ファイティングアイズ
【ふぁいてぃんぐあいず】
| ジャンル | 格闘アクション |  
 
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売元 | ポニーキャニオン | 
| 開発元 | ソラン バンディット
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| 発売日 | 1998年12月17日 | 
| 定価 | 6,800円 | 
| 判定 | クソゲー | 
| ポイント | ヤケクソでブッ飛んでるパッケージ裏 常にバグっている画面右端
 その頃の格ゲーの水準を余裕で下回る仕様の数々
 演出も滅茶苦茶
 妙ちくりんなキャラクターたち
 ファミ通クロスレビュー16点
 「断言しよう!このゲームに並ぶ格闘ゲームは無い!」
 まさに笑止!
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概要
ポニーキャニオンが発売した3D格闘ゲーム。
パッケージ裏にて今世紀最強の新感覚格闘システムを謳い、超美麗なステージを自称するなど、これだけ読めばさぞ凄いゲームであるかのようにも見えるが、
その実態は、あの伝説のクソゲー『修羅の門 (PS)』に匹敵する、未完成品としか思えないクソゲーである。
基本操作や特徴的なシステムについて
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本作に用意されているモードはFIGHT(一人用)とVERSUS(二人対戦)、PRACTICE(練習)、それにOPTIONのみ。
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FIGHT(一人用)はキャラごとのストーリーが語られることはなく、ランダムの敵と戦うだけである
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一定数の敵を倒せばエンディングとなるが、特にストーリー等は用意されていない。
 
 
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全キャラに共通で乱舞技が搭載されている
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コマンドの連続入力で発動するコンビネーションアタック
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相手の体力が残りわずかの状態の時、バーストコマンド(本作でいう超必殺技)の「ライフダメージ系の技」でKOすると、
「戦意喪失」
と見なされ1ラウンド目であろうと強制的に勝利扱いになる。
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バーストコマンドにはもう1つ、「相手のガードゲージを大幅に減少させる(コンビネーションブレイクの受付時間が低下する)」ものもあるがこちらでは戦意喪失を出せないため、間違って出してしまうと大損をする事に。
 
問題点、というかこのゲームにはほぼ問題点しかない
他の格闘ゲームで出来ることがことごとく不可能
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動きが全体的に重い。起き上がり後にしばらく硬直するという、謎の仕様も搭載している。
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フロントステップやバックステップ等の特殊移動コマンドが「R1+任意の方向キー」に割り当てられている。
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効果音と実際のHit数やタイミングが一致しない。攻撃がヒットするタイミングとSEがずれている。
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中には明らかに敵を地面に叩き付けているのに音がしないバグもある。
 
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この時期の格闘ゲームにもかかわらずジャンプが無い。
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せっかく全キャラに乱舞技が搭載されているにもかかわらず、使い回しモーションが多い。
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ちなみにこの乱舞技を使うと、先述の「SEと動作のズレ」をかなり実感出来る。多段・乱舞系の技の効果音は全キャラ共通で「ぴしぴしぴしぴし…」という一定のリズムを刻む音が流れるだけ。
 
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どんな技も単発でしか出ない。故にコンボは存在せず、ヒット数も出ない。
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一応攻撃ボタンを連打すれば連続技らしきものにはなるが、だいたいさばきで返される。
 
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コンビネーションアタックに、「コマンドを連続で入力すると最初に発動したモーションの硬直が完全に解けてから、先行入力した技が発動する」という意味不明な現象が起きる。
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ダメージが技後に入る。例えば投げ技の場合、相手を投げてダウンさせ、投げた側がファイティングポーズに戻ってようやくダメージが入る。投げ技に限らず、乱舞系の必殺技は全部この仕様。
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バーストコマンドは「ダメージを食らうなどで画面下に蓄積されるバーストキャッシュゲージがフルの状態になると使用可能」というのが本来の仕様のはずだが、実際は70%~75%以上あれば使用できてしまうという不具合(?)がある。
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一人用モードではCPU相手に戦うことになるが、少しダメージを与えて離れてから下キックを連打していると、相手がずっと防御し続けてそのままタイムアウトになって勝ててしまうという攻略法がある。
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しかもこのやり方で最後まで勝ててしまうため、攻略法も何もあったものではなかった。
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何故こんな事になったのかというと、プレイヤー側の攻撃に必ず防御態勢を取るというAIの癖があるため。
 
その他の部分でも問題が山積み
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画面の右端が常にバグっており、なぜか修正されていない。
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同時期の『鉄拳3』等と比べてもあまりに粗末なグラフィック。PS「最」初期と言われてようやく納得出来そうなレベル。
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『FIST』ほどではないにせよ、この作品より4~5年前の『バーチャファイター』並みに角が目立つ。
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攻撃などにヒットエフェクトが無く、必殺技にも演出や暗転などがないため絵的にはかなり地味。体力や必殺技ゲージもどこかお粗末で、開発中のゲームのようである。
 
 
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一度プラクティスモードに入ってしまうと、リセットしないとタイトルに戻れない。
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コマンド表が説明書に無く、プラクティスモードのオプションでしか閲覧できない。
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そのコマンド表では方向指示が漢字。普通は矢印のはずだが…
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説明書に技表が書いていなかったのは、「テンキー表示で技表を載せようとして、それがソニーチェックに通らなかったから」とのこと。…はい!?
 
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一応主題歌も用意されている。しかし肝心の歌い手があまり上手くなく、最後まで脱力させてくれる。
 
一部のシュールなキャラクターたち
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「荒ぶる鷹のポーズ」のような構えで明らかに不自然なモーションで投げやりなヤクザキック連打が超必殺技の老人「羅 炎帝(ルオ・ヤンディ)」。
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ネイティブ・アメリカンなどを連想させる露出度の高い黒人女性の「エル・ラロ」。
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彼女は乱舞技の途中に息が上がって小休止する。真サムの黒子じゃないんだから…
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ちなみに彼女が休んでいるあいだ殴られていた相手は痙攣しているかのような不気味なよろけモーション。ふらふらしている様子を表現したかったのだろうか?
 
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地団駄を踏んだかと思ったら、突如高速で土下座を始める勝利ポーズに「真面目に戦うラロよ!」との勝利台詞とネタが満載。なら息切れするなよ…
 
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極めつけが、「ファントム」と呼ばれる謎のキャラ。
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アジア系の色黒で金髪、格好もどこか中東のファッションを連想させる…なのに名前が「ファントム」、なのに技名が日本語と『KOFマキシマムインパクト』のメイラ兄弟といい勝負である。
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最もシュールなのは超必殺技「流天星無」。技が決まると謎の力で相手が空中に浮遊し、ファントム自身も座禅を組んで空中浮遊、回転しながら相手の周囲を回り、一回転したところでまたもや謎の力で叩き落す。思わず爆笑すること請け合い。
 
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他にも、「どう考えても北斗の拳をパクったの影響を受けたとしか思えないラオウもどきやモヒカン」「ズタ袋を頭から被った拳法家」「ピエロ」など、どこかずれているキャラクターが多数。これでゲームシステムが破綻していなければネタとして笑えたかもしれないが…
伝説のパッケージ裏
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概要で少し触れたが、とにかくハイテンションでヤケクソ気味。当記事冒頭に掲載しているので見て頂ければ早いが、ここまで読んだ方なら殊更吹き出す事請け合いである。
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でかでかと書かれた「笑止!」の文字は敢えて何も言わないとして、まず最初に目に入ってくるであろう「国民よ、割黙せよ! そしてこの闘いを共に語り継ごう!」という壮大な宣伝文句。ある意味語り継がれたと言えば語り継がれたのだろうが…。ところで「割黙せよ」ってどういう意味ですか。
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「拝啓フルポリゴン様(涙) 何と背景はフルポリゴン。超美麗なステージでの迫力バトル!カモメも飛んでるぜ!感涙!」
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寒い洒落にはこの際目をつぶるとしても、他のゲームでも実現している機能の凄い持ち上げっぷり。そもそもカモメはただ浮いているだけである。
 
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先述の「必殺技KOでラウンド終了」のシステムの解説では「残りセット数に関係なく、君が勝者だ!まさに一発勝負、男らしいね!」と解説している。男らしい…?
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そして止めの一言「断言しよう!このゲームに並ぶ格闘ゲームは無い!」。これに並ぶところまでレベルを落としたゲームなどそうそう無いので、あながち間違ってはいない。
 
評価点…?
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クソゲーのお約束というべきか、そこそこ豪華な声優陣
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一部を挙げると森川智之氏や二又一成氏、坂本千夏氏に高木渉氏等この当時の有名声優が名を連ねている。
 
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ポリゴンはともかく、キャラのデザイン自体は悪くない。それを言い出したら『FIST』も同じだが。
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妙ちくりんなキャラが多いが、逆に言えば個性豊かとも言え設定も色々とユニークなものが考えられている。ゲーム中にストーリー描写が一切ないため、その設定がほぼ意味をなしていないのが残念でならないが…。
 
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そしてこれもクソゲーのお約束なのかBGMも良い。
総評
こんなクソゲーごときが「今世紀最強の新感覚格闘システム」とは、まさに
笑止!
…としか言いようがなく、ご大層なパッケージ裏とは裏腹にゲームとしての出来は非常に低い一作である。
この当時は既に『鉄拳3』などの作品が出ており、同期の格ゲーはおろかゲームとして問題まみれだった今作は一部のクソゲー愛好家以外から散々に叩かれた、誰得かつ商品失格寸前のクソゲーである。
断言しよう!
(悪い意味で)
このゲームに並ぶ格闘ゲームは無い!
余談
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後述するファミ通レビューの影響もあったか、出荷本数は1000本以下。だが、このような出来なので一時期はカルト的人気すら出ずに投げ売られていた。
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さすがに2020年現在ではAmazon等で数千円台と比較的高い値段で取引されている。勿論そんな価値など一銭もないが
 
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ファミ通クロスレビューでは当時として見ても相当低い16点を弾きだした。
 ちなみに同レビューで低得点を記録したPSの格ゲーには、『ライズオブザロボット2』(1996年9月/アクレイムジャパン)の16点、『覚悟のススメ』(1997年3月/トミー)の15点、『THE MASTERS FIGHTER』(1997年11月/シネマサプライ)の13点、『バトルマスター』(1998年1月/たき工房)の13点、『修羅の門 (PS)』(1998年4月/講談社)の12点などが挙げられる。
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このCDをPCに読み込むと、パッケ裏に輪をかけてヤケクソなテンションの、開発者からのファンへのメッセージを見ることが出来る。
    
    
        | + | ゲーマーよ、割黙せよ! そしてこのクソゲーを共に語り継ごう! | 
開発者から
 
このゲームの最も重要なテクニック、それはコンビネーションブレーク(さばき)だ。
 
これなくしては成立しない。で、最初のうちは相手の攻撃に合わせてみたいなハイレベルなことは止めよう。
 
ガードゲージがマックス近くなら、ガード押しっぱなしでも、素早い攻撃のほとんどは自動的にCBするようにした(だから簡単なんて思うと痛い目みるぜっ!)。また、軽くガードボタンの連打も有効だ。訓練次第ではガードゲージ0でも、6、7割りはCBできるぜっ!
 
逆に攻撃側は素早い攻撃や同じ攻撃ではタイミングを合わせられる。時にはステップや、遅い技は有効だぞ。
 
さらにサイドステップ。これは今までのものとは大違い! スクリュー状に相手に近づくことができ、しかも少し無敵時間がある。ガード同様、守備的能力だったものが、攻撃的能力に生まれ変わったわけだ。
 
最後に、COMレベル4をプレイしてもらえば分かるが、いままでのように無理押しでどうにかなるほど甘くないよ。
 
さぁ、いままでに体感したことのないって言う歌い文句は死ぬほど聞いたが、こいつ本当にその新感覚を体感できるぜっ!
 
P.S. デモは最強のCOMレベル同士が闘い合う。当然、人間もあぁなれるよ。しかもたくさん見るといい事あるかもよ
 
”THE FIGHT IS IN YOUR EYES, TOO.”
 
上記の文章中で触れられている「いいこと」とはミニゲームのことで、デモ画面を何回か見ていると何故かミニゲームが遊べるようになる。だが、その内容は五分で作ったかのような簡易早押しクイズ。ぜんぜん嬉しくないよ!
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PSオフィシャルサイトのソフトウェアカタログでもヤケクソな文体は健在である。本作の制作構想について記述されているので、記録のため以下に全文を引用する。
    
    
        | + | ゲーマーよ、割黙(ry | 
今や格闘ゲームは一部のコアユーザーのみしか遊べないほどに複雑化してしまった…が、それを従来にない新システム導入により、初期の頃の格闘ゲームのように気軽に遊べ、そして今まで全くなかった新世代3D格闘としても同時に進化させることを可能とした。そんな高度な制作も、あの家庭用ゲーム機で世界初の通信対戦ゲームを開発した某チームが手腕を発揮したとなれば肯けるはずだ!
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参考動画
最終更新:2024年03月19日 21:09