このページでは『BALDR FORCE』とその完全版『BALDR FORCE EXE』の全年齢移植版(判定は共に良作)を紹介しています。
BALDR FORCE / BALDR FORCE EXE(R-18)
【ばるどふぉーす / ばるどふぉーすえぐぜ】
ジャンル
アクションアドベンチャー
対応機種
Windows 98~XP
発売・開発元
戯画 TEAM BALDRHEAD
発売日
【無印】2002年11月1日 【EXE化/EXE】2003年1月24日
価格
【無印】8,800円(税抜) 【EXE化】2,980円(税抜) 【EXE】8,800円(税抜)
廉価版
【EXE廉価版】2003年12月5日/5,800円(税抜)
レーティング
アダルトゲーム
配信
【EXE】2021年9月30日/4,980円(税込)DL版は2023年3月31日をもって配信停止
判定
良作
戯画作品リンク
概要
戯画が制作したアダルトADVにロボットアクションゲームの要素を加えた『BALDRシリーズ』の第4作目。
3作目までは実物のロボットに乗り込んで戦っていたが、本作以降のロボットは電脳空間での戦闘用アバターと言う設定になった。本作のヒットで良くも悪くも3作目までの設定は忘れられがちだが。
サイバーパンクな世界を舞台に、様々な思惑が絡み合う物語とロボットアクションが見事に融合している。
後に追加要素を加えた完全版『BALDR FORCE EXE』と、無印を『EXE』相当にバージョンアップ出来るコレクションディスクも発売された。
2021年9月30日に『BALDR FORCE EXE』のダウンロード版が発売された。
ストーリー
脳内にチップを埋め込み、サイバー空間へダイブする事が一般的になった近未来。
ハッカー集団「ステッペンウルフ」に所属する相馬 透 は、リーダーの野々村優哉 の提案でグループを解散する事となり、最後のハッキングとして軍のデータベースへダイブする。
ところが、そこに襲撃してきたサイバーテロリストと軍の戦いに巻き込まれ、優哉は死亡、透たちは逮捕されてしまう。
やがて転機が訪れ、警察を出所した透は優哉の仇を討つため、復讐を誓う……。
+
主人公とヒロイン
相馬 透(そうま とおる)
主人公。クールで寡黙だが内に熱いものを秘めている。
ハッカーとしてのイロハを教えてくれた優哉とは親友だった。
笹桐 月菜(ささぎり つきな)
透の幼馴染で一緒に「ステッペンウルフ」に所属していた。
警察からの出所後、対テロ部隊を擁する民間警備会社VSSに所属する。
瀬川 みのり(せがわ みのり)
軍所属。情報管理係第一小隊のサポートを務める。軍人とは思えないほどおっとりしている。
紫藤 彩音(しどう あやね)
軍所属。情報管理係第一小隊のエースパイロット。だが、作戦中にスタンドプレーを行う問題児でもある。
リャン
テロ組織「飛刀(フェタオ)」のメンバーでサポート担当。明朗快活なチャイナ娘。
バチェラ
「ステッペンウルフ」と行動を共にしていた凄腕のハッカー。正体は謎に包まれている。
水坂 憐(みずさか れん)
ネット上に出没すると噂される電子幽霊(ワイヤードゴースト)。
特徴
ADVパート
基本的には一般的なADVと同じく、選択肢で展開を変化させながら進めていく。
ストーリーの要所ではアクションパートが挟まれる。
アクションパート
見下ろし方のフィールドで、シュミクラムと呼ばれるサイバー空間内に存在するロボット兵器を使用して戦う。敵を全滅させる事が目的。
操作は方向キー+4ボタン。内3つのボタンそれぞれに4つまで武器を登録出来、残る1つのボタンはショートダッシュとなっている。
武器は敵との距離やショートダッシュと組み合わせる事で使用する武器が決まる。距離は近接、近距離、遠距離の3段階がある。
ショートダッシュとは別に方向キー2度押しでダッシュ移動が可能。
武器を使用するとヒートゲージが貯まり、最大まで貯まると武器を使用出来なくなる。また、ダメージが増える。これは敵も同様。
武器を使用することで経験値が貯まり、規定量貯まると新しい武器を開発出来るようになる。また、武器ごとにレベルが存在し、こちらも使用することでレベルアップする。
さらにフォースクラッシュと呼ばれる超必殺技があり、ダメージを受けたり攻撃を当てる事で上昇するゲージが最大の時に使用できる。
最初は「キャノンブレイカー」しか使えないが、条件を満たすことで新しいフォースクラッシュが使用できるようになる。
評価点
練りこまれたストーリー
後述のような問題もあるが、ヒロインたちを攻略していく中で徐々に伏線が回収され、真実が明らかになっていくストーリー構成は評価が高い。
序盤に攻略するヒロインは普通のギャルゲーらしく、ヒロインと接する内に復讐心が薄れ、軍人として世界と大切な人を護るために戦う熱血主人公という王道的な展開だが、後半では軍やとある人物の思惑がクローズアップされていき、主人公たちに隠された秘密、憐の正体と世界に迫る危機が焦点になっていく。燃える展開も多く、SFらしい結末も含めて本作の魅力の多くを牽引している。
ルートごとに透の立ち位置が大きく変化する構造を持っているため、ルートによって他のキャラクターとの関係性が大きく変化するのも面白いところ。
序盤こそ軍に所属するためテロリスト側は殆ど描写されないが、テロリスト側に所属するシナリオではそちらのキャラクターたちも掘り下げられるようになっているので、魅力のないキャラクターは皆無に等しい。
また、ルートごとに3つのエンディングが用意されているので、そういった点でも抜かりはない。
主人公・透も真面目で熱い性格な事もあって人気は高い。
敵役であるゲンハも、その容姿とぶっとんだ言動と凄まじい性格ゆえに強いインパクトを残す。言ってはなんだが、エロゲーじゃないと出演させられないレベルの発言が多すぎる。一部のHシーンでの行動はまさに極悪人そのもの。 しかしながら後半につれて、彼に秘められた事実が明らかになると『悪いけど哀れな奴』という印象が強くなっていく。 カルピスの原液ばりに濃すぎるキャラクター性と、声優の怪演もあってかファンが多く、彼の事を様付けで呼ぶプレイヤーは数多い。
爽快なアクションパート
多彩なアクションと自由な武装によりコンボパターンが非常に多く、且つスピーディーで爽快感が高く、本作の人気の一端を成している。
武装の数も60種類以上と非常に多彩で、アクションや距離との組み合わせで使い勝手が大きく変化する。適当にやってもそれなりにコンボが成立するため敷居は低く、なおかつ自分なりに使いやすいコンボを探す楽しみもある。プラクティスも用意されているので、コンボの練習もしやすい。
空中コンボなどを組むのが苦手で遠距離武器メインの逃げ撃ちでも、戦闘に時間はかかってしまうがじゅうぶんに攻略可能。
ゲームバランスも整っており、アクション初心者から上級者まで遊びやすい難易度になっている。
また、特定の場面では戦闘での勝敗でストーリーが変化する場合もある。
『EXE』では新たに「バルド地獄モード」が追加され、アクションパートを極めたい人の要望にも十分応えられるものとなった。
グラフィック、音楽は当時の水準としては上の方
特にKOTOKOの歌う主題歌「Face of Fact」は本作を代表する曲として高い人気を獲得した。
その他のシステムも快適
スキップやバックログといった基本機能からキャラクターごとにボイスあり/なしを選べたり、アクションパートの難易度を変更出来、快適にプレイ可能。
賛否両論点
後半になるにつれ冗長化するバトルパート
アクションを重視したゲームである以上仕方のない事だが、後半になるにつれ戦闘が長期化しやすい。ストーリーの先が気になる場合、邪魔に感じる事もある。
前述のようにバトルパート自体は人気もあるので、痛し痒しである。
問題点
攻略ルートが固定されている
ストーリー構成上、重要な情報を握っているヒロインほど後に攻略する事になるため、気に入ったヒロインがいても、そのヒロインの順番になるまで攻略できない。このため、攻略の自由度は低い。
後になるほど盛り上がっていき、周回引継ぎもあるのでダレないようにはなっているが。
一部Hシーンが人を選ぶ
今でいうNTR展開やスカトロプレイといったシーンが存在するため、ストーリーは万人向けだがHシーンは人を選ぶ傾向にある。
主人公は前述の通りまともな人物なのだが、一部Hシーンでは極端なプレイを実行する関係で人が変わったような状態になる。あまりにも違和感が拭えない描写のため、問題点を通り越してネタとして取り上げるプレイヤーも多い。
また、ストーリー的にはHシーンがなくても成立するため、無理にエロゲーとして発売する必要があったのか? という声が聞かれる事も。
ただし、多くのルートで敵として登場するゲンハのようにアダルトゲームだからこそ出せるようなキャラクターも存在する。
専門用語の多いテキスト
世界観に合わせてかテキストには専門用語や中二病的な言葉が登場するため、気になる人は気になるレベル。
総評
ゲームが進むにつれて盛り上がっていく物語と秀逸なアクションパートの出来から、戯画作品の最高傑作という声もある名作。
アクションパートにハマるプレイヤーも多く、当時のエロゲーの中でも群を抜いた作品として高く評価された。
今からプレイするなら家庭用版の要素を反映した「BALDR FORCE Standard Edition」がオススメ。
BALDR FORCE EXE(全年齢)/ BALDR FORCE Standard Edition
【ばるどふぉーす えぐぜ】
対応機種
ドリームキャスト プレイステーション2 Windows
PC全年齢版
発売・開発元
【家庭用】アルケミスト 【PC】テイジイエル
発売日
【DC】2004年10月28日 【PS2】2005年4月7日 【PC】2007年3月23日
価格
6,800円(税抜)
レーティング
CERO:18才以上対象(当時のレーティング)
判定
良作
限定版
【PS2】メガボックス:2005年4月7日/8,800円 【PS2】アルケベスト シュミクラムパック:2006年3月23日/4,800円
廉価版
【PS2】アルケベスト:2006年3月23日/2,800円(全て税抜)
概要(全年齢)
『BALDR FORCE EXE』の家庭用全年齢移植版。タイトルはWin完全版と同じになっている。
DC版は、ほぼオリジナルそのままの内容だが、PS2版は一部追加要素が存在する。
全年齢版のPC移植版タイトルは『BALDR FORCE Standard Edition』。
評価点(全年齢)
元々完成度が高かった事もあり、Win版の魅力は極力そのままで、移植度は非常に高い。
PS2版の追加要素
新規声優陣とオリジナル版の声優陣を切り替えられるデュアルボイス機能が追加された。
新規声優陣はアニメでも活躍する人気声優ばかり。オリジナルでは声なしだった透にも石田彰氏が声をあてている。
同時期に展開された他の戯画作品共々、この機能はPS2版限りとなっており、以後は透を除いて旧来の声優陣で一本化されている。
アクションパートが苦手な人用に、一時的に機体を強化する「ハイパーモード」が追加された。
ねこねこソフトから発売された『ねこねこファンディスク2』に収録されていた「バルドねこフォース」が追加収録されている。
賛否両論点(全年齢)
PS2版の新OPは微妙な評価
バチェラ役の桃井はるこが歌う「LOVE.EXE」を起用した新映像になっているが、やはり「Face of Fact」の人気が高かった事から微妙と言われる事が多い。
曲や映像は悪くなく、3Dで表現されたシュミクラムのスピーディーな戦闘シーンなどもあってかっこいい出来。また、「Face of Fact」バージョンもちゃんと収録されている。
問題点(全年齢)
中途半端なアダルトシーンの削除
家庭用移植に伴いアダルトシーンは削除されているのだが、前後のシーンはそのままに濡れ場だけ削除しているため、かなり違和感がある。
また、このためにキャラクターの魅力が落ちた部分も見られる(特にゲンハ)。
PCと家庭用機のスペック差により仕方のない点だが、アクションパートで処理落ちが見られる。
総評(全年齢)
アダルトシーンの削除に伴う問題を除けばオリジナルに忠実な良移植。
追加要素もあり、家庭用版も十分魅力があると言えるだろう。
余談
シュミクラムは人気があった事もあり、家庭用版の予約特典や限定版にはフィギュアが付属した。
DC版では予約特典でシュミクラムのフィギュアが付属。
PS2メガボックス版では付属するフィギュアは水坂憐のもので、「シュミクラムのフィギュア+武装セット」を購入できる限定通販応募券が同梱されていた。
PS2廉価版発売時のシュミクラムパックでは「シュミクラムのフィギュア+武装セット」がそのまま同梱された。このため瞬く間に売り切れている。
BALDRシリーズとDUEL SAVIORのファンディスク『Xross Scramble』(2007年発売)には、外伝作『BALDR FORCE Re-Action』が収録されている。
シリーズのセット商品『BALDR MASTERPIECE CHRONICLE』(2017年発売)に『BALDR FORCE EXE』と『BALDR FORCE Re-Action』が収録されている。Windows Vista~10対応。
「Face of Fact」はJOYSOUND・DAMに登録されており、カラオケで歌える。
最終更新:2024年11月28日 03:43