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甲竜伝説ヴィルガスト 消えた少女

【こうりゅうでんせつゔぃるがすと きえたしょうじょ】

ジャンル RPG
対応機種 スーパーファミコン
メディア 8MbitROMカートリッジ
発売元 バンダイ
開発元 ウィンキーソフト
発売日 1992年5月23日
定価 9,000円(税抜)
セーブデータ 4個(バッテリーバックアップ)
判定 なし
ポイント 原作設定に忠実なキャラゲー
インフレゲーだが一応バランスは保ててはいる
終盤は打撃一辺倒になりがち

概要

バンダイが「ガシャポンR・P・G」と銘打って販売していたファンタジーRPGモチーフのガシャポンシリーズを原作とするRPG。
ゲーム化のほかに漫画や小説にも展開しているが、あくまで原作の第1シリーズを根底としており、漫画版や小説版を原作としたゲームではない。
ゲームの出来は決して良くはないが、原作設定に従いつつも、普通のRPGとしてコンパクトにまとまっている。
原作設定について詳しく知りたい人はwikipedia等を参照。


評価点

  • オリジナル設定として、ユータ、ファンナ、ボストフも魔法を使える*1
    • メンバーが入れ替わっても魔法を使えないパーティーになってしまうことがない。
  • ガシャポンで出来た装備の付け替えによる見た目の変化がきっちり再現されている。
    • 武具屋で装備を購入する際は、まず購入するキャラを選択する。そうすると店の主人がキャラに合う装備だけを選別してくれる。
      • 既に同じものを持っていたり、もっと強いものを装備している場合は知らせてくれる。
      • 装備の使い回しができるのは第1パーティーが使う剣と盾のみ。これもガシャポンと同じ。
    • 特定の装備をすると、ステータス画面のキャラグラフィックが変わる。
      • 残念ながらフィールド上のグラフィックまでは変わらない。
  • パーティーの平均レベルによってモンスターの出方が変わる。
    • 平均レベルが敵と同じになるとエンカウント率が下がり、敵から得られる経験値やお金が減る。
      • 得られる経験値が減ったら、もうそんなザコで稼いでいないで先へ進めという目安である。どのくらい稼げば良いのかという目途をつけやすい。
    • 平均レベルが敵よりも高くなると、エンカウントしなくなる。
      • 前の町へ戻ったり、クリア済みダンジョンで取り逃した宝箱を回収するのが楽。
      • 一方でこの仕様のせいで通常プレイでは最大LVにすることが出来ないという事態に陥る(後述)
  • レベルが上がるとパラメータが凄まじいインフレを起こす。
    • HPを例に取ると、レベル0(初期状態)のHPが50なのに対し、終盤では50000近くまで上がる。
      • レベルが1つ上がるだけで目に見えて強力になり、成長を実感できる。
    • 装備品も後半は凄いインフレ能力になる。初期装備の武器が攻撃力6なのに対し、主人公専用の最強武器は攻撃力+10000
    • 敵モンスターもゲームが進むにつれて物凄い勢いで強くなっていくので、殴り合いのバランスは取れている。
      • 一方で攻撃魔法は後半になるほどに悲惨になっていく…
  • 回復魔法の入手タイミングが抜群。
    • そろそろ回復量が物足りなくなってきたかな、というタイミングで回復魔法の使い手が増えたり、上位の回復魔法が登場したりする。

賛否両論点

  • ゲームシステムの都合上、適正レベルに上げてから先に進むことを強いられる。
    • レベルが低いまま先に進むとインフレモンスターに全く歯が立たない。かといって弱い敵を倒していても入手経験値が減るので先に進むしかなくなる。
      • このおかげでレベルが上がりすぎてつまらなくなるということがなく、常にバランスの取れた緊張感のある戦闘を楽しめるが、逆に言えばやりこみプレイの定番、低レベルクリアは絶対にできないということでもある。
  • 通常プレイでは最高レベルにできない。
    • 前述したように、本作ではパーティレベルによって敵から得られるEXP・ゴールドが減り、最終的には敵と一切エンカウントしなくなる。厳密には「エリアLV」と言うものがあり、『パーティの平均LV>エリアLV+1』となった時点でエンカウント率が0%になるのだが、主人公と第二パーティの最大LVは72なのに対して本作のラストダンジョンでもエリアLVは65なので、全員生存状態で進めた場合LV67以上には絶対にできない。どうしても最高レベルにしたい場合、2人以上を間引いて常に3人パーティで行動する必要がある*2。なお間引いたキャラはどうがんばっても最高レベルには出来ない。
      • 最高レベルにしなくてもクリアは出来るため特に問題はないが、コンプリートを目指したいやりこみ派からは不満が出た。

問題点

  • 会話シーンに句読点や「!」「?」マークが使われていない。
    • シリアスなシーンであっても棒読みに見えてしまう。
  • アイテムの名前が全部カタカナで読みにくい。
    • 英語名のアイテムならともかく、日本語名の「キノタテ」「ホノオノツルギ」「ヒツギオキバノカギ」などは違和感が凄い。
  • 攻撃魔法の威力が低くインフレに追いつかない。
    • 中盤までは問題がないが、終盤以降は『イラップション』を除くすべての攻撃魔法が敵ステータスのインフレに追いついていかなくなる。
      • 原因は魔法の威力が【魔法の基礎威力×術者のMレベル】で決まるため。前述したが本作では武器装備で攻撃力が数千単位で上がり、攻撃力・守備力は敵も味方も数万単位になるのに対し魔法の攻撃力は『イラップション』を除いてたった二桁。そして肝心のMレベルも255で打ち止めなのでどう頑張っても厳しい。加えて物理攻撃と違い属性による増減があったり魔法完全無効化する敵もいるのも使いにくさに拍車をかける。
      • 全体攻撃で最も基礎威力の高い魔法『アースクウェイク』でも基礎威力90。最もMレベルが高くなる魔術師レミでもLV50時のMレベルは98なので、攻撃力は8820。前述した主人公専用の最強武器の攻撃力上昇分にも満たない。次点の『ジェットハリケーン』(基礎威力56)なんて終盤は涼風にもならない(攻撃力5488)
      • 前述した『イラップション』のみ基礎威力224と規格外の威力があるので通用する相手には切り札になりうる。クリアが見えるLV65だとレミのMレベルは210なので『イラップション』は攻撃力47040とブッちぎりの破壊力になる。イラップションに次ぐ単体攻撃魔法『ブリザード』(基礎威力72)が攻撃力15120なのでいかに突出しているか分かるだろう。『アースクウェイク』は攻撃力18900。これでもムロボが素手で攻撃するよりちょっとはマシな程度の威力でしかない。*3
    • そもそも魔法の威力が低めなのに魔法耐久は守備力依存なのも問題である。守備が高くて打撃が通じにくい敵には魔法だって通用しない。結局終盤はレベルを上げてインフレした攻撃力で叩き潰すだけになってしまう。
  • 想定外の行動をするとゲーム続行不可能になるバグが存在する。
    • アイテム欄がいっぱいの状態だとイベントアイテムを入手できないままイベントが進んでしまい、その先のイベントで進行不能になる。
      • アイテム欄は1人につき10個(装備しているアイテムは含まれない)の計50個もあるため、意図的にアイテム買い溜めでもしない限りいっぱいになることはない。
  • アイテム増殖バグの存在
    • 「アイテムを渡す」を選択すると何故か渡したはずのアイテムが残っているのだが、ここでメニューウィンドウを閉じずに「つかう」を選択するだけでアイテムが増えてしまう。
  • 本来ありえないレベルに上げると、全パラメータが0になって戦えなくなる。
    • 本来は中盤で第二パーティに交代するため永久離脱してしまう初期パーティのクイ・クリス・ユータ・ファンナの4人は最大レベルが72なのに対してステータスがLV66までしか設定されていないため、前述した「仲間を間引いて最高レベルを目指す」方法を使って最高レベルまで目指してもLV67以降はLV0のデータを参照するため急激に弱くなってしまう。そこまでやるには中盤辺りで戦える敵だけを相手にしてLV最大を目指すという非常に時間と根気のいるプレイを求められるので意図しないかぎり起こりえることが無いが。

総評

スーパーファミコン初期に発売された作品であり、当時のゲームとしてはビジュアルが良く、装備付け替えシステムの再現ができるとのことでファンからの評価はかなり高かった。
実際に販売本数10万本を達成しており、キャラゲーとしてはまずまずの売れ行きを記録した。
しかし原作設定を知らずにプレイするとニヤリとも出来ない、レベルを上げて物理で殴るだけのゲームでしかない。
全体的な出来はあまりよい方とは言えないが、出来不出来の差の激しいキャラゲーというジャンルの中においては最低限のラインを保っており、良作とはいえずとも駄作でもない、凡作といったところに落ち着く1作に収まっている。

その後の展開

  • 本作発売より約一年後、『甲竜伝説 ヴィルガスト外伝』がなぜかファミコンで発売された。
    • こちらはアクションRPGで、ストーリーはもちろんオリジナルである。
      • 本作の続編というわけではなく、主人公がヴィルガストに召喚される前の前日譚となっている。
  • ヴィルガストシリーズはその後も人気を博し、二年後を舞台とした第2シリーズが制作された。
    • 漫画や書籍だけでなくカードダスやプラモデルなどにも進出し、このまま人気が続けば社会現象としてブームを巻き起こす可能性も秘めていた。
      • しかし担当者の異動により続行不可能となり打ち切りという実にあっけない最期を遂げてしまうのだった。何やってんだバンダイ人事部……

余談

  • 本作の漫画を連載していた講談社の月刊漫画誌「デラックスボンボン」は1990~1995年というわずか5年でその歴史に幕を閉じたのだが、本作の影響もあってか知名度もそれなりになる。
  • 同年放送の特撮番組『特捜エクシードラフト』の40話において、本ゲームが劇中でプレイされているシーンが映っている。
最終更新:2024年08月16日 23:57

*1 原作設定で魔法を使えるのは魔術師レミのみだが、他のメンバーについては言及されていない。使えてもおかしくないし、使えなくてもおかしくない。

*2 強引なやり方としては最終パーティとなる第二パーティの加入時のLVはシュンのLV依存なので加入までシュンのLVを極力上げないで進ませることで間引く仲間を1人に抑えることが可能。一人は絶対に間引かなければならないが…

*3 LV65のムロボの攻撃力は素手でも16800ほどあるため。