HADES
【はです】
|
ジャンル
|
アクションRPG
|
|
|
対応機種
|
プレイステーション4 Xbox One Nintendo Switch プレイステーション5 Xbox Series X/S Windows
|
|
発売・開発元
|
Supergiant Games
|
|
発売日
|
【Switch/Win】2020年9月17日 【PS4/PS5/One】2021年8月13日
|
|
定価(税込)
|
2,800円
|
|
レーティング
|
CERO:C(15歳以上対象)
|
|
判定
|
良作
|
|
ポイント
|
死にゲーローグライト 死ぬことがストレスにならない絶妙なバランス 世界観とシステムの兼ね合いが非常に絶妙
|
概要
ギリシャ神話をモチーフにしたローグライトアクションゲーム。
基本システムとしてはそこまで奇をてらったものではないが、ゲームバランスが非常に絶妙で、「後一回」をプレイしたくなる達成感と難易度が好評を博し、2020年のゲーム・オブ・ザ・イヤーだけでなく、その重厚ながら理解しやすいストーリーからゲーム作品としては初となるネビュラ賞、ヒューゴー賞を受賞している。
あらすじ
ハデス王の息子ザグレウスは、ある日父からの粗雑な扱いが嫌になり、地上への家出を決意した。
……ストーリー冒頭で語られるのはほぼこれだけである。が、実はストーリーを進めていくと、これだけではない結構ドロドロとした背景と人間関係が背後にあることもわかってくる。ある意味原典であるギリシャ神話らしいと言えるが
もっとも、基本的な目的は「ザグレウスの家出」であることに関しては最初から最後までブレない。
システム
-
プレイヤーはザグレウス王子を操作して冥界の一番奥のハデスの館から地上への脱出を目指すことになる。全4エリアで、各エリアごとに出現する敵やトラップの配置などが大きく異なり、エリア間には強大なボスが居る。
-
複雑怪奇な冥界の構造は、訪れるたびに別物になる他、冥界の彷徨える魂たちや魔物がザグレウスの行く手を阻む。各部屋に配置された敵を全滅させるとその部屋の報酬を獲得して次の部屋へ、という流れを繰り返していく。前の部屋に戻ることはできずボスの部屋に向けて一方通行である。
-
ザグレウスの体力が尽きると当然死亡して挑戦失敗。とはいえザグレウスは神なので、何度死のうが滅することはなく、ハデスの館に連れ戻されて再挑戦となる。
-
基本アクションは通常攻撃、特殊攻撃、ダッシュ、魔弾、祈りの5種類とシンプル。
-
ダッシュは高速移動の他、相手の攻撃の回避や位置取りなどに多用する。
-
魔弾は飛び道具だが弾数制限あり。リロード方式は時間経過や手動リロードではなく、「打ち込んだ敵を倒すか時間経過でドロップしたものを近くまで行って拾いに行く」というものなので計画的に使わないと魔弾メインの戦法は弾切れを起こしやすい。
-
祈りは途中の神から「祈り」の功徳を受け取り、戦闘中に溜まるメーターを消費しないと使えない。
-
ザグレウスの攻撃アクションは、館を脱出する際に一つだけ選べる「武器」により変化する。全6種類かつそれぞれの武器に4つの「態」という基本性能が変動するスタイルがあるため、細かく分ければ24種類の武器がある。
-
新しい武器の開放には「冥府の鍵」が、態の開放及び態の強化には「ティタンの血」が必要になる。
-
武器はオーソドックスな「剣」「槍」、近接戦特化の「双拳」、防御に長けた「盾」、遠距離攻撃ができる「弓」の他、世界観ガン無視の
「電磁砲」
なんてトンデモな代物もある。
-
なお、正式名称として「ステュクスの剣」「永遠の長槍」「混沌の盾」「心追いの弓」などカッコいい呼称もあるが、プレイヤーからはもっぱら各態の名前と合わせて「ポセイドン剣」「ゼウス盾」などと呼ばれることが多い。
-
初期状態のザグレウスは雑魚戦もキツイほど貧弱。冥界からの脱出のためにはオリンポスの神たちの助力と、恒久強化アイテムの収集がほぼ必須となる。
-
「神の功徳」を受け取れる部屋をクリアすると、オリンポス十二神(の一部)から支援を受けられる。彼らの功徳はザグレウスの基本アクションに効果を付与したり、基本ステータスを上げたり、祈りを捧げられるようにしたりするなどの恩恵をもたらす。
-
神ごとにどのような功徳が受け取れるかは大きく異なる。ゼウスなら雷を落とす功徳が多く、ポセイドンなら相手を弾き飛ばす功徳が中心など。各部屋に入る前にどの神の功徳を受け取れるかは示されているので、組み合わせで理想のビルドを目指そう。
-
他、ザグレウスのHPを上げる「ケンタウロスの心臓」や獲得済み功徳のレベルを上げる「力の柘榴」や武器自体の性能を上げられる「ダイダロスの槌」なども獲得できる。
-
これらのアイテムを売りさばいているカロンの店を訪れる機会もある。金は死んだらカロンに没収されるので出し惜しみする必要はない。
そしてローグライクのお約束と言えば……
-
これらの神の恩寵は死んだら全て没収される一時的な恩恵である。それに対し、「闇の結晶」や「宝珠」は獲得するとその冒険中の恩恵は(大抵の場合)ゼロだが死亡しても没収されず、恒久的にザグレウスを強化するために使用することができる。
-
闇の結晶はザグレウスの基本スペックを伸ばしたり、特殊なスキルを習得させることができる。
-
宝珠はハデスの館の改築や冥界自体を改築してボーナスゾーンを作ったりすることができる。
-
ネクタルはハデスの館の住人や、冒険中に出会った神やNPCに渡して好感度を上げることができる。好感度を上げると「賜物」というアクセサリーを獲得でき、冒険中一つだけ装備して出撃できるようになる。
-
冥府の鍵やティタンの血は前述の武器の強化などに用いる。
-
ハデスの館にはこれらのアイテム同士を交換してくれる「調達屋」もいる。
評価点
-
システム的には典型的な死にゲーながら、とにかく「死ぬこと」がストレスにならないように徹底して工夫されている。本作の最大の評価点である。
-
死んでも素材を持ち帰ってステータス強化や武器の解放ができるため、「次の旅では前回より先に行けるはず」というモチベーションが維持しやすい。
-
「前回は失敗したから違うビルドを試そう」「いいところまでは行けたから同じような構築を目指そう」など、ローグライクとしてのリプレイ性がゲーム体験としてとても楽しい。
-
逆に「運悪くビルドに失敗した時」でもそれはそれで「今回はクリアではなく素材収集を目指そう」と切り替えてしまえばさほど苦にはならない。
-
アクションが苦手でクリアが覚束なくても、蘇生回数を増やす「死神騙し」などのスキルを最大強化すれば、ステータス任せで強引に押し切れる可能性は十分ある。
-
それでもクリアできなければ、低難易度モードの「ゴッドモード」もあるため、これに設定すれば初心者でもまずクリアは可能。
-
一度脱出に成功してもザグレウスの旅は終わらない。今度は「熱度」という縛りプレイをかけてクリアすることで新たな報酬を獲得できるようになる。
-
基本的にはアクションゲームであるため、「相手の攻撃パターンを見切り適切に対処する」ことで驚くほどスムーズに先に進めるようになる。
-
ザグレウス自身の強化とプレイヤーの成長のそれぞれが攻略に寄与するバランスが非常に絶妙であり、「システム的なステータスアップ」「アクションへの習熟」「功徳の選定」のどれかひとつ欠けてもクリアはできないようになっている。
-
強化しきったザグレウスのアクションは非常に爽快で並み居る敵を簡単操作でバタバタ薙ぎ倒す無双シリーズばりの活躍を見せてくれるようになる。
-
ストーリーは単純明快ながら、ザグレウスを取り巻く神々のキャラクターと人間関係が非常に複雑で、読み進める意義がある。各キャラクターのアップの会話絵もかなり書き込まれており美麗。
-
失敗してハデスの館に戻ってくるたびに新しい会話が解放されるため、何度も失敗してもそのたびにご褒美があるようなものであり、これも死亡のストレスを緩和している。あまりスムーズに攻略してしまうと取り逃がす会話も多い。
-
ローカライズは非常に丁寧で、各神々の口調も個性はあるが、破綻はほぼない。ただ、作風の関係で言い回しが意図的に古臭くなっているためわかりにくいところはある。
-
本作のストーリーには基本的に明確な悪人はいない。一応の敵であるハデスもディズニーの「ヘラクレス」などと異なり、基本的には口下手で感情表現が苦手なだけで、ザグレウスのことを憎んでいるわけではない。
いわゆるツンデレである
-
また、ザグレウスに助力するオリンポスの神々も、事前に別の神の功徳を受けていると「あいつはアレだけど……」のような細かい会話イベントが入ったりしてこちらも人間関係を垣間見ることができる。
-
これらの神々の人間臭さが如実に出てくるのが時々現れる「神々の試練」イベント。二柱の神から選んで功徳を受けられるボーナスイベントと見せかけて、
選ばなかった方の神がブチギレて神罰を下してくる中で強化個体の敵を倒す
必要がある難関イベント。クリアすると、キレた神も機嫌を直して功徳を授けてくれるため、クリアできるなら本当に美味しいのだが……。
-
また、各キャラにネクタルを渡して好感度を上げていくことで賜物以外にも実利的なイベントが起きることがある。
-
それ以外にもヒロイン(
含男
)と好感度を上げていくと、直接的な描写こそないがベッドシーンが……。
ある意味ギリシャ神話らしいっちゃらしい
-
近年ではこの手のファンタジー作品に世界観ガン無視の現代ファンタジー要素が組み込まれることが多いが、本作では滅茶苦茶やっているように見えて意外と基本の世界観については徹底してギリシャ神話ベースを崩していない。そのため、ギリシャ神話ファンでも二次創作的には十分受け入れやすいものになっている。
-
強いて言うならアダマント電磁砲の存在そのものと、各武器の「態」の中に「時系列的に未来の武器」が含まれていることぐらいか。
問題点
-
「金剛石」「ティタンの血」はクリア前はほぼ個数限定品になるため、変な強化をすると取り返しがつかない可能性がある。
-
よほどのことがなければクリア自体は可能なので、そう過度に怖がる必要はないが……。
-
闇の結晶で解放できるスキルは二者択一で選択できるようになってるが、クリアだけを考えるなら最適解がほぼ決まってしまう枠が多い。切り替えは館の中なら無制限であり費やした闇の結晶が消えるわけではないのが救い。
-
「冒険全体での蘇生回数を増やせる」死神騙しと、「各部屋ごとに1回ずつ蘇生できる」不屈の抵抗では後者の方が蘇生回数自体は多いが、基本的に蘇生は「ボス部屋でまとめて使いたい」都合上、前者のほうが基本的に有益。
-
「部屋を跨ぐたびに体力が少量回復する」冥府の活力と「獲得した闇の結晶の量に応じて体力が回復する」闇の活力では、クリア済みボス部屋の報酬が大量の闇の結晶になることもあり、後者のほうがクリア目的では安定する。
-
「魔弾の数を増やす」冥界の魂と「魔弾が自動ドロップする」ステュクスの魂では、大抵のビルドでは前者のほうが使いやすい。
-
もう片方にメリットがないわけではなく特化ビルドならば有益なケースは多い。とはいえ闇の結晶にもそこまで余裕があるわけではないので、一点特化のほうがクリアは目指しやすいのも事実。
-
全4エリアしかなく、それぞれのエリアごとのボスも基本固定、雑魚の種類もそこまで多くはないため、戦闘のバリエーションに関しては乏しい。中価格帯ソフトなのでボリューム面の乏しさはある程度仕方ないとも言えるが。
-
第一エリアと第二エリアのボスに関してはランダムで変動要素があり、第三エリアボスに関しても使用技にランダム要素があるため完全ワンパターンではない。
-
基本の舞台が冥界なので仕方ないにしても、「ギリシャ神話のあのキャラはなんでいないの?」という疑問が出ても仕方ない人選の側面はある。
-
ヘラクレスやペルセウスのような地上の英雄たちの出番は無論なし。テセウスとアキレウスがいるのは冥界に縁がある人々だからか。
-
オリンポス十二神のうち、ヘラ、アポロン、ヘパイストスの出番はなし。
総評
極端に画期的なシステムを組み込んだわけではなく、ローグライク+アクションゲームの要素を徹底して丁寧に、ストレスがないように組み上げた、と評価できる一作。
死にゲーながら「次はもっと上手くやれるはず」という実感を確実に感じることができるゲーム性は、単純ながらなかなか他のゲームでは味わえない感覚である。
世界観なども秀逸で、何度も死んでも嫌になりにくい、現代的ながら同時に古典的な空気も併せ持った一作と言えるだろう。
余談
-
2025年9月26日には続編『HADES II』も発売された。
-
ある種牧歌的だった本作と比べると、いきなり戦争が起きているなど一気に世界観はシビアになっている。また主人公も代わっている。
最終更新:2026年06月01日 20:36