NARUTO -ナルト- 忍列伝
【なると しのびれつでん】
ジャンル
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対戦格闘
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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タカラトミー
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開発元
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ドリームファクトリー
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発売日
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2006年12月14日
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定価
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5,040円(税5%込)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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1個
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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クソゲー
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ポイント
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ナルトがひたすら元気になるだけ
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NARUTO -ナルト-シリーズリンク
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概要
少年ジャンプ人気漫画のひとつ、『NARUTO -ナルト-』を題材に、DS初の3D格闘ゲームとして作られた本作。サスケが闇堕ちし木の葉の里を去ってからの時系列でシナリオが進む。
あらすじ
サスケとの戦いの傷が癒えたがどこか元気がないナルト、
そんなナルトの姿を見かねた綱手はカカシに命じて試練を課す。
操作
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本作は3Dで描かれた、直線式格闘ゲーである。
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方向キーの左右で敵との距離をつめたり、はなしたりできる。
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Xでジャンプ、Yで弱攻撃、Bで強攻撃、Rで防御。空中から攻撃するとクナイを投げつけたりできる。
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Aで必殺技、方向キー連打でダッシュ、Lボタンで瞬間移動。
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画面上には体力ゲージとチャクラゲージが配置される。
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先に体力が0になると負け。制限時間が来ても決着がつかなかった場合は残り体力が低いほうが負けとなる。
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チャクラゲージは攻撃を当てたり、受けたり、防いだりすると上昇。逆に必殺技、瞬間移動で低下する。
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下画面には、お助けアイテムが6つランダムで用意されており、タッチすることで使える。お助けの内容は体力回復、パラメーター上昇、一定時間無敵等。
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モード
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ストーリーモード、ひとりでプレイのモードがある。また本作のソフトを持っている人同士で通信対戦できる。
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難易度は「ふつう」、「むずかしい」の2つ。変更すると通信対戦以外のモードのCPの判断力が一括変動する。
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それぞれの難易度でストーリーモードをクリアすると、隠しキャラが開放される。
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またひとりプレイを特定のキャラでクリアすることでも隠しキャラが開放される。
問題点
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あまりにも薄すぎるゲーム性
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まずストーリーモードが10分程度で終了する。短すぎるためか途中でセーブする概念もない。
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ストーリーの内容をざっくりまとめると、サスケ奪還に失敗して落ち込んだナルトを仲間が元気づけようとするというもので、ナルトに巻物を回収させ、さらにそこに待ち受ける番人と戦わせるという内容。番人はシカマル→ネジ→リー→サクラ→カカシ→ガイ→カカシの順。
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ナルトと仲間の友情を描きたかったのだろうが、会話は「元気になれた」→「良かった」の一辺倒。同じことを7回もやって7回同じ会話を聞かされる身にもなれ。
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ひとりプレイもCPに対して10連戦するだけ、これも勝つとエンドロールである。登場順に意味はなく、本当にただただ10連戦するだけ。ボス戦らしきものもない。
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こういったツッコミは野暮かもしれないが、この内容のどのあたりが忍列伝なのか教えてほしいものである。
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キャラクターの少なさ
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今作に登場するキャラはナルト、サスケ、サクラ、カカシ、リー、ネジ、シカマル、隠しキャラのガイ、我愛羅、テマリ、イタチ、ナルト(九尾化)、サスケ(呪印状態2)の計13体。キバやチョウジなどの奪還メンバー、音の5人衆、伝説の三忍、歴代火影など名だたるキャラクターは登場しない。
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砂の3兄弟でもカンクロウだけハブられている。更にイタチは出ているにもかかわらず、鬼鮫が出ていないなど不自然な選出である。
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キャラの個性が全く出ていない
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NARUTOは登場キャラが個性的な忍術を使う作品なのだが、本作はキャラの個性が全くと言っていいほど活かされていない。
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というのも奥義以外で固有の術を使うキャラはほんの一握りで、後は奥義以外全て
格闘のみ
。
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例えば、砂瀑の我愛羅はその名の通り砂を操って攻撃する遠距離タイプの忍者だが、本作ではタックルや回し蹴りなどを使う
バリバリの接近戦タイプとなっており、砂の攻撃は飛び道具と奥義しかない
。「砂瀑」の我愛羅とは何だったのか。おまけに攻撃スピードも非常に遅いため、本編ではかなりの強キャラだったが、本作では弱キャラ筆頭である。
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これは我愛羅に限った話ではなく、ナルトは影分身を奥義以外使わない、サスケとカカシは写輪眼を使わない、テマリは巨大な扇子を使った攻撃は奥義のみ、リーとガイは身体強化の「八門遁甲」は使用しない、と各キャラの持つ個性を無視した作りになっている。もう一度言うが
どこが忍列伝なのか…
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九尾ナルトの手抜き
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本編では隠しキャラとして九尾化したナルトが登場するのだが、演出が全体的に手抜きで残念なものとなっている。
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攻撃モーションは大半が通常時のナルトと同じで、モーションに限ってみればほぼコンパチ。唯一飛び掛かるモーションが追加されているが、ぶっちゃけ
ちょこまかと動くすばしっこいナルト
といった感じである。
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ボイスも通常時のナルトと全く同じ。奥義使用時のセリフのみ固有のものとなっている。
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奥義は九尾螺旋丸ではなく、"九尾ナルト乱撃"という格闘技なのだが、
九尾ナルトの攻撃モーションにエフェクトを付けただけ
で、手抜き感が否めない。
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の割に与えるダメージは全キャラ最高で、大半の奥義が1ゲージ+少しといった感じなのだが、この奥義は
1ゲージ半以上もダメージを与える。
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また、第一部終盤で九尾化したナルトは全身から"妖狐の衣"と呼ばれる赤い泡状のチャクラを身に纏い、耳や尻尾もチャクラで形成されるなど獣染みたものになるのだが、今作では耳や尻尾は再現されておらず、体にチャクラを纏うだけに留まる。原作ではチャクラの腕を使って攻撃したりもしたが、今作では一切使用しない。さらには、奥義の演出(自分が奥義をする場合はもちろん、相手の奥義を食らう場合も)の際は
身に纏うチャクラが何故か消失する。
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対となる呪印状態2のサスケは通常時のサスケとは大分差別化されており、ボイスも異なるほか、奥義も第一部終盤で使用した黒い千鳥となっている。サスケはここまで良くできてるのに、何故主人公のナルトはこうなってしまったのか…
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格ゲーとして
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特にこれといった駆け引きができるわけでもない。
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つかみ(いわゆる投げ技)がないため、防御を解いて攻撃してきた敵の隙をねらって技を当てるスタイルとなるほか、攻撃を受けたときのひるみも大きいため 攻撃を当てた側が一方的に試合を運びやすい。
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防御以外の回避アクションはチャクラを消費するため、こういった行動も安易にとりにくい。
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テキスト表示に関して
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発話者を表示する枠といった措置がない。プレイアブルキャラ以外のキャラクターの名前を確認する術に乏しく、ナルトシリーズを知らない層が世界観の勉強のためプレイするにはハードルがやや高い。
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メッセージ送りはタッチペン非対応でAボタンでしか行えず不便。
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隠しキャラを開放するための条件が特に知らされておらず、作中でヒントが出るわけでもない。ひとりプレイの段階で登場自体はするため、存在自体には気づけるのだが・・・。
評価点?
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キャラ鑑賞ツールとして
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ガイ先生、我愛羅、イタチ兄さん、サスケ、テマリ等の条件をそろえてプレイアブルキャラにできるキャラがいる。
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キャラの性能差も多少あり、特に必殺技はそれなりに原作のネタをきちんと拾っている。必殺技だけだが…
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ストーリー性皆無なため、ある意味ナルトを知らなくても特に問題はなくプレイできるゲームではある。
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プレイ中に頻繁に見ることになるエンドロールに流れる曲は、聞いているとそれなりに落ち着ける。
総評
『NARUTO -ナルト-』を題材とした中では初の携帯ゲームに進出した格闘ゲーでありキャラ鑑賞するうえでの意味はあるかもしれない。しかしとにかく遊べる要素がなさすぎる。盛り込めたはずのシナリオもほぼ存在せず、格ゲーとして何かしらのオリジナリティを持っているわけでもない。よほど隠しキャラに興味があるのでもなければ30分足らずでプレイする目的を失ってしまう。
最終更新:2023年12月17日 00:43