このページでは、PS2版『Train Simulator+電車でGO! 東京急行編』とPSP版『Mobile Train Simulator+電車でGO! 東京急行編』を紹介します。
Train Simulator+電車でGO! 東京急行編
【とれいんしみゅれーたーぷらすでんしゃでごー とうきょうきゅうこうへん】
Mobile Train Simulator+電車でGO! 東京急行編
【もばいる とれいんしみゅれーたーぷらすでんしゃでごー とうきょうきゅうこうへん】
ジャンル
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鉄道運転シミュレーション
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対応機種
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プレイステーション2 プレイステーション・ポータブル
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発売元
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音楽館
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発売日
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PS2
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2003年12月18日
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PSP
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2005年2月17日
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定価
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PS2
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6,800円
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PSP
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4,800円
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廉価版
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PS2
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音楽館ポケットブックス 2006年3月30日/5,400円
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判定
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PS2
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シリーズファンから不評
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PSP
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劣化ゲー
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シリーズファンから不評
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ポイント
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2大鉄道シミュレータのコラボ作品 全体的にTSシリーズ優遇仕様 電GO!シリーズ唯一の実写映像
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備考
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PSP版は『Mobile Train Simulator+電車でGO! 東京急行編』
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電車でGO!シリーズ
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概要
「鉄道シミュレータ界の2巨頭」とも称された『Train Simulator(TS)』と『電車でGO!(電GO!)』の2シリーズのコラボ作品。
本作では「東急」の略称で非常に有名な大手私鉄「東京急行電鉄」の運転ができる。
ちなみに『Train Simulator』シリーズは、音楽関連の会社である音楽館が製作した実写版鉄道シミュレータ。
ゲーム性を重視する『電GO!シリーズ』に対し、『TSシリーズ』はリアリティを追求しているのが特徴。
元は社長の向谷実氏が趣味で始めたものだが、製作を機に鉄道会社向けの音楽ビジネス(発車メロディや車内チャイム)・業務用シミュレータの開発にも参入。また埼玉の鉄道博物館や東急の「電車とバスの博物館」等における展示品の運転シミュレータをはじめ、今日では様々な鉄道関連のシミュレータの開発での実績も築いている。
システム
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まずは「Train Simulatorモード」と「電車でGO!モード」のどちらかを選択する。モードによりどちらのゲームルールでプレーするかが選択される。
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両モードのゲームルールはそれぞれの他作品記事を参照。
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TSモードでは初期解放ダイヤのほか、運転技能を評価する「試験」に合格することで新たなダイヤを解放することができる。
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電GOモードではあらかじめ全て出現しているダイヤをプレー。こちらはプレイ状況で新ダイヤが解放されることはない。
収録路線
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東横線上り 桜木町→渋谷
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東急の基幹路線の一つ。PSP版発売時点で廃止されていた桜木町~横浜を運転できるほか、地上時代の渋谷駅など現在では懐かしい仕様が満載である。
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田園都市線下り 渋谷→中央林間
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こちらも東急の基幹路線。改良工事真っ只中で、多くの安全柵が設置されている。
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大井町線下り 大井町→二子玉川
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溝の口延伸前。当時は急行もなく、東急の中ではローカル線然とした路線であった。駅間が非常に短い。
評価点
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やはり車両の挙動がリアル。
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本作では『電GO!シリーズ』では初となる「回生失効」が導入。一時的にブレーキが作動しなくなるイベントで、区間によってランダムで発生する。
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形式ごとの車両のクセもよく反映されており、それぞれに合った運転が必要になる。
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音声が現実に非常に近い。
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モーター音は通常と「REAL」から選べるが、後者はかなりの出来。特に『電GO!シリーズ』のモーター音はお世辞にも似ているとは言えないものが多かったため、大いに進歩したといえる。
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また、自動放送が本物であるのも特徴。非常ブレーキ使用時の「急停車します!」という音声も収録されている。
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カーソル移動音は東急車両のATC機器音を使用しており、軽快な操作を感じることができる。
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実写映像が美麗。
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自然なコマ送りの上、解像度も高く違和感がない。次々変化する景色をしっかり楽しむことができる。
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また、実写のため過去の『電GO!シリーズ』にあったような「権利関係で特定会社の車両が一切登場しない」といったことがない。
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資料室の内容
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資料室では登場する東急の車両のほか、鉄道標識の意味も確認することができる。説明書をなくしてしまった場合のヘルプとなる。
問題点
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明らかにTSモード寄りの比重
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TSモードでは多くのダイヤごと車両が選べるのに対し、電GOモードは数ダイヤを決まった車両で運転するのみ。これではTS優遇と言われても反論できない。
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さらに悪いことに、本作品の隠し要素はすべてTSモードから出現する。電GOだけプレイしていても全てのダイヤを運転することはできず、単純なボリュームではTSの半分以下。
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そもそも論から入れば、同時収録作品である必要性が非常に薄い。各モードは完全に独立しておりクロスオーバー要素など全くない。
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電GOファンから見ると首を傾げたくなる仕様の数々
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アウタービューの運転評価がない。
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ATCの指示速度を破っても、持ち時間はおろか総合評価も減点されない。
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駅構内再加速が減点されない。
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徐行解除標識を過ぎても両数分進まないと加速してはいけない。過去の作品では解除標識を通過した時点でただちに力行できた。
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加減点のSEが無い。
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少ない収録路線
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収録されているのは東横線上り・田園都市線下り・大井町線上りと、PS2版TSモード限定の目黒線下りと東横線下りのみ。隠し路線以外は全線収録されているとはいえ、運転できるのがほぼ3路線に限られるのは寂しい。池上線や多摩川線も収録してほしかったところである。
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しかも実写映像は1パターンしかないので、すれ違う列車などはどのダイヤも同じで変わり映えがしない。
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鬼畜難易度の大井町線
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田園都市線と東横線はダイヤにかなり余裕があるのに対し、大井町線はかなり厳しい。車両性能も低い中で、高速からのブレーキによるガチガチのパターンを組まなければ全区間走破すらままならない。
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駅間距離が短いとはいえ、駅発車時点で次の駅まで1分を切っていたりする。高評価を獲得するのは至難の業。
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路線がノーカットで収録されたことによりプレイ時間がかなり伸びたが、途中セーブがない。特に桜木町→渋谷の各駅停車ともなれば長時間ぶっ通しで乗務し続けなければならない。
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遅れ回復が「時間照合」の喚呼のある駅でしか行われないため、一度遅れるとしばらく取り戻せないことが多い。TS・電GOともに過去作では調整されていた箇所のため、明らかに劣化している。
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初期の版に多数存在したバグ
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初期のPS2版は発生すると即死のバグが多数存在した。
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菊名駅停車時に喚呼音声をオフにしているといつまでもATSが切り替わらない。
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場内信号機が警戒信号で進入すると速度に関わらず強制的に運転終了となる。
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平坦区間でATC制御のブレーキが作動しない(特定条件下のみ)。放置すると非常ブレーキで強制的に停車させられてしまう。
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映像のコマ送りの速さが異常になることがある。
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上記のバグは全てPSP版及び後期のPS2版では修正されている。
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PSP版は隠し路線も隠しダイヤも全てカット
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容量的な問題かもしれないが、2路線も減ってしまうのはいかがなものか。
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このためか、PSP版の説明書にはPS2版が関連商品として記載されている。完全版として扱っているのだろうか?
総評
美麗な映像と再現度の高さで両作品とも多くの面で進化が見られた上電GOシリーズでは久々の携帯用作品であり、鉄道シミュレーターの新境地を開拓した作品であった。
しかし、2大鉄道シミュレーションのコラボと大々的に宣伝された割にはモードごとの分権性が大きく、コラボ作品としての強みを生かしきれなかった面もある。
2作目のコラボとなる『Railfan』ではもはや「Train Simulator+電車でGO!」の名称は用いられず、一代限りの名称に終わってしまった。
最終更新:2022年04月04日 13:45