NARUTO-ナルト- 疾風伝 大乱戦!影分身絵巻
【なるとしっぷうでん だいらんせんかげぶんしんえまき】
ジャンル
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影分身アクション活劇
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対応機種
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ニンテンドーDS
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発売元
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タカラトミー
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開発元
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トーセ
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発売日
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2008年2月14日
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定価
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5,040円(税別)
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プレイ人数
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1~4人
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セーブデータ
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3つ
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対象年齢
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CERO:A(全年齢対象)
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判定
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なし
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ポイント
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初心者も手軽にできる思考型アクション 改編・省略の多い本編
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NARUTO -ナルト-シリーズリンク
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概要
少年ジャンプの『ナルト -NARUTO-』は、伝説の忍者になるべく励む少年ナルトを主人公に据えた忍術バトル漫画である。本作は2期にあたる『疾風伝』のシナリオをベースに、アクションゲーム化した作品である。
本作は、ナルトが3年の修業を終え木の葉の里に帰還する場面から始まり、暁のメンバーとの交戦を経て、大蛇丸の手に堕ちたかつての盟友サスケとの再会までを描いている。
ゲームシステム
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基本
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2D平面上に描かれた世界で繰り広げられるアクションゲームである。
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プレイヤーはDSの上画面に映るナルトを操作し、マップを探索し仕掛けを解いて先に進む道を作り出す、湧き出てくる雑魚敵を蹴散らす、対面したボスに勝つなどをすることとなる。
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敵を倒していると経験値が入りだんだんとレベルアップしていく。レベルアップによってパラメータ (体力、攻撃力、分身できる数、分身の攻撃力) が上昇する。
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上述通り、ナルトには体力が設定されておりこれが0になると前にセーブしたところからやり直し。ボス戦だった場合は開戦直前からやり直せる。
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特殊な技を使うには基本的にチャクラを消費する必要がある。チャクラゲージは敵や物を殴ることでだんだんと回復する。
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セーブ拠点が各所に設けられており、そこでのみセーブ可能。またセーブ拠点に近づくと体力とチャクラが全回復する。
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マップについて
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シナリオで攻略することになるステージは全部で5つ。
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アイテム購入等の戦闘準備ができる「木の葉の里」とやりこみ要素として使うことになる「闘技場」を含めると全部で7つ。
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攻撃手段について
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ナルト自身が出せる攻撃は3段まで出せる体術、忍技、必殺技(螺旋丸)、さらに影分身がある。それぞれボタンが割り振られているが、キーコンフィグで自分の好きな配置にすることも可能。
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また助っ人として仲間を3人セットできる。セットした仲間を下のタッチ画面で触ることで、必殺技を放ってもらうこともできる。いずれも画面に映っている敵に大きなダメージを与える。また場合によってはバフ・デバフ効果を持つものもある。
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キャラクターはシナリオが進むごとにだんだんと増えていく。ただしひとりのキャラにつき打てる回数は一度まで。リロードしたいときはセーブ拠点に近づく必要がある。
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忍び技
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忍技には、アクション、ステータス、サポートの3種類がある。
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アクション系のものは、シナリオを進めるごとに行く先々で見つかる黒い箱から入手できる。マップの仕掛けを解いて先に進むために必要な行動となっていることが大半だが、攻撃技としても効果を発揮するものがある。1度に1種類しか「装備」できない。頻繁に切り替えることになるので、この操作はボタンで可能となっている。
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忍び技一覧
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疾風:最初から使える忍技。向いている方向に軽くダッシュする。敵との距離を取るのに適しておりボス戦で重宝する。
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手裏剣変化:数少ない飛び道具となる技。使う機会自体は少ないが、対岸に渡るためのアクションとして使える場合もある。
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飛翔:分身を使って高いところまでジャンプする。高い所から飛び降りるときにも必要。この技でダメージを与えることはできない。
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解印:印の上で発動することで、道を阻む封印を解除する。減少したチャクラゲージを少し回復する効果もある。
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剛力:分身しながら向いている方向に一斉に体当たりする。広範囲攻撃になるほか重たい障害物を押し飛ばせる。
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螺旋:小さなつむじ風を発生させる。毒の霧をはねのけるなどの効果がある。つむじ風には攻撃判定はあるが隙が大きいため探索向き。またこの忍技を装備している時は、螺旋丸が強化され、邪魔な大岩を破壊できるようになる。
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ステータス系は、ナルトのステータスの増減に直接関連する。サポート系は、その他の要素(チャクラのたまりやすさ、状態異常(体力が継続的に減る「毒」、螺旋丸が打てなくなる「幻術」がある)の継続時間に影響する。
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スタートボタン
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スタートボタンはオプション対応
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ナルトの現在のパラメータ(レベル、スタミナ、攻撃力、影分身数、影分身攻撃力)、次のレベルに必要な経験値、所持金、持っている道具を見られる。
また忍技、サポート仲間、難易度およびキーコンフィグ設定を見られる。
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敵が出ない場所であれば、いつでも難易度変更が可能。難易度を上げるほど、敵の体力と攻撃力が上がる。倒した時の経験値は据え置き。
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道具
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道具屋から購入、もしくは道中にある箱や物を攻撃すると手に入る。1つの道具につき最大5個までしか持ち歩けない。
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効果は体力、チャクラの回復、状態異常からの回復、攻撃力の一時的な強化等がある。
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また、ステージには数匹「赤ガマ」が隠れている。見つけて決められた匹数を「木の葉の里」の道具屋に持っていくと、お金をくれたり、忍技をくれたりする。
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幻影組み手
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訓練場で行える組み手。クリア後は特にやりこみ要素となる。
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戦いの最中はアイテムによる回復・ドーピングは不可。逆にナルトの体力が尽きてもゲームオーバーにはならず記録がつけられる。組手を終えると体力が全回復する。
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組み手でつけられる記録は決められた数の敵をどれだけ早く全滅させられるか、無限にある出現パターンを体力が尽きるまでどれだけクリアできるかの2種類。
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敵の出現パターンは、雑魚敵を蹴散らすようなものから、本編で戦ったボスを同時に相手取るといったものがある。
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クリアするとナルトの新たな忍び技を入手できる。
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口寄せ
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綱手の書斎にいるイルカに話しかけて行う特典要素。
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「いろはにほへとちりぬるを」のうち10文字を正しい順番で選ぶと、生き残るタイプの組み手でサスケを操作することができる。また一定の量勝ち残ると十分に成長したナルトに、螺旋丸の代わりに九尾変化を装備させることができる。
評価点
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アクションが爽快
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訓練が必要なコンボ等の難しいテクニックを要求することはないので、アクション初心者も比較的とっつきやすいゲームである。
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道中、ナルトに対して一度に複数の雑魚敵が襲い掛かってくるが、彼らを3段の攻撃当てることで、まとめて倒せることもよくある。打ち放題というわけではないが、影分身攻撃を雑魚敵の群れに的確に使用すれば、みるみると駆逐できるなんてことも。
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ワラワラと湧く雑魚は適度に距離を取って弱攻撃を当てていれば倒せるし、レベルアップのペースも早めなので攻略のテンポが良い。
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一方高難易度版は忍技や影分身とのコンボを叩き込めるゲーム性となるので、こちらを楽しむこともできる。
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ナルトの忍技のうち、瞬間回避として使える俊足とジャンプ、飛び道具として使える手裏剣変化、広範囲技戦闘として使える剛力はボス戦ではかなり重宝する。工夫次第で、戦局が大幅に変わることも十分にありうる。
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探索
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道中の仕掛けが一辺倒ではないので、「どの技を使えば先に進めるか」等程よく頭を使うことができる。
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たとえば、「剛力」は岩を障害物として扱うだけでなく、時には盾として使うという発想も求められ、「螺旋」は霧を追い払うだけでなく、火を起こすために必要というケースもある。
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赤ガマ入手にも関係してくる。また初回攻略時ではなくシナリオを進めてからでないと解けない仕掛けもあるので、シナリオに手こずったらいったん引き返して収集に耽るプレイスタイルにも対応している。
賛否両論点
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弾幕をはってくる敵
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ナルトの攻撃でリーチがあるのは手裏剣変化程度。弾幕を張るボスに対しては若干分が悪い。
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接近戦オンリーになるのもそれはそれで単調。また回復アイテムを携帯すれば勝てなくもない調整にはなっているため、個人の感性によるところか。
問題点
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チャクラを回復しにくい
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忍技を連射しているとチャクラがすぐに枯渇してしまう。それに対して、攻撃を当てた時の回復量があまり芳しくない。
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かといって回復が容易だと螺旋丸が打ち放題になりかねないので、このあたりの調整は確かに難しかったと思われる。
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「疾風」による小ダッシュで適度に距離を取る&体術でヒットアンドアウェイするのが安全。
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ボスは弱ると危険な攻撃を出してくる傾向があるので、必殺技でたたみかけて有利に戦いを運ぶ選択肢もあるが、使いどころの見極めは難しい。
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「解印」にはチャクラを回復する効果があるのだが、これに関しては説明されない上に、あまり素早く回復するわけでもない。
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ワープ機能
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「ステージ」→「ステージ選択画面」と移動したいときは、基本はその「ステージ」の出入り口に踏み込むしかない。(イベントの仕様で自動で帰郷するといったことがあるにはある。)
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来た道を引き返して探索し、特定のアイテムを収集するという展開が中盤に出てくるため、この仕様が気になるところ。
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露骨に迷わせにかかる地形はないが、終盤のステージになると似たような地形も多く土地勘がないと外に出るのが一苦労。
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ナルトの足もあまり早いわけではない。
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終盤にようやくステージ選択画面にワープ可能な「アイテム」が入手できるようになる。
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俊足を使ったアクションがわかりにくい
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木の葉の森の滝を越えるとき、大蛇丸隠れ家のとある仕掛けを解くときの2回にわたって出番があるが、後者は気づきにくい。
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アニメーションおよびシナリオが走りすぎている
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探索要素があるためただの一本道ではないのが幸いだが、ステージ数が5つというのは決して多い類ではない。先に進むプレイをしているとすぐにゲームクリアしているなんてことになりかねない。
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キャラ解説等は一切なく、シナリオを見返す機能もない。物語を理解したいなら原作の知識は必須。かといって省略されている部分も多いため、原作ファンにとって納得のいく出来とも言い難い。
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具体例
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サスケが悪の手に堕ちたいきさつ等、物語の背景ももちろん関係してくるのだが、これについて言及はされる程度で詳しく説明はされない。このゲームだけから理解するには、キャラの発言を書き留めておく必要もあるだろうか。
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暁のメンバーの「サソリ」が過去に「ヒルコ」という忍者を破り、傀儡に改造しているくだりも知っている前提で話が進む。ゲームでは字幕のところに出るキャラ名がサソリで統一されているにもかかわらず、「チヨバア」が「ヒルコ」の存在を何のクッションもなく話し出す。
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序盤はなぜか暗転と字幕と立ち絵でごまかされるイベントが多い。
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最序盤で、我愛羅がデイダラに破れるシーンはイラスト1枚とサウンドだけ(字幕なし)で表現されているので、何がおきているのかまったくわからない。とりあえずこのシーンを抜けるとガアラが倒れている。その後を追ってきたカンクロウとサソリとの交戦は暗転と音でしか表現されず、これまたしばらくするとカンクロウが倒れている……と、イベントの見せ方に全く動きがない。
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原作改変
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暁のメンバーをはじめとした幹部クラスはボスとして登場するが、これと戦うのがすべてナルト。ナルトの仲間が見せる名場面というものもあるが、このゲームからはそれを楽しむことができない。
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細かい難点
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立ち絵の表情が基本的に1つしかない。人によっては、真顔で熱い台詞を言われて少し拍子抜けするかもしれない。
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サポートの効果は良く見ると差別化こそされているが、あまり実感しにくい。
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モーション自体に力は入っているが、ドットは若干粗くキャラの識別が難しい場合も。--入院中のカカシが使えたり、オロチの隠れ家にてサスケを討つべく特攻していったはずのサイがサポートで使えるシーンはある。もっとも着脱を繰り返されても面倒くさいだけではあるが…。
総評
本作と原作とを照らし合わせた時に大きな矛盾こそないものの、かなり重要な部分が省略・改編される傾向がある。原作の知識の有無を問わず、あくまで雰囲気を楽しむという域を出ていないというのが現状。
逆にアクションはなかなか気の利いた調整配分をしているのでやや惜しいが、NARUTOの世界観を気軽に楽しめるゲームと割り切れればそれなりに遊べる1作といえよう。
最終更新:2018年12月27日 19:46