ティム・バートン ナイトメアー ビフォア クリスマス ブギーの逆襲
【てぃむばーとん ないとめあー びふぉあ くりすます ぶぎーのぎゃくしゅう】
ジャンル
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アクションアドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション2
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発売元
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カプコン
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開発元
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カプコン トーセ ニューロン・エイジ
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発売日
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2004年10月21日
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定価
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6,800円
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廉価版
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プレミアムパック:2005年9月29日/3,800円 カプコレ:2007年3月15日/1,980円(全て税抜)
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レーティング
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CERO:全年齢対象
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判定
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良作
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ポイント
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原作スタッフ参加 世界観完全再現 新曲に加え既存曲も新録 謎解きとボス戦は難しめ
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ディズニーシリーズ
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概要
ティム・バートン制作のディズニー映画『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』の公式続編として制作されたゲーム作品。
ゲームもティム・バートン本人監修、アートディレクションにディーン・テイラーと原作のスタッフも参加しており、映画の音楽も使用されているため有無を言わせぬ原作世界観の完全再現を成し遂げている。
ゲームシステムは『デビルメイクライシリーズ』がベースとなっており、本作独自の要素も加えて映画らしさも表現した作品となった。
初回限定生産盤にはティム・バートンとの打ち合わせの様子や一部アート、2004 E3にて公開されたPVなどを収録したプレミアムDVDが付属する。
また、2005年には期間限定生産でサントラ付きのプレミアムパックも販売された。
ストーリー
これから始まる物語は昔々のそのまた昔の話
君も夢でみたに違いない──
そんな場所での物語
祝日の国でのお話だ
ハロウィン・タウンのリーダー
カボチャの大王ジャック・スケリントンは今日も悩んでいる
毎年同じハロウィンではつまらない
もっと恐ろしいハロウィンを作り上げなければ…
ジャックはフィンケル・シュタイン博士に相談をもちかける
そこで、奇妙なモンスターソウル・ラバーと出会うのだった──
(説明書より一部抜粋)
特徴
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ジャックを操作して3Dで表現されたフィールドを駆け回り、戦闘や謎解きをしながらステージを攻略していくアクションゲームとなっている。
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ストーリーはチャプターで分割されており、一度到達したチャプターは自由に再プレイ可能。チャプター間ではセーブやコレクションの閲覧ができるジャックの部屋に行けるメニューが利用できる。
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セーブはステージ中にいるスリーミスターハイドに話しかけることでも可能。
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戦闘になるとジャックは歩きに切り替わり、□と△で使える攻撃アクションとステップを駆使して戦闘を行う。
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□と△で行える攻撃アクションは後述するコスチュームごとに異なり、ボタン長押しでのチャージ攻撃もある。
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敵の近くで方向キーを入力すると「アンガー・フォーユー(挑発)」を発動でき、成功すると即チャージ技が使用できる。ただし、挑発された敵はブギーモードになって強化される。
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連続で攻撃すると「スケーリーコンボ」となり、コンボ評価が上がるほど敵から出現するソウル(お金)の数が増える。また、時折回復アイテムなども落とす。
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ハロウィン・タウンにある魔女の店でアイテムの購入ができる。
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一時的に攻撃力を強化するブルーソウルやパンプキンキングの攻撃に必要なレッドソウルの補充の他、各コスチュームの攻撃を強化することも可能。
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各ステージのどこかに隠されている「金のミニパンプキン」を入手するとジャックのライフ上限が増加する。
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また、同じく隠されている「水晶のドクロ」を4つ集めると泉の水を汲む「水晶のビン」(サブタンク)と交換できる。
コスチュームチェンジ
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ある程度ゲームを進めると、ジャックは新しいコスチュームを入手し、L1/R1ボタンで自由に着替えることが出来るようになる。コスチュームごとに攻撃アクションが変化する。
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ジャック
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通常のジャック。右腕に装備したスライム「ソウル・ラバー」を駆使して戦う。敵を突き刺すように攻撃する他、敵を掴んで投げ飛ばすことも可能。チャージすると連続突きや敵を掴んで振り回す「スピン・サイクル」といった技が使える。特定の場所では移動技「ラバー・ジャンプ」で遠くの足場に移動することも出来る。
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パンプキンキング
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映画冒頭で出て来たカボチャのお化けの衣装。地獄の炎を使って戦う火力重視形態。ただし、攻撃時に専用リソースの「レッドソウル」を消費するため、レッドソウルがなくなると攻撃不可能になる。□ボタンを押し続けると火炎放射「フレイム・スロウ」。使用中は立ち止まるが、方向転換だけは可能でレッドソウルは0.1ソウルずつ消費する。△ボタンで周囲を爆発させて一気に攻撃できる「ファイアー・ボム」。こちらはレッドソウルを1つずつ消費する。
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サンタジャック
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映画後半で登場したサンタクロースの衣装。状態異常を引き起こすプレゼントを投げて戦う。プレゼントは時間経過か任意のタイミングで開けることも出来るが、開けずに放置すると敵の興味を引いて誘導することも出来る。投げるプレゼントは△ボタンで変更可能で、敵をスタンさせてブギーモードを解除する「しずまる魂」敵を麻痺状態にする「しびれる恐怖」敵を凍りつかせてダメージを与える「凍える心」後述の「パンプキン・シールド」がある。
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クリア後に特定条件を満たすとジャックの部屋で基本コスチュームを着替えることも可能になる。
ミュージカル・バトル
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特定のボス戦で発生する必殺攻撃。敵を攻撃すると出現する「ミュージカル・ソウル」を集め、画面左上に表示されたゲージを最大にすると自動的に発動する。
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発動すると専用ミュージカルに突入し、画面左から流れて来るボタンをタイミングよく押す音ゲー風の戦闘を行う。
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ボタンをタイミングよく押せればミュージカルが延長され、長く続くほどミュージカル終了時にボスに与えるダメージが増加する。
ナイトメアランク
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チャプタークリア時に表示されるプレイ評価。
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『DMC』同様にクリアタイム、コンボ数、被ダメージに加え、敵を驚かせると発生する「!カウント」を発生させた回数で評価が決定する。
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ランクに応じてボーナスソウルを得られる他、高ランクを得るとジャックの部屋に飾れるフィギュアを入手できる。
評価点
文句なしの原作再現度・グラフィック・音楽
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原作スタッフ参加のため、世界観の再現度はバッチリ。
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先に発売された『キングダム ハーツ』でもそうだったが、ハロウィン・タウンやクリスマス・タウンの街並み、登場キャラの見た目などは映画そのまま。公開から10年が経過し、CG技術の進歩を感じさせる。
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『KH』でも舞台として登場したハロウィン・タウンの泉の広場を中心に各地を冒険する形で進んでいく。映画に登場した印象的な場所がフィールドとして用意されており、再現度も非常に高い。
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本作オリジナルの敵キャラクター達のデザインもジャック達にかなり寄せてあり、違和感なく溶け込んでいる。
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シナリオも良好。
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前半はブギーに支配されたハロウィン・タウンを元に戻すべく奔走するというキャラゲーではありがちな展開だが、中盤でブギーの真の目的が判明すると一気に壮大さが増す。原作の設定・描写を活かし、映画と地続きであることを感じさせる。
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また、原作の名シーンを再現したイベントも用意されている。
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ミュージカルシーンが特徴だった原作同様、今作も多数のミュージカルが用意されており、原作で使用された曲も今作用に歌詞が書き下ろされている。
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特にテーマソングの「This is Halloween(ハロウィン・タウンへようこそ)」は、わざわざ当時とほぼ同じキャストを集めて収録し直すという拘りよう。今作ではタイトル画面、戦闘中、エンディングなど様々な場面で聴く機会がある。
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他にも「Kidnap The Sandy Claws(サンディ・クローズを誘拐しろ)」や「Sally's Song(サリーのうた)」など原作で人気の曲がアレンジされて使用されている他、原作でミュージカルに参加しなかったフィンケルスタイン博士らにも曲が用意されている。
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その他の曲も各場面の雰囲気を盛り上げる良曲揃い。
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原作の熱烈なファン向けの高難度クイズも用意されているなど、ファンサービスもバッチリ。
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クイズは本当に原作を細かいところまで見ておかなければ解けないような問題が多数用意されており、非常にマニアック。
ゲーム部分も良好
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ベースとなった『DMC』ほど操作もコンボも複雑ではなく、アクション初心者でも遊びやすい作りになっている。
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ジャックから一定距離をとるゴーストや、カボチャなどのオブジェクトに隠れていて近づくと飛び出してダメージを与えて来る敵などはサンタジャックのプレゼントで誘き寄せたり驚かせる、特定のボス戦ではパンプキンキングの炎で有利に戦えるなど各コスチュームを活用して攻略していけるので、使い分けも楽しい。
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技を強化すると攻撃力や攻撃範囲がアップし、圧倒的に楽になっていく。チャプターセレクトを利用して稼げば時間はかかるものの簡単に強化できるため攻略の自由度は高い。
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また、コスチュームは一度入手すれば過去のチャプターでも使用可能になるので、一通りのコスチュームと強化を揃えることで高ランクも取りやすくなる。特に「!カウント」を稼ぎやすいサンタジャックは非常に便利。
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3段階の難易度選択も可能で、アクションが苦手なプレイヤーから上級者まで余すことなくゲームを楽しめる。
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なお、EASYを選択した時のみジャックの身を守る「パンプキン・シールド」が使用可能になり、ショップの価格が割引かれる。ランク評価以外は隠し要素にも影響しないので、楽に進めたいならEASYでも問題ない。
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コレクションであるフィギュア集めの他、メインシナリオから外れたサブイベント「シークレットチャプター」も用意されている。
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シークレットチャプターをクリアすると大量のソウルが貰える他、一部ボス戦が有利になる。ただし、本筋から離れた場所へ行く必要があったりするため、クリアタイム評価は下がる。
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登場キャラや世界観に関する設定解説が読める図鑑モードも搭載されているので、原作未視聴でも理解できるよう配慮されている。
賛否両論点
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難易度については賛否あり。
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元が高難度なゲームをベースにしていることもあり、アクションゲームをあまりプレイしない人からは高難易度と評価されている。逆にアクションゲームをよく遊ぶプレイヤーからは簡単すぎるとも。
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アクション以外にも謎解きや一部ボス戦の攻略法が分かりづらいのも難易度評価が分かれる部分。
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例えば、フィンケルスタイン博士戦では周囲を回転する機械による攻撃を回避しつつ、博士の背後に回って頭を掴み、頭が開いたら前方に回って入れ替えられた脳を投げ入れる必要がある。2回投げ入れれば勝てるが、他の方法では一切ダメージを与えられないため攻略法が分からないと詰みかねない。
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一方、敵を大量に巻き込めてコンボ数も稼げるスピン・サイクルや周囲全体を攻撃できるファイアー・ボムが非常に強力で、プレゼントの誘引効果も組み合わせればかなり楽になる。むしろこれらを使用しないとSランク取得は難しいが。
問題点
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『DMC』ベースのため、難点もそのまま当てはまる。
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カメラワークは固定視点の切り替え方式。自分でカメラを操作できないこともあって視認の悪いステージ、ボス戦が存在する。視点の悪さのせいで迷いやすい場面や、敵との距離感が掴みにくい時も。
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特にチャプター16は落下するとステージ入口に戻される罠だらけのマグマの上を、移動する足場で渡っていく高難度エリア。カメラワークの悪さもあり、回転ノコギリで弾き飛ばされて落下したり、足場の移動に合わせてタイミングよくラバー・ジャンプで移動せねばならなかったりと本作のステージの中でも屈指の難関となっている。
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なぜか説明書やゲーム中の操作説明にターゲットの切り替え方が載っていない。オプションでターゲット方式をマニュアルにすればR2ボタンで切り替え可能になるのだが、L2/R2ボタンは未使用と記載されている。
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ミュージカル・バトルは選択した難易度に関わらず一定の難易度で固定されている。音ゲーで例えれば強制的に最上級難度に挑戦させられているようなもの。
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特にラストバトルのミュージカルは他の倍以上の長さがある。流れて来る順番は固定なので覚えればクリア可能ではあるが、流れて来るのが速い上に連続入力が必要な個所も多い。後述の問題もあり、なかなかミュージカルを楽しんでいる余裕がないのは残念なところ。
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一番の問題は、ラストバトルのみこの
ミュージカルバトルが必須
となっていることである。
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『DMC』に比べ技が少ないため、同じ技を繰り返すだけになりやすい。
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一部技はモーションが長く、発生にタイムラグがあるため使いどころやタイミングの見極めが重要で、慣れは必要と言える。
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英語音声+日本語字幕のみで吹替はなし。
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一部字幕は消えるのが早く、読み切れないことがある。
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また、ボス戦などの一部戦闘やミュージカル・バトル時も会話や歌が途切れる事なく続くため、戦闘やボタン入力に集中していると読み逃しやすい。よって、リスニングが苦手なプレイヤーには辛い。
総評
原作者監修なだけあって映画の世界観・絵作り等の表現はピカイチで、ファンであれば間違いなく楽しめる作品に仕上がっている。
ゲーム部分もカプコンの人気作をベースとしているだけあって骨子はしっかりしており、慣れは必要だが遊びごたえのある内容。
開発陣の原作愛も感じられ、キャラゲーの中でも評価の高い一作と言えよう。
最終更新:2024年06月24日 01:45