ココロノココロン
【こころのこころん】
ジャンル
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コミュニケーションアドベンチャー
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対応機種
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ニンテンドーDS
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メディア
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DSカード
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発売元
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バンダイナムコゲームス
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開発元
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バースデイ ハ・ン・ド
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発売日
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2011年7月14日
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定価
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5,040円(税5%込)
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プレイ人数
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1人
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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セーブデータ
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1個
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判定
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なし
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ポイント
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50超のキャラと友情を築くゲーム シナリオの聞き逃しに注意 ゆるいゲームと思いきやそうでもない
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概要
ひょんなことからココロン星という宇宙のどこかにある星にとばされてきてしまった主人公を操作し、ココロン星の住人とお話ししたり悩みを解決していきながら、ひとつのストーリーをすすめていく内容。ゆるい雰囲気ではあるが、テーマ自体はなかなかシリアスなものも含まれる。
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戦闘などは全くなく、アクション要素のあるミニゲームが時折はさまれる程度。
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コミュニケーションが主体であり、3Dで描かれたマップを歩き回って、NPCと対話、アイテムの受け渡し、抱えている悩み(メインシナリオ)を解決、場合によってはさらに親密になって一緒にミニゲームに興じることになる。
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ランダムで台詞を発するNPCとスローライフを送るゲームではなく、きちんとストーリーが存在しゲームクリアにまでいろいろなNPCとかかわることになる。
あらすじ
明日に控える新学期が不安で、大好きな星空にため息をついていた少女、ミルミル。
そんな彼女は、部屋にかけてある自分の帽子から不思議な気配を感じ、手に取ってみると吸い込まれてしまい、その先には見たことのない世界が広がっていた。
ゲームシステム
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基本的な動作
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NPCや看板に向かってAボタンを押すと話しかけたり、調べたりする。地面に落ちている光にAボタンを押すとアイテムを拾う。
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シナリオを進める上で、ココロンは何かのアイテムを必要としていることが大半であり、拾ったアイテムを「プレゼントに包んで」手渡すことで彼らの役に立つことが出来る。
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ココロン星の住人はみな、携帯電話を持っており一度でも出会って会話をすればメールや電話ができる。ただし、こちらから能動的に行えるのは電話のみ。メールはシナリオを進める上で向こう側から送られてくることが大半。
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シナリオ攻略
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主人公は最序盤にて、ココロブックという友達リストのようなアイテムを入手する。このブックにココロカードという絵手紙風の名刺アイテムを集めていくことで友達の輪を広げ、ココロンの星に活気を取り戻すというのが、ストーリーのざっくりとした目的。
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その際プレイヤーの名前を決めたり(デフォルトネームはミルミル)、誕生日も設定できる。後から変更はできない。また性別は固定で外見も変更できない。
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NPCと話して、ほしがっているものをとってきたり、選択肢形式の質問に答えて仲良くなることで、そのNPCについてのイベントは一段落したことになる。
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一定以上仲良くなったNPCとは名刺に相当する「ココロカード」を交換でき、ココロブックにも載せることができるが、交換のタイミングはイベント攻略後だったり、初対面で交換するケースもあり一定ではない。
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ココロン星の土地はいくつかの村、町に分かれている。ゲーム開始時に活動できる範囲は狭いが、多くのNPC(ココロン)とのシナリオを解決し、上記のココロブックのページを1枚1枚完成させていくことで、次の範囲へと進めるようになる。
その他
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WAとミニゲーム
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自分の特に親しいNPCに対して、クラブを作り特定のミニゲームをすることができる。
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ミニゲームの内容は、それぞれアイテムを持ち寄って交換会や、バザー、ケーキ作りをするものがある。またした画面とタッチペンを使ってリズムゲーをしたり神経衰弱するゲームも。
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アイテムに関係するミニゲームはこちらから能動的に操作する場面はほとんどないが、クラブに入っている仲間が持ってくるアイテムに差が出る。
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ミニゲームには指定された人数を集める必要がある。ミニゲームができる場所ではそのゲームに必要な人数が表示されており、主人公を含めて指定人数以上になる必要がある。
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ココロカードを集めるごとに、WAに招待できる最大人数が増加していく。
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だれかなココロン
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ゲーム起動直後のメインメニューの1コーナー。名前、生年月日、血液型、いくつかの性格に関する質問に答え、回答者がどのココロンにもっとも似ているのかを診断してくれる。
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セーブ
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特定の場所でセーブできる方式。各町におおよそ1つずつセーブ拠点があり、荷物を預けておくことも可能。セーブ拠点から別のセーブ拠点へのワープ移動も可能。
評価点
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多くのキャラ相手に用意されるシナリオ
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シナリオを進めるごとに様々なココロンとかかわることになるのだが、それぞれに満遍なく焦点を当てようとはしている。
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最初に出会うココロン達は研究者であり、ココロン星の歴史について研究しているという触れ込みだが、きちんとエンディングまでの流れに生かされている。終盤からにはなるが、主人公のピンチ解決の一助にはなってくれる。
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きちんとココロン同士の絡みもある。隣人を気遣うイベントがいくつか登場するためほっこりとできる。
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ココロブックにあるココロカードのテキストやココロン同士の関係図はイベントに細かく対応している。
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キャラクターの仕草
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DSのゲームにしては珍しく、グラフィックはなかなかきめ細かく作られている。キャラが非常に多いながらも、「笑ってガッツポーズする」「荷物を受け取る」「恐怖で震える」といったモーションが逐一用意されており目に余る使い回しも見当たらない。
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NPCと仲良くなった時にもらえる「ココロカード」のデザインも千差万別。
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WAのシステム
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WAで好きな仲間を誘って協力しながらミニゲームすることで、誰かの役に立ったりココロン星のピンチを救える一幕がある。
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事実上、モブ同然のNPCも含んだほぼすべてのキャラと協力して物語を進めたりミニゲームを行えるという点は、ゲームとしては珍しい内容。
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ココロン星の世界観
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NPCのココロンも含め、地球上ではありえない生き物・物体を構成することには努めている。
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シナリオで最初に訪れることのできる集落は、全体的にサイケデリックだがどこかかわいらしい造形。
問題点
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NPCの台詞パターンが少ない
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台詞のパターンが変わる条件は原則「そのキャラが関与するイベントを開始する」「ココロン星全土に影響する事件が発生」したときのみ。
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それ以外であれば意味もない世間話をするか、シナリオ攻略の詰み状況を回避するためのヒント提供者になるかの2択。しかも世間話もほとんどのキャラで1パターンしか用意されておらず、隣人に危機が訪れようが、主人公に感謝すべき時であろうが一貫してどうでもいい発言をすることも多々。そのためココロン星への没入感は著しく薄い。
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仮にイベントの当事者になっても、ほとんど存在感を発揮できないNPCもいる。
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「持ち場を離れられないから、この金銭で○○を買ってきてくれ」という要求にこたえただけでココロカード交換し、その後特にイベントが起こらないキャラもいる。
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基本主人公が右往左往して何かを解決することになる(主要キャラに該当するココロンは主人公に力を貸すこともあるが)。人によっては友達作りではなく便利屋さんをさせられている気分になるか。
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それでいて、主人公の悪評を流されるイベントでは、その悪評に対してほとんどだれも疑いもせず恩人であったはずの主人公を除け者にし始める、等不自然としか言いようのない展開も発生する。
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物語を忘れやすい
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きちんとストーリーを攻略するゲームとして作られているにもかかわらず、そのストーリーを見返す機能がない。
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物語に見せ場はそこそこ用意される。しかし個々のイベントが特に脈絡がなくつながっていたり、忘れたころに過去の出来事を前提としたイベントが起きることもある。
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適当に作られているところと、伏線を使ってまで深いメッセージを込めているところとの落差が大きい。あまり理屈で物語を考えることはお勧めできない。
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事実上ストーリーのキーパーソンとなっているキャラであるにもかかわらず終盤までココロブックにも載らないキャラもいる。敵役として機能しており出番の多いキャラはいいのだが、終盤のとあるイベントに関与する飴玉のようなキャラは少し登場、主人公に手紙を託して去る、の2回しか登場しないため、彼女に関する終盤のイベントが唐突にうつりかねない。
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次の目的がわからなくなる
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おそらく本作を攻略するうえで最も不便な点。
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シナリオの目的のアナウンスはかなり乏しく、しばらく後にゲームをロードして再開すると何をしていいのか分からなくなることが多々。
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一度しか聞けない会話も多く、うっかり次のイベントに関するセリフを読まずにAボタンで送ってしまったときにも困る。
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ヒントを見る手段として一番効果的なのはNPCが送ってきた「依頼用メールを見る」だが、これもメールが来ないことの方が多いので解決策にはなっていない。
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周囲のNPCの発言で、次のシナリオに進むためのアクションをにおわすことが多い。またココロカードのメッセージは確かにシナリオを反映するのだが、非常にさりげない場合もあり、完全に忘れてしまった上で再開した際のフォローになるかは不明。NPCが口にするヒント自体は変に的確だったりする。
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頻繁でこそないが、少し前に話したココロンのココロカードのメッセージが直前のイベントを全く反映しないこともある。そうなったときは、前に何があったか覚えていない限りノーヒントに。
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地図を見ることは一応可能なのだが、どの地方のどの区画にいるかがわかる程度で地形を把握できない。それでいて、「○○で待っている」や、「●●に落ちているアイテムを拾ってきて」という依頼も来るので、地名に関しては記憶力が物を言ったりする。
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ロードが長い
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マップ移動、およびメニューを開くたびに3秒ほど暗転してロード時間が入る。
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自分のプロフィールを見るときだとやたらとロードがかかる。
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マップを開くのには一応ロードはかからない。
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「荷物を渡す」行為でシナリオを進める、というシステム自体はなかなか斬新ではあるのだが、面倒くさくしている側面も大きい。
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渡す荷物を逐一プレイヤーが渡すリストにセッティングし、手に持ってから話しかける必要がある。アイテムを売って金銭にしたいときもこのようなアクションが必要なうえ、必ず1つずつしか売れない。
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セーブ拠点ではほぼ一括で預けることが可能なため、なぜ売買でもこのようにしなかったのかが疑問。
賛否両論点
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対象年齢がわからない
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シナリオの問題点にも関連するが、シナリオ構成そのものは特に難しく考えないように作ってある一方で、大人でも答えが出しにくいような難しい人間関係の話もちょくちょく登場するので、このゲームによって子供が何かを考えるきっかけにはなるのかもしれない。
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主人公が現実世界で暮らす学校の同級生が上手に対話ができていないがゆえに善意で人を傷つけてしまう、平和のために誰かを追放するのは良くない、という話など。
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主人公が基本的に正義感が強い。こういった人間関係の問題の解決に大人を介入させつつも貢献しているほか、まわりのNPC(仮に自分に害をなしたNPCであっても)のピンチに体を張って挑もうとするシーンも多いため、好感をもちやすいのではないか。
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テキストは漢字も多いが、読みがなは基本ふられていない。漢字の難易度自体は小学校高学年程度か。
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問題点の繰り返しになるが、イベント中に遭遇する謎解きはあてずっぽうでも攻略できてしまうような小学生向け(難しい点としては見つけにくいアイテムがある、ペナルティとしては報酬金額が減るなど)なのに、イベントのトリガーを引くのはかなり頭をひねる。
総評
小学生向けの簡単な謎解き、ゆるい設定や雰囲気を押し出すゲームであり、究極の目標としては、登場人物と会話しシナリオを進めていくというものではある。しかし大人でも苦慮しかねない人間関係の問題、記憶が必要な不親切なシステムまでが同居しているので、全体の方向性が錯綜とした印象が強いゲーム。
最終更新:2022年05月13日 20:38