What Remains of Edith Finch
【わっと りめいんず おぶ えでぃす ふぃんち】
ジャンル
|
FPV-AADV
|
|
対応機種
|
Windows Vista~10
|
開発元
|
Giant Sparrow
|
発売元
|
Annapurna Interactive
|
発売日
|
GOG, Steam: 2017年4月25日 Epic Games Store: 2019年1月11日 |
定価
|
1,980円
|
参考
|
Unreal 4 ゲームエンジン使用
|
判定
|
なし
|
ポイント
|
日本語対応 謎のほとんどが投げっぱなしで解決しない
|
概要
-
公式な邦題は『フィンチ家の奇妙な屋敷でおきたこと』。
-
原題を直訳すると「Edith Finchが遺したもの」となるので、邦題はかなり内容に踏み込んだものではある。
-
『Gone Home』という元祖ウォーキング・シミュレーターに影響を受けているとされるが、内容的には全く毛色の違う作品である。
-
『Gone Home』のストーリーはある程度のリアリティがあったのに対し、本作の内容のほとんどが「そんなバカな!」と一笑に付したくなるものばかりである。
-
「British Academy Games Awards」にて「Best Game」を受賞。
-
「National Academy of Video Game Trade Reviewers Awards」にて「Original Adventure Game」部門で最優秀賞となっている。
-
「Italian Video Game Awards」にて「Best Indie Game」を受賞。
ストーリー
Edith Finchは最後の家族であった母親が死んだため、かつて住んでいた一族の屋敷を相続した。
母は死ぬ間際にEdithに鍵を渡した。それは屋敷のどこかの鍵であるようなのだが、少なくとも玄関の鍵ではなかった。
-
原題に含まれているEdith(1999-)が主人公。時代は2016年で、ゲーム発売日とさほど乖離していない。
-
屋敷は廃墟ではあるが、Edithが11歳の時の兄の葬式後に家族が屋敷を去った(2010年)ということでそこまで荒廃しておらず、食堂にはiPodのようなものがあったりする。
-
主人公の親族の多数が成人する前に死亡、あるいは失踪しているのであるが、結局はっきりとした遺体が見つかっているのは半数程度である。
システム
-
基本は一人称視点の3Dアドベンチャーであるが、一時的にクオータービューになったり、三人称視点になったりする。
-
プレイヤーはEdith Finchを操作し、かつての一族の屋敷を探索する。屋敷の中はEdithの母親によって殆どの部屋が封印されているが、探索を進めるにつれ、徐々に一族の個室に入ることができる様になっていく。
-
各個室の中で、Edithは彼ら・彼女らの死を追体験することになり、一族の身になにが起きたかが明らかになっていく。一族の死を追体験すると、なんらかの通路が開き次の部屋へ進める様になる。
-
屋敷を探索するフェイズでは操作が一人称視点で、インタラクションするポイントやそこで行うべき操作は画面でナビゲーションされる。
-
逆に、死の追体験には多様なジャンルの操作が詰め込まれており、アクションやQTE、うつ病患者の見る世界、果てはパラパラ漫画など工夫が凝らされており、行うべき操作もバラバラである。
-
何の説明もなく急に操作方法が変わるので戸惑う場面がしばしばある。
-
あくまでもプレイヤーは探索や話を進めるためにゲームを操作するだけで、プレイスキルを求められるような難しい操作は一切なく、ゲームオーバーも存在しない。
-
母からもらった鍵が玄関の鍵ではないのだから、どこから屋敷に侵入するかはプレイヤーが探索して見つけなければならない。
その程度の探索要素はある。
-
Edithの独り言がある
-
「The Game Awards 2017」にて「Best Narrative」賞を受賞している。
また、「SXSW Gaming Awards」にて「Excellence in Narrative」賞を受賞。
「Game Developers Choice Awards」においても「Best Narrative」を受賞。
評価点
-
アートデザインへのこだわり
-
主人公の独り言にあわせて出る字幕までデザインに気を配られている。
-
この、最初のWalterおじさんの部屋はほとんど何もないにもかかわらず、壁の絵だけで圧倒的なオリジナリティを示している。
-
他の親戚の部屋もキャラクターに合わせた内装となっている。
-
屋敷の内装どころか増築も曾祖母のエディー(Eddie)が行っているという設定である(Barbaraの部屋の前に、Barbaraの部屋をペイントするエディーの写真がある)。
なお、Eddieという名前は本来は男性に付けられる名前である。
-
Barbaraの最期の話(あくまでゴシップ)はアメコミ調となっており、しかし、FPVでの探索及び戦闘(?)がある。
-
間取りは変わらないものの、調度品の一部が現在とは少し異なるというこだわり(そもそもアメコミ調となっているため、ほとんどのテクスチャーが別モノなのであろうから、そこまでの手間ではないのかもしれないが)。
-
「National Academy of Video Game Trade Reviewers Awards」にて「Lighting/Texturing」部門で最優秀となっている。
-
次にアクションすべきポイントが見つけやすい
-
インタラクション可能なポイントは割と遠くからその存在を主張するかのようにアイコンが表示される。
問題点
-
結局、ほとんど何も解決しない
-
フィンチ一族の謎の死や行方不明をさんざん見させられたにもかかわらず、何かその原因を探すだとか因縁を断つだとかそういったことはない。
延々と奇妙な死を見せられ続けるのみである。
+
|
プレイヤーの分身であるEdithは(ネタバレ)
|
-
最後、Edithは当時自分が暮らしていた部屋に辿り着き、ベッドに横たわり眼を閉じる。そこで妊娠しているらしきことが分かり、最後Edithの子どもらしき人物がフィンチ家へ向かうところで物語が終わる。
-
子供を産めたことからEdithが子供を産むまでは生きていたらしきことが分かるが、子供が一人で向かっていることからEdithもまた何らかの死を迎えた可能性が高い。
|
-
UIに関する説明がない
-
[Shift]キーで拡大して見ることができることに関して説明はない。
-
冷蔵庫に貼り付けられた写真など、詳しく見てみたいポイントが存在するので、この説明がないのは少し不親切に感じる。
-
かなりの写真や絵画が家中に飾られており、それらが伏線になっていたりするため、ゲームオプションのグラフィック設定においてテクスチャの解像度を落とすとゲームを楽しめない。
また、いろんなオブジェがかなり複雑にストーリーに絡み合っているため、細部まで注意して見る必要がある。
-
例えば、最初見た時に木の枝に絡まった状態のブランコ。屋敷内で同様に木の枝に絡まった状態のブランコの写真がある。しかし、主人公がブランコにたどり着いた時にはほどけている。
-
キーボード+マウスでプレイしていても、振動対応のゲームパッドを接続しているとイベントに応じてゲームパッドが振動する。
その説明もないため、最初に振動した時にかなりびっくりする。
-
手に取れるアイテムはほとんど無い
-
アイテムを組み合わせて進路を開いていくような要素はない。
-
フィールドにあるオブジェクト自体をじっくりと吟味することもできない。
総評
本作は絵本のようにストーリーを面白がるという作品であり、その中に入ってストーリーに介入するものではない。
そこで垣間見るものはミステリアスで、時に残酷であるが、そこに意味や教訓めいたものはない。「世にも不思議な物語」のような物語が延々続いていく。
概要で様々な賞を受賞していることを示したが、本作に詰め込まれたセンスと、そのアイデアを実現するために掛けられた惜しみない労力に対するものであり、本作が万人受けするゲームであることをそれらの賞が保証するものではない。
描きこまれた多数の絵画や写真には、とにかく圧倒されるので、何か解明できる手がかりが見つかるわけではないのだが、館の中に入る前に池に放置されたドラゴンの像の残骸など雰囲気を楽しむために探索することを推奨する。
その後の展開
-
PS4版が同時発売されている(2,200円と割高である)。
-
2017年7月にはXbox One、2019年7月にはNintendo Switchの移植版が発売されている。
最終更新:2025年05月07日 10:49