Gone Home
【ごーん ほーむ】
| ジャンル | FPV-AADV |  | 
| 対応機種 | Windows 7~10 Mac OSX 10.11以降
 SteamOS + Linux
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| 開発・発売元 | Fullbright | 
| 発売日 | GOG, Steam: 2013年8月16日 | 
| 定価 | 1,480円 | 
| 参考 | Unityゲームエンジン使用 | 
| 判定 | 賛否両論 | 
| ポイント | 日本語対応 ホラーではない
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概要
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とあるアメリカの一軒家を探索するFPVのAADV。
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販売当初からウォーキング・シミュレーターを名乗っており、本作こそが"元祖"ウォーキング・シミュレーターである。
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パズル要素はほとんど無い。
 敵が現れるわけでもなく、QTEもなく、アクション要素は皆無である。
 
 
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Fullbrightにとっては処女作となる。
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本作にてBritish Academy Games Awards の「Best debut game」を受賞している。
 また、 Game Developers Choice Awardsからも「Best Debut」を受賞している。
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FullbrightのメンバーはFPSの制作の経験しか無かった。
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Fullbrightは後に、ほぼ同じUIの『Tacoma』をリリースしている。
 
ストーリー
1年に及ぶ一人旅を終えて帰国したケイトリン・グリーンブライアーが実家に戻ると、Samからの「探さないで」という張り紙が玄関のドアに貼られていた。
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舞台は1995年6月7日の合衆国オレゴン州。
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Samの部屋にはSNES(海外のスーパーファミコン)の架空のゲームのカセットと、春麗のスピニングバードキックの出し方のメモがある。
 
システム
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オプション
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「すべての電気照明がついた状態で始める」というものがある。
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電気のスイッチを探るのもゲームの一部だと思うのだが。
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なお、「家中の電気をつけっぱなしにするのは止めなさい」というママからの書き置きがある。
 
 
問題点
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オフィシャルサイトのゲームの内容についての説明からは想像のつきにくい内容である。
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どう見てもホラーものに見えるのだが、それは雰囲気だけである。
 
    
    
        | + | ネタバレ | 
主人公一家の越して来た家は、近所からは確かに「気狂いの(住んでいた)屋敷」と呼ばれているようである。
確かに家の構造は怪しさ満点ではあるが、そこには少々理由がある。
 
    
    
        | + | さらなるネタバレ | 
父親の書斎の鍵のかかった引き出しの中から、近所から気狂い扱いされている叔父からその邸宅を相続したことが分かる。
とあるところに落ちている新聞記事から、叔父が大きな薬局を経営していたことが分かる。その薬局にソーダーファウンテンが併設された時の最初の客が主人公の父親だったことや、屋敷内に父親の成長を示した柱の落書きなどがあり、相続自体に何も不自然な点がないことが分かる。
とある場所に落ちているメモから、その叔父は禁酒法に背いて裏の商売をしていた事がわかり、金庫の中の手紙から親族にその事がバレて、事が公になる前に裏の商売から手を引いたものの、その後も親族から勘当された状態であった事がわかる。つまり、秘密の部屋があるのは裏の商売を隠すためだったのである。
近所からの評判が悪いのは、近所付き合いが悪いのが主な原因で、それは裏の商売がバレないための秘密主義によるもののようである。
悪事から足を洗った後も、親戚からは勘当状態であったため、誰も叔父の屋敷に寄り付かなくなったようだ。
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実際のところ、屋敷の謎は本作の本筋ではなく、Samの秘密のほうがメインである。
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一部テキストの日本語の改行位置がおかしい
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このため、一部のテキストでは改行が多すぎて日本語訳が画面下にはみ出してしまっており、ちゃんと読むことができない。
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日本語訳自体はネタバレしすぎないように考慮された、ほぼ完璧なものであるので、非常に惜しい。
 
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なお、[表示切替え]をクリックすると英語の原文が読めるため、この事がゲーム自体の進行の妨げとはならない。
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余談ではあるが、桔梗紋(残念ながら水色ではなく赤色)の付いた"AKECHI"というカードゲームが屋敷内にある。
 
評価点
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ストーリーのミスリードがうまい
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問題点にて述べた、一見ホラー作品のような宣伝方法もミスリードの一つではあるが、流石にこれは問題があるのではないかと思い、問題点にて記述した。
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玄関の貼り紙にて、Samが「私がどこに居るか探さないで」と書いているのも、「かくれんぼか?」と勘違いするだろう。
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玄関ホールに飾ってある骸骨のオブジェも、最初は意味がわからずゾッとするが、後に別の意味があることが分かる。
 
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あまり列記するとネタバレとなるためこの程度に抑えるが、このように、最初は情報量が少ないため、プレイヤーが勝手にいろいろ想像するが、分かってしまえば、何だそんなことだったのかと思う、裏切りが多数用意されている。
 
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効果的な演出方法がある
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カセットテープ
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まだMDもない時代なのではあるが、カセットテープとカセットデッキが家中に有り、それらを再生してBGMに出来る。
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ハードロック主体であり、楽曲については好き嫌いが分かれるだろう。
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なんと言っても、Samの日記に出てくる人物(ロニー)がヴォーカルを務めるバンドの曲が聴ける点が大きい。
 
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Samの日記
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キーアイテムを手に取るか読むかすると、主人公が不在の間の出来事をSamが綴った日記が朗読される。
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日記本体を見つけるのが本作の目的。
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非常に繊細な内容であり、Sam本人の朗読という表現方法こそがSamの苦悩を伝える最高の手段であっただろう。
 
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多数の手書きのメモ
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まだポケベルの時代であり、本作では伝言メモや手紙というアナログな手段が多数使われている。
 Samの友人のロニーはイラストが上手いという設定なので、ロニーの描いたイラストがそれなりに出てくるのだが、本作のエンドロールにおいて、それらの手書きのアイテムの作成に数十人のスタッフが関わっていることにびっくりさせられる。
 
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Fullbrightが「ウォーキング・シミュレーター」と自嘲して販売していたためハードルが下がったという面はあるかもしれないが、これらの表現方法が高く評価されている。
 
賛否両論点
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同性愛者の描き方について
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様々なLGBT団体に於いて本作の評価は分かれており、本作で描かれたようなストーリーはわりとある話で共感したというものから、同性愛を安易に扱っているという批判まで様々であり、LGBTの団体の展示会に於いて本作を名指しで非難するブースが設けられたりした。
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なお、Fullbrightは次作『Tacoma』においてもレズビアンのカップルを登場させており、その一貫性が認められて、現在では多くのLGBT団体とは和解している。
 
 
総評
ゲームの内容はホラーではなく、オフィシャルサイトの表現の仕方からは想像のつきにくい内容である。
ゲームの本筋はLGBTに関するものであり、そこに理解のある人とない人とで大きく評価が分かれ、かつ、当のLGBTの人々からの評価も割れている。
総プレイ時間は4時間程度の小品ではあるが、本作で採られた「ウォーキング・シミュレーター」と言われる手法は、いまやSteamのジャンルのタグに採用されるまで一般的になっており、歴史的な意義のある作品ではある。
その後の展開
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2016年にPS4とXbox One向けに、2018年にNintendo SwitchとiOS向けに移植されている。
最終更新:2023年04月12日 22:24