきた「夏野こおり」氏、『のーぶる☆わーくす』から『天色*アイルノーツ』まで三連投してきた通称「車の人」氏が、揃って出演していない。
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世代交代は企業や業界に必要な事ではあるものの、氏らの続投で築かれてきたイメージをゆずソフトに期待し続けた人もおり残念がる意見も見られた。氏らのファンが多かったというのも理由だろう。
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なお、続投こそ無くなったが、榊原ゆい氏は次作『千恋*万花』にて再びエンディングテーマを歌い、車の人氏も『喫茶ステラと死神の蝶』でメインヒロインを演じている。
総評
シナリオに粗はあるが大きな問題はない。CG・BGM・UIなどは水準以上で全体的な完成度は高く、キャラゲーのお手本のような内容となっている。
最近のゆずソフト作品らしくキャラゲーとしては申し分ないが、尖った部分や冒険的な部分はほとんどないので、退屈に感じるプレイヤーもいるだろう。
その代わりにキャラゲー好きはもちろんのこと、エロゲーを軽く楽しみたい層やエロゲー入門にも向いている作品と言える。
余談
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前述した立ち絵鑑賞モードで作成されたスクリーンショット画像は、ネット上で幾つか見つかる。
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一部では、本編の画像だと勘違いした未プレイヤーも見受けられる。
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エロゲー界隈は発売延期が非常に多いが、ゆずソフトは一度も延期しておらず本作も例外ではない。
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デバッグが間に合わなかったと思われる箇所は、修正パッチで対応されている。
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ヒロインの一人「綾地寧々」は可愛さ・ネタの両面で、特に根強い人気を誇る。
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他のゆずソフトヒロインと比較してネタにされることもしばしばある。
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2018年10月26日に『Sabbat of the Witch』のタイトルでSteamでも配信された。パブリッシャーは「NekoNyan Ltd.」。日本語と英語テキストを収録。
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2010年3月25日に発売されたPSPの『天神乱漫 Happy Go Lucky!!』以来の未成年でもプレイできるゆずソフト買い切り作品となった。
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2023年7月21日には『サノバウィッチ FHD Edition』がSteamで配信された。日本語と中国語テキストを収録しフルHD対応化。こちらのパブリッシャーは「HIKARI FIELD」。同名のアダルトゲーム移植が2本Steamで発売される珍しい事態である。
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2021年5月28日に「FANZAGAMES PLAYカード」版が発売された。
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2024年3月5日に全世界セールスが20万本を突破している。(公式Xの発表)
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2024年12月17日に全世界セールスが30万本を突破している。(公式Xの発表)
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テレビアニメ『VTuberなんだが配信切り忘れたら伝説になってた』に本作のパッケージが登場している。(公式Xの動画)
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さらに放送事故のネタはバーチャルYouTuberのさくらみこが『スーパーマリオメーカー 2』の生配信中に誤作動で本作の起動音声が流れた事が元ネタ。
最終更新:2024年12月17日 22:21