Little Magic
【りとるまじっく】
ジャンル
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SLG
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対応機種
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ファミリーコンピュータ
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メディア
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2MbitROMカートリッジ
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発売元
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データイースト
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開発元
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データイースト
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発売日
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1990年9月14日
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定価
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6,300円(税抜)
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プレイ人数
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1~2人
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セーブデータ
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2個(バッテリーバックアップ)
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配信
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プロジェクトEGG:2010年5月18日/500円(税別)
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判定
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なし
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ポイント
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デコにあるまじきゲーム バランスは投げ捨てるもの
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概要
デコことデータイーストが生み出した、ある意味奇跡のゲーム。
それまでデコと言えば『ヘラクレスの栄光』『神宮寺三郎』『大怪獣デブラス』といった濃ゆいメンツによるバカゲーばかりだったのに、本作は非常に幻想的というか乙女チックな雰囲気の、王道すぎる剣と魔法のファンタジーである。いったいデコに何があった?
ゲーム内容としてはユニット生産型の戦略SLGであるが、注目すべきはユニット同士の戦闘で、なんと対戦格闘方式を採用している。
発売時期は『ストリートファイターII』の稼働前であり、格闘ブームなど存在しなかった時代である。デコには先見の明があったようだ。まあ偶然だろうが
ちなみに、レベルの概念があり成長していく戦略SLGとしては『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』よりも後発である。
なおSFC(後にGBCに移植)にも同名のゲームがあるが、そちらの表記はカタカナの「リトルマジック」であり、本作とは何の関係もない。
ストーリー(オープニングより)
―それはそれは遠い昔―
世界はサンオサール国とムーンオイヌ国に分かれていました。
2つの国は大変仲が良く、互いの王子と王女も将来を誓い合っていました。
そんなある日、ムーンオイヌの王様が突然死んでしまいました。
そして一人の魔道士が、姫を妻に迎え、ムーンオイヌ国を治めると宣言したのです。
王女は王子のことが忘れられず、魔道士の心をかたくなに拒みつづけました。
そこで、魔道士は王子を殺し、世界を我がものにしようとサンオサールに戦いを挑んできたのです―。
システム
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3つのモードがある。
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魔道士の陰謀:一人用のストーリーモード。
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対戦モード:一人または二人用のシミュレーション対戦モード。各陣営の予算とBGMの設定ができる。
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バトルモード:一人または二人用の対戦格闘モード。時間は無制限。使用キャラと地形の設定ができるが、レベル設定はできない。
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SLGパート
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予算を消費してユニットを募集し、本拠地か占領した魔法陣からユニットを召喚して進撃していく。
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マップ上にある魔法陣を占領すれば、そこから待機中のユニットを出撃させることが可能。一度出撃させると待機中には戻れない。
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特定のユニットは移動のかわりに魔法を使うことができる。移動してから魔法を使うことはできない。
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戦闘するか魔法を使うことでユニットは経験値を得て、一定値稼ぐとレベルが上がって能力が強化される。
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マップのボスを倒すか、本拠地を占領すると勝利。王子が倒されるか本拠地を占領されると敗北。また規定ターンをオーバーしても敗北となる。
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占領ができるのは人間系ユニットのみで、魔物系ユニットは占領できない。町や教会といった回復拠点は、占領していないと回復しない。
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バトルパート
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ユニット同士が戦闘すると対戦格闘になる。制限時間は30秒と短めで、決着がつかなかった場合は両者とも生き残り、減ったHPはそのまま引き継がれる。
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魔法は遠距離攻撃だが、タメ時間が必要で連発ができない。
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ユニット紹介
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王子(魔道士)
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戦士並みの戦闘力と回復、火、雷、氷魔法を使える万能ユニット。倒されると敗北。
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火の戦士
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標準適な戦士ユニット。火の精霊を召喚できる。
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水の戦士
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固い・強い・おそい。浅瀬を渡ることができる。水の精霊を召喚できる。
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風の戦士
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水の戦士とは逆に機動力が高く攻撃力が低め。風の精霊を召喚できる。
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僧侶
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回復魔法と、水地形を凍らせる魔法が使用可能。戦闘中には魔法を使えない。
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魔法使い
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攻撃魔法、氷を溶かす魔法が使用可能。ゴーレムを召喚できる。ジャンプ攻撃ができない。
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武術家
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最も機敏なユニット。ジャンプが高く攻撃も速いが、軽装で防御力が低い。
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大男
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武術家とは逆に一撃の威力が高いユニット。反面、当たり判定が大きくダメージを受けやすい。
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半漁人
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水地形を移動可能で、水地で戦闘しても足を取られない。戦闘力は戦士系ユニットに劣る。
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バードマン
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移動力の高い飛行ユニット。ただし地面のない所に待機はできない。
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ゴーレム
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魔法使いの召喚でのみ呼び出せるユニット。防御力が高い。ジャンプ攻撃ができない。
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評価点
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SLGパート、バトルパートともにバランスが良い。
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特に二人対戦の対戦用マップは20種類も用意されている。
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予算が限られているので、安いユニットを生産しまくってダラダラ長続きすることがない。
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バトルパートは二人同時操作なので、相手のターン中にやることがなくて暇ということにならない。
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SLGが苦手なら、バトルモードでキャラを変えて対戦するだけでも面白い。
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氷の道を作ったり炎で溶かしたりと、マップ上の地形そのものを変えて進軍や妨害が可能。
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SLGマップ上で攻撃や魔法を使うたびにキャラがフキダシでしゃべる。その内容はデコゲーらしくコミカルなものが多い。
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レベルの高い敵に攻撃すると「やだ~」と泣き事を言ったり、攻撃魔法を失敗すると明後日の方向へ飛んで行って標的以外の敵に当たったりする。
賛否両論点
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バトルパートでは、受けたダメージに比例してノックバックが大きくなる。ノックバック中は操作を受け付けない。
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与えるダメージが大きいと相手を大きくふっ飛ばし、相手が着地する前に再度攻撃を当てるというハメ技が成立する。
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両者ともレベルが低いうちはバランス良く戦えるのだが、ある程度レベル差がつくと一方的な虐殺になってしまう。
問題点
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ストーリーモードでは味方ユニットのレベルが引き継ぎ制のため、レベルの高いユニットを作ってしまえば後はずっとゴリ押しが可能になる。
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何せ一撃当てれば(時間切れしない限り)ハメ技で敵を倒せてしまうので、相性もクソもあったもんじゃない。
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レベルが上がらない設定にすることができないため、後半マップはどうしてもバランスが崩壊してしまう。
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レベルの高いキャラを使わないという縛りにすると、今度は敵のレベルが高すぎて逆にボコボコにされる。
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敵は最初からレベルの高いユニットを雇用済みで、そのユニット出撃後は予算を全て使ってユニットを大量に雇用する。
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いかにもレベルを上げてくださいと言わんばかりにレベル1のユニットが大量に出撃してくる。おかげでレベルを上げたくなくても上がってしまう。
総評
せっかくSLGパート、バトルパートともにバランスが良いのに、レベルが上がるたびにバランスが崩壊していくという避けられない宿命を背負ってしまったゲーム。
せめてレベルが上がらない設定にできれば良作だったかもしれないのに、この辺りはさすがデコというべきだろうか。
これでもデコゲーにしては良ゲーなほうなのだが、残念なことにバカゲー要素が弱いからマイナーゲーの域を出なかった。
「リトルマジック」というタイトルからして普通すぎたのが原因かもしれない。名前がモロかぶりのゲームがSFCで発売されてしまったくらいだし。
その後の展開
マイナーすぎた故かVC化はされていないが、2010年からプロジェクトEGGで配信されており、Windows搭載PCにダウンロードしてのプレイが可能。
最終更新:2023年03月28日 22:27