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おそ松くん はちゃめちゃ劇場

【おそまつくん はちゃめちゃげきじょう】

ジャンル アクション
対応機種 メガドライブ
メディア 2MbitROMカートリッジ
発売・開発元 セガ・エンタープライゼス
発売日 1988年12月24日
定価 5,500円(税別)
判定 クソゲー
ポイント ステージはわずか3面しかない
水増し目的の無限ループ
文字通り「お粗末」な出来
赤塚ワールドを再現しようとした(?)電波な世界観
少年サンデー関連作品リンク


概要

赤塚不二夫氏の人気漫画『おそ松くん』を原作とした横スクロールアクションゲーム。
本作発売年の1988年には、丁度『おそ松くん』のアニメ第2作が放送されており、ゲームのタイトル画面にもEDテーマの「おそ松音頭」が使用されている。


特徴

  • ゲームシステムそのものはオーソドックスな横スクロールアクション。
    • ライフ制を採用しており、敵からの攻撃を受けるとライフが減少する。ライフが尽きると残機を消費してその場から復活する。残機が尽きたらゲームオーバーになる。コンティニューは存在しない。
    • 初代『スーパーマリオブラザーズ』のように、一度右にスクロールすると後戻りできなくなる方式。
    • タイトル画面でAボタンを押しっぱなしにして上下入力することで、難易度変更が可能。1~3の3段階あり初期設定は1になっている。
  • プレイヤーはおそ松。
    • 説明書によると、イヤミが作った魔法の扉の先にあるパラレルワールドに、イヤミとチビ太がおそ松以外の兄弟5人を誘拐して待ち構えており、おそ松が兄弟たちを助け出すというストーリー。
    • 基本操作は、よくある横スクロールアクションゲームのそれに近いが、各種挙動はややフワついており、若干クセがある。
      • 方向パッドで左右移動としゃがみ。上入力で建物などの扉に入ることができる。
      • Cボタンでジャンプ、Bボタンでパチンコ攻撃、スタートボタンでステータス画面が開き、その最中にAボタンで所持しているアイテムを使用できる。
      • 上とCボタンを長押しすることで大ジャンプができる。
    • 攻撃はパチンコによる射撃のみ。スタート時の射程は短いが、ボスを倒して兄弟を助けることで射程が伸びたり貫通するようになる。
      • 左右に弾を撃つことができ、空中でも発射可能だが、上下方向に撃つことはできない。
      • またしゃがんでいる間もパチンコ攻撃は可能で、これにより背の低い敵を攻撃したり、弾の発射位置を僅かに調整することも可能。
    • 道中の敵を倒すと回復アイテムを落とすことがある。また、ショップ(後述)で購入したアイテムを使うことで、自由なタイミングで特殊な効果を発揮することが出来る。
  • ショップ
    • 道中に落ちているリボンを対価に買い物が出来る。店員はトト子。買えるアイテムは6種類。
      • はね…天使の羽のようなもの。おそ松に羽が生えて一定時間空を飛べる。
      • たこ…生き物の「蛸」、何故か足が増えて一定時間スピードアップ。ただし大ジャンプは出来ず、時間切れの無い本作で時間に迫られることは無い。
      • はなび…いわゆるねずみ花火。半画面分ほど地を這った後爆発、敵に大ダメージを与える。ただし爆発前におそ松がダメージを受けると消滅する。
      • ばりあ…木枯し紋次郎のような服。一定時間無敵になる。ただしボスの攻撃には無効。
      • からし…チューブのねりからし。あまりの辛さにシェーをして、画面上のザコ敵を一掃する。中ボスにも効くが、ステージボスのイヤミには無効。
      • ほね…魚の骨。ネコが助けに来てくれて、一定時間下半身無敵とスピードアップ。ただし強制的に移動するようになり、大ジャンプも出来ないため、場所によっては使用すると逆に危険なことも。
    • また、ショップに入ると買い物の前にあみだくじのミニゲームをやらされる。当たればライフが回復するが、外れるとリボンを減らされる。
  • スロット
    • 道中にある施設に入るとリボンを対価にスロットが出来る。当たり図柄が揃えばリボンやライフや残機が増えるが、ハズレ目が揃うとリボンを失う。
  • ステージ(ワールド)
    • 1ステージは短めのエリアがブロックのように幾つにも分けられていて、エリアの最後や道中に「扉に入る」「穴に落ちる」「風船などで上昇する」といった別エリアへの道筋がちりばめられており、ルートが枝分かれしている。その中で正解のルートを通らなければボスにはたどり着けないが、ノーヒント。間違えるとステージ最初に戻されたり、隠し扉が罠であったりと、不条理な仕様。
    • なおステージ(ワールド)は全部で3つあり、順番に「桃太郎ワールド」「白雪姫ワールド」「恐竜ワールド」となっている。
  • 他に6枚集めると残機が上がる「おそ松くんカード」、ライフの上限が上がる「トト子ちゃん人形」等が道中にある。

問題点

  • たった3つしかないステージ
    • 特徴に記した通り本作のステージ(ワールド)は3つしかなく、バリエーションに乏しい。
    • 本作以前の横スクロールアクションゲームと比較しても、前世代のゲーム機であるFCの初代『スーパーマリオブラザーズ』は8レベル×4ステージの32ステージ、初代『魔界村』では7ステージ、同年発売のMD版『獣王記』ですら5ステージあった。これらを考えると本作の3ステージというのは、当時基準でもステージ数が少ない・バリエーションに乏しいと評されても仕方ない。
  • 水増し目的の無限ループ構造
    • 本作は正しい道を選択しないと最初に戻されてしまう迷路のようなエリア構造となっており、正解ルートを見つけないと無限ループしてしまう。そして前述した通り正解のルートはノーヒントであるため、初見では確実に道に迷う。
    • そのため攻略情報無しでのクリア時間・プレイ時間こそ、それなりにかかるが、前述したワールドのバリエーションと数の少なさも合わせて水増し目的と批判されている。
    • 逆に正しいルートを把握していれば、最速で10~15分前後でゲームクリア可能となっている。
  • ゲームを進めるごとにおそ松以外の兄弟を助けることができるが、誰を助けたのか全く分からない。
    • 兄弟たちは「たすけてくれて さんきゅう!」と言うだけで、誰が何松なのかの説明は全く無し。一応、原作でも6つ子の見分けがつかないという描写はあったが、これでは……。
    • またゲーム内では兄弟たちが捕まっているような描写も全くされず、ボス撃破後にエリアが切り替わると唐突に兄弟たちが助かるため、達成感もあまりない。
    • その他にも、1つ目のステージと2つ目のステージで、それぞれ兄弟を2人ずつ助けだす描写があるが、3つ目のステージのみ兄弟を助け出す描写が無く、クリアすると唐突にエンディングとなる
      • エンディングでは兄弟6人が揃っているため、最後の1人はいつの間にか助かっていることになっている。
  • 操作性も絶妙に悪い
    • ジャンプがフワフワしていたり、左右移動する際にちょっとだけ滑ったりと、ややクセが強いため初見だと操作しづらい。
  • 敵に攻撃を当てた時の効果音が、「ボワン」「ボゥン」と無機質で迫力が欠けているものばかりで、爽快感が全くない。
    • それ以外に敵に攻撃が当たった際の演出はない。点滅すらしないので、ライフが多い敵の場合、ぱっと見攻撃が効いているように感じられない。
    • ダメ押しとばかりに、攻撃を当ててもこれらの効果音が鳴らない時がある。それが発生すると攻撃が効いていない・届いていないと勘違いしやすい。

賛否両論点

  • 赤塚ワールドを再現しようとした(?)電波なパラレルワールドが舞台
    • 特徴に記した通り、本作のシナリオはイヤミが作った「魔法の扉」の先にある「パラレルワールド」を冒険していくというオリジナルストーリーとなっている。
      • これらの設定は説明書にしっかりと書いてある一方で、ゲーム内ではパラレルワールドが舞台であることの説明は全くされていない。
      • また、パラレルワールドが舞台なためか、背景の色使いがやけに激しく、例えば最初の桃太郎ワールドでは、空の色がマケドニア国旗のような赤と黄色の模様になっており、プレイヤーの目に悪い。
    • 登場する敵キャラたちは原作の登場人物たちが、舞台に沿った見た目で登場する……のだが、端的に称するなら「カオス」「電波」と言っても差し支えないほど、配役と内容はメチャクチャ。
      • 例えば、灰色の顔が不気味なチビ太の地蔵、やたらあごがしゃくれたダヨーンの鬼、時々ギョロ目をするイヤミの顔をしたカニ、素足が生々しいデカパンの顔をしたダチョウ、やたらでかく白雪姫の格好をしたイヤミ……など、不気味なデザインの敵キャラが数多く登場する。
      • 更にこれらの敵キャラたちは雑魚敵の場合、同一のものが一度に複数体登場する。色違いのダヨーンの鬼が別の場所で何体も登場するのは序の口で、白雪姫の小人の姿をしたチビ太が同時に3体連なって向かってきたりと、いくら「魔法の扉」「パラレルワールド」という設定であっても、人によっては首を傾げかねない内容となっている。
      • 他にも、桃太郎が舞台のはずの最初のワールドでは、イヤミがエンマ大王の姿をして待ち構えていたり、恐竜ワールドではチビ太がUFOに搭乗して攻撃してくるなど、統一感が見られない配役になっていることもある。
    • 一見して、電波と評されかねない世界観となっている一方で、赤塚ワールドを再現しようと試みたと捉えれば、一概に原作無視とは言い難いと擁護する声もある。
      • 赤塚不二夫作品の特徴の一つとして、ナンセンス・不条理なギャグを多く展開する挑戦的な作風が挙げられるため、本作の電波な作風に関しても一応それらを再現しようとしたと受け取れなくもない。

評価点

  • ステージの種類の少なさと水増し目的のループ構造を除けば、アクションゲームとしては最低限遊べる内容となっている。
    • 問題点で記した通り、おそ松の挙動や操作性は若干クセがあるが、アクションゲームとしては致命的なまでに悪いという程でもなく、慣れれば制御は十分可能となっている。
    • ゲームバランスもそこまで悪いわけではない。敵の攻撃や挙動は少々激しく、アクションゲーム初心者にとってはやや厳しいが、時代を考えれば激ムズと称するほどの難易度ではない。
    • もっともボリュームに関して言えば、同時期発売のゲームはおろか、前世代機のアクションゲームにすら劣る少なさ・やりごたえのなさであるため、定価に見合う内容とはとても言い難いが。
  • ライフの増減に従っておそ松自身の表情が段々変わっていくという、細かい描写がある。

総評

同時期発売のアクションゲームはおろか、前世代機で発売されたアクションゲームと比べてみても、かなり出来の悪い作品。
中でもステージの種類の少なさと水増し目的のループ構造は、とりわけ批判されており、世間一般では概ねクソゲー呼ばわりされている。
しかもメガドライブが発売されてから4作目のソフトという実質ローンチタイトルに等しい扱い*1だったこともあり、数少ない選択肢から本作を選んでしまったユーザーはご愁傷様としか言いようがない。
タイトル通り「はちゃめちゃ」な世界観に関しては、赤塚ワールドを再現したと捉えることも一応可能ではあるが、各種描写の少なさなどからキャラゲーとして評価する声は殆どない。
結果として、本作をプレイしたプレイヤーからは「お粗末」「クソ松」などと、猛烈にこき下ろされる一作となってしまった。


余談

原作者激怒のデマ、制作の裏話

  • 『おそ松くん はちゃめちゃ劇場』のプログラムを担当したスタッフが後にシムスに移籍した際、当時のBeepメガドライブ誌のインタビューで「原作者が怒鳴り込んで灰皿を投げ付けて来た」と「お○松くん?」と記述されていた。
    • これが原因で「赤塚先生を激怒させた」という噂が流れ、当時は「製作会社のセガ社長ですらバカにする出来だ」とゲーム雑誌に取り上げられたりもしてかなり信じられてもいたが、後に赤塚先生絡みの一件はあくまで話が盛られて誇張されたデマだったと判明。
    • そもそも当時の赤塚先生は仕事仲間との麻雀やトランプ遊びを好んでおり、メガドライブを持ってすらいないどころか一人遊びのテレビゲーム自体には見向きもしておらず、逆に恋人を作らずに部屋にひきこもっている若者が増えていることに危惧をしていた程だった。
      • そして、テレビゲーム自体を揶揄したり割と皮肉った漫画を発表することも多く、『ギャグゲリラ』では「インベーダーゲームはインベーダーが人類をバカにするために作ったゲーム」といった設定のギャグを描いたり、ゲーマーが電波ジャックしてゲームの対戦プレイを全国テレビ配信したあげく「テレビゲームのプロ第1号」が誕生するギャグなど、様々なネタとして使っていた。
    • 一方で、次の年にはファミコンからまともな『おそ松くん』のゲームが出ている。
  • 後に、当時の製作現場を知る人物のブログにおいて「当初は全8ステージ」「人災(製作スタッフが逃げた)によりああなった」との暴露がなされた。
    • 上記の「人災」についても正しく「お粗末」と形容すべき内容であったが、現在はそれを載せていた元記事は削除されている。今もセガで現役であるという当人からクレームが来たという噂もあるが削除理由は不明。
      • なお記事名は「社長も知らないセガの裏・MD「おそ松くん」の真実」というタイトルであった。

ゲーム内

  • 説明書には3つのワールド紹介がされており、最後にイヤミの口調で「ミーのところまでは、まだまだあるザンス」とこれ以外にもワールドがあることを仄めかすような記述があるが、実際は前述した通り3つしかワールドは存在しない。
    • 一応、同ページの3つ目の恐竜ワールドの紹介の冒頭に「最後は恐竜ワールド」という紹介文もあるため、この辺は読み手の解釈によって変わるところだろうか。
  • 敵キャラの中には槍と弓を持った黒人部族風の敵もいる。
    • 矢を放って攻撃してくるが、今見れば差別問題になりかねない造形をしている。尤も、原作漫画でも60年代にサンデーで連載されていた時、人食い人種なるものが何回か登場していたが…。
  • 本作にはエンディング後のスタッフロールが存在しない。
    • 意外にも、製作メンバーは『セガラリーシリーズ』とほぼ同じであることが上記のブログ記事にて語られていた。
  • 初期版にはバグがあり、必ずフリーズしてクリア出来なくなるとの噂がある。
    • ただしこのバグは、あくまでもメガドライブ本体の製造ロットによるハード依存の不具合であり、同じソフトでも発生するケースとしないケースがあるらしい(後期ロットには発生しない)。
    • この手のバグは、ゲーム起動時にRAMを初期化する際に完全に初期化出来ていない場合に発生することが多いが、それが原因かは不明である。

ゲーム外

  • 『ゲームセンターCX』#223にて挑戦ソフトに選ばれる。
    • スタッフ側としては不正解ルートでの無限ループで四苦八苦する展開を予想していたのだが、有野のまぐれプレイによってわずか3時間弱のスピードクリアとなる。放送の尺が足らないためか、使ってないアイテム紹介のためと、ステージ2ボス戦後に謎の隠しアイテムが出現した事の検証で、残業という珍しい形で再プレイする事となった。
    • 番組内ではその正体は不明のまま終わってしまったが、実際は隠しキャラクターのケムンパス。イヤミ撃破後にケムンパスを出すと表示がおかしくなるというバグらしい。
  • アニメ『ポプテピピック』1期7話において、本作の兄弟救出時の演出「たすけてくれて さんきゅう!」のパロディが流れた。

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ACT MD 1988年
最終更新:2026年05月03日 10:55

*1 1988年10月29日のメガドライブ発売日に売っていたソフトは『スペースサンダーブレード』と『スペースハリアーⅡ』だけで、3番目に発売されたのが11月27日発売の『獣王記』。メガドライブ発売年の1988年内に発売されたソフトは『おそ松くん』を含めて4本しかなかった。