Forza Motorsport 2
【ふぉるつぁ もーたーすぽーつ つー】
ジャンル
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レーシング
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対応機種
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Xbox 360
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発売元
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Microsoft Studios
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開発元
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Turn 10 Studios
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発売日
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2007年5月24日
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定価
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6,800円(税別)
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プレイ人数
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1~2人(オンライン接続時最大8人)
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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廉価版
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プラチナコレクション 2008年7月10日/2,800円(税別)
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備考
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DLCは全て配信終了 既に購入済みのユーザーのみ使用可能 オンライン関連は対戦のみ利用可能
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判定
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良作
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ポイント
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世界を股に掛けるレーサー生活を体験 シリーズの基礎は本作で出来上がった
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Forza Motorsportシリーズ
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概要
初代『Forza Motorsport』から2年で送り出された続編。
リアルなレースを表現するための詳細な車両の挙動計算や、衝突した車両が破損するダメージ表現といった360のハードスペックを活かした技術が注ぎ込まれている。
パッケージに登場している車種は「NISSAN FAIRLDAY Z- Custom Forza Edition」である。
本モデルは初回限定版に付属のダウンロードコードを適用することでアンロックされる。
この初回限定版のパッケージには「Forza Motorsport 2 初回限定BONUS CAR」と書かれたステッカーが貼られている。
各種ゲームモード
本作には3種類のゲームモードが存在する。
Arcade
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Exhibition・Time Trial
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定められた車両、コースでレース・タイムアタックを行い、合計70台のArcade専用車両をアンロックできる。
なお、Time Trialで達成したタイムはXbox Liveにアップロードされ、Multiplayerでランキングが閲覧できる。
コースアウト、ショートカット行為はペナルティタイムが別途加算される。
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Free Run
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コース・車両を自由に選んで走行できる。ここではCareerで所有する車両も走行させることができる。
Career
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アジア・アメリカ・ヨーロッパのいずれかの地域に住むレーサーとなり、レースを重ねていくモード。
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レースで得られる賞金の累積金額によってプレイヤーはレベルアップしていき、車を購入するときに割引を受けたり、メーカーから車がプレゼントされることがある。
また、特定の地域に所属していなければ購入できない車両も存在する。問題点は後述。
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Careerのレースについて
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全9カテゴリで90イベント、総数314のレースが用意されている。クラス別のレースやファクトリースペック限定のレース、耐久レースなど、その種類は様々である。
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レースの賞金はレース毎に基準額が設定されており、それに対してアシストの有無、レース中に受けたダメージによる修理費用、レースで使用した車の希少度に応じた補正が行われる。
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AIドライバーについて
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報酬を支払うことで,自分の代わりにレースに出場するAIドライバーを雇うことができる。当然ながら彼らが走ってもレースイベントはクリアでき、レース勝利時の賞金も手に入れられる。ただ,その勝利によって得た金額の55%以上を支払うことになる。
AIドライバーの報酬ランクは実力に応じて様々であるが、中でも支払う報酬が最低ランク(55%)ということで、性別不明のS.ItoというAIドライバーが当時「Ito君」と呼ばれ、日本では人気になっていた。
使用例:Ito君に耐久任せて寝る
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レースはAIドライバーに任せて自分はチューナーに徹する、というのも本作の立派な楽しみ方である。
Multiplayer
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Xbox Liveを通じて最大8台でのオンラインプレイが可能。
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システムリンク、または分割スクリーンでのローカル対戦が可能。
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ランキングの閲覧、タイム更新時のアップロードは可能だが上位陣のリプレイダウンロード、車のオークション、ギフト機能はサービスが停止されている。
特色・評価点
リアルを追求したシミュレーション
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秒間360回もの挙動シミュレーション、常時60fps表示は本作の時点で既に完成している。
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その計算結果はレース中・リプレイ再生中、いずれの状況でもテレメトリ表示機能でリアルタイムに確認することができる。
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クラッシュした車両のダメージ表現も実装されている。最高難易度では内部パーツのダメージも実装されているうえ、クラッシュ時の音も非常にリアルなもの。
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サスペンションが壊れれば真っすぐ走ることすら困難になり、シフトミスでオーバーレブを起こすとミッションがあっさり壊れる。
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さすがにリタイヤまでは実装されておらず最低限の速度で走行できる救済措置は用意されている。
サウンドが良い
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エンジン音や排気音、タイヤのスキール音など、レースゲームのツボともいえる部分の出来が非常に良い。特にエンジン音や排気音は車種ごとに明確な違いが分かり、アップグレードによって確実に変化していく。
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過去のPS2のレースゲームにあった、気筒数や過給器の有無でしか音が変わらないのとは根本的にレベルが違う。
収録車種
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本作には310台(DLCを含めて349台)の車種を収録されている。
そのカテゴリは市販車、チューンドカー、各種レースカーなど様々である。
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本シリーズではPI(Performance Index)値という数値が車両ごとに設定されている。
PI値とは、複数の要素(重量・出力・グリップ・空力など)から計算され、車の性能を数値で比較するためのものである。
市販車はパーツの交換によってクラスが変動するが、レーシングカーのクラスになることはない。
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収録車種はPIに応じて市販車6クラス、レーシングカー4クラスに分類される。
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本作ではスターティンググリッドはPI順に並ぶ仕様だが、Careerのレースにおけるレースカーのグリッド順が一定であるためレースカーも内部的にはPI値が設定されているものと考えられている。
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クラス一覧
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クラス
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概要
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PI値
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R1
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プロトタイプレースカーのクラス。LMP1マシンなど。
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なし
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R2
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超ハイエンドレースカーのクラス。GT2マシンなど。
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R3
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ハイエンドレースカーのクラス。GT500マシンなど。
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R4
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モディファイカーとレースカーのクラス。GT3カップカー。GT300マシンなど。
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U
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市販車最速クラス。初期状態でUクラスの車種は「2005 Chrysler ME Four-Twelve Concept」「1988 TVR Cerbera Speed 12」の2車種のみ DLCで計7台に拡大可能
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999-∞
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S
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ハイグレードカーのクラス。スーパーカーやエキゾチックカーが名を連ねる。
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851-998
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A
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パフォーマンスカーのクラス。ハイエンドのスポーツカーが競り合う。
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701-850
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B
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高性能スポーツカー、スポーツタイプのクーペなど
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551-700
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C
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スポーツカー、スポーツタイプのサルーンなど
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401-550
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D
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スタンダードカーのクラス。入手が容易な乗用車など
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001-400
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クルマのカスタマイズ
本シリーズでは、パーツ交換による性能アップを「アップグレード」、ギヤ比、車高、空気圧などの数値を調整することを「チューニング」と明確に呼び分けている。
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クルマのステータス
速度、加速、ブレーキング、ハンドリング、希少度(獲得賞金の補正)の5項目で最大値が10.0となる。
当然、希少度を除き実際の数値も設定されている。ただし、アメリカ向け単位で表記される(例えば馬力はPSではなくkw)。
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ただし、レース中の単位系はメートル式(km/h)とヤード式(mph)を選択可能なので日本人にとって一般的なスピードメーターのkm/h表示は可能。
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アップグレード
本作では市販車のみが可能で、レースカーはパーツ交換不可。
パーツには標準状態を含めて4段階のグレードがあり、上位のパーツを装着するとチューニング可能な項目が増える。最上位のレース用パーツであれば実装されている全項目がチューニングできると考えてよい。
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なお、Careerでレースに使用した車にもレベル(最大LV:5)が設定されており、レベルが上がるごとにアップグレードの割引が行われる。全メーカーの車を最低1台ずつレベルを最大にすることで全項目の割引が最大限に受けられる仕様。
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エンジン - 車種によってアップグレード可能な範囲のばらつきが最も大きい部分。吸気系、マフラー、イグニッションなど7項目。車種によってはターボやスーパーチャージャーの追加、果ては同メーカーのエンジン換装も可能。
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例えば日産車ではスカイラインGT-Rのエンジン(RB26DETT)を搭載できる。実車で実際に搭載できるか否かは別として遊び心という意味では評価できる。
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車体 - ブレーキ、ミッション、軽量化など合計9項目
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タイヤ - コンパウンド、タイヤ幅、ホイール交換・インチアップが可能。見た目も変わるためドレスアップ要素になっている。
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ボディ - 前後バンパー、リアウィングが交換可能。ボンネット交換が可能な車種も一部にある。空力が改善されるが同時にドレスアップ要素にもなる。
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チューニング
タイヤ・ギヤ比・アライメント・スタビライザー・スプリング・減衰力・エアロ・ブレーキング・ディファレンシャルと多岐にわたる。
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チューニング結果はベンチマークに掛けることで、加速、制動距離、横方向Gが即座に計測できる。
収録コース
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リアルサーキット10種類
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うち、『ツインリンクもてぎ』と『ロード・アメリカ』はDLCである。
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オリジナルサーキット5種類
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Nissan SpeedwayとSunset Peninsulaは外側のオーバルと内側のインフィールドの違いに過ぎず実質4ロケーションではある。
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「New York Circuit」は実際のニューヨークの街並みを利用しているが、『グランツーリスモ4』のものとはレイアウトが異なる。
初心者に向けたサポート
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AT、ABS、TCS、STM(スタビリティ・マネジネント:スピン防止機能)などの基本的なアシストは完備されている。
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燃料消費やタイヤの摩耗に加えてクラッシュした際の内部ダメージをオフにすることもでき、リアルととっつきやすさを両立。
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高性能なアシストライン
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推奨ラインが緑 → 黄色 → 赤へと速度によって変化する点が評価ポイント。
これにより、特にコーナーにおいてブレーキングポイントの見極めがしやすい。
車やコースに慣れてきたらブレーキングポイントのみの表示へと変えられるのも便利。
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すべてのアシストをオフにしAI難易度を最高(ハード)することで獲得クレジットが最大50%増しとなる。
マルチディスプレイ対応
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複数台の360本体とディスプレイとソフトを使用することで最大5スクリーン(前方/左右/バックミラー/観戦)でのマルチディスプレイ環境でのプレイが可能。前方の画面を担当するセットを中心に、それ以外の画面を担当するセットをLANで接続し同期させる方式である。
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モニタ間の隙間(非表示領域)、左右モニタの角度も設定可能。
周辺機器の対応
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日本では本作の発売日に360ワイヤレスレーシングホイールが同時発売された。ただし、アメリカなど本作以前から発売されていた地域もある。
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360標準のコントローラーはトリガーの出来が良く、標準コントローラーでも操作に大きな支障はない。
問題点
リージョン制の問題
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リージョンが異なると入手できない車が存在するが、いざ移籍するためには多額のクレジット(CR)が必要。
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しかも、移籍金は回数を重ねるごとに増加し、1回目 10万CR 2回目 50万CR 3回目 200万CR 4回目 1000万CRとなる。2回移籍を行えば全車入手できるため、移籍は2回までにとどめるのが無難。
お金の入手が難しい。
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レースの優勝賞金が少なすぎる。上記の移籍問題にも絡んでおり気軽に移籍できない要因でもある。
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ちなみに、攻略サイトにて最も効率が良いとされるレースの獲得金額が1回約50,000CRである。
ロード時間が長い。
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レース開始時には必ず20秒程のロードを挟む。2008年に360本体に実装されたディスクインストールを行ってもロード状況は劇的には改善しない(劇的に静かにはなる)。
リプレイ機能のカメラワークが悪い。
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何を見せたいのかさっぱり分からないカメラワークのおかげで、せっかくのオーバーテイクのシーンがカットされたり、妙なアップシーンがあったりと鑑賞には全く使えない。
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また、他の車へ切り替える際にも表示まで若干のロードがあるなどレスポンスも非常に悪い。
単調なレース展開
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レースごとに参加する車種が常に決まっているため、速い相手はいつも速く、遅い相手はいつも遅いというように、レースの展開は全く変わらない。
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AIの車は常にノーマル状態であり、出力でクラス分けされるレースにおいてもチューニングして速い格下の車ではなく、ノーマルで速い車が出場している。
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そのため、チューニングしたりエアロをつけた車が場違いであるかのようなレースの雰囲気が出てしまう。
衝突判定の問題点
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Careerのレースにおいて他車に接触した場合ペナルティタイムを取られてしまうが、こちらがアウトを走っていてAIがインから当たった場合などでもペナルティが取られてしまう。
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また、他車と衝突した場合、同じ車両同士でもほぼ100%こちらが当たり負けしてしまう。
オンライン機能の一部制限
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DLC配信が終了していることに加えて、オンライン機能が一部停止していることにより現在では車の入手をトレードやオークションに頼ることはできず自力で行うしかない。
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そのため、実績「ブローカー」が現在は新規で取得できない。
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本作以降も、オンラインやDLC関係などの期間限定実績が実装されていくこととなる。もっとも、これらは『Forza』シリーズに限った話ではないのだが。
総評
純粋なレースを、どこまでもストイックに追求する人間がいる。好みの車をひたすら集めることに喜びを感じる人間がいる。芸術家のように己の生み出した作品を世に問う人間がいる。
それらをすべて受け入れるだけの器があり、ライトユーザーを切り捨てないだけの懐の深さを持つ。圧倒的なグラフィックスと車の挙動。そして乗車可能な300を超える現実世界の車達。
ゲームバランスは見事なもので、細かい粗はあるものの、毎秒360回もの物理演算により、非常にリアルなプレイが可能。
主な新要素は少ないものの、レースゲームにおける「当然」の要素が非常に丁寧に作られており、『Forza Motorsport』シリーズの基礎を作ったとも言える作品だろう。
余談
痛車
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ゲーム自体、レーシングゲームとして非常に良くできたものであるが、このゲームを特徴付ける物の1つに、車体へのペイント機能がある。
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ペイント機能と言っても、非常にシンプルな図形しかなく、強いて言えば決まった種類のステッカーしか備えていない程度の代物である。
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ところが、日本に於いてはゲーム発売早々、このシンプルなペイント機能を駆使して、アニメやゲームなどのキャラクターを描いた痛車を次々と創り出す職人が多数登場した。
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複雑な絵を作るとまでは想定していないようなシンプルなペイント機能であるにもかかわらず、それをフルに使いこなし、あたかもjpgのイラストを貼付けたかのような高いクオリティーのペインティングをやってのけたゲーマー達の出現に、海外のプレーヤーやさらにはゲーム開発元であるT10開発陣までも仰天した。
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本作にはXbox Liveを利用したオークション機能があり、ゲーム内通貨を用いて車の売買が可能であるが、ペイントクオリティーの高い痛車は国内外を問わず人気が高く、高額で落札されている。
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ちなみにこの「痛車要素」は、今作からシリーズの密かなブームになる。シリーズ各作品に職人は存在する。
最終更新:2024年12月07日 14:50