平成イヌ物語バウ ポップンスマッシュ!!

【へいせいいぬものがたりばう ぽっぷんすまっしゅ】

ジャンル スポーツ(スカッシュ)
対応機種 スーパーファミコン
メディア 4MbitROMカートリッジ
発売元 タカラ
発売日 1994年4月28日
定価 7,800円(税別)
プレイ人数 1~2人
判定 シリーズファンから不評
ポイント ブロック崩し要素を交えた変則スカッシュ
ストーリーモードはバウしか使えない
そもそもバウである必要がない内容


概要

1994年4月28日にタカラから発売されたスーパーファミコンソフトの変則スカッシュゲーム。
原作は当時テレビ朝日系で放送されていたアニメ『平成イヌ物語バウ』(1993年10月~1994年9月放送)。
だがキャラクターを当て込んだだけで原作要素はほとんどないも同然。


ストーリー

「バウ バウ!」
どうしたの バウ? あっ、みんなこんにちは!
そうか、お友達に会えてうれしかったのね♡
パパやおばあちゃんが最近しつけにうるさくって、
バウをれいぎ正しくしようと、シャカリキになっているんだから!
さやかはすっごくれいぎ正しいと思うんだけどなァ…。
しかも、みんな最近スポーツにこっちゃってて、なにかというと、すぐ勝負したがるんだから。
ほら、あっちのほうでラケットとボールを持って身構えてるわ。
これからはどこかへ遊びに行くときも、家でごろごろしているときでも、たぶんみんなとゲームすることになるんじゃないかなァ。
もう、きいてるの バウ?
「バウ バウ!」
ほんと調子いいんだからァ バウは。
そんなわけで、みんなもバウといっしょに最後までガンバってね♡
「バウ!」

(取り扱い説明書2頁より 「」内以外は、すべてさやかの語り)


内容

  • 「スカッシュ」と「ブロックくずし」を混ぜたようなゲーム性。
    • 初期配置状態の相手の後ろにゴールゾーンがあり、そこにボールを入れると1点が入り、3点取ると勝利。
    • 初期状態ではゴールゾーンはブロックによって守られているため、ブロックを壊す必要がある。
      • ブロックの中にはプレゼントボックスの形をしたものがあり、これを壊すとアイテムが出現する。
    • コートに陣内の概念はなく、どこでも移動できる。
  • 上記のようなゲーム性のため、操作性は至ってシンプル。
    • Aボタンで右に向かって、Bボタンで左に向かってラケットを振る(画面上方にいると左右が反転)。
    • AまたはBボタンを押す続けるとパワーチャージで、パワーゲージが上昇していく。いわゆる気合溜めのようなもの。
      • パワーゲージ満タン状態ならばXボタンで必殺技を繰り出すことができる。必殺技はラケットレベルに依存する。
    • 方向を押しながらYボタンを押すことでスライディングレシーブになる。
  • アイテムは下記4種類。
    • 「爆弾」触れたり一定時間経過で爆発する。爆発に巻き込まれると一定時間動けない。
    • 「ケーキ」パワーゲージが一気に満タンになる。
    • 「肉」移動やショットのスピードがアップする(どちらかが点を入れるまで)。
    • 「?」上記3つのうちのいずれかの効果。
  • プレイヤーキャラはバウ、さやか、おばあちゃん、サブ*1、シェーン*2、大五郎の6人。
    • ストーリーモードではバウのみで他は対戦相手となる。
  • ラケットは、バット、テニスラケット、ハンマー、丸太、木の枝、しゃもじ、骨、ほうき、ゴルフクラブの9種類。
    • ラケットにはレベルがあり基本レベル0~3だが、ゴルフクラブのみレベル0~4、丸太はレベル1のみ、木の枝はレベル0~1のみ。
    • ラケットの種類に応じて必殺技が変わる。レベルに関してはゲームモードによって扱いが異なる。

シナリオ

  • バウを操作して、さやか→サブ→シェーン→おばあちゃん→大五郎の順に対戦していく。
    • 4戦ずつ行うが最後の大五郎とは5回戦行うので全21戦となる。
    • 21戦勝てばエンディングとなる。
    • コンティニューはパスワード式。
    • バウ(プレイヤー)が使うラケットはテニスラケット、ハンマー、バット、木の枝の4種類から選択で、最初はレベル0。
    • 相手はさやかはテニスラケット、サブはバット、シェーンは骨、おばあちゃんはほうき、大五郎はゴルフクラブ。

ボーナスステージ

  • さやか、サブ、シェーン、おばあちゃんに勝った後、ボーナスステージ(後述)に入りそこで20点取るごとにラケットのレベルが1上がる。
    • ただし木の枝はレベル0→1しかなく、レベル1にするために60点が必要になる(つまりほかのラケットのレベル3と同等)。
    • 20点(木の枝なら60点)に達しなかった場合でも、残った得点は次回に持ち越される。
  • さやか戦後
    • バウが虫取り網を持って飛んでいる蝶を捕まえる。
      蝶は色に関係なく1匹で1点。
  • サブ戦後
    • サブがバットでどんどん打ってくるボールを持っているラケットで打ち返す。サブは「打ってくる」とはいえ実質ピッチングマシンの役目でしかない。
      後ろに数字の書かれた区画があり、入った部分の数字が点数になる。打ち返せば区画のどこかには入る(つまり打ち返せば最低1点にはなる)。
  • シェーン戦後
    • 画面中央下部に出てくるクッキーをラケットで打ってゴールに入れると1点。ゴールには3種類それぞれのクッキーが掲げられており、同じ形のクッキーが掲げられているゴールに入れると2点。
      クッキーは1つずつしか出てこない。また、本編中のボールと違って打ってもすぐ止まってしまうので勝手が違う。
  • おばあちゃん戦後
    • 左右に移動するおばあちゃんとさやかが次々と投げてくるお菓子を虫取り網でキャッチすれば1点。
      お菓子だけでなく爆弾も混じっており触れると本編同様しばらく動けなくなる。

対戦

  • フリープレイするモードでプレイヤー同士または1人でもCPUと対戦できる。
    • 対戦時は好きなキャラクターと好きなラケットタイプを自由に選べ、レベルも自由に選択できる。
    • ステージも30種類(学校・公園・遊園地・庭・日本間それぞれ6パターン)の中から、好きなものを選べる。
    • 公平を期すため、点が入って仕切り直しの度に上下位置が入れ替わる。
    • キャラクター毎の成績(勝敗)が記録される。

評価点

  • 簡素ではあるが対戦ゲームとしてはそれなりに楽しめる作り。
    • 操作は至ってシンプルで得点が入る方式も最もシンプルな「一定のラインを超える」というサッカー式なので、ほとんどの人がまず簡単に慣れることができる。
    • ただのスカッシュというだけでなく、ブロックを壊したりアイテムが出てバランスを崩したりと単調さを緩和する工夫もある。
      • 操作性は非常に滑らかで、ボールを追ったりはじき合ったりといった動作にもムラなく対応できている。
      • コートの概念がないので接近してポンポン打ち合ったりなど初心者でもエキサイトできる要素もある。
  • 対戦はプレイの上で自由度も高い。
    • 特性の違う多種多様なラケットから選択できる。
      • ラケット毎の技も変わるなど、相性に応じて選べるのは便利。
  • グラはアニメの雰囲気がそのまま。
    • 特にキャラ選択の顔グラは、アニメの雰囲気がそのまま。
    • プレイアブルキャラは小さめではあるものの、これもアニメでの特徴が取り込まれている。
  • ほのぼのとした雰囲気は一貫している。
    • 後述の通り、原作要素こそ皆無に等しいもののBGMも含めてスカッシュでほのぼの遊んでいる日常の雰囲気がよく出ている。
    • 爆弾は根本的には物騒なモノだが、これもコミカルな表現になっているため、その雰囲気に溶け込んでいる。

賛否両論点

  • ステージ数はかなり豊富。だがパターン違いで実質5種類とも取れるので、そう考えるとむしろ少なく思える。
    • しかし、この当時でこれだけのパターンができていれば十分豊富な方である。
    • 遊園地のステージは周囲をグルッと壊せるブロックに囲まれていたり、ゴールゾーンが複数あったりと特徴もそれなりにある。

問題点

  • 全体的に内容が薄い。
    • 評価点と一部被るが、対戦ゲームとして成り立ってこそいるものの、これだけのゲームというのは当時のスーパーファミコンソフトでは内容が薄すぎる。
    • ファミコン時代の『ドナルドダック』(1988年発売・ケムコ)や『ゲームパーティ』(1990年発売・ココナッツジャパン)などミニゲーム集のバリエーション1つ程度のボリュームしかない。
  • シナリオプレイではバウしか選べない。
    • 主人公なので無難と言えば無難だし前述のとおりボーナスステージのキャラに宛がわれていることもあるだろうが、、さやかもかわいくて人気の高いキャラだっただけにそれが使えない。
      • フリープレイはキャラが全6人から選べる上に全体のキャラ数も多くはないだけに折角ならこれも各キャラ毎の展開ぐらいは用意してもらいたかったところ。
    • ラケットは4通りしか選べない。
      • ラケットも全9通りあるのだが、これも同じでわざわざ縛る必要性が感じられない。
      • 相手キャラと被るのをさけたいのかと思いきや、さやかは普通にバウが使えるテニスラケットを使うし、他4人が使うものを合わせてもハンマー、丸太、しゃもじは全然出番がない。
  • 「必殺技」はその言い回しの割には少々地味。
    • 当時ならばデモが入ったり、派手なもので演出されていたが、そういったものは何もない。
    • また技そのものも、そこまで決定打にはならない。
  • ゲーム自体は原作とまったく関係ないもの。
    • 日常系のドタバタコメディということもあり、しかも恋愛のような要素もないなどゲームとして構成しにくいものである点は否めないが、ストーリー要素はないも同然な上にスカッシュが作中の象徴的な遊びというわけではない。
    • シナリオモードで犬神家の面々を破ってバウが優勝(?)しても、ただ胴上げされるだけと特に原作らしい描写はない。
    • BGMもアニメのアレンジというわけでもなく原作要素を生かしていない。
    • 前述の通り、当時のゲームとしては内容が薄く、それを原作の魅力でカバーすることもできていない。

総評

原作が日常系コメディであるため、それを活かしてのゲーム化がしにくい事情もあるだろうが原作要素にかけてはゲーム本筋に関わるようなものはないに等しい。
一応「ブロックくずしを絡めたスカッシュ」というゲーム自体は成り立っておりアイテムもあるなど、それなりに対戦ゲームとしては悪くはないものではあるが内容が非常に薄く特別優秀さを感じるほどではない。
バウらしいドタバタコメディを楽しみに購入した人からすればさすがに期待外れ。しかも1人プレイではバウしか使えないというのも原作ファンとしては残念な点。
定価7,800円は当時のスーパーファミコンソフトの中では安い方ではあるのだが内容がこれではむしろ高く感じるだろう。


余談

  • 説明書に書かれているバックストーリーではさやかは「すぐ勝負したがるんだから」と呆れたような言い方をしているが、ゲーム本編では一人で遊び行こうとしているさやかにバウがすり寄ってきて、ついて行きたいそぶりを見せるので、さやかがスカッシュの勝負を持ち掛けてきて「勝ったら連れて行ってあげる」と、なんだかんだでさやかも勝負したがっている節がある。
    • 反対にサブは「仕方ねえ付き合ってやる」といかにもシブシブ。
    • こういった部分もゲーム本編との整合性がイマイチとれていない。
  • アニメのスポンサーにはタカラが含まれているものの本作はテレビCMそのものが製作されていなかったためアニメで並行したCMはされなかった。

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SPG タカラ SFC 1994年
最終更新:2025年10月30日 00:33

*1 本名「近藤三郎」犬神組の組員。

*2 バウが来るより前から犬神家で飼われているアフガンハウンド。